内閣支持率下落と今後の政局の条件 - 都議選を反安倍モメンタムの渦にせよ

c0315619_14431829.jpg昨日(18日)、マスコミ各社から一斉に世論調査が発表され、内閣支持率の急落が次々と報告された。最初に共同が前回より10.5ポイント下がって44.9%と数字を上げ、次に毎日が10ポイント下落の36%と続き、さらに日経が7ポイント下落の49%と報道。夜になって朝日が6ポイント減の41%、読売が12ポイント減の49%と出揃った。これほどマスコミが期日を合わせて世論調査を並べるのは久しぶりだ。予め調整した上での一斉報道と思われる。そこに意味がある。とはいえ、各社が急落を報じた支持率は、折れ線グラフをたどれば昨年春の水準であり、例えば、読売が図表で示している推移を確認しても、安保法が強行採決された2年前の最低値までは下がっていない。集団的自衛権行使の閣議決定がされた3年前の水準と同じで、急落したカーブの程度も類似していることが分かる。あのとき、新宿駅南口で衝撃の焼身自殺未遂事件があり、世論は沸騰して支持率は急降下したが、喉元過ぎれば熱さ忘れる国民性の故か、すぐにリバウンドして元に戻っている。安保法のときも同様で、1年後の参院選で安倍晋三は圧勝して3分の2を固めた。したがって私は、金子勝のように「潮目が変わった」と無邪気に断定する楽観的気分にはなれない。



c0315619_14492424.jpgしかし、政治の状況は必ずしもこれまでと同じではないことも事実だ。低下した内閣支持率が再び50%を越える原状に復するかどうかどうかは不透明で、今回は安倍晋三にとって壁となる政局の条件が三つほどある。第一は、都議選から主役になる小池新党の存在であり、第二は、9条改正を与党内で決める上での困難と障害であり、第三は、それと絡むが来年の総裁選レースである。読売の世論調査を見ると、小池百合子の都民Fに「期待する」と答えた者が54%いて、「期待しない」の34%を大きく上回っている。マスコミが小池百合子に脚光を浴びせて称揚し、国民の注目と期待を集め、「受け皿」に偶像化する工作を積極的に行っていることは、前からブログで指摘してきたとおりだが、今回、都議選の告示直前のタイミングで、共謀罪の国会運営と加計学園の問題でマスコミが揃って安倍晋三を叩き、そこに読売までが便乗している図を見ると、マスコミの一年がかりの周到な政治戦略のようなものが透けて見える。マスコミも権力の一部であり、安倍独裁から自由な権力が欲しいのは当然の生理と動機だろう。そのためには現政権を揺さぶる駒として使える、政界でパワー・オブ・バランスの機能を発揮できる確たる勢力が必要だ。

c0315619_14495230.jpg小池百合子には野心があり、ポスト安倍の射程を睨んでいて、マスコミから追い風を受けて都議選に勝ち、国政に進出して大きな政治勢力を成そうと目論んでいる。安倍晋三の長期独裁に倦んだ国民が求める「受け皿」となることを目指している。小池百合子とマスコミが描くシナリオどおりに順当に進めば、小池新党は無党派層を取り込み、さらに民進党支持層の半数と自民党支持層の一部を削って包摂し、自民党に次ぐ第二の支持率を得る政党に膨張するだろう。都政の新しい勢力図が国政の次の予想図になる。最新のNHKの世論調査をベースにして推定すると、現在、自民36%、民進8%となっている政党支持率は、自民25%、小池15%、民進4%という構成に変動すると見込まれる。小池新党の割り込みで自民党自体の支持率が下がる。この世論の変化は内閣支持率にも影響する。安倍一強は、代わりになる勢力がないため、野党に絶対的に人気がないため起きている現象で、「受け皿」になると国民が感じる政党が現れ、マスコミが後押しすれば構図は変容する。マスコミが小池百合子を偶像化して粉飾し、疑似カリスマを演出する報道に徹すれば、それは内閣支持率を下げる引力となり、支持率を50%に戻すリバウンドの力を弱めるに違いない。

c0315619_14501512.jpg小池新党が政界の視界と展望に割り込み、自民党と安倍内閣の支持率を縮小させる事態となったとき、与党の中はプルーラルな力が回復する方向になる。ポスト安倍を狙う石破茂が改憲問題で異論を唱え、年末に向けての税制改定 - 子ども保険 - で別案を言い、安倍晋三と対立する政策姿勢を訴えて、来年の総裁選に有力な対抗馬として布陣するべく動くだろう。本来、公明党は9条改定に乗り気ではない。小池新党が出現して確固たる存在感を示し、内閣支持率が40%から上がらなくなったとき、安倍晋三が年内に与党内を9条改憲で固める日程は難しくなると思われる。与党内がプルーラルな権力状況になり、自民党が元の百花斉放的な自由を取り戻して官邸の強権支配が揺らぐことは、窮屈な思いをしている霞ヶ関の官僚にとっても歓迎だろう。仮に支持率が50%に戻らず、与党内で9条改憲を纏められないまま年を越し、総裁選の行方が注目される環境で来年の国会が進行すれば、来年中に迫っている衆院選は安倍晋三にとって追い込まれ解散となり、さらに支持率を下げる条件となるだろう。無論、これはあくまで小池百合子が安倍晋三に対峙して、野党としての性格を際立たせた場合の観測であり、逆に小池百合子が安倍与党に入り、維新と同じ9条改憲を推進する側に回った場合は別の最悪の展開になる。

