9.27政変で小池劇場へ - 保守(反共)と改革(ネオリベ)の野党再編

c0315619_13080264.jpgめまぐるしい速さで政治が動き、国民は置き去りにされたまま、野党再編の政変となった。昨夜(27日)の報ステとNEWS23がどう報道するか注目したが、後藤謙次も星浩も、民進党の希望の党への合流に大賛成の様子で、これで本格的な野党が誕生して安倍一強を崩すだろうと期待を滲ませた論説を垂れていた。星浩は、二大政党による政権交代をずっとエバンジェリズムして、小沢一郎の「政治改革」を後押ししてきた記者だから、嘗ての夢が再び戻ってきたという感覚なのだろう。小池百合子が民進党議員を希望の党に受け入れる条件は、安保と憲法であり、憲法改正を踏み絵にするものだが、その点については星浩は容認らしい。マスコミの政治記者は05年の小泉純一郎の郵政選挙を懐かしく思い出し、今回は小池旋風の宣伝に便乗して一儲けしようと商売の思案をめぐらしていると思われる。テレビの全局が小池百合子の側に立ち、小池劇場の演出に精力を傾注して列島を熱狂させるだろう。今回は安倍晋三が「抵抗勢力」の役回りになる。小池百合子は、一晩で民進党の地方組織と100億円の資金を手に入れた。国盗り物語のような手口だ。選挙区の候補者もろともだから三桁の候補者擁立など造作もない。民進党が希望の党に名前を変え、純然たる右翼政党に生まれ変わり、党首を小池百合子に据えたという結論になる。



c0315619_13081408.jpgこの政変を裏でプロモートしたのは、自由党の小沢一郎と連合の神津里季生だと報道されている。神津里季生にとっては願ったり叶ったりの再編劇で、2年間鬱陶しく纏わりついてきた共産党をようやく切るチャンスが到来したと嬉々満面だろう。小沢一郎は見事に共産党を裏切って棄てた。共産党は小沢一郎に騙された。小沢一郎に騙されるのは二回目だから、共産党の方も慣れっこで気にしていないのかもしれない。星浩は、昨夜(27日)の番組でこの政変を「日本版オリーブの木」だと評し、小沢一郎が仕掛け人となった今回の野党再編を称賛した。「オリーブの木」から共産党が斬り捨てられていること、野党共闘の中身が変わったことについては何も触れなかった。言外に共産党の斬り捨てを歓迎するメッセージを視聴者に送っていて、解説から共産党排除の問題をオミットさせた。新しく船出した小池新党の選挙戦にエールを送り、余計なコメントで傷をつけたくないという動機が窺える。マスコミが一斉に風を吹かせたら、都議選と同じパターンが全国津々浦々に及び、小池新党は巨大な票を獲得するだろう。大衆は「受け皿」に飢えている。それは東京だけでなく全国で同じだ。今は、有権者は政策から完全に疎外され、選挙で自己の望む政策が実現するとは思っていない。

c0315619_13083694.jpg選挙は、テレビと永田町が提供する娯楽のゲームのような機会になっていて、投票で参加して勝ち負けを楽しむ国民的遊興イベントの如くなっている。そして、何より変化を求めている。選挙の争点と構図は、小池新党vs安倍自民党の対決に固まった。こうなれば、希望の党が優勢になるのは当然だろう。都政に専念すると何度も言っていた小池百合子は、マスコミに情報を流して衆院選に出馬することを伝え、既成事実にして固めさせた。小池旋風を起こして盛り上げたいマスコミは、その詭計に対して何も反論したり批判したりしない。小池百合子が出馬すれば、選挙はまた大騒動になる。これから一週間ほど、都官僚と都議会を宥める時間になる。今回、前原誠司と小池百合子はマスコミを巧妙に使っている。マスコミ政治の狡猾さに呆然とする。それ以上に、権謀術数で男たちとマスコミを操縦する小池百合子の手練手管にも舌を巻く。公明党も、連合も、小池百合子の意のままに操られている。小池百合子は現在65歳。時間がない。小池百合子の狙いは、憲法改正ではなく日本初の女性総理になることだ。今回の衆院選を逃すことはないだろうと勘ぐっていたら、案の定、前言撤回して出馬すると言い出した。もし、自民党が60議席ほど減らした場合、自公で過半数を維持したとしても安倍晋三は党内で責任問題になる。

