真の争点は憲法改正 - 改憲阻止勢力が3分の1を取れない憂鬱な選挙

c0315619_15061718.jpg公示前一週間の先週、選挙情勢に変動があり、希望の党の勢いが失速、その分、立憲民主党への支持と期待が増加するという世論の流れが起きた。読売が9日に発表した世論調査でもその傾向が明らかだが、同じく9日にJX通信社が公表した東京都内の世論調査でもさらにこの傾向が顕著に現れている。それを見ると、比例ブロックの投票意向先で、一週間前(9/30-10/1)には29%あった希望の数字が18%にまで減り、立ち上がったばかりの立憲民主党が同じ18%に並ぶという健闘ぶりを示している。先々週、「排除」と「踏み絵」の問題が大きく報道されたあと、小池百合子の人気は凋落の一途を辿り、自らの不出馬と首班指名未定の不具合を衝かれ、また身内の都民F都議の造反と暴露も続き、マスコミから叩きまくられる悪性表象となった。読売の世論調査では、現時点で希望の党が13%、立憲民主党が7%となっている。ネットで囁かれているのは、ここからさらに希望の党の数字が減り、立憲民主党が増え、投票日前には両者がクロスする展開になるのではないかという予想で、選挙情勢を追跡する上で最大の注目点となっている。奇策であった前原民進の小池希望への電撃的な合流は、どうやら失敗に終わった可能性が高い。



c0315619_15070359.jpg先週末の6日、前原誠司の腹心だったはずの玄葉光一郎が、突如、希望の党から離れて無所属で立候補すると表明、さらに8日、岡田克也が民進系無所属候補20名と連携すると言い出し、俄然、この無所属20名に順風が吹いて注目株となる様相となった。この民進系無所属の候補には共産党の下駄票が入る。現在、立憲民主党の公認候補は、第2次の追加で78人を数えていて、無所属の20人を加えると100人近くに上る。希望の党の公認を受けた民進党出身候補(前原派)は110人だったので、遜色のない規模の勢力に成長したと言える。だが、前回の記事で指摘しているとおり、枝野幸男の立憲民主党の選挙はいかにも面妖で、踏み絵を踏んだ裏切り者であるはずの前原派(希望の党)の候補のいる選挙区には候補を立てず、元の仲間を尊重するという「枝野原則」の方式で臨んでいる。そのため、前原派の候補が出ている110の選挙区の有権者には選択肢が与えられておらず、改憲反対の有権者は死票を共産か社民の候補に入れざるを得ない。枝野幸男は、リベラルの表象を演出して左の期待を集めているけれど、決して9条護憲を貫徹しているわけではなく、安保法制についての立場も共産・社民と同じではない。結論を言えば、枝野幸男の想定と戦略では、選挙後の前原派との再合流が企図されている。

c0315619_15074998.jpg選挙はそのヘゲモニー闘争の場なのだ。民進党代表選の延長戦が選挙を通じて行われており、左右二派の路線闘争が火花を散らしている。結局、保守二大政党の夢は幻想として頓挫し、あの両院議員総会で前原誠司の提案を受け入れ、踏み絵を踏んで希望の党に入った右派は、世論が小池叩きに転じた影響で旗色が悪くなり、選別され排除された左派が判官贔屓の日本人の心性を味方にして有利になった。この先、どういう方向になるのだろうか。この選挙は、一から十まで我利我欲の権力闘争の政治劇で、政治家たちの私的な動機でのバトルとマヌーバーに国民が付き合わされている政治の図だ。安倍晋三の大義なき違憲解散もそうだし、小池百合子と前原誠司の国民不在の邪悪な権謀術数もそうである。「枝野原則」の欺瞞と不毛にも脱力させられる。おそらく、選挙結果によって何か新しい政治ブロックの態勢が固まるのではなく、選挙直後から再び醜い政界再編が始動する進行になるだろう。否、それは選挙期間であるこの2週間の間に起きるかもしれない。それは具体的に何かというと希望の党の分裂と解体だ。小池百合子の配下である塾生のチルドレンと、救命船希望丸に乗り移った民進右派集団との間で軋轢が起き、選挙の不首尾について責任の押しつけ合いが始まり、分裂が決定的になるだろう。

c0315619_15081839.jpg最初に民進党を飛び出した水先案内人の連中(細野、長島、etc)は、立場を失って陥没するだろう。選挙後、無所属の20人が接着剤になり、連合の神津里季生が杯をとる形で、希望の党の議員となった右派と枝野幸男との間で手打ちが行われ、二つの集団は元の鞘に収まるのではないか。そうすることによって、民進党の資産(地方組織、口座預金)を小池百合子の略取から守るだろう。泰山鳴動してネズミ一匹。果たして、立憲民主党という名前が選挙後に存続するかどうかも不明だ。岡田克也が党首となるだろうという見方もある。こうして左右の二つの派閥が元に戻るとき、問題なのは、改憲に対するスタンスがどうなっているかという点である。立憲民主党の選挙公約では、2年前に成立し施行している安保法制を前提にした憲法9条の改正には反対だと明言している。これは、岡田克也や蓮舫の民進党が従来から言っていた「安倍首相の下での改憲には反対」の方針と同じだと考えていい。が、しかし、それでは、安倍晋三が政権から離れた場合はどうだろう。あるいは、自民党が、領域警備法案やPKO法改正案など、当時の民進党が修正案として出していた内容を丸呑みして現行安保法制の改正に応じると言ってきた場合はどうなるのだろう。そのとき、果たして立憲民主党はそれを拒絶する態度に出るだろうか。

