艱難甚だ恨む繁霜の鬢(杜甫)- 1年間のご愛読ありがとうございました

c0315619_17303826.jpg個人的な方面で、今年の最大の収穫は、健康診断でLDL(悪玉コレステロール)の値が下がったことだった。この5年ほど基準値を超えてC判定をもらっていて、医師から要注意の指導を受けていたが、今回、めでたく基準値の中に収まってA判定となった。毎日のランニングの効果が出て、血中脂質の濃度を下げる結果に繋がった。中性脂肪の値も下がった。血圧も下がった。2年前にランニングを始めた目的の一つは、運動不足を解消してLDL値を下げるところにあったから、大いに満足できる達成を得たと言える。親族に循環器系の急性疾患で倒れた者が何人かいて、その遺伝体質を私も持っているため、生活習慣病発症の原因となるそのリスクは放置できない問題だった。ランニングを始めた当初は、今よりも持久の負担が重かったが、そういうときに頭の中で念じていたのが、「心臓や脳で倒れて周囲に迷惑をかけませんように」とか「車椅子になりませんように」という言葉で、そうやって自らを励まして三日坊主にならないように努めた。脳をやられると半身不随になる。歩けなくなる。自分で身の回りのことができなくなる。それは、資産のない貧乏人には大変なことだ。60代でそうなったら絶望だし、70代でもやはり困る。

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# by yoniumuhibi | 2016-12-30 23:30 | Comments(6)

日米同盟真理教のカルト祭り - 亡国政治が人を憂鬱にして塞がせる年の瀬

c0315619_16510313.jpg辺見庸が、安倍晋三の真珠湾訪問と「和解」演説について感想を書いている。「焼き火箸…そうとしか形容しようがない。といったって、この比喩にもあきてきた。さりとて、焼き火箸を焼きごてにかえたら、ちがうのだ。どうしようか。激痛のなかでも、なごむことにはなごみ、はらだたしいことははらだたしい。あのおとこのことなんか口にすべきじゃない。ことばを舌にのせただけで、吐き気がしてくる。あのおとこと仲間たちなんぞこの世に存在しないものとして、ひとり激痛をいためばいいのだ」「このばあい、いわゆる『盗人たけだけしい』というのではない。あまりにも白々しいのだ。あくどいまでに、白々しい。(略)開戦の詔書をはっした戦争犯罪人をそもそも処罰していないではないか。『降り注ぐ陽の、やわらかな光に照らされた、青い静かな入り江』……そらぞらしいレトリック。ありがたがって全文を載せる新聞」。辺見庸は、安倍晋三の演説の全文に目を通している。さすがに文筆家だ。私は全文を読んでいない。NHKのニュースで、何度も映像が出て、画面の下にテロップが出て来るので、反射的に右手のリモコンを操作して、別のチャンネルに切り替え、30秒ほどしてからNHKに戻していた。

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# by yoniumuhibi | 2016-12-29 23:30 | Comments(3)

陳腐な「日米和解」プロパガンダ - ハルノートの歴史認識を隠すマスコミ

c0315619_14560360.jpg安倍晋三の真珠湾訪問とそれに関する一連のマスコミ報道には、強い違和感と脱力感を覚える。この噴飯で侫悪きわまる猿芝居に対して、何も反論や抵抗をせず黙って見ている左翼や右翼に対しても、言いようのない不信と軽蔑を感じる。真珠湾での安倍晋三のスピーチのキーワードは「和解」だった。朝日も、NHKも、この真珠湾の政治を宣伝しまくって、「和解、和解」と滑稽に騒ぎ続けている。いつから日米関係で和解がイシューになったのか。われわれは、米国との歴史認識で和解を求められる立場にいつから立ったのか。戦後の二国間関係で和解が問題になっているのは、中国であり、韓国である。米国との間で和解が政治案件に上った記憶はなく、何で今さらこんな的外れな言葉を拾い上げ、上から押しつけなくてはならないのか得心がいかない。日米戦争で和解の宿題が残っているとすれば、米国による広島・長崎への原爆投下であり、10万人が焼き殺された東京大空襲であり、1945年に行われた米国による非人道的な大量殺戮の戦争犯罪だろう。米国の公式謝罪が必要であり、日本はそれを求めなくてはならない。真珠湾攻撃の歴史から「和解」という問題が提示されるのは、意外で唐突であり、政府とマスコミがいくら強調しても素朴に腑に落ちない者は多いはずだ。

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# by yoniumuhibi | 2016-12-28 23:30 | Comments(1)

やまゆり園の大量虐殺と倫理 - 悪への怒りと拒絶が弱いのは何故なのか

c0315619_13375071.jpg2016年は大きな事件が多かったが、特に衝撃が大きかった事件として相模原障害者施設で起きた大量殺人がある。19人が死亡、26人が重軽傷を負った。戦後に起きた事件として最も犠牲者が多く、この事件について触れないわけにはいかない。最初に思うことは、被害の大きさや深刻さに対してマスコミの扱いが小さく、世間の関心がとても小さく、釣り合いがとれていないことだ。事件が起きたのは7月26日。リオ五輪が始まる10日前で、テレビ報道の関係者の関心はリオ五輪を盛り上げる演出ばかりだった。安室奈美恵の「君だっけのぉー、ためーのヒィロォー」のフレーズがNHKで繰り返し鳴り響き、威勢のいいリフレインによって気分はお祭りの方に持って行かれ、事件について丁寧な思考を向けることをしなかった。安倍晋三はカメラの前でコメントを発することをせず、現場となった障害者施設を訪問することなく、献花台の前で手を合わせることをしなかった。臨時国会が9月末に開会されたが、国会の委員会質疑でこの問題が取り上げられ、政府との間で論戦になったという報道を聞かない。「安倍総理は、やまゆり園に行って献花をするつもりはないのですか」と、素朴な疑問を発して答弁を聞き出してくれる議員は一人もいなかった。

