中途半端だった立憲民主党の選挙 - 真の勝者は連合の神津里季生か

c0315619_13065231.jpg選挙の結果が出て、マスコミが予測したとおりの各党の議席となった。あまりにも正確に一致していて、誤差がなく、意外な結果にならなかったことに退屈さを感じてしまう。躍進した立憲民主党について言うと、枝野幸男は、もっと強くリベラル色を打ち出すべきだったし、候補者を200人以上並べて戦うべきだったと思う。改憲3分の2を阻止する目標を立て、それを争点にして国民の支持を呼び込むべきだった。そうすれば、モメンタムを起こして100議席以上を獲得できただろう。実際、民進党の県議や市議や、あるいは有志が、公示前の10月第1週に長妻昭のところへ立候補の申出を殺到させていた。枝野幸男は、せっかく爆発しかけたモメンタムを自ら潰す動きに出て、「枝野原則」なる意味不明」な方針を発表し、立候補者をわずか78人に限定してしまい、最初からこじんまりとした、そして単に民進党が継続すればいいかのような動機が丸見えの、魅力のない新党の表象にして有権者の期待を萎ませた。もっと野心的に議席獲得の挑戦に出て、女性を中心としたところの清新で有能な著名人をリクルートして候補者に並べれば、立憲民主党はこの選挙でサンダース的な革命を起こすことができていたと思われる。



c0315619_13070998.jpg実際に当選した立民党の議員の顔ぶれを見ると、どれもこれも手垢まみれの無能な民進党議員ばかりで脱力させられる。中身は旧態依然そのものだ。資金とか時間とか、条件の制約でやむを得ない面はあったとはいえ、立民党の選挙は中途半端だった。結局、立民党は劇的なブームを盛り上げるところまで行かず、投票率を上げる地殻変動を起こせなかった。冷静に客観視すれば、民進党が左派と右派の二つの政党に分かれ、それぞれが50議席ほどを得た図に終わっていて、何やら泰山鳴動してネズミ一匹のしらけた雰囲気が漂う。テレビを見ていると、枝野幸男と長妻昭と福山哲郎の三人組が投票日翌日に連合詣でに行き、入れ替わりに前原誠司が連合本部を訪れて挨拶し、まるでこの二人が公明党の代表で、神津里季生が創価学会の池田大作になったようだ。巨人の監督と渡辺恒雄の関係になっている。連合はいつからこんなに偉くなったんだろうか。選挙に勝った真の勝者は連合であり、ほくそ笑んでるのは、権謀術数の駆使で共産党を議席半減へ導いた神津里季生なのではないか。そう思えてしまう。連合にとっては、議席数全体を首尾よく守り、願ったり叶ったりの選挙結果だろう。

c0315619_13082841.jpgとはいえ、左派と右派のバトルについて言えば勝負は明白で、謀略に出た右派は返り討ちに遭って完敗となった。左派切りによって保守二大政党制を確立させ、スムーズに改憲へ運ぼうとした前原誠司らのマヌーバーは失敗し、有権者の鉄槌を食らって、再起不能な状況に追い込まれたと言っていい。選挙直後にマスコミは世論調査を発表する。この結果を受けての各党の支持率が出る。おそらく、躍進した立民党は15%近い支持を集め、野党第一党としての存在感を際立たせるに違いない。逆に、希望の党は5%以下に落ちることが予想され、両者の明暗が選挙結果以上にくっきりする進行になるだろう。小池百合子も前原誠司も博打に出て大敗した。小池百合子の場合は、昨年の都知事選から今年夏の都議選までに築いた資産をすべて賭場に張り、それを一発勝負のサイコロで失ったと言ってよい。例のレバレッジを利かせた無謀な借金での金融投機みたいなもので、これから大きな代償を支払わされる。当選した希望の党の議員は元民進党ばかりで、親衛隊となる塾生の新人チルドレンはいない。敗北責任を追及されたらすぐに代表辞任となり、さらに影響が足下の東京都議会に飛び火して、都民ファの中で反乱と分裂が起きるだろう。

