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一夜にして北朝鮮問題をめぐる東アジア外交のキーマンとなった武貞秀士

一夜にして北朝鮮問題をめぐる東アジア外交のキーマンとなった武貞秀士_c0315619_15463938.jpg一日一日と秋が時を刻んでいる。道ばたに生い茂る背の高い雑草の先端に茶色い穂が伸びている。サクラ並木の葉っぱが黄色く変色し始めている。サクラは落葉広葉樹だった。永田町の長い夏休みが終わり、秋の政治の季節が始まろうとしている。内閣支持率が元に戻り、強気になった自民党が憲法論議を再開させ、9条改憲の条文案を取り纏めて今国会の憲法審査会に提出するという動きとなった。内閣支持率が力強く回復した理由は、一にも二にも北朝鮮の核ミサイル問題によるもので、その脅威が毎日のように煽られているためだ。NHKの7時のニュースで、金正恩と北朝鮮のミサイル発射の映像が流されない日はない。毎日毎日、国民はそれを見させられ、頭を漬け込まれている。安倍晋三が「圧力強化」を言い、「国民の安全を守るため」と称して、自治体や学校で防空サイレンを鳴らして避難訓練をさせ、それをNHKのニュースで流している。その異常について誰も異論を唱えない。北朝鮮による軍事的脅威がマスコミで喧伝されると、自ずと安倍晋三の支持率が上がる仕組みになっていて、他に割り込むネタがなく、阻害要因がないため、安倍晋三の思惑どおりの世論環境となってしまった。北朝鮮は安倍晋三の支持率安定化装置だ。



一夜にして北朝鮮問題をめぐる東アジア外交のキーマンとなった武貞秀士_c0315619_15465369.jpg昨日(12日)、訪朝から帰国したアントニオ猪木の会見が記事で上がり、同行した武貞秀士がプライムニュースに出演して報告する場面があった。やや驚いたのは、その中で、ある自民党議員が訪朝の意向を猪木に託して伝言させていた事実で、猪木の口からは「訪朝議員団」という言葉も出ていた。正式ではないがという限定は付されているが、水面下でこうした動きがあることが浮上した意味は大きい。猪木がマスコミの前で明らかにした点から考えて、当然、安倍晋三も内々に了承の上の工作活動だろう。7日の報道によると、トランプが上院と下院の議員を非公開で集め、北朝鮮に対して「最終的には対話」で問題解決すると方針を表明している。その後、スイスで米朝の担当者が非公式に接触したという情報も流れた。スイスのロイトハルトが米朝対話の仲介役を務めていいと名乗りを上げたのが4日で、進行としては符牒が合う。水面下の動きなので目にはさやかに見えないが、どうやら米国が北朝鮮との外交交渉に本腰を入れ始めた気配が感じられ、11日に米国が国連安保理に提案して採択された北朝鮮制裁の中身が意外に軽かったのも、この動きと関係があるのではないかと推察される。俯瞰して捉えれば、事態は外交による解決へと流れている。

一夜にして北朝鮮問題をめぐる東アジア外交のキーマンとなった武貞秀士_c0315619_15472130.jpgもし、米国が対話に舵を切り、特使か高官が平壌を訪問して米朝協議が正式に始まれば、71年のニクソン訪中と国交正常化と同じ頭を越される図になり、圧力一辺倒で戦争準備に余念のない日本は取り残されて恥をかく失態に陥る。武貞秀士の訪朝と交渉は、そうしたリスクを睨んで二股の保険をかける官邸の狙いが背後にあるのだろう。政府や自民党とは無関係の訪朝だと言っているが、二人が行ったことはまさに国家の重要な外交任務で、自民党議員の訪朝の意向を伝え、歓迎の返事を受け取って持ち帰っている。確たる成果を上げている。面会に応じた李洙墉は、武貞秀士がプライムニュースで強調して紹介したとおり、朝鮮労働党の副委員長で、党国際部長で、前外務大臣で、朝日友好親善協会顧問でもあり、北朝鮮の外交実務を統括する責任者の要職にある男だ。現在の中国の楊潔篪の位置に相当し、その前の唐家璇と同じ立場である。これ以上の地位としては、No.2で最高人民会委員長の金永南とトップの金正恩しかいない。猪木と武貞秀士は日本の特使として接待されている。昨夜(12日)の武貞秀士の説明は、聞きながら昂奮させられる内容だった。最も耳をそばだてて聴いていたのは、韓国政府と中国政府の関係者だっただろう。詳しく教えてくれと武貞秀士のところへコンタクトが入っているに違いなく、日朝の今後の動向について観測を尋ねているだろう。