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# by yoniumuhibi | 2016-12-27 23:30 | Comments(2)

国連は中立だったのか、欧米はシリア内戦を止める意思があったのか

c0315619_17283627.jpgシリア政府軍が東アレッポをほぼ制圧したのは12日だったが、翌日の13日に虐殺事件が起き、政府軍と親アサド派民兵によって82人の民間人が殺害されたという報道が出た。犠牲者には女性11人と子供13人が含まれているとされ、国際社会から大きな怒りの声が起こり、世界各都市でロシアを糾弾するデモが行われた。この虐殺については、国連人権高等弁務官事務所が声明を発表しており、その信憑性を疑うということは普通の感覚ではできないものだろう。だが、19日付のロシア・インサイダーの記事は、虐殺の証拠が何も出てないではないかと反論を上げている。言われてみれば、目撃者が複数いて、数が具体的にカウントされているにもかかわらず、路上の遺体の写真とか、射殺の現場を遠方から撮影した動画とかを未だ見たことがない。目撃者の証言も私は目にしていない。国連人権高等弁務官事務所は、「信頼できる複数の目撃者が証言した」と言うのだが、果たしてどこまで正確な根拠を確認した上での断定なのだろう。5年間の内戦の間、あれほど頻繁にSNSを使った映像で政府軍の非を証明し、西側に告発してきた反政府軍側の「市民」が、この「虐殺」については1枚の写真も開示せず、被害者の特定もしないというのは奇妙なことだと思わざるを得ない。

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# by yoniumuhibi | 2016-12-22 23:30 | Comments(3)

ナイラ証言を想起させるアレッポのバナ・アベド - 戦争とプロパガンダ

c0315619_17114590.jpgアレッポの悲劇を伝える7歳の少女バナ・アベドが、マスコミやネットで頻繁に登場して話題になっている。昨夜(20日)のNHK-NW9でも映像が紹介されていた。一見して、自然に家族が撮ったという感じではなく、プロの人間が周到に演出し編集した作品のような印象を受けた。ネットで検索して調べると、やはりと言うべきか、少女の実像について疑念を抱かせる情報が出ている。アレッポから彼女を避難させようとしたシリア政府寄りの活動家が、本人に接触した経緯を示した上で、英国の情報機関と繋がったプロパガンダの道具だと確信したと、そう証言している。無論、この活動家は、政府側の人間であり、この記事もロシアの通信社であるスプートニク発のものだから、その点は注意して総合的な判断をしないといけないのだが、バナとTwでコンタクトしたとき、「母親」であるはずの返信者がアラビア語での交信を嫌がり、もっぱら英語でのやりとりを求めてきたことを明かしている。バナのTwも英語での発信で、だからこそ全世界から同情を集め得たのだが、アレッポで普通に暮らすシリア国民なら、日常使う言葉はアラビア語であるはずだ。テレビに登場する映像でのバナの表情を見るかぎり、カメラを向けているのが肉親(母親)とはとても思えず、プロパガンダの制作物の被写体(子役女優)になりきっている。

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# by yoniumuhibi | 2016-12-21 23:30 | Comments(2)

「共同経済活動」の欺瞞 - 真相を言わず安倍礼賛のみのマスコミ

c0315619_17533884.jpg長門で行われていた日ロ首脳会談は、北方領土での「共同経済活動」が焦点になっていた。この問題で日本政府は、「特別な制度下の共同経済活動」を合意目標にして、この線でのステートメント化を狙ったようだが、ロシア側が折れず、結局、「専門家レベルでの協議開始」という先送りの方向になったようだ。朝日の今日(16日)の1面記事には、「ロシアのウシャコフ大統領補佐官は(略)『活動はロシアの法律の下で行われる。もちろん島はロシアに属している』と語った」と書いていて、NHK国際部の報道でも、「ウシャコフ補佐官は『島々での共同経済活動はロシアの法律の下で行われることになる』と述べた」と書いていて、ロシア側は北方四島での主権について妥協していない。昨夜(15日)までのテレビ報道では、主権を曖昧にした法律適用で「共同経済活動」が可能になるような言い方をして、安倍晋三の側の楽観論をそのまま撒いていたが、これが一蹴された格好だ。簡単に言えば、今回は何も成果がなく、派手な演出が空振りに終わった失敗外交というに尽きる。四島での共同経済活動、すなわち、水産加工とか観光開発とかの日ロ合弁事業は、マスコミが言うように、ロシア側が日本に強く求めたものではなく、逆で、日本側に強い動機のあるものだった。


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# by yoniumuhibi | 2016-12-16 23:30 | Comments(1)

