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日米同盟と新型大国関係 - リプレイスされる東アジアの安全保障体制

c0315619_15551927.jpg昨夜(5/7)、白井聡がBSフジの番組に出演して、「永続敗戦論」の話をしていた。この議論そのものの検討は別の機会にするとして、その「永続敗戦」のレジームはそろそろ終焉に近づいていると私は感じている。政治の現実感覚として、米国従属体制からの解放という課題意識は、私の場合、以前の気分と比較してリアルで第一義的なものでなくなりつつある。それと入れ替わって大きな関心となって念頭にあるのは、中国との戦争というテーマである。米国従属体制の社会科学的考察とか、そこから脱出し自立する展望とか、そこに新自由主義の問題を入れて未来を考えるとか、そうした、言わば積極的な政策論の概念的思考へ、正直なところ、今は動機づけられることがない。エンカレッジされない。無遠慮に白井聡の「永続敗戦論」に対する不満を言えば、差し迫った日中戦争の危機がダイナミックに導出されていない点ということになるだろうか。別の言葉で反論を返せば、そのようにスタティックにモデルを析出した「永続敗戦」の体制と構造は、あと10年もせずに崩壊し消滅する運命になるだろうと、そういうシニカルな感想になる。無論、それは、日本人が対米自立の理想的な社会を実現するという意味ではない。破滅的な将来予想だ。今、目の前に白井聡がいて対論していると仮想して、語りかける感覚で、さしあたり、今回は日米同盟と新型大国関係について述べよう。

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by yoniumuhibi | 2014-05-08 23:30 | Comments(3)

集団的自衛権の政局 - 安倍晋三と石破茂の間で暗闘が始まっている

c0315619_1550645.jpg集団的自衛権の問題をめぐって、どうやら安倍晋三と石破茂の間で小さな権力闘争が起きている。明確な断言はできないが、微かな感触が新聞記事の行間から探られる。昨日(5/5)、朝日の3面に、集団的自衛権の行使容認を反映させた関連法の改正について、来春以降に先送りするという石破茂の見解を伝えた記事があった。石破茂がボストンで同行記者団に、「統一地方選で集団的自衛権が争点になるような政治日程にしてはいけない」と言い、関連法の先送りを報道させている。マスコミに書かせて既成事実にした。これに合わせる形で、安倍晋三がリスボンで、憲法解釈を変更する閣議決定の時期について、「与党で一致していくことが重要なので、場合によっては時間を要することもある」と語っている。つまり、公明に配慮して閣議決定の時期を遅らせる意向を示した。今国会会期中と執拗に言っていた閣議決定の日程が、安倍晋三の口から先送りが明言された。一見すると、二人の発言は平仄が合っていて、示し合わせて地球の裏側の別々の地から同じことを発信している。だが、ここで注視しなくてはいけないのは、5/2の朝日1面の記事だ。これは安倍晋三が書かせたもので、集団的自衛権の政局の主導権を握るための強硬論のぶち上げだった。5月中に「政府方針」をまとめて会見で発表する、6/22の会期末までに閣議決定する、という当初戦略の念押しのブラフである。

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by yoniumuhibi | 2014-05-06 23:30 | Comments(13)

解釈改憲をめぐる政治状況 - 岸井成格の旋回と辺見庸の左翼批判

c0315619_175671.jpg集団的自衛権の問題について、今回、私は専らそれを政局論として論じている。憲法論や政策論の視角から記事を書いていない。なぜなら、もうこれまで十分に論じてきたからであり、何か付け加える必要のある論点などないからだ。自民が、この解釈改憲の強行の正当化のために、砂川事件の最高裁判決を持ち出してきたことなど、全く噴飯で話にならない。真面目に反論する価値などない。かと言って、いわゆる護憲派の左翼陣営の一人になって正統の論を張ろうという気も起こらない。その理由はいろいろあるが、今年の憲法をめぐる議論の状況を見るかぎり、マスコミの世論調査も含めて、護憲派の方が優勢になっているからであり、天邪鬼が身上の私としては、多勢に与して声を張り上げるモチベーションが起きないことがある。今年は、NHKや日経の世論調査で護憲派が急速に拡大している。日経の世論調査では、調査を始めた2004年以降、初めての出来事として護憲と改憲が同率で並んだ。昨年はダブルスコアで改憲が多数で、改憲が過去最高の比率であったにもかかわらずである。世論が護憲の方向にシフトしていることは疑いない。その現状について、安倍晋三の解釈改憲の暴走に危機感を感じ始めたからとか、チェックを求めるバランス感覚の発動だとか、解説や分析はさまざまにできる。だが、私はそうした評論をする気になれない。この世論の変化と傾向を無邪気に歓迎する気にもなれない。 

