炎暑の中の内閣支持率30%割れ - RDD電話世論調査の心理と動態

c0315619_07592197.jpg先週末(7月14日)、時事通信の世論調査が出て、安倍晋三の支持率が29.9%になったことが報道された。マスコミの世論調査で30%を割るのは初めての出来事であり、3連休を前にしてネット界隈はこの快挙に騒然となった。面接方式で集計を出している時事で、前月から15.2ポイントも急落するのは衝撃であり、この極端な下落幅は予想外だった。さらに17日にはANNが世論調査を発表、時事をさらに下回る29.2%という最低値のレコードを更新、3連休を安倍晋三の支持率低下祭りにして締めた。ANNの世論調査は15日と16日に行った最新のもので、すなわち支持率下降のトレンドが慣性の法則のままに進行していることが分かる。今月まだ世論調査を発表してないのは毎日と日経の新聞2社で、6月の時点ですでに36%という最も低い値を出していた毎日は、時事に続いて30%の線を切る結果が予想される。世論調査報道が世論を作る。現在のわれわれの政治意識はマスコミの世論調査の発表と即自無媒介に結合していて、各社が出す数字を追いかけて感情を起伏させ、将来に見える主観的な希望の光を明るくしたり暗くしたりの生活を送っている。目標はとにかく早く安倍晋三を退陣させることで、そのゴールへ向けて猛暑日の中で日本の政治が続く。



c0315619_07593566.jpg今、ネットの中では、右翼によるマスコミの世論調査に対する不信と反発の声が広がってる。捏造だとか、陰謀だとか言い、世論調査の結果を否定してマスコミを攻撃する扇動に右翼が躍起になっている。そしてネットとマスコミでは、どうしてこれほど短期に、滑り落ちるように安倍晋三の支持率が下がったのか、その理由と原因を説明する試みが始まっている。けれども、それらの言説はどれも皮相的なもので、問題の本質に迫る本格的な分析は未だ登場していない。おそらく、問題を考える上で最も重要なのは、どうして急に下がったかではなくて、どうして安倍晋三の支持率が50%以上もの高さで5年間も続いたのかという点の解明であり、「他に代わりがないから」という、無意味な支持理由の説明で世間とマスコミがなぜ納得してきたのかということだ。問題の設定はそういう方法と視角からでなくてはならない。安倍晋三が世論調査の高支持率を武器にしてきたことは間違いないだろう。そして、現実にマスコミ各社のRDD調査で高い支持率が集計され続けてきたことも事実だ。どうして高い支持率が出るのか、私はいつも不思議でしかたなかった。その要因分析の仮説になるかどうかは不明だが、実際に世論調査を受けた経験から感じることが一点ある。

c0315619_08000681.jpgある日、世論調査の電話がかかってきた。質問に対して番号を押して答える形のもので、すぐに面倒くさくなって受話器を置いてしまった。真面目に全部答えていたら1時間近くかかったかもしれない。そのときの観念では、私もマスコミの世論調査を信用しておらず、それにコミットする態度がなく、煩瑣で億劫な調査に付き合う気になれず、回答を拒否する選択をしてしまった。現在なら、どれほど手間でもきちんと応対して、内閣を支持しないの一票を入れ、最後まで番号のボタンを押し続けて有効回答者の一人となるだろう。今の政治においてマスコミの世論調査は選挙と同じ意味と影響があり- その事の善し悪しは別にして -民意を発現する機会そのものとなっている点は否定できない。その結果によって次の政治が動くのであり、世論調査は民主主義政治の重要な契機となっている。したがって、今なら回答者として選ばれたら、面倒だなどと思わず積極的に参加し協力する一人となる。つまり、棄権はしない。世論調査を自らの求める政治の実現の手段にする。そのとき、私はマスコミの世論調査を信用する立場にある。おそらく、右翼は逆の態度になっていて、今、マスコミが右翼に世論調査の電話をかけても、彼らはそれを信用せず、ガチャ切りしてしまうだろう。

c0315619_08002839.jpgこのような二つの立場の心理の交錯と動態があり、それが反映され、世論調査での安倍晋三の支持率が実態より高く維持されたり、急に下落したりのシーソーゲームが生じるのではないか。つまり、この5年間、安倍晋三を支持しない者は、マスコミの世論調査を疎んじて機会利用せず、逆に右翼はそれに積極的に応じて数字を作っていたのではないか。そんな仮説を、特に科学的な根拠はないが、ふと思いついた。安倍晋三の支持率が下がる局面と傾向での世論調査なら、どれほど手間でも惜しまず協力させてもらう。さて、それでは、面接方式の時事の世論調査で、どうして前回6月から15ポイントも支持率が急落したのだろう。時事の数字の変化は、明らかにこれまでは安倍支持だった者が安倍不支持に変わったことを示している。それは、7月2日の都議選で自民党が歴史的惨敗を喫し、安倍批判の民意が多数だと認識されたからだ。都議選の凄まじい結果を見て、常に多数派に所属する自己の位置を切り換えたのである。面接調査だから、電話調査と違って、その態度表明はより際立った性格のものになるに違いない。対人面接で政治的立場を訊かれて、人は少数派を選ぶのに気後れする。日本人は多数派につこうとする。そのことは、昨日(17日)放送された報ステの街頭インタビューでもよく示されていた。