c0315619_13080355.jpg枝野幸男は、民進党系の無所属や参院議員や希望の党の議員とは安易には組まないと言っている。だが、この発言は党を立ち上げたときの選挙方針である「枝野原則」とは矛盾する。「枝野原則」とは、民進党から希望の党に移った現職が戦っている選挙区には、敢えて立憲民主党の新人候補は立てないというもので、希望の党に移った議員たちを仲間と見なし、彼らの当選を邪魔しないという方針だった。この方針は、枝野幸男が選挙後半から現在にかけて言っているところの「筋を通す」という原則論とは明らかに矛盾している。将来的に、希望の党に移った議員たちとの再合流が思惑されているのだろうと誰もが考えるし、そう推測する方が合理的だ。最初に書いたように、枝野幸男の新党は結党を発表した瞬間に大きな反響と共鳴を呼び、10月3日の段階で全国から立候補志願者が殺到していて、その事実を長妻昭がマスコミに語っていた。10月3日から4日にかけて長妻昭や枝野幸男にコンタクトして意志を伝えた者は、きっと持参金(供託金)も準備した上での行動だったに違いない。そういう志願者を断って、敢えて枝野幸男は希望の党の選挙を邪魔しないよう配慮したのである。何に配慮したかは明白で、連合に配慮したから志願者を拒絶したのだ。

c0315619_13081604.jpgこの選挙で二つの政党を応援することになった連合の立場と方針に従って、「枝野原則」は出され、それに沿って立憲民主党の選挙は戦われた。オーナーは連合なのだ。10月2日、新党立ち上げを正式発表するとき、枝野幸男はその前に連合会館に足を運んで仁義を切っている。私の推測だけれど、9月28日から29日の時点で、神津里季生は二つの政党を応援する決定をし、前原誠司にそのことを言い、枝野幸男の新党の選挙にも民進党の資金を使わせてやれと、金庫の鍵を握っている前原誠司に指示したのだろう。それを拒否するのなら連合が新党の選挙費用を肩代わりすると言ったのかもしれない。10月の第2週には、新党(立憲民主党)の資金難の話は出なくなり、新党は他の政党と同じようにスムーズに選挙戦を戦っている。前原誠司が折れ、枝野幸男の新党を兵糧攻めで潰す手を諦めたのだろう。であるとすれば、枝野幸男は神津里季生に恩義があり、借りがあり、連合の言うことを聞いて、希望の党から出ている民進党議員の選挙を邪魔しないようにしないといけない。立憲民主党の選挙運動は自治労が大きくサポートしていて、つまるところ、ヒト・モノ・カネのリソースを連合(左派)に頼った初陣選挙に臨む形で新党が立ち上がった。「枝野原則」はここから来ている。

c0315619_13084209.jpg枝野幸男は「筋を通す」と言い、民進党系との合流や結集はないと断言し、マスコミもそう報道しているけれど、オーナーである連合の神津里季生の腹の内はどうだろうか。支援する政党が左右二つあるということは連合にとって望ましい形ではない。当然、立憲民主党と希望の党が元の鞘になることを求め、参院民進党と民進系無所属を合わせた四つの勢力が一つになる方向を頭に描くだろう。連合という組合組織は、「政治改革」に先行して80年代後半にできた組織であり、その目的は、総評を解体し、組合運動から共産党の影響力を排除するところにあった。連合という土台の上に政党である民主党(民進党)が成立していて、民主党(民進党)を - すなわち二大政党制を - 永続化するための選挙制度が小選挙区制である。日本における小選挙区制の導入は、社会党を解体することと共産党を排除することが主眼だった。小選挙区制においては、現実態として、共産党は議席を得られない政党として想定されている。連合と民進党(民主党)とは表裏一体の関係であり、二つがバラバラになることはない。土台が上部構造を規定するという通俗的な法則性に従って言えば、連合が政党に先行するわけで、政党が連合のあり方を規定するのではなく、連合が政党のあり方を規定することになる。

