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天木直人氏との対談 - 「安倍首相に憲法9条を改憲させてはいけない」

天木直人氏との対談 - 「安倍首相に憲法9条を改憲させてはいけない」_c0315619_15280342.jpg元外交官の天木直人氏と対談する機会をいただき、都内で1時間ほど撮影して動画を配信することになった。初めての経験だ。天木氏と私とは共通点が二つある。一つは、憲法9条に強くコミットする政治的立場にあることで、憲法9条を基軸に据えた日本の政治と外交でなくてはならないという信念と主張を持っていることである。天木氏は新党憲法9条という政党まで立ち上げて活動されている。ここまで強烈に憲法9条にコミットし、憲法9条の価値と意味を訴えている論者は他にいないだろう。この点は、9条改憲の政局が進行している今日の状況を鑑みたとき、特に注目され刮目されるべき事実だと思われる。憲法9条が変えられようとしている現実政治への危機感から、私たちは対談の席を持つことになった。その冒頭でも申し上げたが、天木氏はいわゆる左翼とか左派の世界に身を置く人ではない。左の地平にオリジナルのバックグラウンドを持った人ではなく、左の論壇業界にキャリアとネットワークを持つ人ではない。いわば純粋の霞ヶ関の元エリートというか、外務官僚としての人生を歩んで来た経歴の人だ。敢えて単純な表現を試みれば、ニュートラルなリベラルのステイツマンであり、イデオロギーフリーな良心的で職人気質を持った日本国の外交官という表象が妥当だろう。



天木直人氏との対談 - 「安倍首相に憲法9条を改憲させてはいけない」_c0315619_15284759.jpg左翼世界の住人ではないのに9条にコミットし、9条改定を目論む安倍政権に対抗し、体を張って阻止しようとしている人というのは、私にはとても貴重に見えるし、ありがたい存在に思われてならない。例えば、河野洋平、野中広務、加藤紘一などが同じ属性のステイツマンと言えるし、天木氏ほどアグレッシブな個性ではないが、防衛官僚の柳澤協二が同じ範疇に入るだろう。3年前の安保法制の政局のとき、安倍政権の暴走に危惧を抱いたマスコミは、世論の後押しを受けて柳澤協二にスポットを当て、柳澤協二に国民の声(反安倍・反安保)を代弁させたが、できれば今回、9条改憲の流れに牽制を試みようとするマスコミ - 例えば金平茂紀のTBS報道特集 - が、元官僚の天木氏の9条護憲論を拾い上げてくれるとよいと思う。対談の中でも述べ、ブログでも繰り返し書いてきたけれど、左翼世界の外の護憲リベラルの方が、むしろ素朴に9条護守に情熱的なのはどうしてなのだろうか。左派だのリベラルだのを自称(僭称)して左翼業界で論壇商売している者が、オレは護憲派じゃないとか、2項を削除しようとか、立憲的改憲だとか言い散らして国民の前で欺瞞のアクロバットを踊るのはなぜだろうか。野中広務の9条護憲論は熱かった。声が震え、目が潤っていた。天木氏もそういうところがあり、言葉に力が入る。

天木直人氏との対談 - 「安倍首相に憲法9条を改憲させてはいけない」_c0315619_15291937.jpg野中広務の9条護憲論は、まさに自らの戦争体験からの信念と態度だった。それは人を感動させる言葉で、9条の価値と意味がそこにある。8月6日に広島の平和記念公園にカメラが入り、原爆死没者慰霊碑に刻まれた「過ちは繰り返しませぬから」を映すとき、その前で手を合わせる人々の姿を映すとき、9条の精神と初志が重く甦る。この国を新たに出発させた原点に立ち帰る。その決意はまさにイデオロギーフリーで、右だの左だのはそもそも関係ない。共産党が護憲派だから嫌だとか、護憲と言うと古い戦後左翼のイメージだから嫌だとか、そういう9条に纏わる卑しく低俗で愚かしい、右翼のプロパガンダによって刷り込まれた悪性の政治感情とは無縁なものだ。9条とはそういう問題であり、共産党と自民党の間のポジションをアクロバティックに演出しないといけないから何とか詭弁で尤もらしい改憲論を細工しようとか、そういう愚劣な問題ではないはずだ。天木氏の9条護憲論も、野中広務ほどではないが言葉に力が入る。そこには常に孤独感が漂っている。自分は9条を国の政策の基軸に据えるのが正しいと確信するのに、どうして周囲はそれに同調する人が少なく、また、それを理解する人が少なくなる一方なのだろうと、そういうやりきれない哀愁感が滲んでいる。そのシンプルなメッセージと孤独な挑戦のリフレインが、私を天木氏の護憲論に引き込む。

