「ほっ」と。キャンペーン

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日米安保条約の改定はどうなるのか - ガイドラインの背後にあるもの

c0315619_1781850.jpg発表された新しい日米防衛指針(ガイドライン)について、それを報じた4/28の朝日の1面記事はこう書いている。「今回の指針改定は(略)日米安全保障条約の事実上の改定といえるほどの内容だ。78年の最初の指針は『日本有事』、97年に改訂された指針では朝鮮半島有事を想定した。日本政府はいずれも『極東』の範囲を超えないと説明した。(略)しかし今回は、地理的制約を取り払い、『アジア太平洋地域及びこれを超えた地域』と地球規模での協力をうたった。これは安保条約の枠組みを超える内容だ」。また、2面では柳澤協二にこうコメントさせている。「前回の改定は、憲法と日米安全保障条約という枠の中だった。今回は憲法の解釈を変え、日米安全保障条約の範囲も超えている」。日米ガイドラインの報道を見ながら、特に強く気づかされたのは、今回の措置が日米安保条約の改定だということだった。このガイドラインと今国会で成立させる安保法制は、日本国憲法を改定した中身を先取りしているだけでなく、日米安保条約の改定も先取りしている。現行の日米安保条約の条文と全く無関係と言っていい、超越し拡大した日米軍事同盟の中身が埋まっている。すなわち、このガイドラインの合意と制定によって、条約は全くの紙切れになったと言って等しい。日本国憲法と同じく、日米安保条約もスポイルされた。

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by yoniumuhibi | 2015-04-29 23:30 | Comments(7)

「結末を考えよ」 - ニーメラーの教訓と弱すぎる戦争への危機感

c0315619_14571816.jpgニーメラーがナチスについて語った有名な警句は、今でも繰り返しネットで目にする。「ナチが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。けれども結局自分は共産主義者でなかったので何もしなかった。それからナチは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。けれども依然として自分は社会主義者ではなかった。そこでやはり何もしなかった。それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、というふうに次々と攻撃の手が加わり、そのたびに自分の不安は増したが、なおも何事も行わなかった。さてそれからナチは教会を攻撃した。そうして自分はまさに教会の人間であった。そこで自分は何事かをした。しかしそのときにはすでに手遅れであった」(未来社 旧版 P.475)。ニーメラーはルター派教会の牧師で、ナチスに抵抗して1937年に強制収容所に入れられ、生還後にこの悔恨の言葉を残した。ところで、今日、この言葉は政治に関心を持つ現代人の常識の範疇となっているけれど、出典は何で、どこから広く知られるようになったのだろうか。実は、この痛切な反省を日本に紹介したのは、丸山真男の『現代政治の思想と行動』である。1961年の論文「現代における人間と政治」の中に、ミルトン・マイヤーの著書からの引用として紹介されている。原文を日本語に翻訳したのは丸山真男だ。

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by yoniumuhibi | 2015-04-27 23:30 | Comments(7)

戦後民主主義と憲法9条 - ジョン・ダワー、小熊英二、丸山真男、両陛下

c0315619_1545071.jpg「アメリカ人たちは、日本を去る前に方向を逆転させた。日本社会のなかでも自由主義的傾向が少ない連中と協力して、この旧敵国を再軍備し、冷戦の従属的パートナーとしはじめたのである。にもかかわらず、平和と民主主義という理想は、日本に根をおろした。借り物のイデオロギーでも押しつけの未来図でもなく、生活に根ざした体験として、そしてまたとない好機を生かした成果として。平和と民主主義の理想は、みごとな、そしてしばしば不協和音を奏でる様々な声となって現れ出たのである」(上巻 P.6)。これは、ジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』の序文に書かれた一節である。日本の戦後史を描いて高い評価を得た代表作において、ダワーはこう総括して結論を与えている。平和と民主主義という理想が日本に根づいたと。吉田裕の『昭和天皇の終戦史』を読んだあと、ダワーの本を読み返すうち、この文章が目に止まった。序文は、全体の結論を最初に読者に紹介するものだ。この本の冒頭、ハワード・B・ションバーガーへの献辞には、「平和と民主主義。その理想をけっして見失わなかった」の言葉がある。ダワーの平和と民主主義の理想へのコミットが窺え、平和と民主主義の理想を地に下ろした人々の努力の物語として日本の戦後史が捉えられていることが分かる。

