文在寅政権の新方針を支持する - 歴史問題の外交解決には倫理が必須
昨日(10日)、文在寅の新年の会見の場で、2年前に日本と結んだ慰安婦合意について、「間違った結び目は解かねばならない」と発言、問題解決のためには日本側からの「心からの謝罪が必要」だと表明した。また、「日本が真実を認め、被害者の女性たちに心を尽くして謝罪し、それを教訓に再発しないよう国際社会と努力するとき、元慰安婦も日本を許すことができるだろう。それが完全な解決だ」と語った。これが正論だと思う。私は、この韓国大統領の発言を支持する。2年前、2015年の年末、突然この合意が発表されたとき、私は「慰安婦問題の日韓合意は破綻する - 倫理的主体を欠いた歴史外交は成就しない」と題した記事を上げたが、果たして予想したとおりの展開になった。合意の破綻は見えていた。そもそも、この合意には正式な共同文書がない。日韓の外相の記者発表文があるだけで、しかも別々に発表した内容を並べているだけだ。本来、これほど重要な二国間問題について交渉した合意を発表するなら、首脳会談を開催した上で共同声明を出す形式が当然だっただろう。重要な問題であるにもかかわらず、両国外相が個別に報道文だけを残したということが、この合意の軽さ、コミットの浅さを物語っていて、両国政府の本気度のなさを示唆している。
当時、内田樹など左翼リベラルの文化人も、この合意を一歩前進などと肯定的に評価するコメントを表明していたが、私はそうした態度を正面から批判する意見を記事にした。内田樹の態度は、朝日新聞のこの合意に対する姿勢と同じであり、朝日新聞がこの合意についての左翼リベラルの反応を代表していると言っていいだろう。Wikiの記載を見ると、何と、和田春樹がこの合意を評価しているという情報があり、目眩がして愕然とさせられる。結局、この合意について私と同じ否定的な認識と見解を持っていたのは、吉見義明だけだった。その吉見義明を和田春樹が批判するという信じられない出来事が起きていた。いったいどこまで、日本の左翼リベラルは右傾化の坂道を転がり落ちていくのか。25年前の日本であったなら、こんな合意を左翼リベラルが積極的に評価するなど絶対にあり得ないことだっただろう。2年前の記事に書いたとおり、この合意は心のこもってない合意であり、「最終的かつ不可逆的な解決」という、日本側の動機と欲望だけが強く反映されたものだ。簡単に言えば、10億円くれてやるから蒸し返すなよ、もう何も言うなよと、手切れ金を与えているような図が透けて見える外交だ。こういう合意を韓国政府がどうして受け入れたのか、これで最終的に決着できると判断したのか、私には全くその意図が理解できない。
ここでやはり提起したいのは、『君たちはどう生きるか』に付録された丸山真男の「回想」である。昨年、名作が再び脚光を浴びてブームになる社会現象があり、左翼リベラルの少なくない者が再び読む機会を持ったはずだ。こう書いている。「けれども、『君たちは・・・』の叙述は、過去の自分の魂の傷口をあらためてなまなましく開いてみせるだけでなく、そうした心の傷つき自体が人間の尊厳の楯の半面をなしている、という、いってみれば精神の弁証法を説くことによって、何とも頼りなく弱々しい自我にも限りない慰めと励ましを与えてくれます。(略)自分の弱さが過ちを犯させたことを正面から見つめ、その苦しさに耐える思いの中から、新たな自信を汲み出して行く生き方です」(P.321-322)。慰安婦問題についてその歴史的事実の概要をあらためて整理する必要はないだろう。われわれは大事な隣人を傷つけている。それは深刻な過去の過ちであり、正しく反省して清算しなくてはいけない問題だ。正しくけじめをつけ、次の段階に進まなくてはいけない問題だ。そうではないのか。何をしたかは被害者の側から突きつけられている。証拠がないから認めないとか、検証しようがないとか、そういう不誠実な態度で済まされるはずがない。問題と正しく向き合わず、米韓関係を利用して、いい加減な決着で済まそうとすることは、さらに隣人を傷つけて禍根を深くすることである。