天木直人氏との対談 - 「安倍首相に憲法9条を改憲させてはいけない」_c0315619_15300431.jpg私と天木氏の共通点のもう一つは、既成野党では安倍自公政権に歯が立たないという認識が一致している点である。その現状認識が同じで、何か別の方策を立てる必要があると焦っている点が同じだ。左翼なり左派なりの現在の言論状況を見回したとき、その認識と観点を明確にしている者は少なく、ほとんど皆無に等しい。ツイッターで意見を拡散しているしばき隊や左翼論者は、どれも例外なく立憲民主党か共産党の活動家かシンパで、あるいは小沢一郎と山本太郎の応援団で、立憲と共産の「野党共闘」で次の選挙に臨んで勝つのだと意気込んでいる。既成野党の数合わせでは勝てないという冷静な判断がない。何度負けても同じ失敗を繰り返そうとする。安倍晋三と5回国政選挙を戦って、既成野党は5戦5敗した。6年間で5連敗している。もうそろそろ、今の既成野党では勝てないという結論と自覚を持ってもいいのに、ネット空間の反安倍の者たちはそのスタートラインに立とうとしない。既成野党が選挙に負けるたびに、安倍政権の岩盤は強くなり、安倍政権を倒す条件は困難さを増して行く。安倍晋三の独裁が固まり、それが世間で容認されて行く。若い世代の観念においては、おそらく選挙で安倍晋三が野党に勝つのはデフォルトであり、われわれの少年時代の巨人のV9のような常態感覚に違いない。共産党や立憲民主党は、単なる負け犬の抵抗勢力にしか見えないはずだ。

天木直人氏との対談 - 「安倍首相に憲法9条を改憲させてはいけない」_c0315619_15305270.jpg私自身は、毎度言っているように、永田町の外からリベラル新党を立ち上げるべしという持論であり、既成野党とは全く無縁の、国民から圧倒的な支持を集められるキャラクターをシンボルとして担ぐ構想を考えている。その救世主となるカリスマが動き、マスコミが注目して、過去6年間の選挙で投票所に足を運ばなかった1千万人から1千500万人を動かし、議席を得るという戦略を想定している。投票率53%の現実を投票率65%に変える条件を創出することで、大きな政治変動を起こそうと策している。ポピュリズムと言われようと、空想と言われようと、安倍政権を倒すにはその方法しかなく、それだけが唯一の展望だと確信する。したがって、それは、天木氏の新党憲法9条とは少し方向が異なるかもしれない。が、私のリベラル新党の計画は未だ何も緒に就いておらず、何から着手すればよいかも不明な、アイディアだけが先行する状態だから、天木氏との対話を通じて相談を重ね、見解を聴き、そのことで輪郭と中身を埋めて行き、動画配信で世間に浸透させ、提案に共感し賛同してくれる人を増やして行けばよかろうと勘案している。今年は憲法9条の勝負の年ではあるけれど、何もせず1年を過ごしてしまうと、来年の参院選が目前に迫り、またぞろ共産党と立憲民主党の「野党共闘」がどうのの政治に撞着してしまう。同じことを繰り返し、安倍晋三が圧勝して高笑いする図が再現される。