北方領土の返還を阻む要因は日米同盟 - 真相を報じた朝日の記事

c0315619_16365777.jpg25年前の1991年1月、納沙布岬まで行ったことがある。JRの根室駅を降りてバスに乗り、平らな根室半島を45分ほど走ると終点に到着する。この年、ゴルバチョフの訪日が決まっていて、海部俊樹との首脳会談で領土返還の合意がなされるのではないかと期待が高まっていた。日本に島々が返ってくる前に、ソ連が占領支配している北方領土を一目見ておこう、北の国境の緊張した情景を目の当たりにしておきたいと、そう思ったのが足を運んだ理由だった。歯舞諸島の一つである水晶島が目の前に見える。テレビでよく見るところの、鳥が飛んでいるような、蛙が地面につぶれたような独特な形の小さな島だが、横から遠望すると、隆起がなく、海上に水平に島の地表が伸びている。一面が乾いた枯れ草の色で、根室半島沖に点在する島々はどれも同じであり、スコットランドを連想させる異郷の地形をしている。そこにソ連の国境警備隊の監視所があり、望遠鏡で覗き込むと、歩哨の一人が屋外で立ち小便をしているのが確認できた。納沙布岬から3.7キロ。想像以上に距離が近い。左側の視界には国後島が長々と入り込んで水平線を遮り、納沙布岬を押し包むように横たわっている。日本の領土の先にソ連の島があるというより、ソ連領内の懐深くに納沙布岬が突き出しているという印象だった。

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# by yoniumuhibi | 2016-12-14 23:30 | Comments(2)

2016年を振り返る - 天皇陛下の生前退位

c0315619_15453165.jpg今年の10大ニュースの私案を並べてみた。1.天皇陛下の生前退位 2.相模原障害者施設で19人の大量虐殺 3.大口病院で約50人の連続殺人 4.トランプ現象とサンダース旋風 5.カストロ逝去 6.山城博治の逮捕 7.参院選で安倍晋三圧勝 8.英国のEU離脱 9.熊本地震 10.『君の名は。』大ヒット。私の中では、やはり、天皇陛下の生前退位が最も大きな事件になる。この事件の衝撃は大きかった。その中身については、夏にブログに書いたとおりで、特に付記することはない。その後、政府の有識者会議の動きがあり、安倍晋三が懸命に抵抗の画策を行い、極右の論者を動員して天皇陛下に反撃する一幕があった。それについて、御厨貴やマスコミが何かくらだらないことを言い、安倍晋三に媚びへつらってこの問題の矮小化に努めていた。不愉快なので一つ一つを追いかけていないし、有識者会議は論評する価値のないものだと思われる。大日本帝国時代の皇室典範とそのイデオロギーを絶対視する極右が、今の天皇陛下の人格を貶め、天皇陛下を侮辱している。政府が憲法第1条をバイオレートし、日本国の国家の権威を傷つけている。安倍晋三と天皇陛下は国家観と天皇観が異なる。安倍晋三ら極右は、日本国憲法を認めず、大日本帝国の原状に国家を復そうとしていて、そこで天皇陛下と真っ向から対立している。

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# by yoniumuhibi | 2016-12-12 23:30 | Comments(5)

フィデル・カストロの死を悼む - 堀田善衛『キューバ紀行』の紹介

c0315619_14161280.jpgカストロの死を悼み、堀田善衛が書いた『キューバ紀行』を読んでいる。初版は1966年。64年に訪問したときの旅行記であり、時期的に考えて、政治宣伝の要素を割り引いて慎重に読まなくてはいけないかなと最初は警戒した。だが、読み進むほどにそうした意識は消え、どんどん中身に没入して行ってしまう。さすがに堀田善衛。この本は古典の価値がある。決して古くない。カストロとキューバ革命をどう評価すればいいか、肯定と否定の両面が交錯し、イデオロギーの座標軸で悩んでいる者は、一度、虚心坦懐に半世紀前の堀田善衛の文章に接してみるといいだろう。第1章にカストロが32歳のときの、1959年10月に行われた演説が抜粋されている。バチスタ政権を倒して10か月後のときだ。長くなるが、煩を厭わず引用しよう。「彼らはキューバの人々を脅し上げようと思っている。一方で、彼らは砂糖の輸入割当てを減らして、キューバの経済を締め上げるぞ、といって、キューバの人々を威かしている。他方で、彼らは新たなテロでキューバの人々をおびやかし、キューバ人に、生命を吹き込むような革命の過程と、わが国に正義を打ち立てようとする努力とを放棄させよう、と考えている(拍手)」(P.48)。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-28 23:30 | Comments(3)

共和党と民主党の自由貿易の考え方の違い - TPPの復活はない

c0315619_16592370.jpg11月22日の朝日の2面に、ペルーとチリがRCEPに加入するという記事が出ている。この情報は、夜のテレビ報道では取り上げられた記憶がなく、新聞を購読する価値を再認識させられた。ペルーはAPEC首脳会議の議長国の立場だが、大統領のクチンスキーが注目の記者会見でその方針を明らかにし、会議閉幕の記念写真では前列中央で習近平と並んで撮影、ペルーの中国への接近を世界にアピールしている。さらに、ペルーに続いてチリがRCEP加入の意向を示していることを中国外務省が明らかにした。周知のとおり、RCEPは東アジア地域の包括的経済連携のことで、パートナーとなる諸国は日中韓3カ国とASEAN10カ国と豪州とNZとインドである。南米の国々は構想の中に含まれていない。だが、TPPが潰れたため、TPPに加盟していたペルーとチリが、TPP代替のプラットフォームとしてRCEP入りへと舵を切った。RCEPを推進する主軸は中国だから、RCEPに入ろうとする諸国は中国と接触して意向を伝えることになる。もし、ペルーとチリがRCEPに入れば、TPPはリバースをかけられた形でRCEPに切り替えられ、主役だった米国が外れて中国が主役になるという、恐ろしく劇的な物語が現実になることになる。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-25 23:30 | Comments(3)