c0315619_15090275.jpgいずれにせよ、現下の北朝鮮情勢もあり、選挙後の臨時国会では、安保法制と憲法改正が議論の的になることが予想される。選挙時の議論が延長される。そして、元民進党の議員が一つに纏まるときは、それなりの立ち位置をスペシファイしなくてはならない。かかる波乱の局面になったときは、おそらく、立憲民主党と希望の党の二つの間の中間的妥協点が模索される。その中間的妥協点が何かと考えれば、今の立憲民主党が前の民進党の立場と同じだから、従って、自ずとそれよりは右に寄った位置となり、共産党や社民党からは距離を置いた立場になるだろう。私の推測するところ、今度の選挙で自民党が議席を維持するか拡大させた場合は、改憲論議が一気に進み、右派を再回収した立憲民主党も、右の世論の流れに押されて改憲に前のめりになるに違いない。逆に、自民党が議席を大きく減らし、40議席を失う敗北となった場合は、党内で安倍晋三の解散に対する批判が強まり、公明党の圧力も加わって、安倍晋三が改憲日程を断念させざるを得なくなるだろう。発議に一直線という環境ではなくなる。改憲を前面に打ち出した選挙で自民党が40議席減らせば、それは民意でNoの審判を受けたことになる。逆に、自民党が300議席を越える圧勝になれば、改憲に賛成の民意が出たとマスコミに総括されても仕方がない。そう意味づけされる。

c0315619_15091248.jpg現状、立憲民主党と共産党がどれほど頑張っても156議席に届く可能性はなく、改憲勢力が3分の2を越える事態を阻止することはできない。そのため、自民党が議席を減らすことだけが護憲派にとっては救いの道となる。が、選挙情勢は、主役となった立憲民主党と希望の党の骨肉の争いに構図と関心が移っていて、脇役となって背後に隠れた自民党が小選挙区で漁夫の利を得る仕掛けになってしまった。希望の党が目論んでいた議席を減らすと、その分が自動的に自民党に積み上がるという形になっている。マスコミの世論調査でも自民党の比例投票先意向率は盤石で、敗北とか後退という予想はほとんど見当たらない。残念ながら、護憲派としては、かなり厳しい覚悟を強いられる憂鬱な選挙となった。今度の選挙の争点は憲法改正である。公示日を過ぎると、テレビは型どおりの政党間ディベートの番組をやり、消費税がどうだの、教育と社会保障がどうだの、原発がどうだのと退屈な論戦を視聴者に見せる。少し考えれば誰でも分かることだが、消費税10%の増税時期は2年も先で、その前に参院選も控えている。今、各政党が言っている政策が2年先も同じまま続くとは、政治を少し知っている者は誰も確信してないだろう。選挙後に「新三党合意」のような、有権者を裏切る行為に出る絵は十分あるし、教育を充実するだの子育て世代に手厚くだのの話は口先だけだ。

心にもないことを政治家たちが言い、それがいかにも選挙の重要な争点であるかのようにマスコミが仕切っている。それらの口先話は必ず反故にされる。12月の予算のときに、恒久財源がないからとか何とか言って自民党と政府にパアにされる。介護士の給料も上がらないし、保育士の給料も上がらない。年金は減らされて医療費は上げられる。原発も同じで、バカらしくて聞いてられない。無意味な飾りで、討論の時間の無駄だ。要するに、憲法論議だけが耳をそばだてて聞く価値のある公約と政見なのである。

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by yoniumuhibi | 2017-10-10 23:30 | Comments(4)
Commented by Skipper at 2017-10-11 00:20 x
自衛隊と米軍が完全一体化に向かっている以上
誤解を恐れずに言えば9条云々も、まやかしかもしれません

アメリアからすれば、米軍と一緒か、代わりに中東辺りに行ってくれればいいのであり
その為に、反対派を抑える共謀罪と
集団的自衛権を無原則に行使しかねない安保法制を手に入れたのですから
秘密保護法などもそうですね

そこで引っかかるのが、枝野は集団的自衛権行使を容認してるという事です
田中さんが、鳩山と山本太郎をどう評価されているのか(或いは批判)
ずっと発言を追ってる訳ではないのでわかりませんが

鳩山が追われた後考えてみてください
アメリカと官僚への忖度が民主党政治でした
TPPや消費税増税に現れてます

枝野はその中心ですよ

山本太郎は国会でアーミテージナイリポートや
原子力協定といったタブーに果敢に挑みますが
枝野にできる訳ない
Commented by tosanoiroiro at 2017-10-11 02:06
今回の総選挙と新党設立騒動については、副島隆彦研究所界隈でいわれている「ジャパンハンドラーズー安倍ー小池ー前原による野党解体作戦」というのが一番しっくりくるように思われます。
Commented at 2017-10-11 02:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2017-10-11 21:36 x
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