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日米地位協定見直しがあるのなら、日韓請求権協定見直しもある

日米地位協定見直しがあるのなら、日韓請求権協定見直しもある_c0315619_14341955.pngNHKの世論調査のグラフを見ると、今年になって安倍政権の支持率がずっと高い状態で推移していることに気づく。昨年1年間は支持と不支持が拮抗する状態が続いていた。国会論戦で高プロの問題が焦点になり、裁量労働制をめぐって厚労省のデータ捏造が暴かれてマスコミから叩かれた4月から6月の時期は、不支持が支持を上回る数字になっていた。大雑把に、2017年から2018年の2年間は支持と不支持がほぼ同率で接近していて、安倍政権への支持と不支持は国民の間で半々という意識が定着していた。モリカケ問題が執拗低音の威力となっていた。その前の2016年は、今年と似たグラフの形状を示していて、支持が不支持を10ポイント上回る世論構図が固まっている。2015年は安保法制の政局の年で、支持と不支持が交差拮抗していることが分かる。2016年に安倍政権の支持が再び高まった原因は、北朝鮮による2度の核実験と4年ぶりに行われたミサイル発射実験の影響が大きい。



日米地位協定見直しがあるのなら、日韓請求権協定見直しもある_c0315619_14280822.png翌17年にも核実験とミサイル発射実験が連続し、これがそのまま「国難」解散の大義となって安倍晋三の衆院選勝利を導いた。その前の2013年と2014はずっと支持が高い状態が続いているが、これは明らかにアベノミクスへの期待の反映で、マスコミのアベノミクス宣伝の賜物に他ならない。現在、アベノミクス効果はすっかり枯れ萎れていて、アベノミクスは安倍政権の支持率に寄与しておらず、選挙でも有利な材料になってない事情は明らかだ。アベノミクスの神通力が消え、北朝鮮情勢もトランプのせいで支持率維持の打ち出の小槌として活用できなくなったのに、どうして今年これほど支持率が高くなるのだろう。今年は安倍政権の7年目で、国民の間に長期政権への飽きと倦みが来ていて、7月の参院選の様子を見ても、政権の生命力が嘗てと較べて衰弱してる点は否めない。だが、マスコミの世論調査はアベノミクス全盛の頃の勢いを示していて、何かが支持率を勃起させるED薬になっていることが分かる。言うまでもなく韓国問題だ。


日米地位協定見直しがあるのなら、日韓請求権協定見直しもある_c0315619_15442655.png今年の韓国問題は、2016年の北朝鮮問題と同じ効果を世論に与えていて、この刺激と操縦によって政権浮揚が果たされている。まさか、こんなものを支持率向上装置に使うとは想像もできなかったが、実際にそれをやって成功を遂げている。年初からのマスコミの韓国叩きはヒステリーの度を下げることなく、逆にボルテージを上げ、どんどん韓国を挑発し、韓国の反発を誘発して巧みに憎悪対象の絵を作った。それをテレビで反復して流し、国民の征韓ナショナリズムの感情的昂奮を高め、ほとんど生活習慣のような、まさに不可逆的な日常にセメント化してしまった。武藤正敏がテレビに出ない日はない。マスコミが煽り、国民の感情を漬け込み、毎日の定食のように「数時間憎悪」している韓国叩きは、弱い者いじめのサディズムの性格すら漂う。苛めて、相手が嫌がったり反発するのを悦楽している部分がある。日本人の多くが平素ストレスを抱えて苛々し、鬱憤を晴らすスケープゴートを求めていて、マスコミと世論と政治が総がかりで韓国叩きする夏祭りの狂宴となっている。


日米地位協定見直しがあるのなら、日韓請求権協定見直しもある_c0315619_14295182.pngその祭りが盛り上がれば盛り上がるほど、自動的に安倍晋三の支持率が上がる仕組みになっている。現在、政府とマスコミが「安全保障上の輸出規制」だと嘘を言って正当化している禁輸措置は、参院選のときは、安倍晋三は堂々と報復の経済制裁だというニュアンスで発言していた。その意図を積極的にアピールし、保守層(と今では呼ばれる右翼層)からの集票の掘り起こしに努めていた。さらに思い出せば、あの日本海でのレーダー照射事件があった後、プライムニュースのスタジオに出張った新藤義孝らが(松川るいもいたかもしれない)、自民党の部会で協議して、半導体生産材料の禁輸を対抗措置とする案を検討中だということを明言していた。経済制裁として有効だと目的を説明し、韓国経済に打撃を与えるに十分な一手だと豪語していた。年末から年始にかけての時期である。最近になって、それはまず経産官僚が考案して官邸に具申した策だということが明らかになっている。プライムニュースでその話をしていた頃は、まさか現実のものになるとは予想していなかったが。


日米地位協定見直しがあるのなら、日韓請求権協定見直しもある_c0315619_15594624.pngその後、7月1日に正式に3品目の輸出規制が発表され、韓国側の反撃が始まり、参院選へと雪崩れ込んで行く。マスコミに登場する論者たちは、悉くこの経済制裁を正当化して、当然の措置であると断言した。そのため、3品目禁輸からホワイト国除外まで、一連の安倍晋三による韓国経済制裁は世論調査で圧倒的な支持を獲得する結果になっている。また、河野太郎が韓国大使を恫喝した一件も、経産官僚が韓国の官僚を物置部屋のような一室で応対して侮辱した一件も、日本のマスコミは批判することなく当然視して報道した。日本のマスコミは、それを経済制裁だと言わず、報復措置だとも言わず、輸出管理上の通常の手続きに過ぎないと言い張る安倍政権の言い分をそのまま復唱する。詭弁を正論として認めて政府を応援する論調に徹した。池田伸子や桑子真帆が何食わぬ顔でそう言いのけ、国民に向かってこの措置は正しいと政府を代弁した。池田伸子や桑子真帆の欺瞞は、岩田明子以上に醜くて許せないものだと言える。内面に痛痒はないのだろうか。良心の呵責はないのか。