「ディールの政治」のミスリード - 極右トランプ政権の猛毒のイデオロギー

c0315619_15433318.jpgトランプが大統領になってどのような政治と外交をするか。11月8日の当選から2週間、マスコミに登場した論者たちはほぼ例外なく、「ディールを重視する」と分析と予測を述べてきた。姜尚中(13日)もそう言ったし、中島岳志(18日)もそう言った。「ディール」がキーワードだった。ディールとは取引きという意味である。つまり、持論となる信念や理想などなく、そうした思想信条を政策過程に反映させず、単にそのときそのとき自国の利益獲得が最大になる結果を目指し、従来の関係に拘束されることなく、誰とでも自由に手を結んでWinWinの取引きをするというイメージである。イデオロギー・フリーの政治像、それがトランプの政治の本質的特徴だという言説が繰り返し流され、現在の一般的な通念となっている。こうした言説を論者たちが撒く根拠となっているのは、ロシアのプーチンに対するトランプの賞賛の言葉であり、選挙期間中、オバマよりも優れた指導者だとする評価をテレビで公言してきた。その言葉にプーチンが反応してトランプを持ち上げ、米ロ関係の修復に期待するという経緯があったため、トランプはディールの政治家だとする見方が広まって行った。北朝鮮の金正恩との会談に意欲を示したという件も同列である。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-21 23:30 | Comments(2)

極右政権を前に自信喪失の米国マスコミ - 耄碌したウォーラスティン

c0315619_17151276.jpg選挙で新しい大統領が決まり、勝利演説がされた当夜とその翌日に、全米の大都市で新大統領を拒否するデモが爆発した。その一部は暴徒化し、星条旗を燃やすという事態も出現している。このような光景はこれまで見たことがない。本当にこれが米国で起きていることなのか信じられない。まるで、中南米のどこかの政情不安の国のニュースを見ているような気分にさせられる。米国において星条旗は国民統合の神聖な象徴であり、すべての国民が国家の下に結束するシンボルに他ならない。ここ数十年、外から見て、米国の威信を根底から突き崩すような、かかる不穏な場面に遭遇したことは一度もなかった。ベトナム戦争の頃はあったかもしれないが、イラク戦争のときは記憶がない。民主主義のお手本の国とされ、世界の模範となるべき米国で、民主主義が未発達な国で起きるような現実が発生している。このことは、世界の人々に米国に対する認識をあらためさせ、米国を盲目的に信仰する態度から離れさせる契機となるだろう。グローバル資本主義が世界を覆って行ったこの25年間、世界は小さくなりながら、超大国米国が絶対的に君臨支配する一極集中の世界に変わって行った。米国主義のイデオロギーが世界の人々を縛りつけて行った。今、それが変わろうとしている。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-16 23:30 | Comments(4)

サンダースなら勝っていた - マイノリティの逆説と理想の共同体

c0315619_15155307.jpgトランプの勝利を目の当たりにして、最初に持った感想は、これは2001年の同時テロ以来の歴史的事件が起きた瞬間で、ここから世界が大きく変わるということだった。次に抱いたのは、トランプは戦争を始めるだろうという予感と不安だった。トランプの資質と政策では、米国は割れるばかりで対立が深まるばかりだ。格差も解消されず、銃乱射事件が多発し、国内は不信と憎悪と暴力が横溢することになるだろう。分断を深める米国を統合へと持って行くためには、外に敵を作って戦争を始めるのが最も手っ取り早い。戦争が始まれば、合衆国の国民は星条旗と大統領の下に一つに結束する。奔放に散乱する多様性が、一夜にして単一化され一色に染まる。そういう生理のメカニズムを持っている。トランプは平気で戦争をやれる人格の持ち主だし、米国は唯一の超大国の軍事力を持っている。トランプは、過激なデモを繰り返す反トランプ勢力に対して強権的なカウンターで臨むはずで、彼らに「反米」のレッテルを貼り、「米国の敵」だと決めつけて弾圧を正当化するだろう。米国社会はオーウェルの『1984年』のようなファシズムの暗黒の世界に沈み込む。第三に着想したのは、サンダースだったら勝てたのではないかということだった。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-15 23:30 | Comments(5)

分断と憎悪のアメリカ - 格差は解消されず、トランプは戦争へと暴走する

c0315619_17034512.jpgトランプの当選が決まった後、9日、全米各地で反トランプのデモが発生し、一部で過激な若者が暴徒化する騒ぎが起きていた。ネット上にはポートランドで群衆が星条旗を燃やしている動画も上がっている。これまで、米国でこのような事件が起きたことはなかった。二つの政党の候補が長い選挙戦を争って、投票結果が出て、一方が敗北を受け入れた後は、新しい大統領を全国民の指導者として仰いで結束するというのが米国の政治の姿だった。作法だった。日本のネットでは、反トランプのデモを揶揄し批判する右翼と、反トランプのデモを支持し賞賛する左翼と、二つがTwで挑発と応酬を繰り返しているが、私はただ、これまで見たこともない光景の出現に驚かされ、従来の米国の秩序が崩壊したことを確信させられる。日本のマスコミは、米国の分断の深さという表現で報道しているけれど、その言葉では釣り合わない重さと具合の悪さを感じる。米国の歴史が始まって以来、こんな異常なことがあっただろうか。だが、その異常さというのは、中身としては、当選した新しい大統領の人物と素養の不全であり、反トランプのデモをしている若者や国外追放されるかもしれないヒスパニック系などからすれば、この選挙結果こそが米国の異常であり、信じられない悪夢の進行なのだろう。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-11 23:30 | Comments(4)

