民間外交せよ - 鳩山由紀夫、小林よしのり、蓮池透、長渕剛は平壌へ飛べ

c0315619_14401644.jpg北朝鮮問題の事態を打開するにはどうすればよいのだろうか。先週の両陛下の高麗神社訪問を見て、結局は一人一人が勇気を出して、自分ができることに挑戦することだという思いを強くした。今、日本で北朝鮮情勢を動かせない理由は、その議論が、日本は何をすべきかとか、日本政府はどうするべきかという思考に溝条化(canalize)されてしまっているからで、設問そのものに解答の意味がなくなる立論をしているからである。例えば、志位和夫の発言を見ても、日本政府はこうすべきだ、ああすべきだ、北朝鮮と対話すべきだ、米朝に対話を呼びかけるべきだと注文を出しているだけで、共産党が平壌に訪朝団を出すとか、自分の力で動くことは全く視野に入っていない。その行為は提案というより評論に等しく、単に自分の立場を世間に表明しているだけの意味にとどまっている。日本政府はこうべきだと言っても、安倍晋三が支配する日本政府(外務省)がそれをしないことは、誰もが百も承知のはずで、いくら口で言っても事態を動かす改善には繋がらないのだ。これまで見てきた中で、私に可能性の端緒を感じさせてくれた動きは、A.猪木と武貞秀士の訪朝とその報告だった。事態を動かす対話とは、まさにあの実践と営為を指すのではないか。つまり、重要なのは民間外交である。民間外交によって北朝鮮情勢を動かすことができる。



c0315619_14402899.jpgこちらから平壌を訪れる人間が民間人であっても、平壌で応対して出てくるのは北朝鮮外交トップの李洙墉である。北朝鮮政府としての意思や見解が表明され、国家を代表したメッセージが発信される。平壌での会談を映像に撮って帰ってくれば、マスコミは必ずテレビで流すし、世界中がその重要コンテンツに着目して報道せざるを得ない。民間人であっても、それはきわめて重い意味を持つ外交となる。武貞秀士の訪朝では、李洙墉が日本との学術交流やスポーツ交流の機会に熱心であること、東京五輪の参加に積極的な活路を見出そうとしている姿勢が了解された。もし日本の北朝鮮に対する基本的立場が、9月20日のプライムニュースで元国連大使の吉川元偉が明確に断言したように、2002年の日朝平壌宣言の原点に正しく戻るところにあり、2005年の六カ国協議の合意に即して平和の地平に前進するところにあるのなら、われわれ日本国民は自ら可能な地点から対話行動を模索すべきだし、今の安倍晋三とトランプのヒステリックな戦争政策の扇動は無視してよいという意味になる。武貞秀士の意外な旋回には刮目したけれど、吉川元偉の正論にも安堵を覚えた。外務官僚はまだ、日朝平壌宣言と六カ国協議の合意を棄ててはおらず、すなわち、95年の村山談話の基本線を否定してはいない。

c0315619_14403940.jpg何をなすべきか。まず、鳩山由紀夫は意を決して平壌に飛んで欲しい。A.猪木でも李洙墉が出てくるのだから、元首相の鳩山由紀夫が行けば必ず格式を整えて席を構える図になるだろう。黙って相手の話を聞く必要はなく、度重なる国連決議違反の無法に対して手厳しく批判すればよく、核を放棄して国際社会と協調する方向に転換するよう諄々と説得すればいい。詰問を手控える必要はない。激論を交わし合えばいい。迫真の応酬の絵が撮れれば、その「見せ場」は鳩山由紀夫の評価を上げる資産になるだろう。無論、国内では保守マスコミによって徹底的に叩かれることになるし、安倍晋三と菅義偉からも国賊のように罵倒される羽目に遭うだろう。だが、臆することはない。北朝鮮情勢は、このままの制裁圧力の緊張状態が続くことはなく、戦争が始まるか、米朝対話が実現して外交的解決へ向かうか、二つに一つだと言われている。二つに一つだという認識に同意しよう。そのとき、前者はないのだ。トランプとマティスの腹の中に戦争の選択と覚悟はない。とすれば、落ち着く先は後者しかない。その確信を持っていれば、今、北朝鮮に飛んで和平の対話工作をすることは、ハッピーエンドに至る助走路を作る努力であり、結果が出た後に、平和の冒険的使者として顕彰される魁の功績になるのだ。賭けてよいし、賭けるべきだ。

