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村上春樹『職業としての小説家』を読む - あらためて村上春樹は神である

c0315619_1871242.jpg村上春樹の『職業としての小説家』を読んだ。12の小論で構成され、全体で313頁の本。途中まで読んだところで、また最初に戻って読み始めた。この本には感動させられた。文句なしに今年のベスト。村上春樹の作品はこれまで小説しか読んだことがなく、いわゆるエッセイに類するものは初めてだが、今回のものは≪ですます≫形式の文体で綴られていた。文章のスタイルが意外で新鮮であり、同時にとにかく完成度が高く、抜群に説得的で、最初の1ページを読んですぐに惹き込まれて夢中になった。村上春樹の日本語の文章は本当に素晴らしい。エレガントで、しなやかで、無駄や窮屈さがなく、独り善がりの空回りがない。論理がよく設計され、センテンスの造形が抜群だ。句読点の間隔のバランスがよく、漢字とカタカナとひらがなの配分が見事で、読みやすく、見やすい。言葉の使い方と置き方の妙に唸らされる。飢えていたものを満たしてくれるような、冒頭からそんな気分にさせられた。私は言葉に飢えていて、知性と気品のある良質な日本語に餓えている。ネットの不毛な荒野で生息し、心をすさませ、絶望と憔悴に塞ぎながら、言葉に出会うこと、言葉に癒されることを求め、美しい日本語を発見して救済されることを切なく希っている。この作品を読んで最初に感じたのは、これだこれだ、探していたものはこれだという昂奮と律動だった。村上春樹は日本語の最高の芸術家だ。

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by yoniumuhibi | 2015-11-04 23:30 | Comments(2)

東京国立博物館の特別展「始皇帝と大兵馬俑」

c0315619_14421041.jpg文化の秋。東京国立博物館で催されている特別展「始皇帝と大兵馬俑」に行ってきた。今年の東博の目玉はこの企画らしい。昨年(2014年)は「台北 國立故宮博物院-神品至宝」だったが、上野では真夏の季節の開催だったため、秋に巡回する太宰府の九博に出かけて見に行った。東博を訪れるのは、一昨年(2013年)の「京都―洛中洛外図と障壁画の美」以来となる。初日から3日目の午後の入館だったが、心配したほど人出は多くなく、混雑のない中でゆっくり展示を見ることができた。人気の企画展となると、平成館の玄関前に長い行列ができて入場まで待ち時間を強いられる。春に開催された「鳥獣戯画展」では、お目当ての甲巻を見るのに5時間も並ばされたらしい。全体に、このところ日本の文化芸術の方に人の関心が向いていて、中国の文物には興味が集まらない傾向にある。政治の影響が色濃く出ている。しかし、一方で、東博のような大型の博物館で企画展をやるとなると、中国の力を借りないと本格的な出し物を作れないという現実と事情もあるのだろう。また、昔からの経緯と誼(よしみ)で、東博と中国の文化当局が日中の親善交流事業を絶やさず繋げようと営為している雰囲気も何となく窺われる。今回、実物の俑が10体展示され、銅車馬(レプリカ)も展示されていた。

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by yoniumuhibi | 2015-11-02 17:54 | Comments(2)


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