民意が爆発した易姓革命の夜 - 「受け皿」があったからこそ自民党は惨敗

c0315619_15011466.jpg2日の都議選。都民の審判が下って自民党の歴史的惨敗となった。誰も事前に予想できなかった自民23議席という結果となった。ネットの一部に自民25議席という予想が出ていたが、誰も23議席などという極限値まで到達するとは思わず、民意の破壊力の凄まじさを痛感させられた瞬間となった。NHKの開票速報が始まったとき、自民党の獲得議席予測が13議席から39議席と表示され、思わず何かの間違いではないかと目を疑ったが、NHKの出口調査は正確だった。午後9時を過ぎても自民党の当選確実が1議席も出ず、9時半頃まで0議席の状態が続き、民意の激変が想像を超える大きさであったことが明確になった。自民党がこれほど大敗する選挙を見るのは初めてのことだ。2009年の政権交代があった衆院選でも、これほど極端で劇的な開票状況と投票結果ではなかった。結局、自民党は現有57を半減以下の23にまで地滑り的に減らした。中選挙区制の選挙でもここまで第一党が惨敗して没落する図があることを知らされ昂奮を覚える。易姓革命が起こり、それを都民が具体的な政治にして示したとしか言いようがない。多くの都民はこの結果に満足し、自らの政治的主体性に自信を持ったことだろう。一票で政治を変えた。



c0315619_15044872.jpg長く続いた安倍晋三の強権独裁の時代が終わりを告げる、その政治的展望が敷かれた。投票一週間前のマスコミの調査では、都民Fと自民との集票予測値は拮抗していて、公明が都民Fを応援する票を加算したとき、都民Fが40議席台後半で自民が40議席を割るか割らないかの線だろうと見込まれていた。反安倍紙の日刊ゲンダイが投票3日前の29日に書いた記事でさえ、自民39議席という慎重な数字が見出しに上がっている。一週間の間に、稲田朋美の公職選挙法違反の失言事件(27日)があり、下村博文の加計資金疑惑の報道(29日)があり、自民党への逆風が怒濤の勢いとなって、有権者の自民党への反感と怒りが沸騰した時点で投票日を迎えた。この選挙結果の意味を総括するとき、われわれが正しく認識しなくてはいけない点は、小池新党という「受け皿」があったから自民党が大敗したという事実である。有権者が期待し希求する「受け皿」になったから、都民Fは自民党への反発と憎悪を吸収して大勝した。特に政策の中身があったわけでもなく、魅力ある候補者が並んでいたわけでもない。今回の都議選は都政上の争点はなく、安倍政権への是非が問題となった。国政が問われた選挙だった。都民は正しく、安倍政権にNoを突きつけたと言える。

c0315619_15051803.jpgだが、ここでもし都民Fという政党の存在がなければ、小池百合子が都民Fを立ち上げて都議選に臨んでなければ、どれほど有権者が安倍政権の奢りや不祥事に憤りをつのらせても、その民意は具体的に吸収も反映もされることがなく、選挙は自民党が少し議席を減らす程度に終わり、形の上では自民党勝利の無風選挙に終わっていただろう。決して民進党が勝利する選挙にはなってない。自民党が大敗したのは、有権者が小池新党を「受け皿」にして自民党にお灸をすえたからであり、「受け皿」がなかったら、選挙は自民党の勝利となって、それを起点に再び安倍晋三の支持率が上がるという事態になったのだ。「野党共闘」を支持する左翼の者たちは、今、小池新党の右翼的正体を言い、警告を発しているけれど、都民Fがなかったらどうなっていたかという想像を先にしなくてはならないし、「野党共闘」が受け皿になってない事実を認めることが重要なのだ。「野党共闘」では、安倍自民に鉄槌を下す民意は現実化されず、小池新党だからそれが可視化したのである。2015年の安保法制のときから、私は何度もリベラル新党を作って受け皿にせよと主張し続けているが、まさに今回の選挙は、受け皿新党こそが民意を得て安倍自民を倒せるのだという政治の真実を証明している。

