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米国の自意識の肥大と東アジア外交 - 朝日の冷泉彰彦の記事から

c0315619_17123763.jpg1週間前、朝日のオピニオン面(17面)に冷泉彰彦のインタビューが載っていた。1年前に主筆だった若宮啓文が退任した後、オピニオン面の内容がすっかり面白くなくなり、目を通すどころか、紙面を捲り進むことすらなくなっていたが、この記事には目が止まって活字を追いかけた。米国が現在の中国と日本をどのように考えているのか、それを知る一つの手がかりになると思えたからである。その内容を紹介する前に、私の問題意識や関心の所在を整理をしないといけない。まず、Blogでずっと論じてきたこととして、米国の東アジア政策には大きく二つの立場があり、二者間の複雑な対立と暗闘の中で日々の対日政策がオペレーションされているという認識がある。第一は、大国として影響力を増す中国とWinWinの協調関係を組み、G2体制で国際政治を運営して行こうとするリベラルな方向性であり、第二は、中国を倒すべき敵と見なし、日本の右翼化をドライブして中国に嗾けさせ、軍事的な緊張を煽って中国封じ込めの圧力を高め、共産体制の崩壊まで持って行こうとするネオコンの方向性である。前者のシンボルとしてバイデンの顔が浮かび、後者を代表としてジャパン・ハンドラーズがいる。そして、両者の緊張関係の中で、米国の国力低下の趨勢と、右翼日本の過激な暴走と、中韓および中台の接近の状況を踏まえつつ、米国は今年もう一度、中国とG2サミットを持つのではと予想していた。 

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by yoniumuhibi | 2014-02-28 23:30 | Comments(6)

脱原発と新自由主義 - 米国型を拒絶し排除する左翼の脱原発運動

c0315619_154334.jpg一昨日(2/25)、新しいエネルギー基本計画の政府案が出され、マスコミで大きく報道された。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、規制委の審査をパスした原発は「再稼働を進める」と明記している。さらに、「核燃料サイクルを推進する」と言い、高速増殖炉「もんじゅ」の維持まで入っている。新規増設の可能性も残した。3.11の事故から3年の日を前に、まさに原発の復活と推進の方針が堂々と宣言された恐ろしい内容だ。反動の極みである。もともと、この基本方針は1月に出される予定だったが、都知事選が入る日程となったため、脱原発が争点になりそうな状況となり、叩かれて不利な材料になるのを恐れた安倍晋三が、発表を選挙後に遅らせた事情があった。もし都知事選で一本化が成功し、細川護煕が勝利していたなら、政権はこのような基本方針を出すことはできず、発表も先送りになっていたに違いない。政治戦で敗北した結果だ。この基本方針は3月中に閣議決定される。先週、この基本方針の発表を前に、規制委が再稼働を認める原発について、審査に順位をつけて1-2か所を絞り込むという報道が出た。これは、経産相の茂木敏充が2/18に催促の圧力をかけて、規制委員長の田中俊一が2/19に従順に応じたものだ。報道では、2-3週間後に「1-2か所」が特定がされるとある。おそらく、伊方、玄海、川内あたりから選ばれるだろう。

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by yoniumuhibi | 2014-02-27 23:30 | Comments(6)

左翼の政治暴力 - 内ゲバのときに平常者が凶悪な暴徒に変身する

c0315619_1341178.jpg今回の都知事選の政治には、さらに幾つかの見逃せない重要な問題がある。その一つは、宇都宮健児を支持して叫喚した左翼集団による恐ろしい政治暴力だ。一本化を訴える者たちに対するネットでの口汚い罵りと貶めと嘲り、さらに卑劣で狂暴な嫌がらせと誹謗中傷の行為は、投票日が近づくほどに激しくなり、集団的狂気となってエスカレートし、全く歯止めの利かない異常なヒステリー状態に極まっていた。鎌田慧に対しては、著書をゴミ箱に投げ棄てろという焚書運動が起こったが、選挙から2週間が過ぎた今でも、裏切り者の巨魁として糾弾の袋叩きが続いている。私も、無名ながら「一本化論者」の末席にいたらしく、そのため、「一本化」の粉砕と殲滅に燃えるゴロツキ左翼の標的となり、苛烈で執拗な嫌がらせを受ける羽目となった。「死ね」の脅迫を含め、怒濤のようなリンチ攻撃の集中砲火を浴びる日々が続いた。暴行に加わった面々は、匿名の者もいれば実名の者もいる。その手口は、ネット右翼のヘイトスピーチと全く同じであり、ネット右翼の野蛮と狂気の相似形が左翼に出現した感が強い。その一人一人を観察してみると、ネット右翼の特徴として指摘されているように、普段はおとなしい市民であり、正常な理性と良識の持ち主である。精神異常者でもなく、癇性で偏狭な性格の人間でもない。むしろ、左翼一般らしく、弱者の味方に立った正論の主張を唱えている。その者たちが、まるでオウム真理教のように過激な凶徒に化けて次々と襲ってきた。