私はこのことを左翼リベラルの者たちに言いたい。小手先で済む外交問題ではないのだ。まして、慰安婦問題など存在しないだとか、あれは単なる金稼ぎの売春婦だったとか、そんな暴言を言い放つ極右の頭目が政権を握っている日本政府が、この問題を韓国との間でよく外交解決するなどあり得ないではないか。日本が本当に慰安婦問題を解決して韓国と関係を改善するのなら、まずは、われわれは政権を変えないといけない。安倍晋三の極右政権ではない新しい政権を立て、韓国との歴史問題に正しく向き合わないといけない。2年前の記事にも書いたが、72年に日中国交正常化できたのは、日本政府の側に最低限の倫理的契機があったからである。正常化の外交を担った大平正芳と田中角栄の内側に、侵略戦争で中国に酷いことをした、申し訳ないことをした、相手が納得する謝罪と反省をしなくてはいけないという気持ちが微量でもあったから、72年の日中共同声明の歴史的文書が成立し、関係改善が果たされ、日中友好の時代を迎えることができた。日中共同声明は平和憲法の精神に即した外交である。そのことは誰もが認めるだろう。倫理的主体性を欠けば、戦争の禍根を解決する外交を導くことはできない。われわれはその真理を忘れている。左翼リベラル(内田樹など)は忘れている。外交を小細工のように捉え、日米同盟優先で日韓関係を考える朝日新聞には本当に呆れる。
慰安婦問題については、平和憲法の精神に即して、95年の村山談話の宣言に即して、93年の河野談話の決意に即して、最終的解決が図られなくてはいけない。2年前の日韓合意が、果たして村山談話や河野談話に即した外交だったと言えるのか、倫理的にそう評価できる代物だったのか、左翼リベラルの論者とマスコミは真摯に熟考する必要がある。もし本当にそうだったら、あのような、元慰安婦と韓国国民を挑発するような、「問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」などという文言が挿入されるはずがないのだ。河野談話と村山談話を真っ向から否定する安倍晋三だからこそ、金をくれてやるからもう何も言うなというような「解決」を外交の形にしたのである。隣人である韓国と前向きな関係を組んでいこうとするとき、慰安婦問題はどうしても解決しなくてはいけない歴史問題で、したがって、あと10年もしたら元慰安婦は全員死ぬから自然解消されて終焉するというような、そんな簡単な問題ではない。韓国人は日本人ではない。そういう、社会問題を自然現象化してフェイドアウトで封殺する自己欺瞞の術には長けていない。日本国内の8割が右翼化し、日韓合意を事実上見直した韓国を非難する空気に固まったとしても、国内が安倍カラー一色に染まったとしても、この問題が解決されるわけではない。元慰安婦が地上から消滅しても、問題は日韓の根っこのところに残る。
それにしても、NHKの世論調査で出ているところの、慰安婦問題についての日本の世論は異常だ。9日に発表された世論調査では、日韓合意についての韓国政府の見直しの方針に対して、「大いに納得できる」が1%、「ある程度納得できる」が8%、「あまり納得できない」が31%、「まったく納得できない」が51%という結果になっている。日本のマスコミが文在寅政権批判をして国民を洗脳しているから、こういう恐ろしい自己正当化の意識が醸成されてしまう。慰安婦問題についてのマスコミ報道の論調はすっかり変わってしまった。25年前に田丸美寿々が取材と報告をしていた頃のような、謙虚で反省的な姿勢は全く消えてしまい、問題を深刻に受け止める感性が失われた。慰安婦に内在するコンパッションが衰滅し、加害者側として自責の念を感じる立場認識の前提がなくなった。まさに、これこそが右傾化の現実だと思う。慰安婦問題の意義が小さくなり、国民全体としてこの問題を重視する意識がなくなった。慰安婦問題に注力する韓国の市民運動に対して敵視や蔑視が強まり - 反町理の不埒な口調が典型的だが - 慰安婦問題についての韓国側の主張や世論を、言いがかりとして矮小視し排斥する風潮が圧倒的になった。そして、どうやら韓国でも似たような傾向が見られ、嘗てのように慰安婦問題にコミットする民族感情の圧力が弱くなり、慰安婦に関わる運動が少なからず相対化されている気配を感じる。
