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PC遠隔操作事件の教訓 - 「直接的で決定的な物的証拠」の陥穽と逆説

PC遠隔操作事件の教訓 - 「直接的で決定的な物的証拠」の陥穽と逆説_c0315619_15401041.jpg片山祐輔の事件について、一部で、自分が冤罪に巻き込まれる可能性を考えろという意見が出回っている。自己正当化の言い訳に余念のない擁護派の主張は、弁護団や江川紹子は冤罪廃絶のために尽力したのであり、市民は彼らの貢献に感謝すべきで、批判する理由はないというものだ。私は、この詭弁の説教には肯首できない。普通に暮らしている市民は、言われるように警察の誤認逮捕で冤罪に巻き込まれる可能性もあるが、同時に、片山祐輔のような愉快犯によって標的にされ、ウィルスを仕込まれてPCを乗っ取られ、身に覚えのない「脅迫」や「殺害予告」の実行犯に仕立て上げられることもある。どちらも深刻なリスクだ。もし、この事件が今回のような方向に展開せず、江川紹子らの運動が実って無罪判決となり、検察が控訴断念に追い込まれ、片山祐輔が悠然と娑婆に出て活動する事態になっていれば、必ずこの男は次の犯行に出ただろうし、この種のプログラムの改作に精を出し、誰かを毒牙にかけ、新たな被害者を生んでいたことだろう。そのときは、最早、誰も真犯人が片山祐輔だとは疑わない。片山祐輔があのまま無罪放免になっていたら、一体どんな恐ろしいことになっていたことか。確かに冤罪は忌まわしい権力犯罪で、冤罪を防ぐ制度に日本の司法を変える必要がある。だが、市民の敵は冤罪だけではない。市民の利益の立場から比較衡量したときに、冤罪の恐怖だけが一方的に喧伝される議論は正しくない。



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PC遠隔操作事件の教訓 - 「直接的で決定的な物的証拠」の陥穽と逆説_c0315619_15375682.jpg

by yoniumuhibi | 2014-05-26 23:30 | Comments(5)
Commented by 三隈 at 2014-05-26 19:09
小保方氏はすぐに真っ黒と思い片山被告はどちらかと言えば無罪なのではないかと考えていた少数派かもしれない自分にとって彼に疑惑があるのではないかと思わせてくれたのは他ならぬ江川氏だった。ブログ主がツイッターで指摘した3/6のインタビュー記事。あれこそおかしいと思わせてくれたものだった。片山被告がスマホのセキュリティに油断があっただの何故android端末にしたかだの、ITに携わるものとして落ち度があっただの言っていたが自分にはスマホをそこまでコントロールできるだろうかということと落ち度についての妙な殊勝さが気になった。片山被告の落ち度への反省が芝居じみていて薄っぺらいと感じた。現場にいて恐らく情報も自分よりずっと手に入る江川氏はもっとおかしいと気づかなければならないはず。少しは変だと思う素振りも感じたが少なくともジャーナリストを名乗る以上もっとツッコミを入れなければならないのではないか。3/6のそれは事実を追求しようとする精力に欠けていたように思う。
Commented by 三隈 at 2014-05-26 19:10
ブログ主の言うとおり冤罪ありきに偏りすぎていたからではないのか。
象徴的なことだが物証万能主義に疑義を唱えているブログ主の方が警察検察に対しても落ち着いて厳しい目を向けているのではないか。物証も捏造するかもよ、と。これは現役時に警察裏金を告発した仙波敏郎氏も言っていることだ。警察は物証の捏造をやる、と。これもブログ主の受け売りになってしまうがまさしく価値判断自由でいられないからまともな判断ができないのではないか。警察検察はすべてが不正、物証こそ正義、片山被告は冤罪、で絶対化したまま突き進む。短絡的で薄い思考。
酷い状況だと思う。
Commented by 押田 at 2014-05-26 19:50
まさに逆説ですね。彼らが言っていた「直接性」を突き詰めていくと、誤認逮捕を肯定するところにさえ行きかねない…

(元)冤罪派の人達は、片山冤罪に向けた情熱の何分の一かをもってして、遠隔操作の被害者の受けた権利侵害に思いを致すべきでしょう。展開によっては本当に人生を台無しにしたかもしれず、未だに十分に名誉等の回復もされていないかもしれない。メディアや我々も、彼らの受けた「不条理と苦痛」を等閑視しがちですから、自戒もこめて。

たとい当時の警察の捜査やIT水準が未熟であったとしても、それを織り込んで、彼らが逮捕された時に「やったー!」と思ったという被告の行為の悪質性は極めて強いです。
Commented at 2014-05-27 01:45
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by さくら at 2014-05-27 02:13
冤罪説がこれだけ大きくなったのはなぜか。いわゆる人質司法と言われる、警察・検察の手法に対する反動ではないでしょうか。

片山は、長期の拘留と自白の強要があったから落ちたのではありません。一方、長期の拘留と自白の強要で無実の人は落ちました。真の犯罪者に対しては、人質司法は役に立たなかった。逆に、その手法を用いている捜査機関の姿勢が冤罪の主張に一定の説得力を持たせてしまい、今回はあやうく犯人を逃がすところでした。

捜査機関がこれほど信用されていないというのは、怖いことです。どう考えても、人質司法は警察・検察の捜査に対する足枷になっています。


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