7回も派手に加計孝太郎とゴルフ・飲食をした意味 - 首相動静の示威機能

c0315619_16540493.jpg7月24日と25日、加計問題をめぐって衆参の予算委で集中審議が行われた。そのニュースを見ながら、「安倍を監獄へ」と書いたプラカードを思い出した。なぜか写真が東洋経済の記事で使われているが、実際に見たのは、24日の昼、国会議員会館前の総がかりのデモに参加したときである。総がかりの集会は主催者発表400人の小さな規模で、衆院第二議員会館前の歩道で催され、自治労連とか全教とか医労連とかの幟がパラパラと立ち並んでいた。大事な決戦の日というのに、あまりの人数の集まりの悪さに意気消沈させられたが、その総がかりの集会の奥の参院議員会館前に、総がかりの10分の1ほどの小さな塊が細々と集会をやっていて、すなわち共産党よりさらに左に位置する某団体の抗議行動だった。彼らのプラカードに「安倍を監獄へ」と書いていた。考えてみれば、加計問題は大きな疑獄事件である。安倍晋三が総理の権限を使って行政を歪め、私的な関係にある事業者に特別な便宜を提供したものだ。国民負担となる公金の額は、176億円とも240億円とも見積もられている。安倍晋三が加計孝太郎に利益を供与したのは、ずっと世話になってきた恩恵への見返りもあるだろうが、今回の濡れ手に泡の今治獣医学部の件でも、相当のキックバックがあったであろうことは想像に難くない。



c0315619_16544918.jpgいくら親友や同志であっても、政治家というものは奉仕でこのような活動はしないものだ。疑惑が上がって追及を受け、失脚や破滅に繋がるような、リスクを抱える行為を利益なしで敢行するとは考えられない。週刊誌によれば、加計孝太郎が「年間1億くらい(安倍晋三に)出しているんだよ」と言っていたという情報も流れている。2日間の国会審議とその報道では、虚偽答弁という問題に焦点が当たり、また、支持率低下を受けての口調と態度がどうのという点に関心が集まったが、実際には巨大な汚職であり、職権を悪用しての税金横流しの不正事件である。そうした本質的な観点が、加計問題を報道するマスコミの意識から消えてしまっていて、支持率下落の国民世論の風に乗り、安倍叩きだけに精を出して満足しているように思われてならない。森友問題も加計問題も重大な疑獄事件であり、安倍晋三は犯罪者なのである。2日間の国会質疑の攻防を伝えた報道では、TBS(NEWS23)が精度の高さで際立っていた。まず、第一日目(24日)の夜から、6月17日に福島瑞穂が質問して安倍晋三から答弁を引き出した映像を紹介し、当日(24日)大串博志に答弁した「1月21日」と矛盾することを明確に視聴者に伝えた。テレ朝(報ステ)は福島瑞穂のVを作成しておらず、TBSの調査と整理に軍配が上げられる。

c0315619_16551817.jpg2局で報道の実力の差が出た。NHK(7時と9時のニュース)は、6月17日の福島瑞穂の質問の事実は知っていたのだろうが、安倍晋三を援護するために故意に無視して放送せず、答弁の矛盾が明らかになる証拠を隠蔽した。そのため、TBS(NEWS23)の独壇場となった。第二日目(25日)には、TBSは、この「加計学園の申請を安倍晋三が知った」期日についての閣議決定が存在する事実まで伝え、閣議決定の文書を撮って映像で流している。この報道はTBSだけだろう。さらに、安倍晋三が、答弁の矛盾というリスクを犯して、敢えて「1月21日」という期日を強弁した理由についても、それが裏方(官僚)との入念な打ち合わせの産物であり、すなわち、それ以前から知っていたとすると、何回もゴルフや飲食を共にしている事実経過が問題となり、公務員倫理規定や大臣規範に抵触する恐れがあるため、無理やり「1月21日」を既成事実化せざるを得なかったのだと星浩が種明かしした。このコメントも、報ステの後藤謙次の話にはなかったもので、整理も解説もTBSがテレ朝を凌いでいたことを言わないといけない。一方、右翼寄りの報道番組であるプライムニュース(BSフジ)の反町理は、この問題に全く別角度からアプローチし、安倍晋三を免責する奇妙な理屈を視聴者に撒いていた。

c0315619_16554897.jpg一国の総理たる者が、重要な政策決定の進行中に、その利益を授かる立場の関係者と何度も飲み食いし、それをマスコミの「首相動静」に書かせながら、そうした場で「獣医学部をお願いします」「はい、分かりました」などと会話を交わすものか、そんなことがあるものか、非常識ではないかと、何とも意味不明な倒錯した妄論を言い立てて安倍晋三を弁護したのである。聞きながら、あまりに論外で鼻白んでしまったが、脱力しつつ、反町理の言い放った「首相動静」というキーワードがヒントとなり、逆に一つの政治解読のインスピレーションが導かれた。以下は、マスコミの解説では未だ付言されていない。つまり、真実は反町理の与太話と逆なのだ。わざと大っぴらにゴルフと飲食を繰り返し、焼き肉だの居酒屋だのを「首相動静」に書かせ、霞ヶ関にデモンストレーションをしていたのだ。加計孝太郎とはこんなにプライベートで親密な関係にあるのだということを、「首相動静」というマスコミ媒体を使って官僚に周知徹底させ、加計獣医学部の特区認定は首相マターだぞと、政治案件だから特別にスルーパスだぞと、文句を言わず黙って通せよと、そう仕向けていたのである。無言の周旋と示威と圧力。前川喜平が官邸で和泉洋人の勧告 - 総理は言えないから私が代わりに言う - を聞いたとき、加計孝太郎と安倍晋三の親密さを知っていたから指示の意味を理解できたのは、こうした「首相動静」の情報が前提にあったからだ。