つまり、風化があるように見受けられる。慰安婦問題への風化があるから、あのような愚劣な合意を肯定する論説を韓国マスコミが書いて平然としているのだろう。風化があるから、オバマ政権にちょっと脅されて督促されただけで、極右の安倍晋三と面妖な合意を取り結んでしまったのだろう。韓国のマスコミと政治家に対しても、それでいいのかと問いたい。韓国の憲法の前文には何が書いているのか。韓国の立志はどこにあり、立国の原点は何なのか。リパブリック・オブ・コリアとはどういうアソシエーションなのか。韓国において1年の中で最も神聖な日は何月何日なのか。二番目に重要な日は何月何日なのか。韓国のマスコミにはその質問に答えてもらいたい。
当時、内田樹など左翼リベラルの文化人も、この合意を一歩前進などと肯定的に評価するコメントを表明していたが、私はそうした態度を正面から批判する意見を記事にした。内田樹の態度は、朝日新聞のこの合意に対する姿勢と同じであり、朝日新聞がこの合意についての左翼リベラルの反応を代表していると言っていいだろう。Wikiの記載を見ると、何と、和田春樹がこの合意を評価しているという情報があり、目眩がして愕然とさせられる。結局、この合意について私と同じ否定的な認識と見解を持っていたのは、吉見義明だけだった。その吉見義明を和田春樹が批判するという信じられない出来事が起きていた。いったいどこまで、日本の左翼リベラルは右傾化の坂道を転がり落ちていくのか。25年前の日本であったなら、こんな合意を左翼リベラルが積極的に評価するなど絶対にあり得ないことだっただろう。2年前の記事に書いたとおり、この合意は心のこもってない合意であり、「最終的かつ不可逆的な解決」という、日本側の動機と欲望だけが強く反映されたものだ。簡単に言えば、10億円くれてやるから蒸し返すなよ、もう何も言うなよと、手切れ金を与えているような図が透けて見える外交だ。こういう合意を韓国政府がどうして受け入れたのか、これで最終的に決着できると判断したのか、私には全くその意図が理解できない。
ここでやはり提起したいのは、『君たちはどう生きるか』に付録された丸山真男の「回想」である。昨年、名作が再び脚光を浴びてブームになる社会現象があり、左翼リベラルの少なくない者が再び読む機会を持ったはずだ。こう書いている。「けれども、『君たちは・・・』の叙述は、過去の自分の魂の傷口をあらためてなまなましく開いてみせるだけでなく、そうした心の傷つき自体が人間の尊厳の楯の半面をなしている、という、いってみれば精神の弁証法を説くことによって、何とも頼りなく弱々しい自我にも限りない慰めと励ましを与えてくれます。(略)自分の弱さが過ちを犯させたことを正面から見つめ、その苦しさに耐える思いの中から、新たな自信を汲み出して行く生き方です」(P.321-322)。慰安婦問題についてその歴史的事実の概要をあらためて整理する必要はないだろう。われわれは大事な隣人を傷つけている。それは深刻な過去の過ちであり、正しく反省して清算しなくてはいけない問題だ。正しくけじめをつけ、次の段階に進まなくてはいけない問題だ。そうではないのか。何をしたかは被害者の側から突きつけられている。証拠がないから認めないとか、検証しようがないとか、そういう不誠実な態度で済まされるはずがない。問題と正しく向き合わず、米韓関係を利用して、いい加減な決着で済まそうとすることは、さらに隣人を傷つけて禍根を深くすることである。
私はこのことを左翼リベラルの者たちに言いたい。小手先で済む外交問題ではないのだ。まして、慰安婦問題など存在しないだとか、あれは単なる金稼ぎの売春婦だったとか、そんな暴言を言い放つ極右の頭目が政権を握っている日本政府が、この問題を韓国との間でよく外交解決するなどあり得ないではないか。日本が本当に慰安婦問題を解決して韓国と関係を改善するのなら、まずは、われわれは政権を変えないといけない。安倍晋三の極右政権ではない新しい政権を立て、韓国との歴史問題に正しく向き合わないといけない。2年前の記事にも書いたが、72年に日中国交正常化できたのは、日本政府の側に最低限の倫理的契機があったからである。正常化の外交を担った大平正芳と田中角栄の内側に、侵略戦争で中国に酷いことをした、申し訳ないことをした、相手が納得する謝罪と反省をしなくてはいけないという気持ちが微量でもあったから、72年の日中共同声明の歴史的文書が成立し、関係改善が果たされ、日中友好の時代を迎えることができた。日中共同声明は平和憲法の精神に即した外交である。そのことは誰もが認めるだろう。倫理的主体性を欠けば、戦争の禍根を解決する外交を導くことはできない。われわれはその真理を忘れている。左翼リベラル(内田樹など)は忘れている。外交を小細工のように捉え、日米同盟優先で日韓関係を考える朝日新聞には本当に呆れる。
