民進党代表選の結果の意味と「野党共闘」の黄昏 - 孤立化する共産党

c0315619_16040993.jpg昨日(6日)、民進党の新代表となった前原誠司が電力総連の大会に出席し、野党4党の合意の見直しを役員会に指示したことを明らかにした。野党四党の合意とは、6月に4党の党首会談で決めた、(1)「憲法9条の改悪に反対する」方針の確認と、(2)衆院選に向けて候補者調整を進めるという選挙協力の二つである。「野党共闘」を白紙化するということは、前原誠司が強く主張してきた持論であり、今回の代表選の最大の争点だった。結果は、議員票も、地方票も、党員サポーター票も、前原誠司の圧勝で終わり、民進党の「民意」が明確に示されたと言える。「野党共闘」、すなわち共産党との共闘の継続を訴えた枝野幸男は完敗した。この事態に左翼方面からは批判が上がっているが、これは前原誠司の公約であり、「野党共闘」をリセットしなければ公約違反になる。共産党との関係の清算を訴えて、それで大きな支持を集め、前原誠司は代表選を制した。もし、この公約を打ち出さなければ、枝野幸男に負けていただろう。左翼やしばき隊が考えなくてはいけないのは、民進党のネイティブが何かという本質的な問題であり、この2年間の「野党共闘」がテンポラリーで偶然的な政治形態であったということだ。2年前からしつこく論じてきたが、「野党共闘」は長続きするものではなかった。



c0315619_16060906.jpgなぜかと言うと、共産党と民進党とは水と油であり、前原誠司が説明してきたとおり、理念・政策が違うからである。政党とは、同じ理念を持つ同志が理念の実現をめざして結社した集団であり運動体だ。今回の民進党代表選の主役は、「理念・政策」であり、「理念探し」であったと言える。理念がバラバラで政党の体を成してないと言われた民進党は、理念コンプレックスで煩悶してストラグルする代表選の時間を送った。見つけた「理念」は、共産党を永田町から排除して保守二大政党で政権交代するシステムを実現するという、30年前に「政治改革」が提唱されて民主党が誕生したときに確立された出生の原点のテーゼに他ならない。おそらく、この代表選が民進党の最後の代表選となるだろう。2年間、党の原点たる「理念」を忘れて共産党と浮気してしまったのは、安保法制とか安倍一強への対抗とかが真の要因ではなく、選挙に勝ちたい一心がさせたもので、生き残りの本能がさせた不本意な野合だったにすぎない。右側に大きな船が見え、乗り移る安定したプラットフォームが出現したから、民進党はあっさり党の原点に戻った。当初、岡田克也たちが動いて代表選を議員投票だけにせず、地方や党員サポーターに広げることで、前原不利、枝野有利な情勢に持ち込むかと思われたが、結局、地方も党員サポーターも前原誠司を選んだ。

c0315619_16064324.jpg地方の自治労は連合左派を形成していて、連合主流とは異なるポジションをとってきたが、今回の代表選の結果を見ると、その勢力が影響力を発揮していないことが分かる。地方の連合は、この2年間ずっと、彼らなりに共産党との共闘の是非を吟味検討してきたのであり、幹部たちは若かりし頃からの人生を反芻し、共に老いた身となった右(旧同盟)と左(社民党)の意見を聞き、あれこれ考えつつ、最終的に都議選の結果を見て結論を下した者が多かったのだろう。代表選が始まったとき、辻元清美は今回こそ党の路線をリベラルで固めると決意と抱負を語っていたが、結果は全く逆になった。幹部人事で枝野幸男が代表代行になり、長妻昭が選対本部長になり、左派の顔を立てた挙党態勢を演出した図を繕っているが、前原誠司の公約は公約であり、民進党の多数意思は多数意思である。10月の三つの補選が単独で行われた場合は、選挙区毎の事情ということで共産党との事実上の選挙共闘で臨むだろうが、補選が解散総選挙と重なった場合を含めて、総選挙では共産党との関係を絶ち、政策も前原誠司のドクトリンに収斂させるだろう。そうしないと、右派議員が次から次へと離党するからであり、「共産党との共闘の見直し」の約束という右派を繋ぎ止める口実を失うからだ。