c0315619_16564158.jpg「首相動静」というものは、こうして権力者は武器として巧妙に活用するのである。「首相動静」で利害関係の深い人名・社名を賑々しく拡散しておくことによって、グレーな政策上の便宜供与の際、言葉で具体的に指示しなくても、どういう交際かを悟らせることで、官僚に暗黙の了解をさせ、行政プロセスを操縦することができる。昨年の7回にもわたる派手な遊興と飲食は、特区行政を動かす布石のデモンストレーションだった。その前川喜平だが、せっかく念願の和泉洋人との対決を野党がお膳立てしてやったのに、二人の間で本格的な論戦を演じて見せ場を作ることなく、新しい証言や証拠を持ち出して立ち往生させる図もなかった。聞き飽きた同じ台詞を何度も繰り返すだけで、和泉洋人を国民の前で論破して難詰する修羅場はなかった。私はてっきり、この機に決定版の文書が爆弾投下され、委員会室を騒然とさせるものと期待していたので、二人の間の「言った言わない」の水掛け論には拍子抜けさせられた。証人喚問の次のステップまで待機するということだろうか、それとも、官僚同士の手打ちが水面下でできていて、国民は霞ヶ関の狐と狸の乱闘芝居に付き合わされているのだろうか。前川喜平の表情を見ていると、8月末予定の獣医学部の認可はすでに潰していて、その確証(約束)を官邸から得ているので、もうこれ以上政権を攻撃する必要はないと、そう顔に書いているようにも見える。深読みしすぎかもしれないが、前川喜平の余裕の根拠はそこにあるように察せられる。



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by yoniumuhibi | 2017-07-26 23:30 | Comments(4)
Commented by 首相動静という命令 at 2017-07-26 23:41 x
「首相動静」は、霞ヶ関へのデモンストレーションだ。
「首相動静」によって、安倍は官僚を操縦した。
というブログ主さんの指摘は、すばらしい着想だ。感服し、納得した。
それは、安倍の主体的な「操縦」なのであり、
はっきりした「指示」なのであり、
明白な「圧力」と「脅迫」なのだ。

役人を身近に見ている私には、彼らの習性がよくわかる。
官僚というものは、自分が責任を問われるリスクを引き受けたりしない。
リスクがある場合に、官僚が、勝手に気を利かせたりするはずがない。
「忖度しろ」と明白に指示された場合にのみ忖度する。
つまり、それは忖度ではない。役人は忖度など絶対しない。

一方、私たちは、常識の思い込みに、思いのほか縛られている。
あまりに堂々としていると、「そんなことをするはずがない」と思ってしまう。
ブログ主さんが指摘する反町理の与太話を信じる人は少なからずいると想像する。
そうでなければ、「スタップ細胞はあります」だの、
「叔父が役員だからTDLの株が安く買える」だのという詐欺が成功するはずがない。

つまり、「やましくないから、頻繁に会っていた」という馬鹿馬鹿しい屁理屈は、
「首相動静を通しての官僚への命令」と言う手法に、
はじめから組み込まれているのだ。
Commented at 2017-07-26 23:46 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 私は黙らない at 2017-07-27 04:56 x
架計個人と、学園をめぐるカネの流れを徹底的に洗うべきです。銚子市は、千葉科学大学に対する補助金のせいで、財政難に陥っているという報道があります。地方再生という名目で、競争力のない大学が補助金目当てに進出する。目的は、合法的に税金を懐にするためじゃないでしょうか。補助金パラサイト大学が、政治家へのカネの流れのパイプになっている可能性は?
Commented by ametyan at 2017-07-31 11:04 x
私たちの世代(60代)にとっては「参考人招致」も「証人喚問」でさえも、真相糾明をあまり期待できない、という苦い想いがある。
「ロッキード疑獄事件」この言葉とセットで私たちが思い出すのは「一切記憶にございません」という証人たちの答弁だ。あれを国会の場でシャアシャアと口にするふてぶてしい証人たちをどれほどの絶望の想いで見たことか。「記憶にない」というのは弁護士が考えだした、究極の答弁だそうだ。つまり自分の「記憶」を裏切った発言を「虚偽答弁」と法的にはいうそうで、そのとき事実があってもそれが記憶になかったならないと答えても虚偽とは言えないのだそうだ。
大して期待できない、どうせ「記憶にない」のオンパレードだろう、と思って見た閉会中審査は、しかしながら面白かった。野党議員たちの巧みな質問で「記憶によれば」「憶えているかぎりは」を条件にして否定答弁を繰り返す政府側参考人と、そうでない答弁の違いを際立たせて視聴者たちに、明らかにウソをついている側を印象づけた。ここまで「言った言わない」になれば、もう「音声データ」に頼るしかないだろう。前川氏や他の文科省や他省庁の心ある官僚がそれを残しているだろうか。
ちなみに大切なことは録音に取って「書きおこおす」。間違いがあってはならないことがらに対しては、普通そうするはずだ。


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