c0315619_15054759.jpg無論、小池百合子は必ず次の総選挙に打って出る。勝てるからだ。安倍晋三が政権を続けていた場合、国民は小池新党を「受け皿」として歓迎し、無党派層が票を流し込み、民進党支持者も票を入れ、候補を立てた都市部の小選挙区で小池新党の新人が自民現職を破るだろう。問題になっている安倍チルドレンの2回生議員がボロボロ落選するだろう。総選挙は1年後に控えている。もともと、都議会は基本的に小池百合子のオール与党体制になっていて、予算案は自民党と共産党を含む全政党が賛成しており、小池百合子が無理に都議選で新党を立てて都自民党(内田茂)と喧嘩する図を演出する必要はなかった。新党を立てたのは、橋下徹を倣って国政に進出するからであり、「日本初の女性総理」になる野望のためである。小池新党で自民党と連立を組んで首班になるか、小池新党を自民党と合同させて自民党総裁の立場で首班になるかは今後の成り行きだが、4日に放送されたTBS特番を見ても、バックに小泉純一郎や二階俊博がついていて、来年の総選挙で国政進出させ、2020年の東京五輪後に小池百合子を新首相に担ごうかという雰囲気が漂っていることが窺える。今年中に院内で5人以上の勢力となって政党要件を満たすという評論家の予想は、私は間違っているとは思わない。

c0315619_15055808.jpg小池百合子は間もなく65歳になり、野望を実現したいのなら年齢的に焦らなくてはいけない立場にある。民進党から脱出する右派議員を回収し、橋下徹が維新でやったのと同じ方式で、自分は外にいながら国政新党を操縦するだろう。3日のプライムニュースに出演したときの言葉を聞くと、ゴルフのスライスボールの比喩を使い、自分は安倍晋三よりも左寄りのセンターポジションで、フェアウェイの真ん中に政策を打っていくのだと説明していた。9条を狙った性急な改憲にも反対だと言っていた。明らかに国政進出を睨んだ布石の発言であり、支持を失った安倍自民党との差別化をアピールしている。国民世論が安倍晋三の右翼路線から離れた状況を見て、風見鶏の姑息さで自らのイデオロギー性の表象の修正に出た。こうなる前は、安倍晋三と腹を合わせて、改憲工作で公明党を9条改定に引っ張り込むブリッジとなるべく小池新党の政界進出の成功を目論んでいたはずだが、反安倍世論の強風を帆に受ける「受け皿」のシンボル性が極まったため、にわかに安倍晋三と距離を置く政治姿勢を強調するようになった。現在は極右の野田数を都民Fの代表に据えているが、国政新党を立ち上げたときにこの人事をスライドさせるとは思えない。使い捨てにするか、右の票を党に集める撒き餌にするだろう。

c0315619_15061160.jpg小池百合子が依存し依拠しているのは、小泉純一郎や二階俊博など自民党の実力者とマスコミだ。自民党に鉄槌が下されたことで、安倍晋三の改憲策動はきわめて不透明な情勢になった。7月の世論調査では、内閣支持率はさらに下がり、自民党の支持率も下がるだろう。小池新党という「受け皿」の姿が現実的になったことで、保守層の世論は自民党の支持から離れることができる。安倍晋三の高い支持率は、「他に代わりがない」という理由で維持されていたものだから、小池百合子が代替のシンボルになることによって、内閣支持率は高止まりする法則と傾向の主因を失う。ネットの中の左翼の論者たちは、今、小池叩きに熱中しているけれど、情勢がかく転換した現在では、むしろ小池新党のモメンタムは安倍晋三の支持率を引き下げるエンジンになるのであって、歓迎してよく、マスコミに宣伝してもらってよい。われわれ護憲派にとって最も重要で喫緊の課題は、安倍晋三による改憲を阻止することである。安倍晋三を総理総裁の座から失脚させることである。毒をもって毒を制す。改憲の策動を阻止するためには、都民Fの圧勝も必要だったし、石破茂にも活躍してもらわないといけない。石破茂にも、もう一つの反安倍の代替シンボルになってもらってよい。石破茂が憲法の持論を掲げて反安倍で動くことで、自民党内の改憲論が割れ、安倍晋三の9条改定案が相対化される。

(NHKやフジなど)安倍盲従のマスコミの改憲洗脳報道が減少する。創価学会の中の護憲派が活気づいて力を得る。国民投票をやれば改憲派が負けるという蓋然性が強くなる。易姓革命は確実なものとなった。われわれ護憲派がやるべきことは、まずは今夏、渾身の力で内閣支持率を35%割れに導き、憲法改正の策略を断念に追い込むことである。安倍晋三を失脚させることだ。その次に、来る総選挙で小池新党に勝てるリベラル新党を立ち上げることだ。