c0315619_16065757.jpgずっと予想を述べてきたとおり、これで「野党共闘」は崩壊する。2年間の「野党共闘」の政治は共産党が主導してきたものだった。共産党が言うところの「市民と野党の共闘」という「市民」は、中身を厳密に顕微鏡で検証すれば、共産党支持、社民党支持の「市民」であり、左翼に居住する市民に他ならず、決して保守を含めた広範な市民一般だったわけではない。2年前に結成された市民連合も、おそらく共産党支持の団体や人々が基盤になっていて、簡単にいえば嘗ての革新懇のようなものの復活と考えていいだろう。私の予測では、市民連合は今後ほとんど機能しなくなり、有名無実で開店閉業の組織となる。連合は地方末端まで含めて元の連合に戻り、共産党は再び孤立する形になるだろう。そうなったとき、果たして、財政難に苦しむ共産党が地方の1人区に自前で候補者を立てることができるだろうか。もう一つ、民進党の右寄り旋回で始まる野党再編で注目されるのは、小沢自由党の動きであり、さらに小沢一郎の支持者集団であるいわゆる小沢シンパの動向である。小沢一郎は前原誠司との仲のよさをアピールしていて、小沢一郎主導で、前原民進党に社民党と自由党をくっつける野党再編が囁かれている。囁いているのは小沢シンパの者たちや、その方面と親和性のある(日刊ゲンダイなどの)マスコミだ。小沢待望論とか小沢カリスマ論というのは本当に根強い。

c0315619_16071151.jpg共産党やしばき隊の方面には、小沢一郎を中心に民進党を右の小池新党にブリッジさせ、左の社民党を併合し、ワイドに広がった大きな野党のブロックを作ってもらい、その反安倍・反自民の野党ブロックの左端に位置取ることができそうだと期待を漏らしている者が少なからずいる。孤立化が見えてきた共産党が、小沢一郎の剛腕に頼ろうとする姿勢を見せている。前原誠司にすれば、あらゆる政治の可能性を否定することはなく、ケースバイケースで政局論と政策論を使い分けるのだろうが、私から見て、小沢一郎を中心に纏まる大きな野党ブロックという構想は、何年も前から飽きずに言われ続けてきたもので、もう賞味期限が切れたものだと感じる。自由党の政党支持率を見れば、それは幻想だということが分かるが、ネットを中心に小沢待望論・小沢カリスマ論は強固で、日本における二大政党制の完成への長年の思想的コミットと繋がり、無視できない勢力として影響力を持っている。そのことは否定できない。だが、この小沢シンパが、民進党代表選のさなかから前原支持派と枝野支持派で対立して論争するという局面があった。言い換えれば、政局論派と政策論派の間で亀裂が生じていた。政局論派が前原支持で、政策論派が枝野支持である。当然ながら、枝野支持の方が左翼系となる。小沢シンパは小さな集団ながら、政策の方向性に幅があり、右と左が混在して共存している。

いずれにせよ、今回の民進党代表選の結果によって、これまで反安倍・反自民の野党側の動きの中心軸になっていた共産党から主導権が離れる展開となった。「野党共闘」の図式が崩れ、自民党と政策的にコンパチブルな前原誠司が左右に手を伸ばし、野党ブロックの中核になる様相が明らかになりつつある。前面に出ていた共産党が後方に下がる形になり、マスコミ報道と世論への影響力を失いつつある。



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by yoniumuhibi | 2017-09-07 23:30 | Comments(2)
Commented by ポー at 2017-09-08 12:09 x
今回の山尾人事、そもそも幹事長になるほどの資質もなかった人間があっけなく躓いただけのことですが、大事な一議席です。こんなに簡単に離党させていいんでしょうか?
広島中川みたく結婚式までやって重婚疑惑があるとか、育休宮崎みたく育休名目でさぼりながら不倫してたなんて論外ですがそういうのならともかく、不倫で離党させてたら、男の国会議員なんて離党者続出でどうなってしまうんでしょう(笑)
前原は深く考えずに選挙の顔ってだけで幹事長を選んで、人の足を引っ張ることに長けた民進党は、出る杭だった山尾を党外に追い出しました。
山尾も政治家として素質があるとは思わないので、早めにやめて弁護士にでも転身したほうがいいかもしれませんね。
Commented by 宮澤喜一や河野洋平の頃は本当に良かった at 2017-09-08 18:28 x
みんな改憲。又市も改憲。なんじゃこりゃ。
昔は自民にも護憲派はたくさんいたのに、今は与野党、保革を問わず改憲容認派。
安倍改憲には反対とはいえ、他のまろやかな改憲ならいいってわけ?だめ~!!
共産もこのままだと9条まで許しちゃうと思うんです。


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