トランプの勝利と没落白人労働者層の反乱 - 反エスタブリッシュメントの民意

c0315619_17304891.jpg米大統領選の開票を伝えるABCの特別番組を、昨日(11月9日)はずっとテレビで見入った。トランプが注目州のオハイオを制し、長い激戦の末にフロリダを奪って、270人の選挙人を獲得する勝利ラインを固めて行った。今回のトランプの勝利は、ラストベルト(錆びた製造業の地帯)に取り残された、没落した白人労働者層の反乱であり、彼らの悲哀と憤怒が米国政治を動かした「革命」に他ならない。トランプ勝利という衝撃の事態がどうして起きたのかは、11月5日放送のNHKスペシャルが分かりやすく説明していた。オハイオ州北東部にあるヤングスタウンという町にカメラが入り、鉄鋼労働者だった62歳の男がインタビューを受けていた。嘗て作業していた、今は廃屋のようになった工場を案内して説明していたとき、男の目から涙が流れる場面があった。自宅には1人で住んでいて、妻とは離婚、3人の娘は町から出て行き、一家離散の孤独な生活を送っていた。「働くということは金を稼ぐということだけじゃないんだ。一緒に仕事する仲間を守り、家族を守るということなんだ」と、そう言った。8年前には「Change」に期待してオバマに投票したそうだ。おそらく、ずっと民主党に投票してきた典型的な北東部の労働者だったのだろう。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-10 23:30 | Comments(5)

呆気なく通りすぎたTPPの強行採決 - 6年間に姿が消えた反対派陣営

c0315619_14175221.jpg昨日(11月4日)、TPPの承認案と関連法案が衆院特別委で強行採決されたが、特に大きな混乱はなかった。強行採決と言うには呆気ないほど軽く、白々とした風景だった。委員会室に詰めかけた野党議員の数が少なく、本気で採決を阻止しようという熱気と迫力が感じられない。委員長席をガードする与党議員の姿がなく、「強行採決の攻防」でイメージするところの激しい肉弾戦がなかった。野党の抵抗が驚くほど小さかったことに拍子抜けさせられる。通常、国会で大きな対決法案が強行採決となったときは、野党の党首は街頭に繰り出して演説をする。有楽町や新宿の駅前に立ち、「国民に直接訴える」絵を作り、それをテレビのニュースで流させる。昨日はその絵もなかった。各局のニュースでは、承認案に反対する論者のコメントの紹介もなかった。国会前や議員会館前では、多少の人数が夜まで反対集会をやっていたようだが、そこに野党の議員や幹部が顔を出して挨拶したという報を聞かない。何と言っても、強行採決はたまたま、山本有二の失言で発生した予定外の事故で、それがなければ合意の上で順当に採決されていたのだ。6年間にわたって論争され、国論を二分してきた重要政策の決着が、こんな軽い形で幕引きされるのかと思うと空しく、無念でならない。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-05 23:30 | Comments(6)

自民党と民進党のTPP採決合意の政治 - 山口二郎の民進党弁護に呆れる

c0315619_15280470.jpg昨日(11月1日)の正午ごろ、民進党と自民党がTPP承認案の採決を11月4日で合意したというニュースが速報された。朝日の朝刊1面に、「TPP法案、4日衆院通過」と見出しがあり、いよいよ強行採決かと思っていた矢先、採決合意の報が伝えられて驚かされた。今国会はTPP国会と呼ばれていて、TPP批准が最大の争点であり、与野党が激しく衝突する構図になっていた。夜の報ステの映像を見ると、午前中の特別委で阿部知子が質疑に立ち、まだ審議は全体の10%もされておらず、採決などとんでもないと言って政府を批判している。特別委で民進党の議員が「採決反対、審議継続」を唱えているとき、民進党の山井和則と自民党と自民党の竹下亘が会談し、あっさりと11月4日採決で合意して発表した。おそらく、阿部知子たちは寝耳に水で、何も事前に知らされてなかっただろう。強行採決必至と見られていた対決議案のはずのTPPが、どうして一転して採決合意の顛末となったのか。その理由について、納得できる説明をしているマスコミ報道はない。後藤健次の話では、11月1日の採決を遅らせたことで、今国会会期中の自然成立を阻止したことに意義があり、参院での審議が名目だけのものでなくなったなどと、冗談みたいなことを真顔で言っていた。

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# by yoniumuhibi | 2016-11-02 23:30 | Comments(2)

フィリピンにおける左派政権の成立 - 脱米のドゥテルテを支持し期待する

c0315619_16270420.jpgドゥテルテの意味を考えながら、鶴見良行の『バナナと日本人』を読み返した。1982年に出されたこの岩波新書は黄版を代表する名著で、80年代の日本人の教養書として広く愛読された一冊である。大学を出て社会人になった私にとって、その東南アジア論はきわめて新鮮で、魅力的で、『マングローブの沼地で』『マラッカ物語』『ナマコの眼』等々の諸作品を次々と夢中になって貪り読んだ記憶がある。それらの書籍群は、蔵書の中のいわば一等地のところに鎮座していて、この先も地位に変更があるとは思えない。マルクスとウェーバーの方法では東南アジアの島嶼社会は切れないのだと鶴見良行は言っていた。近代主義の方法のこの地への適用では有効な社会科学の成果を得られないから、自分は違う方法を模索するのであり、小舟に揺られ、波間に漂い、海面の低い目線からマングローブの林に接近する視角で対象を考察するのだと言っていた。鶴見俊輔の従弟であり、ベ平連に参加して活動している。またPARCの設立メンバーであり、現在、反TPPで活躍中の内田聖子とPARCの活動の源流を若い人が知る上でも、この本は有意味な情報提供となるだろう。日本の社会科学の古典であり、若い学生には必読文献である。鶴見俊輔は長生きしたが、鶴見良行の方は残念ながら22年前に早死にした。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-31 23:30 | Comments(3)

