「易姓革命」を待機する気配 - 保守論壇の地殻変動と霞ヶ関の抵抗

c0315619_15131246.jpg間もなく都議選の告示がある。23日に告示されると、7月2日の投開票まで9日間しかない。あっと言う間に結果が出る。事実上、選挙戦は終盤だ。投票から2週間を切った重要な時期に、内閣支持率の急落を告げる報道がマスコミ各社から一斉に出された。安倍晋三にとっては態勢を立て直す時間がない。支持率急落の情勢の余韻が続くまま、選挙期間の刻一刻が過ぎて投票日を迎える。今回の都議選は全国が注目する大型の選挙になっている。争点は豊洲市場の移転問題ではなく、自民党が勝つか都民Fが勝つかという問題で、安倍政権に対する賛否が問われ、小池新党への期待の程度が問われる選挙になっている。東京都の都政プロパーの問題ではなく、国政の関心で都民の一票が投じられ、その民意を全国の有権者が注視するという構図になった。最新の予想を見てみると、サンデー毎日(三浦博史)が、自民48、都民41、公明23、共産12、民進1という数字を出している。自民は現有から9議席減。現代ビジネス(鈴木眞志)の予測では、都民46、自民37、公明21、共産15、民進4で、自民は20議席減。もう一つ、夕刊フジ(鈴木哲夫)の予測だと、都民46、自民42、公明21、共産13、民進1で、自民は15議席減。



c0315619_15132499.jpg自民党が現有議席を割り込むことは確実で、その幅が大きいか小さいかという問題が焦点になっている。風は安倍晋三に逆風に吹いていて、投票までの間、マスコミは自民党の苦戦を伝える報道にシフトし、自民党の敗北と小池新党の勝利の結論を固め、加計学園の政局とリンクさせつつ、国民の安倍政権に対する不信と拒絶を浮かび上がらせるだろう。もし自民党が20議席減の大敗を喫し、下村博文が引責辞任となった場合、マスコミはすぐに世論調査を実施するはずで、内閣支持率がさらに下降し、読売と日経で40%に、朝日と毎日では35%に落ちる可能性がある。第二次安倍内閣発足以降の最低値の記録更新となり、政権のダメージは深刻なものとなるだろう。その数字が出て、自民党内の動揺が報道された後、NHKの月例世論調査が7月中旬に発表される。現在48%という高い水準にあるNHKの値も、マスコミ他社に倣って40%まで下落するはずだ。過去の例を見ると、支持率が35%を切った内閣は、そこから先はダッチロールの状態となって終焉に向かう。国民の信を失った政権だとマスコミに判断され、ネガティブな論調で報道され、一挙一動が意地悪く叩かれる。悪役のキャラクターが固まり、人気取りの演出が不可能になる。

c0315619_15143807.jpg日本的な、いわば「静かな易姓革命」がマスコミの中で起き、それまでは積極的に価値づけられていたシンボルやメッセージやビヘイビアが、一転して否定的な意味づけに変わって嫌悪と軽蔑の対象となる。空気が変わる。菅政権や鳩山政権がそうだったし、第一次安倍政権や橋本政権もその変容と転落が顕著だった。ともかく、今は祈るような気分で、都議選で自民党が大敗して、その結果が出た後の世論調査で内閣支持率が二段目の急降下を遂げることを切望するのみだ。正直なところ、安倍晋三の支持率がどうして急落したのか、その原因は私にはよく分からない。そもそも、これほど異常な独裁政権が50%という高い支持率で継続していることそのものが、きわめて不思議で不自然な現実であり、その理由なり合理性がまったく分からない。したがって、なぜ急に下落したのか説明できないし、すぐに50%に戻るのではないかという懸念も払拭できない。小池新党が安倍晋三と対抗する野党とならず、国政に出るとき改憲で連携して大政翼賛会を結成する悪夢への不安も大きい。ただ、そうした悲観的な要素とは別に、ネットの外の世界を見たとき、ある種の地殻変動というか、環境の変化を感じることも確かだ。 具体的には、文藝春秋の7月号の特集がそうである。

c0315619_15152989.jpg「驕れる安倍一強への反旗」というタイトルが打たれ、前川喜平の抵抗の手記が寄せられている。保守論壇のフラグシップ的な位置にある総合誌で、安倍晋三がこれほど厳しい口調で糾弾を受けるのは初めてではないか。少なくとも、第二次政権が始まった2012年末からの4年半の間では初めての出来事だと思われる。保守層への影響は小さくないだろう。それから、山口敬之のレイプ事件を暴露した週刊新潮の最近の姿勢がある。6月22号では、官房長官会見の質問で食い下がる東京新聞の望月衣塑子の身辺調査を、菅義偉が警察組織に命じたという卑劣な謀略を告発し、官邸権力と戦うジャーナリズムの姿勢を見せて国民の溜飲を下げさせた。週刊新潮といえば、右翼がプロパガンダを載せて国民を洗脳する媒体であり、まさに安倍陣営の宣伝誌だ。その週刊新潮が安倍叩きの記事の発信を続けている。安倍晋三の私設放送局に堕していたNHKでも様子が変わってきて、官邸権力に造反して告発を続ける文科官僚を側面支援する動きが続いている。NHKはもともと政府機関の一部のような存在だったが、今、政権と政府の間に亀裂が入り始め、官僚(政府)の一部が安倍晋三に対して反旗を翻しはじめたため、矛盾した二つの立場を混在させて報道するようになった。