日米地位協定見直しがあるのなら、日韓請求権協定見直しもある_c0315619_14293270.png日本側の一方的な報復制裁から始まる今回の通商紛争は、韓国では経済戦争と呼ばれている。この経済戦争は、明らかに日本の侵略戦争であり、何も正当化できる根拠や理由を持たないものだ。トランプの中国やイランに対する超法規的な攻撃手法を真似た独善的で卑劣な行為である。だから、最初の頃は、あの岡本行夫すらサンデーモーニングで筋が悪いとして反対意見を垂れていた。マスコミに登場する論者やキャスターがこの経済制裁を正当化する論法は、韓国が徴用工問題の対応で1965年の日韓請求権協定を違反したというもので、国と国の約束だから絶対に守らなくてはいけないという言説である。けれども、それを言うなら、1960年に結んだ日米地位協定は、われわれは、現在のまま一字一句変えることなく、未来永劫に不具合な内容と不平等な関係を厳守しなくてはならないのだろうか。裁判権や捜査権の治外法権の是正を始めとして、日米地位協定を根本から見直す必要というのは、日本の世論でも大半が賛成だったはずで、民主党が政権交代した際は公約に上がっていた。


日米地位協定見直しがあるのなら、日韓請求権協定見直しもある_c0315619_14305302.png日本国民は日米地位協定の改定あるいは破棄を求めている。それは当然で正当で必然的な主張だろう。日米地位協定は国と国の約束だから、絶対にその規定を破ってはいけないなどと唱える者はいない。韓国からすれば、1965年の日韓基本条約と付随する請求権協定は不平等条約なのであり、軍事独裁政権が国民不在のまま日本と取引して結んだもので、改定あるいは破棄を実現しなくてはいけない負の遺産だ。2002年の日朝平壌宣言に書かれた趣旨と精神に基づくところの、本来の日韓平和友好条約へと止揚しなくてはいけないものだ。そのことを正しく踏まえれば、韓国側の日韓請求権協定に対する不満も頷けるし、消滅していない元徴用工個人の請求権にどう対処し調整すればよいかという問題も、韓国側に歩み寄った立場で理解し認識することができるはずだ。一度締結した条約協定だから永久不滅に拘束されるなどということはない。不都合があれば改定してよい。条約があって二国間関係があるのではない。二国間関係が目的で条約は手段だ。

神聖不可侵なものではない。日本の国益にとって韓国との関係が重要であるなら、韓国側の要望を素直に受け止めて、見直しに合意すればよいではないか。


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by yoniumuhibi | 2019-08-21 23:30 | Comments(3)
Commented by 長坂 at 2019-08-22 08:49 x
日帝の後始末は日本人がきちんとつけるべきで、新日鐵住金をはじめ、三菱重工業、IHI、東芝、日産自動車など約70社(韓国側のリストだと299社)は速やかに基金を設立して、賠償すべきだと思います。孫さんを殉教者にする前に鳩山さんあたりに動いてもらったらどうでしょう。昨日のTWではコムデギャルソンが技能実習生を搾取していたというBBCのニュースクリップ(?)が話題になっていました。コムギャル側は下請け会社がやった事で関係ないという反応でしたが、グローバルに活動する高級ブランドとしてはかなりのイメージダウンだと思います。過去に重大な人権侵害を行った企業が正式に謝罪せず、極右政権に言われたからと頑なに対話を拒み、犠牲者が亡くなるのを待つ卑怯で卑劣な企業と世界から認識されている事に該当企業はもっと真剣になるべきです。
Commented by 愛知 at 2019-08-22 19:15 x
「私をレイプした強姦犯が18年間逃げ続けられる日米地位協定を変えなくてはいけません。」「米軍が犯罪責任を逃れるようなことは、もう終わりにしなければなりません」今回記事に写真があったキャサリン・ジェーン・フィシャーさんの先月、第41回国連人権委員会での演説の一部。視聴回数はわずかですが、演説は日本語字幕付きでYoutubeにアップされていました。タイトルは、Rape Victim Speaks At United Nations。日韓軍事情報協定、破棄の件、韓国としては実際に国益がないんでしょうね。米国から言われれば何でも従うと思い込んでいた日本の右派の動揺は本当に見苦しい限り。いつも正鵠を射たご教授に感謝。
Commented by かばちゃん at 2019-08-30 23:10 x
改正について規定がある日米地位協定と、完全かつ最終的な解決を宣言した日韓請求権協定は全く質が違います。例えるならば、賃貸借契約と売買契約の違いのようなものです。マンションを借りる場合は賃貸借契約を結び、マンションを購入する場合は売買契約を結びます。賃貸借契約の場合は、居住している間に契約条件を変更することがありえますが、売買契約の場合は、購入が完了し居住を始めた時点でもはや契約条件の変更はありえません。


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