慰安婦問題については、平和憲法の精神に即して、95年の村山談話の宣言に即して、93年の河野談話の決意に即して、最終的解決が図られなくてはいけない。2年前の日韓合意が、果たして村山談話や河野談話に即した外交だったと言えるのか、倫理的にそう評価できる代物だったのか、左翼リベラルの論者とマスコミは真摯に熟考する必要がある。もし本当にそうだったら、あのような、元慰安婦と韓国国民を挑発するような、「問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」などという文言が挿入されるはずがないのだ。河野談話と村山談話を真っ向から否定する安倍晋三だからこそ、金をくれてやるからもう何も言うなというような「解決」を外交の形にしたのである。隣人である韓国と前向きな関係を組んでいこうとするとき、慰安婦問題はどうしても解決しなくてはいけない歴史問題で、したがって、あと10年もしたら元慰安婦は全員死ぬから自然解消されて終焉するというような、そんな簡単な問題ではない。韓国人は日本人ではない。そういう、社会問題を自然現象化してフェイドアウトで封殺する自己欺瞞の術には長けていない。日本国内の8割が右翼化し、日韓合意を事実上見直した韓国を非難する空気に固まったとしても、国内が安倍カラー一色に染まったとしても、この問題が解決されるわけではない。元慰安婦が地上から消滅しても、問題は日韓の根っこのところに残る。
それにしても、NHKの世論調査で出ているところの、慰安婦問題についての日本の世論は異常だ。9日に発表された世論調査では、日韓合意についての韓国政府の見直しの方針に対して、「大いに納得できる」が1%、「ある程度納得できる」が8%、「あまり納得できない」が31%、「まったく納得できない」が51%という結果になっている。日本のマスコミが文在寅政権批判をして国民を洗脳しているから、こういう恐ろしい自己正当化の意識が醸成されてしまう。慰安婦問題についてのマスコミ報道の論調はすっかり変わってしまった。25年前に田丸美寿々が取材と報告をしていた頃のような、謙虚で反省的な姿勢は全く消えてしまい、問題を深刻に受け止める感性が失われた。慰安婦に内在するコンパッションが衰滅し、加害者側として自責の念を感じる立場認識の前提がなくなった。まさに、これこそが右傾化の現実だと思う。慰安婦問題の意義が小さくなり、国民全体としてこの問題を重視する意識がなくなった。慰安婦問題に注力する韓国の市民運動に対して敵視や蔑視が強まり - 反町理の不埒な口調が典型的だが - 慰安婦問題についての韓国側の主張や世論を、言いがかりとして矮小視し排斥する風潮が圧倒的になった。そして、どうやら韓国でも似たような傾向が見られ、嘗てのように慰安婦問題にコミットする民族感情の圧力が弱くなり、慰安婦に関わる運動が少なからず相対化されている気配を感じる。
つまり、風化があるように見受けられる。慰安婦問題への風化があるから、あのような愚劣な合意を肯定する論説を韓国マスコミが書いて平然としているのだろう。風化があるから、オバマ政権にちょっと脅されて督促されただけで、極右の安倍晋三と面妖な合意を取り結んでしまったのだろう。韓国のマスコミと政治家に対しても、それでいいのかと問いたい。韓国の憲法の前文には何が書いているのか。韓国の立志はどこにあり、立国の原点は何なのか。リパブリック・オブ・コリアとはどういうアソシエーションなのか。韓国において1年の中で最も神聖な日は何月何日なのか。二番目に重要な日は何月何日なのか。韓国のマスコミにはその質問に答えてもらいたい。
by yoniumuhibi
| 2018-01-11 23:30
|
Comments(6)
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Flint_Lock
at 2018-01-11 22:37
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慰安婦問題の史実と向き合おうとしていないのは、日本の政府と世論だけでなく、韓国の政府と世論も同様だと思います。なぜならば、朝鮮戦争における韓国軍慰安婦制度について、韓国政府は発見された軍の史料を閲覧禁止とし、韓国社会もその問題についてはタブーとなっているからです。