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by yoniumuhibi | 2014-02-25 23:30 | Comments(5)

集団的自衛権をめぐる政治情勢 - 澤地派と宇都宮派の路線対立

c0315619_175434.jpg集団的自衛権(解釈改憲)の議論が国会で佳境となっている。昨夜(2/20)も報ステのニュースで取り上げられ、岡田克也の質疑と安倍晋三の答弁の様子が紹介され、惠村順一郎が解釈改憲に断固反対のコメントを発していた。正論だ。公明の山口那津男は、2/18の記者会見で「今国会での結論は困難」と述べている。朝日の記事は、「安倍政権が目指す今国会中での行使容認に難色を示した」と書いていて、こうした報道を見ていると、どうやら集団的自衛権の解釈改憲は先送りになるのではないかという予断を持つ。安心した気分に流れる。しかし、新聞記事はよく読まないといけない。こうも書いている。「山口氏は『報告書が出れば、最終的に政府・与党でコンセンサス(合意)をつくる努力をする。ことは憲法レベルの問題。しっかり議論をしていきたい』と語った」。つまり、北岡伸一の報告書が出たら、そこから合意作りをすると言っている。同じ2/18の井上義久の発言でも、集団的自衛権の行使について、「真っ正面からこれを否定しているわけではない」と言っていて、マスコミは、公明の態度の軟化を報じていた。どういうことなのか。注目すべきは、「今国会」という言葉だろう。山口那津男の言う「今国会」とは、すなわち「通常国会」の意味で、6/22までの会期150日間の国会のことだ。4月に安保法制懇の報告書が出ても、すぐに閣議決定はさせないぞという意味である。

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by yoniumuhibi | 2014-02-21 23:30 | Comments(20)

映画「小さいおうち」 - 日常の中で描かれる静かでリアルな戦争

c0315619_15452753.jpg山田洋次の映画『小さいおうち』を見てきた。ベルリン映画祭での黒木華の銀熊賞受賞のニュースがあり、それが動機づけとなって映画館に足を運んだ。山田洋次らしい佳作であり、戦争の描き方が素晴らしく、ぜひ見ていただきたいとお薦めする。要するに、言いたいのはそれだけだが、ネットの中に散らばっている幾つかの感想を読んでみたところ、どれも私が感じたものとは違うので、思いきって独自の解釈と解説を試みることにした。まず、大事な点は、この映画は原作とは違うということで、この点をはっきりさせる必要があるだろう。原作はあくまで映画の素材であり、物語そのものも原作の小説とは違う中味になっている。山田洋次が物語を作り変えている。だから、先に原作を読んで、原作のドラマが映画で再現されていると期待して見ると、きっと違和感を覚える結果になってしまうのだろう。原作を読んでない私が、このようなことを言う資格があるかどうか甚だ自信がないが、山田洋次が映画で見せている物語は、中島京子の小説とは別のものだ。大事なポイントから先に言うと - あくまでネットで知り得た情報だが - 原作では、あの日、タキ(黒木華)が時子(松たか子)の手紙を持って板倉(吉岡秀隆)の下宿に行った後、板倉は実際に時子の家(小さいおうち)を訪ねて来ている。時子と逢瀬している。この情報を知ったときは驚いたが、だとすると、映画と原作とは全く違う話になる。

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by yoniumuhibi | 2014-02-19 23:30 | Comments(5)