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by yoniumuhibi | 2015-04-24 23:30 | Comments(3)

吉田裕著『昭和天皇の終戦史』を読む - 近衛文麿と昭和天皇の暗闘

c0315619_20332019.jpgNHKスペシャルの「戦後70年 - 日本人と象徴天皇」の放送を見た後、吉田裕著の岩波新書『昭和天皇の終戦史』を開いて読んだ。非常に面白い。これを読むと、従来の昭和天皇像が一変するし、終戦時の昭和天皇をめぐる動きがよく理解できる。学生にも社会人にも必読の書として推薦したい。昭和天皇の戦争責任の問題を考える上で教科書となる一冊であり、改憲の危機が迫った戦後70年の政治状況の中で、一人一人に確かな知見を与えてくれる本だと評価できる。新書が出たのは1992年、今から23年前、村山談話の3年前になる。宮沢内閣から細川内閣のとき、今からは考えられないほどリベラルな空気に充ち満ちた時代だった。果たして、右旋回を強める岩波がこうした本を出し続けられるのか、今後のアカデミーの環境でこのような現代史研究が生息できるのか、時勢を考えると率直に不安に感じられる。想像の飛躍かもしれないが、ファシズム権力に睨まれて発禁というか、日本的な自粛(自己内強制)で品切れとなり、書店から回収処分されるのではないかという予感すら漠然と抱く。右翼には「悪魔の書」だ。昨年の「実録」以降、マスコミを動員した昭和天皇美化の言論工作はまさに徹底的な絨毯爆撃の感があり、それに異を唱える「反日分子」の異端は一匹も許さないという空気になっている。

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by yoniumuhibi | 2015-04-22 23:30 | Comments(6)

NHKスペシャル「戦後70年 ニッポンの肖像 - 日本人と象徴天皇」

c0315619_16535497.jpgNHKスペシャル「戦後70年 ニッポンの肖像 - 日本人と象徴天皇」の放送を見た。番組は4/18(土)と4/19(日)の二夜連続のもので、第1回は敗戦からサンフランシスコ講和条約までの昭和天皇に焦点を当て、第2回は主に今上天皇を中心とした編集になっていた。全体として、昨年の「昭和天皇実録」の政治からの延長で、「昭和天皇の平和主義」を強調し、昭和天皇が平和を願い続けていたとか、平和と民主日本のシンボルとなった昭和天皇を国民が熱狂的に支持したという歴史認識を固めて刷り込む内容になっていた。安倍晋三と籾井勝人が支配するNHKで、そして戦後70年談話の政局の途上で、さらに来年には改憲が断行されようという時節に、この特集がどういう放送になるかは推して知るべしだし、三宅民夫と御厨貴と保阪正康の3人で解説する番組がどれほど反動的な歴史捏造の宣伝工作に終始するかは、見る前から分かっていたことだった。だから、正直なところ、見る前から苦痛で、嫌々ながら義務的にテレビの前に座るという感じで、精神衛生の上で本当は億劫なのだけれど、この番組を皇居で両陛下も見ているに違いないと思い、永田町の政治家たちも注視している事情を考えたとき、その「義務」の履行を放棄するというのも何やら気が引け、おずおずと消極的な気分でNHKに付き合うことにした。

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by yoniumuhibi | 2015-04-20 23:30 | Comments(5)