反ヘイト法成立から半年 - 不安な予感、高江をめぐる言論構図への当惑

c0315619_15453325.jpgいわゆる反ヘイト法の成立から5か月経った。法制定を推進した人々にとっては、この半年はそれなりに満足できる成果が上がり、この法が目的とし理想とする方向に日本社会が変わりつつある時間だったのかもしれない。そのことを示唆する事例は幾つもある。そうした現実に対して水を差すわけではないが、私の中には楽観的な気分とは逆の不安な予感の沈殿があり、それを正直に口に出してみようと思う。1994年の5月に北朝鮮の核開発疑惑の報道を契機として、登下校中の朝鮮学校女子生徒のチマチョゴリが切り裂かれるという事件が頻発したことがあった。同じ事件と被害は、1998年のテポドン1号発射や2002年の拉致被害者「8名死亡」報道の際にも発生している。最近は、北朝鮮が核実験をしてもミサイル発射をしても、この種の忌まわしい事件は起きないが、1994年に起きたときは衝撃だった。なぜ衝撃だったかというと、この1994年という時期は、日本と韓国・北朝鮮との関係が、最も前向きで、まさに未来志向的な空気に包まれていた順風満帆期だったからである。ソウル五輪が1988年、日韓W杯が2002年、河野談話が1993年、村山談話が1995年。坂本義和や下村満子が尽力したアジア女性基金の設立が1995年。そのさなかに、この恐ろしい事件が起きた。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-29 23:30 | Comments(2)

補選の結果と「野党共闘」 - TPP国会で論戦せず欠席する共産党

c0315619_15420759.jpg10月23日に行われた二つの衆院補選で自民党系の候補が圧勝し、「野党共闘」の候補が惨敗した。その一週間前、新潟の知事選で野党候補が事前の予想を覆して勝利し、反安倍・左翼リベラルの陣営は大いに沸き立ったが、その昂奮はわずか一週間でかき消される政治の展開となった。政局の主導権は再び安倍晋三の手に握り直された感がある。新潟知事選の直後は、ネットの中は「野党と市民の共闘の勝利」のフレーズで溢れ、この勢いで衆院選も「野党共闘」が制するのだと咆哮するTwが充満していたが、今は連合叩きや野田佳彦叩きの憎悪のTwが散乱している。補選を落とした責任のなすりつけに議論が向かい、神津里季生が槍玉に上がっている。不思議なのは、新潟知事選に蓮舫が応援に行ったのも野田佳彦の指示だし、補選敗北後に会見に立って批判を受ける役割を演じているにも野田佳彦で、すべて野田佳彦が決めて党を動かしているにもかかわらず、それを知ってか知らずか、しばき隊を筆頭とする左翼が蓮舫を善玉にし、野田佳彦を悪玉にし、党執行部に善悪二つがあるように見なしていることだ。自分が悪役になることで蓮舫への風当たりを弱めている野田佳彦の世論対策だが、しばき隊は野田佳彦の芝居に乗って騒ぎ、蓮舫を左の救世主のように期待を寄せている。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-26 23:30 | Comments(4)

山城博治の勾留決定と再逮捕 - パレスチナ化する沖縄、アラファトとヤシン

c0315619_14271467.jpg先週(10月20日)、山城博治が再逮捕された。容疑は防衛局職員への傷害と公務執行妨害、同時に大和市の牧師(吉田慈)も共犯で逮捕された。沖縄右翼が動画で予告したとおりの結果になった。8月25日にP1裏のテントで起きた事件に関わる容疑で、名簿書類が奪われたとして防衛局側が被害届を出していたものだ。私は、この件での逮捕はないだろうと楽観的な予測を立てていた。その理由は、右翼による動画予告(14日)があった3日後(17日)に、有刺鉄線切断の器物損壊で現行犯逮捕という展開になっていたからである。もし、右翼が予告で言っていたように8月25日の紛争の件で警察が逮捕状を取っていたのであれば、わざわざ別件で現行犯逮捕の手を回して身柄拘束する必要はない。逮捕状を請求して、それを裁判所に蹴られていたから、本人の自供を取るべく別件の逮捕と拘束に出たのだろうと思っていた。右翼の話はブラフでなければ勘違いだろうと甘い見通しを持っていた。だが、どうやらそうではなく、逮捕状も承認・発行されている。園良太のTwによれば、「関東の自宅で逮捕され沖縄に連行される人が出た、家宅捜索も」とある。吉田慈は大和市の自宅で逮捕され、家宅捜索までされている。令状なしにこんな捜査はできない。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-24 23:30 | Comments(0)

