「反日」と「愛国」の言葉 - NHKスペシャル「赤報隊事件」を見ながら






小熊英二がやったことは、右翼の「愛国」を普通語にする誤用であり、左翼リベラルも「ナショナリズム」を「愛国」の日本語に変換して使えという推奨だ。とんでもない思想作業上の錯誤と過失ではないか。結局、その後、『ネットと愛国』などという題名の本などが出回って、「愛国」の語は右翼の専売特許ではなくなった。右翼に碇づけられていた悪性表象の「愛国」は解き放たれ、「愛国」が普通語にロンダリングされて読書市場を自由徘徊するようになり、右翼の大義名分だった「愛国」が、何らか正当性と説得力を感じさせるイデオロギー状況に変わってしまった。暴力団も不動産屋の看板を事務所に掲げて偽装するけれど、右翼の欺瞞的な名目にすぎなかった「愛国」が、政治学で研究対象にするナショナリズムと同じものに混同され、小林よしのりの「ゴー宣」と戦後共産党の「民民」が同じものに化けてしまった。右翼と一般市民を分けていた隔壁が破壊された。左から不用意に壊された。天を仰いでしまう。

by yoniumuhibi
| 2018-01-29 23:30
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Comments(2)

「反日」という単語は、私も一度も (地の文で) 使ったことがありません。この単語を日本人自身が使うということは、「日本」自体へのどんな批判も拒否してしまう思考停止につながると思います。
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最近エーリッヒ・フロムの『悪について』を読んでいます。
彼によれば”本物の悪の真髄”には主に3つあり、1.ネクロフィリア 2.ナルシシズム 3.近親相姦的な結びつき としています。そのうち、ナルシシズムに関しては説得力のある論理を展開していて、他者不在な個人的ナルシシズムは国家という集団にその自己愛の対象を変えることがあり、自己愛が病的にまで強い為政者が権力を持って暴走し、市民はその権力者に心酔し追随するメカニズムを解き明かしています。まさに今の日本の自画像ですね。
世に倦む日日さんのような良い意味での個人主義者がたくさん登場することを願います。
あと、テレ朝のキムタク主演『BG〜身辺警護人〜』は憲法9条をヒューマニズムの観点から擁護しているドラマですね。第1話では、「あなた方が拳銃を出さなかったら、犯人は刃物なんか出さなかったんじゃないですかね?」というセリフがあり、第2話では、キムタクを襲った凶悪犯が警察に取り押さえられるシーンで、「その人も被害者なんだから!」というセリフもありました。 テレビという媒体がこうした健全なメッセージを発していることを頼もしく思います。
彼によれば”本物の悪の真髄”には主に3つあり、1.ネクロフィリア 2.ナルシシズム 3.近親相姦的な結びつき としています。そのうち、ナルシシズムに関しては説得力のある論理を展開していて、他者不在な個人的ナルシシズムは国家という集団にその自己愛の対象を変えることがあり、自己愛が病的にまで強い為政者が権力を持って暴走し、市民はその権力者に心酔し追随するメカニズムを解き明かしています。まさに今の日本の自画像ですね。
世に倦む日日さんのような良い意味での個人主義者がたくさん登場することを願います。
あと、テレ朝のキムタク主演『BG〜身辺警護人〜』は憲法9条をヒューマニズムの観点から擁護しているドラマですね。第1話では、「あなた方が拳銃を出さなかったら、犯人は刃物なんか出さなかったんじゃないですかね?」というセリフがあり、第2話では、キムタクを襲った凶悪犯が警察に取り押さえられるシーンで、「その人も被害者なんだから!」というセリフもありました。 テレビという媒体がこうした健全なメッセージを発していることを頼もしく思います。
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