c0315619_13085144.jpg即日辞任はなくても、政権は死に体になって来年の総裁三選はなくなる。永田町の主導権は人気絶頂の小池百合子が完全に握るだろう。安倍晋三は主役の座から転落した。希望が圧勝して過半数を制した場合は無論のこと、そうでなかった場合でも、希望と自民の大連立と小池百合子首相の目が出る。現時点で、私自身はその方向でほぼ決まりだろうと予想する。自民と希望には理念と政策の差などないから、補完勢力などというよりも双子政党というべきだ。すぐに大連立できるし、元の自民党に戻ることができる。希望の党は、名前からしても、そして小池百合子が並べた(しがらみが云々とかの)政策リストを見ても、いかにも暫定的で一時的な印象で、長続きさせる予定のない政党だということが透けて見える。肝心なポイントは、小池百合子が言ったように、改革と保守の二点だが、改革とはネオリベの経済社会政策のことであり、保守とは反共イデオロギーのことである。共産党と親和性ゼロという意味だ。民進党の議員の7割はこの条件に合致していて、小池百合子の面接試験をパスすることができる。原発ゼロというのは、小池百合子の選挙宣伝用の軽いキャッチコピーで、深い意味もコミットもない。選挙が終わればすぐに忘れる。そうでないと連合の支持は取り付けられない。2年間続いた「野党共闘」の時代は終わった。

c0315619_13090486.jpg共産党は再び孤独な立場に戻る。マスコミから無視される。国会の質疑でも異端の位置になる。
展望を失ったことは間違いない。共産党の今回の得票と獲得議席も注目だ。2年間、共産党はニュースの時間によく映像で顔を出し、テレビの放送に意見を取り上げてもらった。野党勢力の事実上の中心的位置にいたと言ってよく、安倍政権に対する野党側の反発や批判を代表する役割を果たし、大きな存在感を示していた。野党全体を主導していた。その権力を失う。出番が消える。自民と希望と公明の3党ですべてが仕切られるようになり、2014年以前の政治に戻る。原発と同様、消費税凍結の話も、選挙が終われば小池百合子がオホホと媚笑してリセットし、自民・希望・公明の3党合意であっさり増税を決め、さらに次の5年計画で15%アップまでの道筋を固めてしまうだろう。2年間の「野党共闘」で相対的に力を増したのは共産党だった。結果的に力を弱めたのは民進党(民主党)だった。「野党共闘」は、安保法制廃止を大義名分にした政党と政党のWinWnの関係構築である。名目だけで中身がなく、実際の動機は選挙だけだったから、民進党の右側に大きな乗り移りの船(小池新党)が出現した途端、政策と理念のコンパチビリティの高いプラットフォームの方に乗り換えることになった。それは自然な流れだ。共産党は失脚した。文久3年の8月18日の政変に少し似ている。共産党が長州で民進党・自由党が薩摩だろうか。

「野党共闘」はいずれ破綻すると、私はずっと予言を言い続けたが、ドラマティックな形で的中する事態となった。政党に理念が必要であるように、議会でブロックを組む政党間にも理念と政策の一致が必要で、その条件を欠いた野合は長続きしない。本当に憲法改正を阻止したいのなら、そして格差解消と所得増大と社会保障拡充を方向づけるサンダース的なリベラル政策を実現したいのなら、永田町の外からリベラル新党を立ち上げて選挙に勝つしかない。本当の受け皿を作って有権者国民に提示するしかない。そのようにずっと訴えながら、共産党の傭兵と化したしばき隊としばき隊支持者の左翼の執拗な妨害に遭い、誹謗中傷と嫌がらせを受け、
多くの支持と共鳴を得られず、そのため首尾をよく果たせず、新党運動を今回の選挙に間に合わせることができなかった。残念に思う。この政界再編はアウトラインとしては予想していたものである。ただ、それが時間軸として解散前の一瞬のタイミングで電撃的に遂行されるとは想像していなかった。選挙が終わった後に、安倍晋三の改憲策動や消費税の駆け引きと共に時間をかけて進行するものと想定していた。