韓国軍の慰安婦制度の存在を究明した、金貴玉教授の共著の書評があります。(この本は私も読みました)
『軍隊と性暴力――朝鮮半島の20世紀』
www.igs.ocha.ac.jp/igs/IGS_publication/journal/14/147-150.pdf
金貴玉(第 7 章)は、朝鮮戦争期に日本軍を模倣して韓国軍が「慰安婦」制度を創設させたことを明らかにした。2002年にこの事実を放送メディアや新聞で発表して以来、金貴玉の研究は、韓国社会において一貫したタブーの対象となっている。実際韓国では、朝鮮戦争に関する自由な研究がはじまったのは軍事政権以降であるが、いまだに一般の認識は冷戦構造を超えていないのが現状である。金貴玉は、日本の軍隊を体験した韓国の男性が同じ制度を朝鮮戦争に導入したことが、日本軍「慰安婦」の存在を知りながらも韓国社会でそれが長い間タブーとされたことと無縁ではないことを指摘している。自国の軍隊により「慰安婦」とされた女性たちは、いまだに沈黙を強いられている。こうした韓国軍「慰安婦」の沈黙は、アジア太平洋戦争期における日本人「慰安婦」の沈黙と同時に考える必要があろう。
私が考えるには、日韓の両国政府が、自国の慰安婦制度について法的責任を認め、元慰安婦に賠償を行うことが、この問題を解決する道筋だと思います。
韓国軍の慰安婦制度の存在を究明した、金貴玉教授の共著の書評があります。(この本は私も読みました)
『軍隊と性暴力――朝鮮半島の20世紀』
www.igs.ocha.ac.jp/igs/IGS_publication/journal/14/147-150.pdf
金貴玉(第 7 章)は、朝鮮戦争期に日本軍を模倣して韓国軍が「慰安婦」制度を創設させたことを明らかにした。2002年にこの事実を放送メディアや新聞で発表して以来、金貴玉の研究は、韓国社会において一貫したタブーの対象となっている。実際韓国では、朝鮮戦争に関する自由な研究がはじまったのは軍事政権以降であるが、いまだに一般の認識は冷戦構造を超えていないのが現状である。金貴玉は、日本の軍隊を体験した韓国の男性が同じ制度を朝鮮戦争に導入したことが、日本軍「慰安婦」の存在を知りながらも韓国社会でそれが長い間タブーとされたことと無縁ではないことを指摘している。自国の軍隊により「慰安婦」とされた女性たちは、いまだに沈黙を強いられている。こうした韓国軍「慰安婦」の沈黙は、アジア太平洋戦争期における日本人「慰安婦」の沈黙と同時に考える必要があろう。
私が考えるには、日韓の両国政府が、自国の慰安婦制度について法的責任を認め、元慰安婦に賠償を行うことが、この問題を解決する道筋だと思います。
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キヌケン
at 2018-01-12 23:06
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最近読んだ本で学んだことは、『実定法主義』と『自然法主義』の違いです。
実定法主義は、決められたルールはどんな悪法であっても守りましょうよ、というもの。
自然法主義は自然や人間の本性に合致するか?その決定は"真善美”に則るものであるか?が問題となります。つまり倫理を内在化しているか?ということ。
最近の日本企業の相次ぐ不祥事はこの実定法主義ばかりに偏重した判断によるものと解釈することが出来ます。古くはライブドアの事件も、「法律には書いてないじゃなか!」。近くはDeNAの一連の不祥事も「我々は法律を犯してませんよ。そんなのグレーじゃないですか!」という金儲け主義が肥大化して社会問題化したものでした。
今の日本は、世に倦む日々さんがおっしゃるように倫理や心配りや優しさや真に社会的であるかどうか、などという視点が欠落して、独善的になって来てしまっているように思います。
西欧では自然法が実定法よりも上位にある、という共通認識があるとのことですが、日本ではそれが周知徹底していないのが実情なのは、繰り返しになりますが、昨今の日本企業の有様を見ても分かります。