c0315619_08004439.jpgカメラを向けられて、内閣を支持するかしないかと尋ねられ、その市民は不支持と答えたらしいのだが、よく政治の中身を把握している様子ではなく、明らかに、2か月前までのインタビューでは安倍支持と答えていた人間である。要するに付和雷同で、多数派の側にいれば安心という選択にすぎず、その市民の今回の「安倍不支持」もどこまで中身のある判断か分からない。現在のマスコミ報道の表面での、30%を切ったという支持率急落の内実は、多かれ少なかれそんな曖昧なものであり、実際にはまだ40%くらいの支持が残っていて、依然としてぶ厚い右翼岩盤に支えられていると考えるのが当を得ているはずだ。報ステの街頭インタビューに登場したあの市民が、本当に安倍不支持になり、「安倍さん」と呼ばずに「安倍」と呼び捨てにするのは、これから2か月か3か月か先のことだ。その意味で、現在の支持率急落の政治は、まさしく丸山真男の言うところの古層範疇「つぎつぎになりゆくいきほひ」の現象形態である。「勢い」に他ならない。勢いのあるものを価値あるものと認めて崇める日本の思想であり、勢いの止まったものを貶価して否定する思考パターンだ。安倍晋三にとっては、今回はある意味で運が悪く、6月の支持率下落から都議選までの間が連続していてタイミングが最悪だった。それが命取りになった。

c0315619_08005985.jpgそれでは、6月の支持率下落は何だったのか。私は易姓革命の表象を当てて意味づける試みをするが、単純に「飽きが来たから」という説明でも悪くはないだろう。花粉症のアレルギーが、健康な体内に時間をかけて異常が蓄積し、ある日突然発症するように、安倍晋三に対する評価や態度も、花粉症的な免疫異常の潜在進行の過程がありつつ、表面上は自己欺瞞の観念操作で「他に代わりがない」と納得していたと、そう説明づけることができるかもしれない。前川喜平の「面従腹背」の経緯と口上は、その態度転換を表現する典型例のようにも感じられる。アレルギー症状の爆発と言えば、5月3日に読売が安倍晋三の憲法改正の話を載せ、国会の答弁で「読売新聞を熟読せよ」と軽口を叩いた後、朝日新聞の怒りが爆発し、そこから政権打倒の勝負に出て、連日、1面トップに前川喜平と文科官僚の告発を載せ、牙を剥いて猛然と挑みかかったことがある。朝日新聞が本気になった。ほう、縁故貴族の朝日も本気になることがあるのかと、そう思って高見の見物をしていたら、いつの間にか保守 論壇の雄である文藝春秋が安倍降ろしに出て、週刊新潮までが安倍叩きの連打を放って世間を刮目させるという革命が始まっていた。マスコミ総がかりの安倍批判。NHKと読売以外は四面楚歌。こうなったら支持率が下がらないはずがない。

とまれ、今は、内閣支持率の変動を分析するときではなく、徹底的にそれを下げるべく動くときだ。予算委集中審議時の国会裏への集結と抗議は、われわれ無名の者ができる効果的手段の一つである。報道によれば、安倍晋三は秋の臨時国会への改憲案提出をなお諦めておらず、8月3日の改造で自民党憲法改正本部の人事を変え、慎重派の中谷元らを罷免して強行突破する魂胆でいる。8月7日に出るマスコミの世論調査で、何としても支持率25%の最低値を叩き出し、安倍晋三を屈服させ、憲法改正の断念に追い込まないといけない。

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by yoniumuhibi | 2017-07-18 23:30 | Comments(2)
Commented by 私は黙らない at 2017-07-20 04:05 x
特定秘密保護法、安保法案、共謀罪、もうこれ以上絶対負けられない。負ければ、確実に平和憲法まで失う。
今は、小池は嫌、石破はダメとか言ってられない。とにかく、安倍を政権から引きずりおろし、負の連鎖を止める。
政権下で失ったものは絶対取り戻す。「安倍首相でいいんじゃないですかぁ」とか言ってる若者の洗脳を解く。
Commented at 2017-07-20 23:27 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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