c0315619_14405146.jpg小林よしのりも訪朝したらどうか。64歳。武貞秀士が行ったのだから、小林よしのりが行くのに不都合はあるまい。歓迎されるだろうし、本人も興味があるのではないか。博多出身でもあり、北朝鮮には関心が深いだろう。3泊4日ほどの小旅行を企画して、文化当局者の接待を受け、平壌紀行をマンガに描いてSAPIOに発表するといい。話題を呼んで売れるだろう。タイミング的にジャストであり、キャラクター的にもベストで、政治の流れを変えるハプニングとしてこれ以上ない絵ができると思われる。最近の小林よしのりは、安倍晋三批判を口にして民進党を応援する発言を横から飛ばしている。安倍晋三を支持する国民の意識が、北朝鮮危機を扇動するマスコミのプロパガンダによって醸成され、憎悪の刷り込みによって大衆が右翼化し、安倍晋三の信者になってしまう状況は、小林よしのりでも簡単に理解できる政治だろう。北朝鮮問題を打開しないと安倍一強体制は打破できないのである。もう一人、訪朝してもらいたい人物がいる。蓮池透だ。62歳。7年ほど前からだろうか、蓮池透がすっかり左方向に旋回し、リベラルの文化人になり、最近は安倍晋三批判を積極的にやっている。どうして転向したのか事情は知らないが、15年前の小泉訪朝の後に国民的事件となった「北朝鮮拉致問題」では、まさに右翼の前衛として八面六臂の大活躍だった。

c0315619_14410393.jpg右翼が屯す2chでは「蓮兄い」と呼ばれ、頼もしい右翼のリーダーとして脚光を浴びていた。当時の蓮池透と安倍晋三の二人三脚、あるいは蓮池透と安倍晋三と中山恭子の三人四脚について、忘れることはできないし、苦々しい記憶として脳裏に甦る。結局、あのまま「拉致問題」なるイデオロギーが日本国民の中に強固に根を下ろし、われわれはマインドコントロールされたままの盲目と迷走を続けている。「家族会」を動かしている「救う会」の西岡力は正真正銘の確信的右翼なのに、右翼の異端性が排除され、クレンジングされて正義の味方の国民的表象として扱われ、政治的価値観の座標系の中心にポジショニングされるという思想的倒錯を起こしている。だからこそ、極右の安倍晋三が総理大臣になってしまうのだ。「拉致問題」なる観念と感情が、この15年間、どれだけこの国を劣化させ、退嬰と厄災と機能不全をもたらしてきたことか。蓮池透や櫻井よしこの当初の思惑とプロジェクトは大成功したが、この国の政治はとんでもない足枷をかけられ、理性は麻痺し、思考は停止し、国民は阿片窟に群れて寝そべる廃人のような姿になってしまった。青バッジ運動を提唱して普及定着させた蓮池透には重い責任がある。もし、15年前の自らの過誤を反省する気があり、右翼と決別しているのなら、平壌に飛んで宋日昊と対談するべきだろう。責任をとるべきで、自ら「拉致問題」の始末をつけるべきだ。