日本の右傾化を否定する朝日の反動キャンペーンと小熊英二の加担

c0315619_17102577.jpg朝日の最近の露骨な反動の動きは、大きく二つのキャンペーンとして紙面に浮上している。一つは主権回復をキーワードにした「左折の改憲」の提唱であり、4/3の佐伯啓思と4/7の池澤夏樹のコラムで打ち出された。5/3の憲法記念日までにこの佞悪な議論がさらに続き、意外なリベラル系文化人が裏切りの挙に出て読者をあっと驚かせる可能性がある。もう一つは、日本の右傾化を否定する言説の散布である。日本は右傾化などしていない、右傾化しているという認識は誤りだという主張の連載で、3/26の小熊英二の寄稿を嚆矢にして、4/11の「耕論」での三浦瑠麗ら3人のインタビュー、4/12の山中季広のコラムと続いている。こちらのキャンペーンも見逃せない。このうち、三浦瑠麗と山中季広の記事については、2日連続の同じ挑発の暴論ということもあって、Twの左翼リベラル界隈で問題視され、朝日に対して厳しい批判が上がる反応となっていた。が、この悪質な世論工作のプロローグとなり、言わば口火を切った感のある小熊英二の所論については、左翼リベラルから特に咎める声は上がっていない。一見して、三浦瑠麗と山中季広らによる「右傾化していない」の紙面攻勢の前に、その前座として小熊英二の「ネット右翼は多くない」の見解が配され、右傾化否定論の説得力の土台にしようとした意図は歴然だ。

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by yoniumuhibi | 2015-04-16 23:30 | Comments(8)

池澤夏樹の転向 - 「新聞記者、ジャーナリズムの転向から始まる」

c0315619_15321626.jpg今年の朝日の憲法記念日の社説は、果たしてどのような内容になるのか、今から気を揉んで仕方がない。「安倍政権と憲法 - 平和主義の要を壊すな」と題した昨年の社説は、閣議決定による9条の解釈改憲に対して反対意見を表明したものだった。昨年のこの時期は集団的自衛権の政局の真っ最中で、マスコミ各紙の中で朝日は反対の論陣の先頭に立ち、リベラルの旗手らしく果敢にペンで戦っていた。柳澤協二や阪田雅裕などを連日紙面に出して反対世論の醸成に努め、また、石破茂と安倍晋三との鬩ぎ合いを暴露して永田町の抗争に介入するなど、一昨年の秘密保護法の攻防のときの東京新聞の活躍を思わせる獅子奮迅ぶりだった。今から思えば、編集部の中は相当な緊張状態にあったはずで、内部の右派と左派の暗闘の中で、左派がギリギリの足場で突っ張っていて、この政局の勝利に賭けていたフシがある。結局、7/1の閣議決定を阻止することはできず、朝日は政争に敗れた格好になり、右派が反動のバネで猛然と巻き返し、堰が決壊したように、1か月後の従軍慰安婦の誤報訂正の事件へと流れ込む展開になる。右派が編集部を支配し、紙面が大きく変わり、読売と全く変わらぬ編集と論調になった。その濁流がさらに勢いを増していて、とめどない朝日の右傾化となっている。

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by yoniumuhibi | 2015-04-14 23:30 | Comments(6)

天皇陛下の教育係だった安倍能成 - 戦後民主主義の平和と教育の巨人

c0315619_17626100.jpg昨夜(4/8)、両陛下のパラオ訪問を報道した報ステの中で、天皇陛下が戦争と平和への思いを語った過去の記者会見が編集され伝えられていた。89年、90年、93年、95年、即位した前後の若い天皇陛下の言葉が多く紹介され、見ながら、心に響く小特集に構成されていた。その映像の中にも登場してコメントしていたけれど、この特集の制作を指導(direct)したのは、テレ朝で皇室担当記者を長くやり、今でも大事な場面では解説に登場する神田秀一だ。もう80歳になるが、今も現役で、皇室ジャーナリストとしてこの男の右に出る者はいない。両陛下と宮内庁の神田秀一への信頼の大きさが分かるし、神田秀一がどれほど両陛下に影響を受け、両陛下を尊敬しているかが窺い知れる。昨夜、報ステがピックアップしてカットを放送した天皇陛下の言葉の数々は、全て神田秀一の記憶に刻まれていたものであり、10年に一度のこの機に報道すべく、満を持して企画されたものだろう。今の若いディレクターやプロデューサーは、こんな芸当は単独ではとてもできない。10年に一度。次はあるかどうか。10年後は、天皇陛下は92歳、神田秀一は90歳。「皆さんと憲法を守り」と、そう宣言した即位の決意の言葉も出た。久しぶりにテレビで見た。あの衝撃の言葉があり、私は天皇を天皇陛下と呼ぶようになった。よく言ってくれたと今更ながら感激する。