安倍晋三の9条改憲を阻止するためには、安倍内閣の支持率を落とさないといけない。支持率が落ちれば、公明党が改憲に合意しなくて済む環境が醸成され、マスコミが先送り観測を書き始めるだろう。自民党内に、改憲政局を権力闘争に転化しようと蠢くポスト安倍の反乱も起こるかもしれない。安倍内閣の支持率を落とすためには、国会と週刊誌で醜聞炎上という手もあるけれど、最も確実なのは有力な対抗勢力を出現させることだ。昨年の小池百合子のような対抗馬、すなわち安倍晋三にとって本格的な脅威となる政敵が登場して、次の選挙で浮動票を大量に取るぞという期待と予想が膨らむ政治構図を作ることができれば、内閣支持率はおのずと低下する方向に向かう。既成野党の共闘路線ではそうした展開は不可能である。



天木直人氏との対談 - 「安倍首相に憲法9条を改憲させてはいけない」_c0315619_15311755.jpg

by yoniumuhibi | 2018-02-09 23:30 | Comments(10)
Commented by takahashi at 2018-02-09 18:06 x
 いつも拝読していますが、動画のよにうむ氏は今回が初めてでした。最後までしっかり拝聴しました。よにうむ氏の暖かいお人柄の良さもわかるようなどうがでした。内容も、ひとつひとつうなづいて聞きました。ただし、政治の今後の成り行きには暗澹たる思いにはなります。諦めずに。これがカギですね。ありがとうございました。
Commented by Runner at 2018-02-10 02:49 x
「左翼・リベラル」の9条護憲論が脆弱なのは、「左翼・リベラルだから護憲」みたいなところがあって、実は9条自体について真剣に考えてきてないからでしょうね。
つまり、共産党がその典型であるように、自分らが政権を取ったら改憲するみたいな護憲論なんて、真の護憲論じゃないよね。
別の言い方をすれば、9条は哲学なのであって、哲学なき護憲論が脆弱なのは当然でしょう。

そういった欺瞞疑惑は日本の「左翼」の存在そのものへも向けられるべきであって、我々が「左翼」だと思ってきた先輩たちは、実は、「左翼知識」はあっても「左翼センス」や「左翼精神」に欠ける、「左翼としての主体性」のない「左翼のマネ」をしている人たちに過ぎなかったのかも知れません。
Commented by NY金魚 at 2018-02-10 07:05 x
天木直人x田中宏和 特別対談、海の向うから早速見ました。
—天木:議論したら、そこで負けだ!
—田中:新時代の諸葛孔明は、国谷裕子?
おふたりの丁々発止が手に取るように伝わります。
おりしも先週末から米国株のダウ反落=トランプバブル崩壊。
世に倦む経済評論:トーキョーで売買する8割は外国人投資家で、東証はNYのサブセットだから、当然、日経平均はダウ平均と連動する。暴落する。アベノミクスバブルも崩壊。
トランプとアベという『二大虚人』が崩壊すれば、世界の風通しもかなり楽になります。
楽観は許せませんが、アベも憲法改変など叫んでいるヒマはなくなるのでは、と考えたいところ。景気風よ吹き荒れろ!!
Commented by memoryofart at 2018-02-10 08:00
同感です。
黒柳徹子さん、宮藤官九郎さんも護憲の意思を表明されているように、著名人、特に芸能界の方々に、明確な民主的スタンスに立つ発言が多い印象があります。
芸能人などの著名な方々で党派を結成すると、アピール度も高くて、良い結果につながると思います。
Commented by 河野洋平の頃は本当によかった at 2018-02-10 13:08 x
左翼業界にいる人だけで護憲活動やっても失敗しますよ。彼らはきもちぃ だけで行動してる。
都知事選の動向を見ても、「あぁ駄目だな」と感じます。

鳥越俊太郎が負けた理由は雑な演説と性的スキャンダルが大きく占めるのに、「国民は護憲に飽きている」「政策が左に寄り過ぎた」と
的外れなことを本気で言う。

それゆえ無党派票を右派に取られる。机の上でしか見ないから実際に外で汗かいて働いてる一般の人の気持ちがわからない。国民は見ていないようでみている。
あの人たちに護れる気概などない、と。山尾の改憲案は左の有権者を改憲派にするための策動であり安部がよろこぶ提案。