左翼の壊死 - ミネルバの梟、大江健三郎と辺見庸、ノーサイド

c0315619_16121564.jpgミネルバの梟は夕暮れに飛び立つ。丸山真男は『日本の思想』の中でこう書いている。「一定の歴史的現実がほぼ残りなくみずからを展開し終わったときに哲学はこれを理性的に把握し、概念にまで高めるという(ヘーゲル主義の)立場を継承しながら、同時にこれを逆転させたところに(マルクス主義は)成立した。世界のトータルな自己認識の成立がまさにその世界の没落の証となるというところに、資本制生産の全行程を理論化しようとするマルクスのデモーニッシュなエネルギーの源泉があった」(P.39)。人間主体が概念の力業によって、その対象の構造と運動を正確に捕捉し終えたとき、その対象の没落と終焉が必然化され、弁証法的な止揚の運命を突きつけられる。戦後日本の左翼の壊死。昨年末からの宇都宮健児の選挙の諸過程は、それを概念化し理論化して提示する上で十分な素材を提供していると思われる。結論から言って、宇都宮健児の立候補と一本化拒否は、市民に対する裏切りであり、戦争へ突入しようとする安倍晋三の権力への左側からの幇助と加担の政治的行為だ。左翼は自らそれを選択し、正当化し、その政治を強行し、その錯誤を阻止すべく動いた市民や知識人を乱暴に排除し封殺した。卑劣な脅しをかけて屈服させようとした。<業界左翼>、<東京左翼>、<学閥左翼>の三範疇が広く人口に膾炙されるとき、「左翼の壊死」は確信となり通念となることだろう。

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by yoniumuhibi | 2014-02-18 23:30 | Comments(6)

左翼の壊死 - <業界左翼>、<東京左翼>、<学閥左翼>の諸範疇

c0315619_11192111.jpg左翼の壊死。この事実を納得的に了解するためには、いくつかの表象を要素として思考することが必要になる。それは、<業界左翼>と<東京左翼>と<学閥左翼>である。それぞれ、定義して説明することが容易ではない言葉だけれど、何を言わんとしているのか、どのような対象を指しているのか、これまでの経験や見聞の中で、それとなく察知され、見当をつけることができる者は少なくないだろう。<業界左翼>も、<東京左翼>も、<学閥左翼>も、どれも否定的なニュアンスの政治言語である。今回の、宇都宮健児の強引で不合理な出馬劇、それを後押しした左翼政党の倒錯と異常、そして一本化拒否のヒステリーと集団狂気について、何が起きたのか、どうして起きたのか、全体の意味を理解しようと試みるとき、<業界左翼>、<東京左翼>、<学閥左翼>の諸表象が役に立つと思われる。これらの表象は、さしあたっては手探りの感触でアプローチされるものだが、言語的に中味を埋め、広く人口に膾炙されるところにまで一般化し、政治学的に有効な範疇に仕上げることが求められている。<業界左翼>。この表象については、前回、関曠野の言説(窓社)を紹介した。したがって、この表象は、すでに一般的な認識を多くが共有している。左翼批判、あるいは左翼の自己批判の一般論として定着している。ただ、言わなくてはいけないのは、1992年の関曠野の時点よりも、その腐食と劣化と不全が極まっていることだ。  

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by yoniumuhibi | 2014-02-17 23:30 | Comments(3)

左翼の壊死 - 戦争とファシズムの時代に突入した歴史的転換点

c0315619_17453924.jpg今回の一連の政治を見て、私は「左翼の壊死」という言葉を思いつき、あてがって使おうとしている。棘のあるドラスティックな言葉だが、意味のある表現を得た気分でいて、ここにもう少し言語的な中味をつけて、人の共感する、説得力のある概念に近づけられないかと思ったりする。さしあたり、それは嗅覚で感じ取った政治現象である。臭いの正体について確信はあるが、こんな臭いだと人に説明して理解を得るのは難しい。一連の政治とは、昨年末の澤藤統一郎の告発事件、宇都宮健児の出馬と社共の推薦、脱原発での一本化の拒否、左翼の怒濤のネガキャンと罵倒、そして惨敗となった選挙結果の全体を指す。これらの政治を演じている集団や組織に対して、私はこれまで、「左翼」という否定的な言葉はあまり使ってこなかった。したがって、「左翼の壊死」という着想と発語に及んだことは、直観的な発見であると同時に、過去からの経験を総括した一つの断念でもある。ここで思い出すのは、あるいは、その嗅覚に作用したかと思われるのは、1992年の関曠野の『左翼の滅び方について』(窓社)である。1991年にソ連邦崩壊があり、当時、論壇で「左翼の滅び方」論争らしきものが微かに流行した。特に人の記憶にとどまる印象は残していない。私自身は、この言葉遣いに積極的に馴染めず、議論に関心を持って接近することはなかった。同じ1992年、なだいなだが一冊の岩波新書を出している。