最後にもう一人、歌手の長渕剛も訪朝したらどうか。61歳。平壌でコンサートをやるといい。長渕剛も九州の男で、朝鮮半島とは縁の深い薩摩の出身だ。「故郷忘じがたく候」の沈壽官の地である。北朝鮮情勢について何事か感じているだろうし、訪朝すればタイミリーでヒロイックなイベントになる。両陛下の高麗神社訪問を見て、何も感じないということはなかっただろう。われわれがなすべきことは、日本政府にああしろこうしろと、実現不可能な絵空事を空虚に注文するのではなく、自分でできることを考え、あるいは誰かができることを考え、可能性の絵をイマジネーションし、提案し、働きかけることなのではないか。今、求められているのは事態打開の民間外交だ。それをするポジションとオポチュニティを持っているのは、日本の有力者であり、文化人である。プーチンと仲のいい山下泰裕も動けばいい。60歳。トランプと仲のいい孫正義も(密使として)動けばいい。60歳。いずれ米国は北朝鮮と対話する局面が来る。トランプ時代に国交正常化に急転する可能性がある。孫正義にとってはビジネスチャンスへの仕込みとなるだろう。賭けて悪くない話だ。



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by yoniumuhibi | 2017-09-25 23:30 | Comments(4)
Commented by 菅野 at 2017-09-25 19:42 x
小林よしのりに関しては、もうまるでダメです。

https://www.gosen-dojo.com/?page_id=906
Commented by ゆう at 2017-09-25 21:04 x
北朝鮮が核を放棄することはないでしょうね。放棄したらリビアみたいになることは分かってますし、放棄するくらいなら作らないですよ。放棄するより、核で脅したり、核を売ったりした方がお金を稼げると思うのでは、まずはイランに核ミサイルを売るでしょう。拉致や偽ドルや麻薬の密輸を国家事業でやってる国ですから、怖いものはないです。
外交的解決がベストだし、私もそうあって欲しいのですが、何と何をトレードするのかがわからないです。核は良いけど、ICBMはやめてねっていうのが、米国の落とし所かなと思いますが、どうやってICBMを開発しないことを担保するのか、わかりませんね。騙して作っちゃうと思います。
民間外交も結構ですけど、上記のとおり落とし所がないです。顔色を伺いにいくくらいですかね。ちなみに小林よしのりは北朝鮮攻撃を主張してます。彼は対北朝鮮の方針は一貫してます。
Commented by 七平 at 2017-09-26 21:35 x
ベトナム戦争の終結がそうであったように、北朝鮮の問題も実際の当事者、北朝鮮と米国が同席について平和交渉をしないと本質的な解決には至らないと思います。 韓国も日本もとばっちりを受ける立場にありますが、米国の軍産複合体から役にも立たない軍備を半強制的に購入されられ、国税の無駄遣いが進み、あえては、米国の傭兵化されつつあると思います。実際、韓国はベトナム戦争時に、傭兵を出しています。 安倍晋三が人質事件を選挙の為に悪用したように、北朝鮮問題も私欲、選挙の為に利用しているのではないでしょうか。 いくら、自衛隊を強化しても最新鋭の地対空ミサイルを購入、装備したところで 領空圏の上を秒速8kmで飛ぶミサイルを撃ち落とせる等、できないと思います。 唯一の被爆国として、唯一の平和憲法を掲げる日本として間違った道を歩んでいると思います。 

偶然ですが、米国のPBS (NHKに匹敵)により、大型 Documentary ”The Vetnam War” が作られ放映が始まっています。 投稿妨害を受けないと良いのですが、下記のリンクを記しておきます。pbs.org/kenburns/the-vietnam-war/episodes/   (人質事件以来、リンクの挿入はご法度となっていたのですが、Exciteの方針が変わったようですね。報道の自由度ランキングを気にした方針変更でしょうか?)

米国の戦争に対する体質を理解する上で貴重なDocumentary です。

Commented by 私は黙らない at 2017-09-28 03:33 x
スポーツでの交流はどうでしょうか。デニスロッドマンの日本版。
私は、平昌五輪で、南北合同チームが見たかったです。


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