c0315619_15161175.jpg霞ヶ関の中に、マスコミの中に、保守層の中に、安倍晋三の強権独裁支配に倦み飽きて、ポスト安倍を渇望する空気が広がり始めている。その空気は小池百合子というシンボルへの支持に収斂しつつある。政治家としての小池百合子は、安倍晋三のような猛毒の極右のイデオロギーの化身というわけではなく、むしろ究極のポピュリストで、親米新自由主義にコミットしているという以外は、政治思想は空洞のまま、マスコミが神輿として担いでくれるならどんな衣装でも着て踊るというタイプだ。持論のイデオロギーを振りかざして周囲を圧倒してゆくパラノイア型ではなく、世間の人気者でいられるなら何でもやりますというパッシブでテクニカルな日和見主義者である。マスコミに寄生して生きる軽薄なポリティシャンだ。マスコミの応援がなければ失速して終わり。だから、この機会に安倍晋三の支持率が劇的に凋落し、国民も霞ヶ関も「易姓革命」を希求しているという状況が定置されれば、安倍晋三と結託して補完勢力になる位置取りは避け、安倍晋三と盟約を結んで改憲に邁進するという針路はとらないだろう。逆に、反安倍の世論を巧みに帆に受けて勢力を膨らませる戦略に転じ、左方面にも愛想を振りまき、民進党の泥船から脱出する者を吸収する策に出るだろう。独立した新党の基盤を固め、衆院選候補者を公募で集め、大型の「受け皿」勢力を作る方向に進むと思われる。



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by yoniumuhibi | 2017-06-21 23:30 | Comments(4)
Commented by ポー at 2017-06-22 15:25 x
twitterに豊田の桜蔭同級生の投稿がありましたよ(この同級生も桜蔭東大法卒)

>> http://twitter.com/elioppi/status/877689068066230272
>>中高同級生でした。お父さんがDVな人でお母さん耐え>> てて自身も辛い、と 本人の口から聞いたことあり。>>非常に頑張り屋で、名門校の中で一番とかを 取ってまし>>た。私も心が痛いです。

配偶者は入場が許される園遊会に実母同伴して、実母も一緒に入場してることから、母親も変わった人だな、育った環境に問題があるんだろうなとは推測していました。
母親に勉強さえできればいいのよ、と言われて育ったのかもしれません。
秘書の娘が強姦されたらとか言うのは普通じゃありませんから、やたらピンクの服を着ていたり、そういう女性性に対するトラウマがあるんでしょうね。
Commented by ポー at 2017-06-22 19:44 x
自民党の河村元官房長官が、「ああいう男の議員はたくさんいる。豊田はかわいそうだ」と言ってるのを聞いて呆れました。
今の時代は、男女問題よりも汚職問題よりも、こういう基地外じみた動画が一番影響力高いんですよ。
みんな、職場や人間関係で、迷惑行為に辟易したことがあるでしょう。でも、誰にも言えず、発散してきた。そういう過去を思い出すからです。
自民党は何もわかっていませんね。
Commented at 2017-06-22 20:20 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by liberalist at 2017-06-23 02:53 x
>究極のポピュリストで、親米新自由主義にコミットしているという以外は、政治思想は空洞のまま、マスコミが神輿として担いでくれるならどんな衣装でも着て踊るというタイプだ。

同感です。いわばフランスのマクロン新大統領の日本版が小池百合子なんだと思います。その政治思想は、私は「中道」と分類しても良いと思っています。
大阪維新の会のように、都民ファーストも安倍自民党の別動隊と見る左派も居るようですが、少なくとも安倍自民党よりは左の政党でしょう。大阪維新が自民党より右の政党であったのとは大きく異なります。

新自由主義的であるという指摘で、一点だけひっかかるのが「築地ブランド」を掲げている点です。少なくともこれだけは政策的には、新自由主義とは逆のベクトルを向いているようにも思えます。新自由主義者とは伝統など非合理的なものであるとし、維新が象徴的ですが、即豊洲全面移転を訴えます。
しかし、小池百合子は、今後はどうなるのか、ブラフなのかもしれませんが、築地も選択肢に残した。もしかしたら、新自由主義という思想すらもなく、徹底したポピュリズム的な政治家なのかもしれません。
それこそ、かつての師匠の小沢一郎のように、世論の風を見て、政治思想すらも変え得る可能性はゼロではないかもしれないと捉え始めました。

>大型の「受け皿」勢力を作る方向に進む
安倍晋三がなおも政権に居座るのであれば、その方向で動いていくような気もします。世論がそれを期待します。
一方で、自民党内で、大敗の責任論から安倍降ろしが起こり、石破茂が総裁になり、自民党の支持率が回復するのであれば、小池百合子と石破自民党は手打ちを行って、友好関係を築く(自民党に刃向わない勢力にする)ことはあり得るのではないかとも思います。
確か、小池百合子は2012年の党総裁選で石破茂に投票していたはずです。

いずれにせよ、この東京都議会選挙で、自民党を歴史的敗退、それこそ共産党の議席以下まで落とし込むことが出来れば、改憲の流れは一歩後退の方向には向かうでしょう。
反安倍のためには、1~2人区では都民ファーストの推薦候補に、3~4人区では共産党に、5~8人区では民進党か生活者ネットに投票することが、最も合理的な投票行動であると、私は分析しています。これがそれぞれの選挙区で、自民党と当落争いを行う政党になります。


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