一夜にして北朝鮮問題をめぐる東アジア外交のキーマンとなった武貞秀士_c0315619_15473402.jpg一夜にして、武貞秀士は東アジアの外交世界の要人になった感がある。情報を持っている者には情報が集まる。より豊富な情報を持って正確な分析ができるようになる。武貞秀士にアプローチする韓国と中国の政府関係者は、武貞秀士から「日朝交渉」の情報をもらいながら、「先生、実は、」と自分が持っている極秘情報を武貞秀士に与え、武貞秀士のストラテジック・ディプロマットとしての価値と期待を大きくし、北朝鮮核ミサイル問題を打開する東アジアのキーマンに仕立て上げようとするだろう。昨夜の話を聞いた限りでは、十分にその資質と能力(韓国語)を持った男として納得できるし、活躍の場を与えていいだろう。無論、拓殖大特任教授で防衛研究所出身の武貞秀士には、CIAも密着してきて指示と任務を与える。武貞秀士のところにはすべての機密情報が入り、米国、韓国、中国、ロシアの意思と計画が入り、武貞秀士がそれに影響を与えて動かすことができるようになる。インテリジェンスができる。示唆と提案と説得ができる。実際のところ、日本は客観的にそういうポジションに立っていて、本気になれば外務省はどのようにもプログラムを動かせるのだ。米国が軍事オプションを事実上放棄した以上、誰かがセンターになって外交の仕切り役をしなくてはいけない。米国、中国、韓国の対北朝鮮外交を調整して、一つの方向にドライブする国際外交の主役が必要な時期なのである。

一夜にして北朝鮮問題をめぐる東アジア外交のキーマンとなった武貞秀士_c0315619_15474799.jpg一昨夜(11日)、同じプライムニュースに出演した武藤正敏は、米中韓日の4カ国で協議し、ポスト金正恩の北朝鮮の政治構想について検討をしたらどうかと意見を述べていた。武藤正敏や田中均と武貞秀士が裏で繋がっているかは不明だが、外務省の中に、従来の無思考的な圧力制裁一辺倒ではなく、外交の枠組みで打開策を講じようとしている一部があり、米国と中国の利害が徐々に接近する情勢を見て、日本の出番を模索している動きがあることが窺える。ここで率直に言うなら、本来、こうした動きは韓国の左派政権である文在寅政権がリードするべきで、文在寅がイニシアティブをとって国際社会に具体案を発信するときなのだ。韓国にとって北朝鮮は自国領で、自国の主権下の問題である。どうして問題解決の道筋を示そうとせず、THAAD配備で中国と軋轢を起こしたり、原油の遮断を求めるなどと強硬論を言っているのだろう。韓国社会では核武装論の世論まで興っている。そうした強硬論の口を尖らせながら、韓国国内は平穏で緊張感はなく、誰も戦争が起きるなどと思っていない。無為なまま米国の強硬論に馬なりで付き合っている。自らの国の問題であり、同じ民族の不始末なのに、どうして責任をもって平和解決の展望を示し、その戦略への支持を国際社会から調達する努力をしないのだろう。現状、すべてを国連に委ね、米国の仕切りに任せている。主体性がなく惰弱で無責任だ。

一夜にして北朝鮮問題をめぐる東アジア外交のキーマンとなった武貞秀士_c0315619_15493545.jpg昨夜(12日)の武貞秀士の訪朝報告の感想を書きながら、少し楽観論に筆が滑ってしまったが、さらに楽観的気分の熱量を上積みして、個人的願望を言わせてもらうなら、ここで登場して欲しい外交官は米国のクリストファー・ヒルである。現在65歳、デンバー大学で教鞭を執っている。ヒルの六カ国協議での外交は実に華麗だった。韓国ではアイドルのような大人気を博し、北朝鮮も好感を持っていたに違いない。何より私を感動させたのは、あの、「拉致問題の解決とは何なのだ」「日本政府はそれを定義せよ」と、堂々と日本人に向かって言いのけた一幕である。「拉致、拉致」と言う日本人の盲目的な全体主義を一喝した。あれほどカタルシスを覚え、溜飲を下げた一言は他にない。NEWS23を見ながら小躍りした。無名の者が自慢話しても仕方がないが、右翼と一体の拉致被害者家族会を正面から批判し、拉致問題なるものの欺瞞と思考停止を批判し、横田早紀江のヒステリックな絶叫とそれを利用して国民を洗脳し世論操作する右翼とマスコミを批判していたのは、国内では私だけだという自負があり孤立感があった。ヒルの正論には救われる思いだった。まさに、決定的な地平から有力な同志が出現してくれて勇気づけられた。今こそヒルの出番ではないか。米国の国務省関係筋で、ヒル以上に北朝鮮問題に精通している専門家はなく、韓国と中国から信頼されている外交官はいない。トランプ政権が戦争を放棄して対話に進み出るなら、全権を委任するべき外交官はヒルである。米国の国益を最大限に確保する見事な外交をするだろう。



一夜にして北朝鮮問題をめぐる東アジア外交のキーマンとなった武貞秀士_c0315619_15501566.jpg

by yoniumuhibi | 2017-09-13 23:30 | Comments(2)
Commented by ワナカマサル at 2017-09-14 09:39 x
悪の帝国と言うけれど……
二十一世紀初頭、北朝鮮をまるで悪の帝国とする風潮があるけれど戦前の日本との類似点は少なくない。。私から言わせれば今の日本の方がよっぽど情けない。
Commented by ごっちん at 2017-09-15 17:09 x
北朝鮮のせいで安倍晋三が完全に息を吹き返してしまいました。支持率が回復してます。
一つには野党の体たらくでしょう。安倍晋三の方がマシと思われてます。
本来なら倒閣に追い込めたはずなのですが…


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