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by yoniumuhibi | 2015-04-09 23:30 | Comments(14)

日本人の知能劣化と右翼化 - 価値生産できない無能な貴族社会の結末

c0315619_18475917.jpg中国と日本の一人当たりGDPが15年後に並ぶと試算したとき、その値は約2万3000ドルである。中国と日本の人口比は、単純に10対1で仮定している。2014年のデータを見ると、日本の一人当たりGDPは3万8500ドルで世界ランク第24位、中国は7000ドルで第83位となっている。日本は中国の5.5倍で、中国は日本の約6分の1しかない。この差が徐々に詰まり、2030年に同じになるというのが私の予測である。3万8500ドルの日本の一人当たりGDPはどんどん縮小して、15年後には3分の2以下の2万3000ドルに落ち込んでしまう。逆に、中国の一人当たりGDPは拡大を続け、現在の3倍超の2万3000ドルに達する。下降する日本と、上昇する中国と、シェーレを描く二つの線が交差するポイントが2030年で、その時点の値が2万3000ドルだ。2万3000ドルという一人当たりGDPは、ランキング33位のバハマや34位のスロベニアと同じ水準となる。そんなバカな、いくら何でも荒唐無稽だと、そう批難されるに違いないが、たとえば、現在1ドル120円の為替が200円に切り下げられると、3万8500ドルの一人当たりGDPは一瞬で2万3000ドルに化けてしまう。470兆円ほどのGDPを円ベースで横這いで、すなわちゼロ成長で15年間推移させ、そのとき為替が1ドル200円になっていれば、この試算は現実のものとなるという結論だ。きわめてリアルな、むしろ控えめなエコノミクスの想定と仮説だと思うが、いかがだろうか。

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by yoniumuhibi | 2015-04-07 23:30 | Comments(7)

英国の英断と英明 - 反中右翼と自尊自愛しか売れない日本の言論市場

c0315619_18532948.jpgAIIBには50か国を超える国々が参加した。参加しなかったのは日本と米国だけで、国際経済の外交戦として見たとき、まさに中国の圧巻の勝利である。パーフェクトゲームで日米を制圧した。モニュメンタルな歴史的勝利であり、米国の完敗だ。今回のAIIBの結果は、鬩ぎ合いを演じた中国と米国の予想を超えて、画期的なニュースに発展し、時代が大きく変わったことを象徴的に印象づける事件となった。1971年10月の国連総会での、アルバニア・アルジェリア決議案の採決の場面を思い出す。背広姿の黒い肌をしたアフリカ諸国の代表たちが、議場で小躍りして体を揺らしていた。今回、AIIBへの加盟が雪崩を打つような怒濤の動きになったのは、3月12日に英国が突然の豹変で参加を表明し、3月17日にドイツ、フランス、イタリアなどG7各国が続いて、「バスに乗り遅れるな」的状況が現出したからだ。米国と最も親密な同盟国である英国が、米国に相談することなく独断で、言わば裏切りの抜け駆けをして中国AIIBの陣営に与した。英国という国は老獪だ。そして、世界中で最も金融の動向に精通していて、情報の収集と分析に長けている。それを素早く政策決定に反映させ、国力の維持に努めている。英国の強かさとしなやかさ、そのソフトパワーの説得力と存在感は、毎年、世界の人々に感銘を与えている。

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by yoniumuhibi | 2015-04-06 23:30 | Comments(6)


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