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by yoniumuhibi | 2017-09-28 23:30 | Comments(11)
Commented by たまご at 2017-09-28 15:09 x
巨大与党となった場合は、
現在の政権より
更に極右の政権となると
考えますか?
Commented by akakitysqe at 2017-09-28 19:01 x
佐々木毅が90年代の「政治改革」を推進した事を悔いるという見出しのインタビューが朝日新聞に載ったようです。
Commented at 2017-09-28 19:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2017-09-28 19:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 私は黙らない at 2017-09-29 03:49 x
日本を二党独裁化するという何者かの強い意思が感じられる。日本のメディアが、政権交代可能な二大政党制への移行を煽っている。アメリカに追随することがあたかも善であるかのように。
一方、そのアメリカでは、二大政党制への閉そく感が蔓延し、身動きのとれない有権者がトランプという鬼っ子を生み出した。この事実を日本人は重く受け止めるべきだ。
今、日本の国民が本当に必要としているのは、政権交代可能な第二自民党ではなく、健全なぶれない軸をもった野党ではないかと思う。少なくとも、私は民進から希望の党への異動を拒否する気骨を見たい。
Commented by 長坂 at 2017-09-29 09:25 x
シンゾーを降ろしてくれと頼んだのに、お呼びでない極右二大政党いや近衛の一国一党。9条改憲なしで戦争しそうな雰囲気。自民と希望でアメリカ様(トランプ達でなくアーミテージ/グリーン/ソロス)大喜びか。反原連、しばき隊支持の左も理解できないが、いまだ小沢を崇め奉るリベラルもどうかと思う。
今改めて思うが、舛添はなんであんなに叩かれたんだろう。百合子の野望実現の壮大な物語の始まり。単なる偶然?
Commented by 目黒駅は品川区 at 2017-09-29 10:54 x
そりゃ上の方の偏差値高い連中の中の話で、アンケートとった場合、国民の安定して5割は憲法改正反対なんだから、まだ何とかなりますって!
Commented at 2017-09-29 16:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 宮澤喜一や河野洋平の頃は本当に良かった at 2017-09-29 17:37 x
小池さんはネオリベ保守だけど、、この際もう誰でもいいや、安倍以外が首相になるならいいやというのが正直なうちの心境。
平和や正義を口にしながら殴る蹴るする人よりも、暴言や暴行はしないブルジョワのほうがまだましかと思います。
Commented by 芝ちゃん at 2017-09-29 22:04 x
安倍憎しの思いは同じですが、小池百合子が言うように、民主党のリベラル派を『希望の党に入れない』と言明する報道を読み、安倍退陣の後を考えますと、慄然とした恐ろしさに襲われます。戦前の『政友会と民政党』の相克のあと、その相克を利用して、日本陸軍の指導のもと,二つの巨大政党が合同し,大政翼賛会が設立され,太平洋戦争に突入していった悪夢の再現です。
Commented by おにぎり at 2017-09-30 12:25 x
正直な話、今問われてるのは左派・マスコミの定見の無さと、国民の見識だと思います。
あれほどまでに安保や憲法改正を批判していた民進党が、今度はそれを合流の大前提とする希望にあっさりと寝返って入ろうとする。
テレビの街の反応を見ても、流石に唖然としてる人が多い。
都知事や五輪をほっぽりだして、国政に出るのは流石にどうかと言う声は結構見ました。
一方で北朝鮮情勢は煮詰まり始めていて、悠長に政権交代ごっこをしていられる余裕はなくなってきている。
政権交代して日米で連携して上手く回り始めた北朝鮮対応が、これでまたぐらついて
マネージもコントロールもできなくなった場合、小池総理はそれに対処できるのか。
もっと小さい問題である五輪や築地ですら揉めてると言うのに。

一方で左派とマスコミには、安倍降ろしが出来れば
安倍総理よりも保守色の強い小池さんでいいのかと言う話になる。
恐らくどちらが勝っても、国難としての憲法改正と国防力強化でタッグを組むという流れになると思います。
小池党にはまだまだ政権を回し、難題を差配する能力に欠け、自民と安倍総理の力が必要ですからね。
安倍総理とするならば、憲法改正で「安倍はダメだ」と言う反発を無くすことができ
いわば「安倍隠し」になる訳ですね。
打算・政略的に考えると、憲法改正に大きく前進し、左派勢力がかなり壊滅的になるという流れで
小池さんへの投票は、国民もそれを承認したことになり
マスコミがなぜ煽ってるかよくわからないんですが。
だから目の周りだけ、自分の事しか考えられない連中は恐ろしい。


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