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静かな選挙 - 正統の集中と異端の集中、非対称な「自共対決」

c0315619_17274647.jpg投票まで残り5日となった。先週から、マスコミではずっと自民が300議席以上を獲得するという予想報道が続いている。昨日(12/8)の毎日とTBSは、単独で衆院3分の2の317議席までが視野に入ったと報じていた。マスコミ各社が自民圧勝の世論調査を発表したのは、公示翌々日の先週の12/4で、投票の10日前である。前から何度も言っているように、最近の選挙は、解散から公示までの10日間が真剣勝負の期間で、公示前日に行われる記者クラブ主催の党首討論会のときは、すでに勝敗の行方が決まってしまっている。そして、マスコミによる世論調査の精度は年々向上していて、その予測が外れることはなく、マスコミの世論調査どおりの結果となる。今週に入って、ネットの中では選挙の議論が少し活発になってきた。自民300議席超という情勢にショックを受け、反自民の左派系が顔面蒼白となり、投票に行こうとTwで呼びかけている。その動きに水を差すつもりはないが、声を上げて選挙を動かそうとするなら、安倍晋三が解散に出た11/18から1週間に、議論を全力で集中させるべきだった。同じ比喩を繰り返すけれど、衆院選は解散から1週間が柔道の組み手争いのときであり、争点の奪い合いで勝負が決まる。前哨戦で素早く主導権を握った方が勝つ。11/18から12/14まで約1ヶ月の選挙戦、その大事な前半の11月、議論は異常に低調で、関心が低く、不活発な2週間が流れた。

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by yoniumuhibi | 2014-12-09 23:30 | Comments(3)

「山田洋次監督と平和を考える」会の報告 - 三つの映画のエピソード

c0315619_18275814.jpg12/4、大宮のソニックシティで「山田洋次監督と平和を考える」会があった。主催したのは埼玉弁護士会で、入場無料。貧乏人にはありがたい機会なので、電車を乗り継いで聴きに行くことにした。山田洋次の話を聴くのは初めてのこと。テレビで見るのと全く変わらない風貌と語り口だった。山田洋次は83歳。先週、81歳の菅原文太の訃報があり、そのことも講演会に出かける一つの動機となった。これが最後になるかもしれない。菅原文太の話は一度も聞いたことがなかった。こうなってみると、2月の都知事選での、大雪が降る中の銀座の演説などは、路上の聴衆の一人として立ち合っておけばよかったと、そういう残念な気分にかられる。誰もがいつまでも元気で生きているわけではない。あとで後悔しないように、尊敬する知識人の声に直に接した体験を残しておこうと、その気持ちが先に立ったことは間違いない。けれども、そういう動機とは全く釣り合わないほど、山田洋次は元気で、淡々としていて、大ホールの演壇に座って話す姿が、実物というよりスクリーンの絵のようであり、動画というより静止画のようで、ハプニング的要素のない静かな講演だった。思えば、山田洋次も全く年をとらない人で、イメージに時間に伴う異同のない人だ。思想にも揺るぎがない。まさにインテリの理念型の姿を示している。だが、当日は、講演でしか聞けない特別なメッセージを準備していた。

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by yoniumuhibi | 2014-12-08 23:30 | Comments(2)

菅原文太を悼む - ダンディな知識人、確かな知性と重い言葉の英雄

c0315619_18192210.jpg菅原文太が映画やドラマで活躍していた当時は、特に目立って注目する俳優ではなかった。死後、マスコミの報道では、「仁義なき戦い」と「トラック野郎」が主に紹介されるが、それらの作品を映画館で見たことは一度もないし、テレビで見た記憶もない。菅原文太が私の前に颯爽と現れたのは、2012年1月のETV特集『自由民権 東北で始まる』での出演だった。それまで、菅原文太が政治について発言しているという情報には接していたし、亀井静香と昵懇の仲だとか、震災以降は政府への批判を活発にしていたとか聞き及んでいたが、知識人としての菅原文太の中味が、これほどぶ厚いものだとは想像していなかった。NHKの番組を見ながら、その説得力にすっかり圧倒された。NHKのこの企画のシリーズは全12回が放送されたが、前半の明治編が秀逸で、第1回の「福澤諭吉と中江兆民」、第2回の「自由民権 東北で始まる」、第4回の「幸徳秋水と堺利彦」が内容が濃い。その中でも菅原文太が主役を務める第2回は出色の出来で、菅原文太が全国を旅する映像に引き込まれ、座談での言葉の一つ一つに膝を打ち、ずっと感動しながら見入った。菅原文太は文化人ではなく知識人だった。堂々たる知識人であり、何かあれば菅原文太の言葉を聞きたいと思う、そういう貴重な存在だった。その意味で、菅原文太が活躍した時間は短い。わずか3年である。だが、それは尊敬する英雄の3年間だった。

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by yoniumuhibi | 2014-12-05 23:30 | Comments(6)

