共産党との共闘の撤回を明言した前原誠司 - 沈黙して追従する共産党

c0315619_15120862.jpg昨日(19日)、プライムニュースに生出演した前原誠司が、共産党との関係について「根本的な外交・安全保障、税の中心である消費税に関し、まったく意見の合わないところと選挙協力という話にはならない」と言い、「野党共闘」を見直す姿勢を明らかにした。また、16日のに配信されたネット記事でも、共産党との基本政策の違いを強調し、共産党との選挙協力は難しいと発言している。7日の代表選出馬会見でも、「政策理念が一致しない政党と協力すること、連立を組むことは野合でしかない」と述べ、民進党の現執行部が進める「野党共闘」に否定的な見解を述べていた。前原誠司が新代表になった場合は、共産党との共闘がリセットされるのは確実で、次の衆院選で小選挙区に統一候補を立てることはしないだろう。2年間続けてきた「野党共闘」路線はピリオドが打たれる。17日の時事が報じた代表選の情勢によると、議員票は前原誠司が大きくリードして6割を固め、衆参全議員166人の100人を取るかもしれないという党内の声が伝えられている。枝野幸男の方は、代表選のポイントの3分の2を占める党員・サポーター票が頼りだが、ここまでのマスコミ報道を見るかぎり、前原誠司が優勢に選挙戦を進めている印象は否めない。



c0315619_15124184.jpg私はてっきり、前原誠司の代表当選を危惧し嫌忌する共産党が、全国の民進党の党員・サポーターに向けて、暴力装置であるしばき隊を動員して徹底的なネガティブキャンペーンを展開し、ネットの中が騒然とした戦場状態になるものと予想したのだが、豈図らんや、そのような気配は微塵もない。逆にしばき隊の軍師である中野晃一が、前原誠司の社会政策はリベラルだなどと倒錯した阿諛を言い、平身低頭で美化する卑屈な態度に出て、前原誠司に対して宥和と懐柔で臨むよう「司令部の方針」をしばき隊末端に「指示」している。そのため、蓮舫の二重国籍問題のときは暴力的な口調で今井雅人や原口一博を恫喝し、激しい罵倒と挑発で襲いかかったしばき隊員たちが、前原誠司に対して何の批判も反論も浴びせず、黙過と容認を続けるという奇妙な事態が出現している。わずか3週間前、横浜市長選で林文子の応援演説に立った山尾志桜里に対して、しばき隊が行った誹謗中傷と嫌がらせのリンチ攻撃は凄まじかった。その修羅場の昂奮がウソのように、前原誠司が繰り出す「野党共闘」白紙化の宣告には羊のように沈黙を続けている。一見して奇怪な絵だが、理由があり、前原誠司が代表になる蓋然性が高く、そうなったとき、足下に跪いて土下座しながらでも共闘継続を懇願しないといけない立場だからだ。

c0315619_15130759.jpgどうやら、共産党の本音は、前原誠司が代表になった方がいいという計算のように見える。どうしてかと言うと、枝野幸男が代表になると、それを引き金に大量の右派議員が離党してしまい、民進党の分裂解体が必至になってしまうからだ。民進党が崩壊してしまうと「野党共闘」は元も子もなくなる。共産党は展望を失う。そのため、「背に腹は」の論理で共産党は前原民進党を認めざるを得ず、揉み手で拝み倒して形だけの「共闘維持」にすがるしかない。前から予想を言っているとおり、枝野幸男が代表になると、右派議員が雪崩を打って小池新党に逃げ、民進党は半分以下の議員数に減って潰れてしまう。一方、前原誠司が代表になると、路線を右に転換して「野党共闘」を清算し、党を丸ごと小池新党と合体させる方向へ進む。そのときは党名も変えるはずで、結局どちらに転んでも「野党共闘」は破綻するしかなく、現在の民進党は消滅するしかない。だから、「野党共闘」を維持したいと願い、民進党を存続させたいと切望する者は、蓮舫降ろしを阻止しなければならず、代表選に持ち込ませてはいけなかった。岡田克也が幹事長を引き受けなかったという経緯は - 本人はそれを否定しているが - どう考えても不可解で異常というしかない。現時点で、議員の6割が前原誠司を支持しているという意味は、右派の大量離党と党解体を恐れる不安心理に強迫されているからに他ならない。

c0315619_15132425.jpgそういう状況を背景にして、また梃子にして、前原誠司は嵩にかかって「野党共闘」撤回の持論を強弁できるのであり、代表になったときの路線転換を今からじわじわと既成事実化できるのである。前原誠司は、共産党と連携したことが党を弱体化させ、党勢を低下させた要因だと断言している。左に寄り過ぎたから離党者が出たのだと現在の路線の失敗を批判している。これは連合本部の意見を代弁した主張であり、連合としては拍手喝采して大歓迎だろう。こうして連合の歓心を買う発言を連発すると、全国の党員サポーター票の動向にも影響する。前原誠司の意図はそこにある。左翼は、全国の党員サポーターは「野党共闘」支持で、枝野幸男支持だろうと楽観するのだが、その票の行方に最も大きな影響を与えるのが連合だという事実を忘れるべきではあるまい。民進党の衆院議員のリストを見て、上から下までじっくり名前を眺めてみるといい。その中に左派議員と確定できる者が何人いるのか。2年間もよく共産党と蜜月関係で我慢できたなと呆れるような右向きの顔ばかりが揃っている。この2年間は、民進党(民主党)の方が「背に腹は」の環境条件に追い込まれ、共産党との共闘を渋々承諾して、各自が左に寄った素振りをせざるを得ない立場に立っていた。靖国神社に堂々と参拝し、9条改憲を吠えていた者たちが、立憲だの何だのと心にもないことを言い始めて「リベラル」に化けていた。