c0315619_14504575.jpgその最悪の疑念について、私はずっと警戒警報を言い続けてきた。陰謀論と誹られるかもしれないが、昨年末に公明党が不意に転換したところの、都政における自民党との連携解消と小池百合子との協調路線は、どう考えても唐突で面妖で裏に何かあると勘ぐりを入れざるを得ない。何かあるのではと不審に感じていたところに、憲法記念日の安倍晋三による9条改定宣言が出た。9条改定の明文改憲を実現するためには公明党の協力が要る。また、民進党を二つに割って崩壊させないといけない。安倍晋三は公明党を9条改憲に引き寄せ、民進党を解体させるべく、小池百合子を巧く道具として利用し、都議選で勝たせてブームを醸成しようとしているのではないか。9条改憲の国民投票を制する秘策として、小池新党をブリッジにして公明党を9条改憲のスクラムに組み入れ、民進党を叩き壊して潰し、平成の大政翼賛会を形成する魂胆なのではないか。という懸念と推察をずっと述べてきた。昨年末の公明党の不穏な動きと今年の安倍晋三の改憲策動とは裏で繋がっていて、一つの謀略として仕組まれているのではないか。関連して、6月15日発売の週刊新潮に、8月に行われる内閣改造に橋下徹が入閣するのではないかという憶測記事が書かれている。人気回復のサプライズにするのだと言う。

c0315619_14511153.jpg信憑性は判断できないが、安倍晋三が憲法改正に橋下徹を使うのではないかという不安は、ずっと私の頭の中にあった。橋下徹を入閣させれば、確かに支持率は浮上するだろう。われわれがやらなくてはいけないことは、まずは都議選で自民党を完敗に追い込むことであり、7月の世論調査で支持率を35%の線まで引き下げることだ。現在の支持率下落を瞬間風速のアクシデントで止めるのではなく、慣性の法則のまま坂を転げ落ちさせ、これまでにない低支持率の状況を現出させることである。都議選候補の応援に安倍晋三が駆けつけた路上で、ヤジを飛ばし、プラカードを掲げた抗議の絵を撮って拡散し、それをマスコミに掲載させて話題にして広めることだ。安倍批判のモメンタムを爆発させることだ。安倍晋三や菅義偉が顔を出す演説空間をブーイングで溢れさせ、混乱と狼狽を起こさせ、自民党の獲得予想議席を日を追う毎に少なくさせることだ。自民党候補が当落線上の選挙区に、山本太郎と森裕子を送りこみ、籠池泰典と上西小百合を送りこみ、派手な抵抗運動の夏祭りにして騒ぐことだ。7月2日夜に決定的な敗北に追い込み、反安倍のカタルシスを噴火させることだ。そうなれば、反安倍の空気は常態的なものになり、テレビ報道も自然と批判的に変わることになる。勝者となるポピュリストの小池百合子は安倍晋三と間合いを測り、安倍与党の翼賛会に入るのに二の足を踏まざるを得なくなる。

最後に朗報として、毎日の世論調査の中で、憲法9条の改憲について「反対」が「賛成」を上回ったという結果を見て安堵した。意を強くして慰霊の季節を迎えられる。これだけは譲れない。

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by yoniumuhibi | 2017-06-19 23:30 | Comments(4)
Commented at 2017-06-19 18:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by liberalist at 2017-06-21 00:03 x
今度の都議会選挙は小選挙区制ではなく中選挙区制で行われます。すなわち勝者は1人だけではありません。複数存在します。都民ファーストと自民党が勝者になり、民進党や共産党といった野党を敗者にして殲滅するのが安倍晋三の狙いだったでしょう。

しかし、その目論みが崩れているのも事実だと思います。だからこそ、野党は是が非でも中選挙区制で自民党に勝たなくてはいけない。
具体的には、2人区では東京改革都議団(民進党)が、3~4人区では共産党の現職が自民党に勝つ。これを実現出来るか否かによって、同じ都民ファースト圧勝の選挙であっても、意味合いも大きく異なって来るでしょう。

殲滅されるのが自民党なのか、野党なのか、今後の政界を占う上で、極めて大事な選挙だと私も思う限りです。野党は今こそ死力を尽くして戦うべきでしょう。負けた方が政治的に「死ぬ」戦いなのです。

ここで自民党の議席が微減の40台の議席に留まるか、半減の30議席割れになるかで、自民党内の反応も大きく異なるでしょうね。後者ならば、いよいよ安倍”清和会”内閣打倒が、他派閥から巻き起こることでしょう。
Commented by エドガーアランポー at 2017-06-21 17:57 x
橋下徹が安倍内閣に入ったところで、人気が出るとは思えませんね。
彼は、大阪にいたから、公務員の既得権益と戦ったから、若いリーダーだったから、人気が出たんですよ。政治家としての勘も鋭かった。
彼も馬鹿ではないので、落ちぶれた安倍の頼みを受け入れるとは思えません。橋下は一度石原の頼みを聞いて、それで失敗していますから、学習しているでしょう。
Commented by きく at 2017-06-22 00:19 x
地方在住者で、東京都民でないのが残念で仕方ない。
どうやったら安倍首相を引き摺り下ろせるのだろう。


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