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by yoniumuhibi | 2014-02-13 23:30 | Comments(15)

一本化派と反一本化派の死闘 - 誰が勝者で誰が敗者なのか

c0315619_18162576.jpg都知事選の開票結果が出た直後から、宇都宮健児の支持者たちによる「一本化は間違いだった」とする轟音が喧しい。彼らの言い分によれば、2位につけたのは宇都宮健児であり、それに及ばなかった細川護煕は元々「勝てる候補」ではなく、したがって、細川護煕を「勝てる候補」として担ぎ、宇都宮健児に降りろと迫った一本化論は誤りで、一本化論者の誤りが証明された結果なのだと言い上げる。2/9夜から2/10にかけて、宇都宮健児を支持した者たちのTWには、このように勝利の興奮と高揚に溢れたものが圧倒的に多く、落選して敗北した悔しさを滲ませるものは皆無に近かった。宇都宮健児の選挙は、徹頭徹尾、2位につけることを目標にした選挙で、敵は舛添要一ではなく細川護煕だった。自らの出馬の正当性と、一本化を拒否した政治的正当性を証明するための選挙だった。その総括を出し、自らの正当性を誇示するためには、細川護煕を上回る得票の結果を出さなくてはならない。その意味では、彼らは確かに勝利したと言えるのだろう。彼らの立場に内在すれば、達成感はよく頷ける。だが、少し冷静に考えれば、この結果が、決して宇都宮陣営の勝利ではないことに気づく。都民が知事にしたのは舛添要一である。自民が推薦して応援した候補だ。宇都宮陣営が、細川護煕を非難する際に有効な武器として使った戦略特区についても、舛添要一は当然ながら安倍晋三の意向どおり導入を進める。

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by yoniumuhibi | 2014-02-12 23:30 | Comments(12)

最悪の結果となった東京都知事選 - 細川陣営の敗因を総括する

c0315619_17592790.jpg2/9に投開票された都知事選は、マスコミが事前に情勢報道していたとおりの結果になった。細川護煕と宇都宮健児の票は、きれいに二つに割れ、両方を合算しても舛添要一に届かないという惨敗に終わっている。昨夜(2/8)のテレビでも今朝の新聞でも、脱原発が争点にならなかったことが大きく報じられ、都民が脱原発を争点として選ばなかったことが、細川・小泉の敗因に繋がったと総括している。この意味づけに対して有効な反論を返すことは難しい。脱原発は支持されなかった。昨夜の石原伸晃のコメント等を聞いても、政権側が、今回の民意と審判を根拠に、「脱原発は時間をかけて」、「安全と判断された原発は再稼働を進めて行く」、という方針と姿勢を強めるのは明らかだ。残念なことに、脱原発の候補を一本化した選挙に持ち込むことができず、脱原発は争点から外される構図となり、脱原発の意思が否定された選挙結果となった。民主主義は多数決が原理であるから、この有権者の多数意思を都民(国民)は尊重しなくてはならない。断腸の思いだ。また、一昨年末の衆院選、昨年夏の参院選、今回の都知事選と、三回続けて「脱原発」は争点となることなく、景気や雇用やといった通常の関心事項の脇に追いやられる結末となった。TWにも嘆きを書いたが、おそらく、今後、永久に「脱原発」の民意が証明される政治機会はなく、日本人は主体的に脱原発を決断することはないだろう。 

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by yoniumuhibi | 2014-02-10 23:30 | Comments(18)


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