c0315619_15134729.jpg「野党共闘」に命を賭けて夢中になっている左翼に質問したいが、皆さんは民進党の理念なるものをご存じだろうか。私もよく知らなかったけれど、先日、プライムニュースに出演して小池晃の隣に座った長妻昭が、一生懸命に視聴者に説明する場面があった。何と、民進党には綱領があり、「自由」「共生」「未来への責任」を結党の理念とするのだそうだ。「共生社会」が民進党がめざす理念だと長妻昭は言う。共生社会。それが何を意味しているのか定かではないが、言葉だけを耳にすると、私には内橋克人のイメージが頭に浮かんできて、2000年代後半の反ネオリベ・反貧困・反格差の思潮と言論を思い出してしまう。すぐれて社会民主主義の政策や理想とコンパチビリティの高い表象であり、社会主義が世間で評判が落ちて後退した後、新自由主義に対抗するイデーとして開発され措定された言葉である。21世紀に入って人口に膾炙され始めた新しい言葉だ。社会主義だと具合が悪く言挙げするのを躊躇するので、その代用品として掲げられたシンボルだと言っていい。それはともかく、ちょうどその言葉が流行り始めた頃、多重債務に苦しむ者を救おうとして、宇都宮健児や自民党の森雅子が奔走し、サラ金のグレーゾーン金利を規制する立法を成立させた出来事があった。ところが、その法制に公然と異議を唱え、金利を規制緩和すべしと論陣を張ったのが、野党である民主党の前代表の前原誠司だったのだ。

c0315619_15140738.jpgサラ金のグレーゾーン金利の規制緩和を訴えた前原誠司が、「共生社会」を理念とするという民進党の代表になろうとしている。消費税を15%に引き上げる社会政策に対して、中野晃一が「リベラル」だと褒め上げて追従している。冗談としか言いようのない眼前の政治風景に、私は目眩と吐き気を覚える。われわれが考えないといけないことは、その民進党の「理念」である「共生社会」が、テンポラリーに作成された付け焼き刃の看板で、広告代理店のコピーと同じだという本質的問題だ。民進党が立ち上がったのは去年で、まだ1年の歴史しかない。立ち上げるとき、長妻昭や辻元清美が鉛筆を舐め、小ぎれいなキーワードが並んだ綱領が出来上がった。「野党共闘」の真っ最中だったから、左寄りのコンセプトとカラーが滲み出た文言が並んだ。前原誠司ら右派議員は鼻でせせら笑う気分だっただろう。これは、決して民主党(民進党)に長く在籍する者たちの理念や信念ではないのだ。彼らの目標と立志は、二つの保守政党が政権交代する体制の実現であり、国家エリートである自分が大臣になって法案と予算を仕切ることである。そして、共産党など左翼勢力を永田町から締め出すことである。日米安保を護持する二党で日本の政治を永久に回すことである。連合の労働界での目標が、民主党(民進党)の政治世界での目標に他ならない。細野豪志や前原誠司が言っていることが政党の真実で、正直な結党の原点で、「野党共闘」と「共生社会」の擬態は欺瞞なのだ。

欺瞞は破れる。ネイティブはネイティブ。政治家の初心は初心。立志は立志。信念は信念。国民の前で窮屈な、意に沿わぬ芝居を無理に演じてきたところの、偽りの「野党共闘」は終焉に向かう。

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by yoniumuhibi | 2017-08-19 23:30 | Comments(2)
Commented by 宮澤喜一や河野洋平の頃は本当に良かった at 2017-08-19 19:36 x
進歩の理念を持つ人々のなかには、ややもすると野党共闘に否定的な前原を落とし、野党共闘に賛成の人士を党代表にすべしと意気込む向きもいれば、
民進党の解党を待って旧社会党系や長妻といったまともなのと社自共とで戦えばいいのさという意見を提案する向きもいる。

しかしながら、もっと大局観をもって考えてほしい。憲法を尊重し、これを民生の向上に最大限に活かす意志を有する著名な人物をトップとする新政治体制をつくることが肝要である。
なにも永田町に限定してトップを探す必要はない。去年の都知事選で途中に辞退した石田純一が理想的。有権者は党利党略にあきあきしている。
最初の都知事選で社会党が高齢の田川大吉郎を擁立し内務官僚に惜敗したのは、西尾末広らがあえて負ける人士を担いで吉田自由党に貢献したと考えられる。そのため政党主導は昔から信用できない。

岸田が総理に必ずなれる保証はないゆえ、既存の選手に振り回されない新体制が急務
Commented by foo at 2017-08-19 21:08 x
小沢一郎が自民党を離れた時に最初に指向したのは、自民党に代って政権の受け皿となるべき保守政党であった訳ですが、残念なことに当時は、第二自民党のようなものは国民多数には受け入れられなかった訳です。前原民進党はまた同じ轍を踏むのでしょうか?今の小沢氏率いる自由党は、元々消費税増税反対で民主党から別れた勢力ですが、小沢氏は政権交代可能な党を作るという大義の前に、消費税反対の旗を捨て山本太郎他の仲間を捨て合流するのでしょうか?


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