慰安婦問題に関しても全くその通りで、ルールを作ったから、それに従え一辺倒では禍根を残し続けます。日本側の誠意ある対応を示したい所ですが今の政権では難しいでしょう。
天皇陛下に訪韓していただいて公式に謝罪する、というアイデアは素晴らしいですね。(誰かのブログで京都の耳塚は敵国の耳や鼻を供養してやったんだ、日本は優しい国だろう?という論調を見かけましたが、驚きました。私は初めてそれを見た時、「祖先は何とむごたらしいことを隣国にしてしまったのか、申し訳ありません!」という気持ちでいっぱいになりました。おそらく多くの日本人が思うことと思います。 天皇陛下には政治的活動をしてはならない云々の規定など取っ払って、日本の真心を表現していただきたいです。)
実定法主義は、決められたルールはどんな悪法であっても守りましょうよ、というもの。
自然法主義は自然や人間の本性に合致するか?その決定は"真善美”に則るものであるか?が問題となります。つまり倫理を内在化しているか?ということ。
最近の日本企業の相次ぐ不祥事はこの実定法主義ばかりに偏重した判断によるものと解釈することが出来ます。古くはライブドアの事件も、「法律には書いてないじゃなか!」。近くはDeNAの一連の不祥事も「我々は法律を犯してませんよ。そんなのグレーじゃないですか!」という金儲け主義が肥大化して社会問題化したものでした。
今の日本は、世に倦む日々さんがおっしゃるように倫理や心配りや優しさや真に社会的であるかどうか、などという視点が欠落して、独善的になって来てしまっているように思います。
西欧では自然法が実定法よりも上位にある、という共通認識があるとのことですが、日本ではそれが周知徹底していないのが実情なのは、繰り返しになりますが、昨今の日本企業の有様を見ても分かります。
慰安婦問題に関しても全くその通りで、ルールを作ったから、それに従え一辺倒では禍根を残し続けます。日本側の誠意ある対応を示したい所ですが今の政権では難しいでしょう。
天皇陛下に訪韓していただいて公式に謝罪する、というアイデアは素晴らしいですね。(誰かのブログで京都の耳塚は敵国の耳や鼻を供養してやったんだ、日本は優しい国だろう?という論調を見かけましたが、驚きました。私は初めてそれを見た時、「祖先は何とむごたらしいことを隣国にしてしまったのか、申し訳ありません!」という気持ちでいっぱいになりました。おそらく多くの日本人が思うことと思います。 天皇陛下には政治的活動をしてはならない云々の規定など取っ払って、日本の真心を表現していただきたいです。)
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七平
at 2018-01-13 03:07
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Flint_Lock さん よりのコメントに関して、3点指摘させていただきます。
1.大戦中に韓国軍も慰安婦的な事を自らしていた、又、ベトナム戦争中に米国の傭兵として参加していた韓国軍もベトナムの女性に性的犯罪を犯していたNewsがあるとしても、それらが故に日本軍が大戦中に犯した韓国や多国籍女性に対する罪から放免されるものではありません。 非常にレベルの低い論法だと思います。他もやっていた事だから、俺も罪人である事が許されると豪語しているのと同じです。
2.”過去を現在のモラルで裁けない” 論理は過去の過ちを悔い改めている限り万国で認められる事です。本件がいつまでたっても長引くのは、日本からの ”悔い改め” が真心のあるものとして被害者に届いていないからだと思います。韓国も豊になり、一人頭のGDPでは後10年以内に日本を抜くかもしれません。被害者が求めているのは弁償ではないとデモのプラカードにも明記されています。 お金で片を付けようとする所に醜さがあると思います。 歴史的事実を湾曲させ美化し、教科書を書き換えたりするからです。 例えば、安倍晋三がお金を積んで、慰安婦にされたオランダ人女性に対し、これで堪忍して黙ってくれなどと言うと、平手打ちを喰うと思います。
3.私が投稿コメント内にリンクを入れると、必ず投稿がリジェクトされるのですが、政府の情報統制特務機関は政府のお気に入り投稿にはリンクの記載を選択的に容認しているようです。