立憲民主党について、私が醒めた見方をしているのは、当選した議員の顔ぶれのせいだけではない。



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by yoniumuhibi | 2017-10-24 23:30 | Comments(7)
Commented by コンセプトライター男子 at 2017-10-24 21:53 x
枝野氏は立憲民主党はリベラルでないと発言してるので、
立憲民主党も所詮は穏健保守政党だろう。
運動もない、思想もない、職業産業別労組支持基盤もない、
そのような反自民新党が英国の労働党や米国の民主党になれるわけない。
英国の30倍供託金は財界と企業別労働貴族組合の「庶民排除協調の門」
なのである。
Commented by 19区 at 2017-10-25 00:05 x
はじめまして。長らく読ませていただいております。

立憲民主のカネについては荒井聰が財務局長として選挙資金を民進党候補者全員に(希望もそれ以外も含めて)配付した旨をFACEBOOKに10月3日に書いていますね。
(ご存じだったらスミマセン)
Commented by 長坂 at 2017-10-25 06:22 x
今回の勝者が高津里季生なら、敗者は希望の支持母体、ハンドラーズなんでしょうか。ジェラルド・カーティスがお怒りで。J Castニュースの記事によると「立憲民主が権力を握れば日米関係は危機」「無所属の野田、岡田、安住、玄葉を取り込め」「安保変えるな、集団的自衛権認めろ」と大変焦ってらっしゃるご様子。アメリカの「希望」がポシャっちゃったから後は脅し、「鳩山の様になりたくなかったら、、、」って事みたいです。
Commented by トモエ at 2017-10-25 09:38 x
自力のみでは戦えない初陣だった。枝野幸男は選挙戦の中で多くのことを学んだと思う。数よりも国民に寄り添うことが力になるなどと語っていた。下部構造が上部構造を規定する、厳然たる真実だろうが、そこを脱皮していくことに期待するのは甘い考えだろうか。「立憲民主党は皆さんです」と言っているのも矛盾かもしれないが、国民に寄り添い、世に倦む日日さんのような優秀な政治センスの方の参加を募り、子育てのように、党を大きく育てながら自分たちも成長し脱皮していく、そんな姿を期待してしまいます。
Commented by H.A. at 2017-10-25 13:58 x
地元の立憲民主党候補者は、選挙区で最下位でしたが比例で復活当選しました。喜ばしいこととはいえ、今後の研鑽に期待されます。候補者が多ければよかったかもしれませんが、後でぼろを出すような実力不足の候補を見極める時間がなかったのかもしれません。そしてここまで支持されるとは思っていなかったのでしょう。希望側は立憲民主に「刺客」をぶつけましたが、立憲側がそうしなかったことで、反則に反則を返さない、フェアなイメージができたかもしれません。また、別れたとはいえ昨日までの同志で、”惻隠の情”があったかもしれません。人を追い詰めすぎると恨まれますが、そうしなかったことで、あの松原仁にも”思いは同じ”と言わしめました。再合流は考えていないと今は言っています。離婚して憎悪だけが残った元夫婦でなく、離婚しても良き友達でいるような関係になったように思います。あまりに通俗的な解釈だとしたらお許しください。
Commented by 読者 at 2017-10-26 09:27 x
維新の代表が「立憲は希望に入れなかった人の党」と見下していましたが、それはともかく、一部の優れた議員(10人いるかどうか)以外は、まさしく希望に入れなかった人の集まりなんですよね。
枝野福山が選挙中に応援に行ったところは、例外もありますが、組合がバックにいるところばかりでしょう。
枝野が、「数合わせと思われると、国民から誤解される」と言っていましたが、今頃気づいたのだとしたら脱力します。民進党の連中が、いかに組合しか気にしていなかったのか、その証左だと思います。
立憲の政策自体は、政治の手法を当たり前のことに戻そうよと言っているだけで、特に目新しさもありません。安倍がひどすぎるから成り立ってるだけで、自民党がアピールが上手な進次郎が前面に出てきたら、あっという間に消えると思いますね。
今回は、真っ先に「希望に行かない」と宣言し、選挙も無所属で筋を通した逢坂氏がさすがだと思ったことと、亀井静香が辻元清美の応援に行き「初の女性総理の可能性があるとしたら辻元」と言ってたのに同意するくらいで、あとは特に見どころもありませんでしたね。
Commented at 2017-10-26 09:40 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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