「憲法改正」を争点にする公示日のNHK報道 - 選挙後への布石か

c0315619_14112760.jpg公示日(12/2)の夜、NHKの7時のニュースを見ていて、番組中に行われた党首討論で何とも不気味に感じさせられた場面があった。司会のNHK政治部の曽我英弘が、ぞろぞろと登場する野党の党首に向かって、「憲法改正にどう対応するか」と念入りに質問をしていたことだ。選挙後に「憲法改正」が必ず問題になるが、それにはどう取り組むのかと、そう執拗に尋ね、各党の党首に返答をさせていた。NHKの報道では、今度の選挙の最大の争点は「アベノミクス」で、「他にも重要な争点がある」という説明を与えていたのだが、注目した実際の党首との議論では、アベノミクスの次に重要視していたのは、何と「憲法改正」の問題だった。「憲法改正」が今度の選挙の争点だなどと、今回、これまで報道したマスコミは1社もない。それを争点として持ち込もうとしているのは、平沼赳夫の次世代だけだ。多くの有権者も、第一の争点がアベノミクスで、第二が集団的自衛権を始めとする安保政策であり、安倍晋三の2年間の政治が審判される選挙だという認識でいる。立候補者や政党関係者たちも同じだろう。ところが、NHKの曽我英弘は、「憲法改正」をアベノミクスに次ぐ二番目の重要問題に設定し、その質疑応答で番組を埋めているのである。これは、NHKが勝手に「憲法改正」を争点にしようと仕掛けた図だ。NHK政治部はそれを作為的にやっているのが察知できたので、これは要警戒だなと思っていたら、深夜のTBSのNEWS23でも同じような場面があった。

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by yoniumuhibi | 2014-12-03 23:30 | Comments(2)

追悼 菅原文太 - 再掲 2012年1月のETV『自由民権 東北で始まる』

c0315619_10134438.jpgNHK-ETVが放送しているシリーズ『日本人は何を考えてきたのか』、偶然に見た1/8の第1回が出色の出来で、中江兆民の思想的意義を浮上させた説得に大いに啓発された。その昂奮のまま、先週はルソーの「人民集会」(peuple assemblé)からOWS(general assembly)を考察する記事を書いた。NHKにもまだ人がいる。第2回の予告では、案内役で菅原文太が登場、東北の自由民権の歴史を旅して歩くという触れ込みだったので、さらに期待していたが、実に期待に違わぬ見事な作品に仕上がっていて満足させられた。菅原文太が素晴らしかった。本格的な知識人の姿だ。仙台一高出身。今の日本に最も必要な言葉を菅原文太が発していて、われわれの心情を率直に代弁している。番組の解説には、色川大吉と樋口陽一という碩学の大物二人が出演、色川大吉の監修の下で取材と編集が行われていることを窺わせ、二人の説明も当を得た過不足ないものだったが、番組に命を吹き込み、感動を与えた主役は菅原文太であり、最初から最後まで菅原文太が視聴者を魅了していた。冒頭、「自由民権のどんなところに惹かれたのでしょうか」と問う三宅民夫に対して、菅原文太がこう答える。「さあーって...」。「何度も何度も、人間は平等だ公平だと言われ続けながら、そうなってないじゃないですか、未だに」。

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by yoniumuhibi | 2014-12-02 23:30 | Comments(4)

民主党と共産党の党利党略と馬耳東風 - 選挙から疎外される有権者

c0315619_15535055.jpg北太平洋を回遊して大きくなったサケが、生まれ故郷の川に戻ってきて産卵のため遡上するとき、河口付近に暫く留まって、海水から淡水への環境変化に体を慣らす期間がある。汽水域と呼ばれるその場所で、体液の塩分濃度を調節するべく、1週間ほど静かに滞在するのだと言う。眼前の選挙の風景を見ていると、平和の時代からファシズムと戦争の時代に適応するべく、この国の人々が自らを順応させているように見える。この異様な静けさは、サケの大群の汽水域での自己改造を意味しているのではないか。厳しい時代を生き抜くべく、静かに覚悟を整えているような、そんな大衆の呼吸を感じる。本当に、この時期の衆院選がこれほど静寂であっていいのかと思うほど、選挙が盛り上がらず、人々の関心が低い。経済の問題にせよ、安保の問題にせよ、安倍晋三の選挙干渉にせよ、何も刺激として反応することがなく、そこに積極的な関心が向かない。心が政治に対して閉ざされている。議論が起きず、論争が起きず、ハプニングが起きない。おそらく、このままだと、投票率は戦後最低を更新するだろう。そのことは、安倍晋三の目論見どおりに選挙が進行することを意味する。抜き打ち解散で野党に準備の猶予を与えず、テレビに圧力をかけて無風を演出し、論戦も何もないまま時間を埋め、低投票率に持ち込んで自公安泰の結果を確定する。大衆の方は、そうした独裁者の思惑を察知しつつ、静かに息を潜めている。

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by yoniumuhibi | 2014-12-01 23:30 | Comments(4)


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