1.大戦中に韓国軍も慰安婦的な事を自らしていた、又、ベトナム戦争中に米国の傭兵として参加していた韓国軍もベトナムの女性に性的犯罪を犯していたNewsがあるとしても、それらが故に日本軍が大戦中に犯した韓国や多国籍女性に対する罪から放免されるものではありません。 非常にレベルの低い論法だと思います。他もやっていた事だから、俺も罪人である事が許されると豪語しているのと同じです。
2.”過去を現在のモラルで裁けない” 論理は過去の過ちを悔い改めている限り万国で認められる事です。本件がいつまでたっても長引くのは、日本からの ”悔い改め” が真心のあるものとして被害者に届いていないからだと思います。韓国も豊になり、一人頭のGDPでは後10年以内に日本を抜くかもしれません。被害者が求めているのは弁償ではないとデモのプラカードにも明記されています。 お金で片を付けようとする所に醜さがあると思います。 歴史的事実を湾曲させ美化し、教科書を書き換えたりするからです。 例えば、安倍晋三がお金を積んで、慰安婦にされたオランダ人女性に対し、これで堪忍して黙ってくれなどと言うと、平手打ちを喰うと思います。
3.私が投稿コメント内にリンクを入れると、必ず投稿がリジェクトされるのですが、政府の情報統制特務機関は政府のお気に入り投稿にはリンクの記載を選択的に容認しているようです。
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長坂
at 2018-01-13 12:08
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日本軍性奴隷制はその歴史、規模、残虐性において、韓国が朝鮮戦争やベトナム戦争で行った事の比ではない。朝鮮戦争やベトナム戦争(真の当事者である米軍による住民虐殺や強姦がより深刻な問題)を持ち出すなら、南北分断の悲劇の原因でもある日韓併合を無視する事はできないし、韓国がやったであろう「悪事」をどんなにあげつらっても日本の加害性が軽減するものでもない。いつの頃からか日本の戦争責任が喧嘩両成敗、両論併記になり今では立場が逆転、加害者が被害者を貶め、驚くべきは謝罪しろとまで言いだす始末。これも「脱構築」の効果なんでしょうか。「吉田証言誤報」(全くこういうケースが無かったとは言い切れないのに)ですっかり去勢された朝日が、シールズ文化人を使って「帝国の慰安婦」を大絶賛させ、リベラルがこぞって日韓合意を評価する構図を作った手前、破棄は許さないと政府と一丸となって韓国非難を続けるのは本当に見苦しい。
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by
荻原 理
at 2018-01-14 20:55
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日韓合作映画「沈黙 立ち上がる慰安婦」→公式account;(https://twitter.com/tinmoku2017)が関東地方では、今月19日まで、横浜シネマリン→公式account;(https://twitter.com/ycinemarine)で上映されます。この日は、上映終了後、監督本人の挨拶もありますので、時間がある方はどうぞ、足を運んで下さい。
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by
ロシナンテ
at 2018-01-17 22:27
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「Flint_Lock」さんのコメントは、相手のマイナスは自分のプラスである、様な論理じゃあないはずですが。
韓国には韓国のタブーが存在し正面から向き合えない事情がある。
日本には日本のタブーが存在し正面から向き合う事ができない。
そう、客観的な目でのコメントのように拝読しました。
韓国には韓国のタブーが存在し正面から向き合えない事情がある。
日本には日本のタブーが存在し正面から向き合う事ができない。
そう、客観的な目でのコメントのように拝読しました。
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