山城博治逮捕の謀略と戦慄 - 右翼の予告動画から2日後の現行犯逮捕

c0315619_15065819.jpg一昨日(10月17日)の記事を上げた直後、山城博治逮捕の報道があった。急な展開であり、そしてまた、沖縄右翼の予告どおりに本人が逮捕されたことに驚かされた。沖縄右翼の手登根安則が山城博治の逮捕を予告したのが10月14日金曜であり、そこから3日後の、週が明けた10月17日月曜の午後に瞬殺で逮捕されてしまった。すべて計画的に動いている。ただ、逮捕の中身は沖縄右翼の手登根安則が動画で言った話とは違っていて、意表を衝いた現行犯逮捕であり、北部演習場内に張られていた有刺鉄線をペンチで切断したという器物損壊の容疑だった。一報を報じたのは産経で、夜に毎日と時事が続き、深夜には朝日が配信、琉球新報と沖縄タイムスも報道した。琉球新報の記事にはこう書いている。「沖縄県警名護署は17日、米軍北部訓練場(沖縄県東村・国頭村)内で沖縄防衛局がヘリパッド移設工事現場で使用していた有刺鉄線を切断したとして、沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)を器物損壊容疑で現行犯逮捕した。山城議長は取り調べに黙秘しているという。接見した金高望弁護士は逮捕手続きに疑義があると指摘し『必要性のない不当な逮捕だ』と話した」。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-19 23:30 | Comments(0)

添田充啓の勾留延長 - 攻勢に出た沖縄右翼が流す山城博治逮捕の噂

c0315619_15271453.jpg昨日(10月16日)、琉球新報の社会面で添田充啓の勾留延長の決定が報じられた。14日に検察が再び勾留請求し、26日までの勾留を裁判所が認めている。結局、限度いっぱいの20日間の長期勾留となった。しばき隊の方は、添田充啓の件について誰も何も喋らなくなった。逮捕から2週間になるが、弁護士が誰も名乗りを上げず、担当弁護士が不明のままの異常な状態が続いている。現地で高江の抗議行動の救援をやっている小口幸人は、一度も添田充啓の件についてTwで話題にせず、名護署に接見に出向いた様子もない。東京から弁護士が入ったのは10月7日の一度だけで、きわめてエクスキューズ的でアリバイ的な動きに止まっていて、まともに被疑者を救出する意思がないことが歴然だ。見捨てている。男組のHPも更新がない。5日に「東京と沖縄の2箇所で対応チームを結成し、早期釈放を勝ち取るべく対応を行なっております」と声明を発表したが、実際には何もやっていなかった。添田充啓の勾留の法律論については、刑事司法の専門家である高島弁護士が短く解説している。それに対して、しばき隊側からは何も反論がない。弁護人のなり手がなく、国選弁護人がつく意外な展開になるのではないか。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-17 23:30 | Comments(0)

沖縄の非暴力とは無縁な「超圧力」 - 足を引っ張ったしばき隊の暴力主義

c0315619_15591591.jpgしばき隊の添田充啓が逮捕された事件は、7月に高江のヘリパッド工事が強行された後、初めて逮捕状が交付され勾留請求が承認されたケースである。従来、揉み合いの中で公務執行妨害で現行犯逮捕された場合でも、すべて勾留請求が地裁によって却下され、連行された被疑者市民は無事釈放されていた。その意味で、高江の抗議行動全体においてきわめて重大な事態の発生と言える。この逮捕の後、政府側は強硬姿勢に転じ、高江の抗議行動に刑特法を適用して取り締まるぞという脅しに出ていた。その点に着目するなら、言わば転機となる口実と動因を政府側に与えた事件であったことは間違いない。また、もし、これが真に不当逮捕であり不当勾留であったなら、琉球新報と沖縄タイムスが見逃すことなく大きく取り上げ、国家権力による弾圧だと筆誅を加え、警察当局を糾弾する論陣を張って世論に訴えたことだろう。琉球新報と沖縄タイムスは、この国でジャーナリズムの精神と能力を持った最後の砦と言える新聞社であり、無条件で論説を信用できる希有な言論機関である。2紙の論説は、リベラルにとって時事を考える際の、言わば北極星のような基準的存在だ。その沖縄2紙が、添田充啓の逮捕を不当逮捕だと論うキャンペーンに出なかった。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-13 23:30 | Comments(1)

逮捕された添田充啓 - 仲間が勾留されたのに沈黙して逃げ腰のしばき隊

c0315619_13161353.jpg先週(10月4日)、沖縄の米軍北部演習場でしばき隊の男が逮捕された。ヘリパッド工事に反対する抗議行動の最中に、防衛局職員を突き飛ばして転倒させ、頭部打撲など2週間のけがを負わせた傷害の容疑である。男の名前は添田充啓(高橋直輝)。しばき隊の戦闘部門である男組の組長を名乗っている。前科三犯。過去3年間、男組の活動中に3度逮捕され、いずれも暴行・脅迫で有罪になっていて、今回で4度目の逮捕となる。このうち、2013年11月に東京で起こして2度目の逮捕となった事件では、傷害罪で懲役10か月・執行猶予3年の判決を受け、現在は執行猶予中の身だった。今回の事件は9月24日に発生、被害届が27日に出され、一週間後の10月4日に逮捕されている。要注意なのは佐藤正久のTwで、事件翌日の25日にすぐに反応して怒りを表明、翌々日の26日には「警察と防衛省と対応協議」したことを報告、違法行為に対してはあらゆる法律を駆使して取り締まる旨を宣告している。このTwから3日後の29日、複数の政府関係者が高江の抗議行動に刑特法を適用すると示唆した事実が琉球新報の1面記事で報道、基地内への不法侵入(刑特法2条)で抗議者を容赦なく逮捕するという政府の強硬姿勢が伝えられた。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-11 23:30 | Comments(2)