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by yoniumuhibi | 2014-05-05 23:30 | Comments(3)

憲法記念日に考える集団的自衛権の政局の行方 - 世論と公明

c0315619_16571161.jpg今年の憲法記念日は、集団的自衛権をめぐる改憲問題で論議が高まっている。昨日(5/2)の朝日の1面トップに、今月中旬に北岡伸一の安保法制懇が報告書を提出した後、安倍晋三が行使容認の「政府方針」を発表、今国会中に閣議決定を目指すという記事が出ていた。官邸リークを朝日が書いた記事で、読み方には注意と分析が必要となる。これは、集団的自衛権については妥協せず計画どおりに断行するという安倍晋三の執念を示したもので、特に公明と自民の慎重派にあらためて強い意思を伝えた念押しの政治だ。集団的自衛権については、4/2の夜、幹事長の石破茂が、公明との調整の難航を理由に閣議決定の先送りを安倍晋三に提案していた。また、4/22にアーミテージが石破茂と会談、「急ぐ必要はない」と言い、日米防衛ガイドライン再改訂も年末の納期に拘らなくていいというサジェスチョンを与えていた。こうした状況の中で、先送りの観測が広がり始めたため、官邸が新聞記者を使ってそれを打ち消す情報を流し、強気のスケジュールを示したのである。閣議決定の前に、これを「政府方針」の形にして、5月中に記者会見で発表する。公明との調整が完全につく前に、行使容認の「政府方針」をまとめ、テレビ会見で直接発表し、国民に支持を問うという進行が想定されている。公明が合意をする前に、フライングで既成事実を固めようという思惑だ。

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by yoniumuhibi | 2014-05-03 23:30 | Comments(1)

セウォル号の事故によせて - 韓国の船長逃亡と日本のSPEEDI隠し

c0315619_1630187.jpgセウォル号の事故で、韓国の社会がひどく傷つき動揺している。その様子が、昨夜(4/30)のNHKのニュースで紹介されていた。韓国の人々はとてもプライドが高く、その分、失敗や失態のときに大きく傷つき、それを自虐的な表現や態度であらわす性向を持っている。「三流国家」という新聞の論調もそうだろう。韓国らしいなと思って見ながら、その韓国社会の傷つき方に、何か、一つの救いと言うか、社会全体の精神の純粋さのようなものを感じ、そこに考え入ってしまう。官僚主義でボロボロになった行政、無責任で何も有効な対処ができない救助当局、拝金主義の窮極と倫理の崩壊、格差社会の不条理。その犠牲になって海に沈んだ子どもたち。韓国の人々は、自分がどうすることもできなかった無力感に苛まれ、このような社会や国家に至ったことの絶望感に打ちひしがれている。丸山真男が「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」で残した言葉、「そうした心の傷つき自体が人間の尊厳の楯の反面をなしている」という「精神の弁証法」(岩波文庫P.321)の話を思い出す。「自分の弱さが過ちを犯させたことを正面から見つめ、その苦しさに耐える思いの中から、新たな自信を汲み出して行く生き方」(同 P.322)の意義を丸山真男は説いた。韓国の人々が、絶望の中から社会のあり方を根本的に反省し、人の生命と安全が最重視される社会へと改造することを期待したい。その「革命」に希望を見出したい。 

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by yoniumuhibi | 2014-05-01 23:30 | Comments(5)


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