今回、動画を拝見して思ったのは田中さんいい男だなあと。天木さんとともに左派に主導されず護憲の精神を守って欲しい思います。
妥協なき戦略と揺るぎない意志によって国民の手に日本国憲法は宿ると信じます。

Commented by 長坂 at 2018-02-10 17:52 x
こんな時だからこそ前文の「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚」し「平壌宣言」の再確認、日朝国交正常化の実現をと言う声がどこからも全然上がらない。サンデーモーニングに出ていた「おばちゃん党」の先生、護憲派らしいが朝韓合同ホッケーチームを「オリンピックの政治利用」と散々Disってた。山尾しおりの権力を縛る云々ももっともらしいが、嫌韓ブーム、右傾化の大功労者、小林よしのりと連めるんだから同類なのだろう。護憲、護憲と言いながら、結局「戦争は人の心の中で生まれる」を後押し。と、ここまで書いたら、文大統領に訪朝の要請というニュース。是非是非行って欲しい。日米や勝共連合は絶対に邪魔をしないで!
Commented by 河野洋平の頃は本当によかった at 2018-02-10 19:16 x
一人ひとりの力は強くないけれども、言葉には多くの力があることを信じる
Commented by 七平 at 2018-02-11 03:03 x

(1の2)
小生に対する投稿妨害が一層、露骨になっています。 IP Address を逆探知して完全にBlock しようとしているのでしょうか? 短いコメントですが 1024文字を越していると3度Rejectされました。 分割して再送します。それでも Block されるようなら、もっと公の場所に出て歪んだ日本の情報統制の状況を世界に示すつもりです。 投稿を二つに割って送ります。

改憲護憲論争に気を取られて論戦している間に、安倍政権は違憲が明らかな安保法制(共同自衛権)を盾に、オリンピックの後、起こりうる北朝鮮との軍事衝突に自衛隊を引っ張り込む可能性は100%とみて間違いないと思います。昨日ペンス副大統領がNBCのインタビューで、名指しで自衛隊の参戦を明言しています。改憲を阻止する事はもちろんですが、違憲である安保法制を廃止せねば、自衛隊の傭兵化が実現してしまいます。

“But we're gonna make it crystal clear that our military, the Japanese self-defense forces, our allies here in South Korea, all of our allies across the region, are, are fully prepared to defend our nations and to take what is — action is necessary to defend our homeland,” Pence said.
Commented by 七平 at 2018-02-11 03:16 x
(2の2)
日本のインタビューと異なり、事前に質問事項を相手に知らせません。原稿丸読みはインタビューを受けた人の低能さを丸出しにしますので、記憶にあること、心にあることが聞き出せるよう設定されています。リンクを入れると3度Reject されましたので、詳細はNBCnews.comにLog Inし、Pence vows to defend U.S. from North Korea by taking whatever ‘action is necessary’ by LESTER HOLT and ADAM EDELMAN で記事とVIDEOをご覧ください。 日本のマスコミが腐っている現状を考えると オリジナル Newsを見る必要性があると思います。 検閲を通過するように 先回の投稿では〝x” を3個入れてうまく行ったのですが、今回は同じトリックがワークしません。


先制攻撃を国際法がどのように定義しているにせよ、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガン戦争の前例を考えると、対象国が米国に先に手をだしたわけではなかったのですが、米国からの先制攻撃で戦争が始まっています。過去の歴史が示すように、戦争を始めたいという意思さえあれば、きっかけを仕込むのは簡単な事です。 北朝鮮からの先制攻撃は自殺行為ですので、可能性ゼロだと思います。米国側からの先制攻撃を心配しています。 トランプ政権が半分崩壊している状態にあって、国民の眼をそらし国をまとめるために新たな戦争を利用するのではないか、との危惧を感じています。又、それは米国の軍産複合体が望むところでもあります。



Commented at 2018-02-15 00:42 x
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