復権した「戦後民主主義」 - 護憲派を思考停止と侮辱した山口二郎

c0315619_18161436.jpg前回、55年体制の言説について検討を加え、私なりの認識と再評価を問題提起した。政治の一般論議において、現在はネガティブな表象である55年体制の語の歴史的な中身を捉え直し、むしろこれが戦後民主主義が体制化された姿であり、1945年から続いた8.15革命が一つの形になって結実したものという積極的な意味づけを試みた。60年安保という市民革命によって掴み取った政治体制だったから、この体制下での政治は民主主義がよく機能したのであり、日本国憲法で保障された権利が守られ、国会の議論も国民の方を向いていて、野党の牽制が利いて政府は暴走することなく、政策は国民の生活に即したものとなった。55年体制は、格差のない1億総中流の社会を実現した。その政治体制を破壊したのが「政治改革」であり、小選挙区制導入による「二大政党による政権交代システム」である。それを扇動したのは山口二郎で、岩波書店と朝日新聞だった。「政治改革」以降、政党と政府の政策はネオリベ基調にシフトし、1億総中流の社会が失われてミゼラブルな格差社会となる。投票率は下がり、マスコミが政治を操縦してポピュリズム漬け込み、民主主義の形骸化と劣化が歯止めなく進行している状況にある。

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# by yoniumuhibi | 2016-10-04 23:30 | Comments(2)

55年体制 - 60年安保の市民革命で定着させた戦後民主主義の政治体制

c0315619_16105792.jpg本屋の店頭を覗くと田中角栄の関連本が多く並んでいる。今年に入ってからずっと田中角栄ブームが続いていて、人々が田中角栄の人物と政治に郷愁を感じ、そのリーダー像に強く惹かれている空気がよく分かる。田中角栄に人気が集まっていることの意味を考えたいが、まず指摘したい点は、田中角栄を懐かしく思い、田中角栄の政治に焦がれる心理が、今の自民党の支持率を高くさせ、民進党など野党の支持率を低いところに置いているという事実だ。田中角栄という政治シンボルは、今の安倍晋三の政治やアベノミクスの政策とは原理的に対立して隔絶したものだが、しかしながら、それは過去の自民党政治の表象と繋がり、そのため、自民党は同じ自民党だから、「頼れるのは自民党」という結論に漂着するのである。田中角栄ブームという現象が否定しているものは、ネオリベの経済政策であることは間違いないけれど、それだけでなく同時に、90年代に出て来た民主党が否定されている。四半世紀やってきて何も成果を出さない、国民の暮らしに何も福利をもたらさない、民進党(民主党)が否定され、民進党を媒介したところの「二大政党による政権交代システム」という考え方が否定されている。

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# by yoniumuhibi | 2016-09-30 23:30 | Comments(2)

映画『君の名は。』の魅力 - 村上春樹を思わせる物語、今の若者の心を代弁

c0315619_16573532.jpg映画『君の名は。』を見てきた。きっかけは、9月20日の報ステの中で小川彩佳が絶賛するのに接したからで、これは見た方がいいかなと感じたからだった。通常、現在上映中の映画を、あれほどテレビの報道番組が激賞することはない。予期せぬ社会現象となり、若者の間で空前のブームが起きているため、報ステが特集して紹介したのに違いなかった。そこから4日後の9月23日、興行収入が封切4週目で100億円を突破したという快挙達成の報道があり、その夜、日テレのZEROでも特集が組まれ、映画に登場する各地がファンの間で「聖地」になっている状況が伝えられた。おそらく、NHKやTBSも続くことになるだろう。興行収入のグラフの伸びだけを見れば、勢いは『アナと雪の女王』を凌駕していて、驚異的な観客動員を短期で実現している。この映画のヒットが異色で画期的なのは、テレビなどマスコミでの宣伝をしておらず、上からのプロモーションがないのに若者の観客を爆発的な勢いで集めたことだ。若者層の共鳴はSNSで口コミで広がったと言われている。リピーターが多い。この事業の成功には脱帽させられる。作品が本物だからであり、若者の心をグリップしたということだ。

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# by yoniumuhibi | 2016-09-28 23:30 | Comments(1)

しばき隊リンチ事件を整理する - 李信恵謝罪文の再検証、謝罪文と被害者M

c0315619_15255606.jpg李信恵はなぜ不起訴処分になったのか。この問題は、しばき隊リンチ事件の最大の謎である。LK、李信恵、Bの3人は、2015年10月29日に同時に書類送検されている。前回の記事で確認したとおり、事件直後の2015年1月19日に加害者側弁護士から送達された示談文書では、責任の順序は、①LK、②李信恵、③Bの並びになっていて、この順番での責任の重さが当事者間で共通認識になっていたことが分かる。事件の捜査で取調べを受けた容疑者は3人で、一緒に送検されており、すなわち明らかに集団による暴行傷害事件である。示談も3人で申し入れた。示談文書によれば、李信恵は「暴力に至る契機となった罵倒や胸ぐらをつかむ等の暴行を行った」とあり、集団での暴行の端緒を開いた事実を加害者側が認め、それゆえ責任が二番目に重いという位置になっている。したがって、もしも司法機関の裁定で、この3人の中で1人だけ刑事責任を免除される者が出るとすれば、順序に従えばBが該当しなくてはならない。そういう論理的想定になる。だが大阪地検は、2016年3月1日の略式命令で、李信恵を不起訴処分にし、LKとBを有罪罰金刑とした。責任の順序が入れ替わっている。①LK、②B、③李信恵の順番に変わってしまった。どうしてこのような責任順位の変化が生じたのか。

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# by yoniumuhibi | 2016-09-26 23:30 | Comments(0)


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