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by yoniumuhibi | 2017-07-05 23:30 | Comments(5)
Commented at 2017-07-05 17:14 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 長坂 at 2017-07-05 17:54 x
都民の受け皿として都民Fはぴったりだったと。「ファースト」が醸し出す排外主義とネオリベの香りが都民のプライドをくすぐる。百合子の口から自然と発せられるEnglishが凄いの。スプリングボードやフィンテックやソーシャル ファームだの。かっぺ臭い稲田や鬼の形相のドS真由子と違い、おっとり穏やかに都議会のドンをやっつけてくれる世界の東京にふさわしい「改革の女王」。豊洲だ築地だと言ってれば連日メディアが取り上げてくれるから、何にもやらなくてもやった風。スキャンダルが噴出しそうだし、都知事じゃ満足できないから都民Fは「後はお若い皆さんで!」新党作りのKnow-howは誰にも教えない。
Commented by 低投票率 at 2017-07-05 23:13 x
受け皿が必要だったというブログ主さんの意見に完全に同意する。
現状においては、1ミリでいいから、政治を左に寄せる現実的選択を探るべきだ。
100%でなければダメだなどと言っていられる状況ではない。

小池百合子を批判する人に聞きたい。
では、安倍自民が大負けしない方が良かったのか?
都民Fがなければ、共産が55議席とって、自民23になったのか?
そんなことは、絶対あり得ない。
野党共闘は、多くの有権者の投票先にはなれない。この事実は認めるしかない。

小池百合子は、この状況なら、すぐに安倍晋三と手を結ぶことはない。
彼女の日和見主義は、その意味で信用できる。
つまり、左に手を伸ばした方が票になると思えば、左に寄るのだから、
有権者の意志が正しく反映されるとも言える。

もちろん、右の方が票になるなら、右に寄る。が、それを裏切りと言っても意味がない。
それは、ある意味では、民主主義的だと言ってもいい。
つまり我々は、リアルな生活の中で、隣にいる人を説得することからはじめるしかない。
投票率は、50%をほんの少し上回ったに過ぎない。
Commented by アン at 2017-07-07 00:26 x
19時のニュースで九州豪雨のことを扱った際、S木奈保子とかいうアナウンサーが役場の人と話をしていて、役場の人が「小学校に50人取り残されてる」と言ったんですが、そのアナウンサーは「あ、50人ですか」とだけ言ってスルーしてました。
普通なら「その50人は学校のこどもですか、それとも学校が終わってこどもは帰った後で避難してきた住民ですか」と尋ねると思うんですが、それができる頭ではないのでしょう。
S木というH政大程度の人間だと仕事にならないんですよね、こういう専門性のいる場面では。高校で数学や理科をろくに勉強してない連中がニュース作ってるわけですから。
日本全体も専門性のある人間を重宝しなくなった、だから受け皿は誰でもいいんですよね。大阪でも名古屋でも東京でも、都会の人間は今までの人じゃなければ受け皿は誰でもいい。
Commented by 七平 at 2017-07-07 09:10 x

元エリート官僚による内部告発は官僚に対する人事権を持つ安倍政権から猛烈な弾圧を受けるのですが、古賀茂明さんも前川喜平さんもしっかりした日本を愛する心と背骨があるようです。地球の裏側からですが、敬意と応援の意を表したく思います。両氏の告発の中心点には共通性があり、日本での報道の自由が如何に歪められているかを国民に示し、国民の目を覚まし、日本の民主主義を守ろうとされていると思います。 私もそうですが、両氏とも、政府からの制裁や仕返しを恐れなくても済む立場におられますので、真意を語られていると思います。 

つい先ほど、新しくYou Tube に上がった、古賀茂明さんの特派員協会でのインタビュービデオ ( 古賀茂明 メディアと安倍政権の裏側を語る)を観ました。以前からの論点を貫かれています。 忘れかけられている、人質事件に関しても 2:30- 12:00分、10分間にわたりコメントされています。 2:40あたりで 例の ”この先は私の責任ビデオ” を1月20日に見た時に疑問、違和感を感じ、実際 I am not Abe. を口にしたのは、三日後、23日であったと語られています。 ISIL による、後藤健二捕獲日付けも11月2日と政府の公式発表とは一か月のずれがあり、 暗に選挙を前にした政府による、丁稚上げ捕獲日付を示唆されています。 

私のブログ活動も人質事件がきっかけでした。 当時、ブログ主さんがスクープされた多くの記事は洞察力と分析力に満ちた素晴らしいものです。関連記事は今でもきちんとアーカイブされていますし、人質事件の真相解明には本サイトに右に出るところは無いと思います。当時の副官房長官がExcite に怒鳴りこんで、記事とコメントを一旦、消された経緯があったほどです。  ようやく、あくどい情報統制に目覚め始めた国民に再度、人質事件の真相に興味を持って考えてもらいたいと願います。 なぜならば、国民の命を守るという総理大臣の職務を考えると、人質事件の真相解明は安倍晋三が二人の日本国籍保持者を 業務上致死、もしくは過失致死に至らしめた事を暴き出すと考えるからです。 汚い金と既得権争いが中心の汚職や忖度より、一層、悪質な事件だと考えます。






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