うるま市長選の敗北とオール沖縄の危機 - しばき隊と一体化する琉球新報

c0315619_18133769.jpg23日にうるま市長選の投開票が行われ、自公推薦の現職候補が勝利した。選挙は自公の現職とオール沖縄が支援する新人との一騎打ちで、その結果が注目されていたが、6000票の差がついてオール沖縄の敗北となった。投票率は60.7%で4年前の前回を下回っている。1月の宮古、2月の浦添に続いて、オール沖縄はこれで3連敗となった。先々週(15日)、辺野古の沿岸部を埋め立てる護岸工事に着手する旨が政府から示され、その後、着工日が投票日を跨いだ今週に変わり、菅義偉が選挙情勢を睨んでいる様子が窺い知れた。投票の行方が分からない拮抗状態なら、勝敗関係なく17日の週に工事強行に突入する予定だったのだろうが、選挙が有利に運んでいることが確実になったため、選挙結果を辺野古についての民意として利用する政治条件を手に入れられる見通しが立ち、工事を24日の週に遅らせたのだろう。オール沖縄側が勝つと、工事強行には逆風の環境になる。朝日の記事によれば、「大量の石材などが海底に投じられ、原状回復は困難になる」とある。本土から辺野古を見ている者の目からは、今回の選挙結果はきわめて大きな意味と衝撃があると思われるが、沖縄の新聞やTWの反応は、それほど深刻な挫折や憔悴の感じがない。



c0315619_18135556.jpgやせ我慢のポーカーフェイスをしているのだろうか。琉球新報と沖縄タイムスの社説では、少し論調が異なっている点に気づく。琉球新報の社説には、この選挙結果を辺野古の工事と関連させて述べている部分が全くない。辺野古を捨象している。一般的な地域の市政問題を論じ、再選された現職に淡々と注文をつけていて、今回の選挙が辺野古の工事を問う民意とは無関係だったと言いたげだ。辺野古に絡めて結果を論じれば、手痛い敗北の総括となるから、敢えてそれを避けたのだろう。一方の沖縄タイムスの方は、この選挙が安倍政権とオール沖縄とが対決した代理戦争だったことを指摘し、辺野古基地の問題と大きく関わった政治戦だった点を正しく書いている。その上で、「敗北続きの翁長氏は剣が峰に立たされている」「移設計画は大きな節目を迎える」「辺野古ノーの取り組みは再構築を迫られている」と言い、オール沖縄側に厳しい総括を与える筆致となっている。二つの社説を較べ読んで、選挙結果の意味を公平かつ正確に論評しているのは、どう考えても沖縄タイムスの方だろう。思い返すと、昨年夏の反ヘリパッド闘争のときも、二紙の記事は少し姿勢を異にしていて、沖縄タイムスの方が、現地住民から不興を買う反対運動側の行き過ぎた手法への批判の視点があり、より公平な内容だったと思われる。

c0315619_18140869.jpgうるま市長選の勝敗がどうなるかの予想は簡単だった。まず、マスコミもネットの左翼も、うるま市長選については全くと言っていいほど話題にせず、注目を向けようとしなかった。自公現職の側は、終盤21日に小泉進次郎を現地入りさせている。小泉進次郎が現場の応援に入るという図は、最近の自民党の選挙の必勝パターンだ。負ける選挙には小泉進次郎は姿をあらわさない。一方のオール沖縄側は、接戦という触れ込みを表向きしながら、政党幹部や看板議員が応援に入らなかった。本当にデッドヒートを演じていたなら、そこに福島瑞穂と山本太郎が駆けつけて絵を撮らせないといけないし、志位和夫が登壇して県内の支持者に大動員をかけないといけない。辺野古の護岸工事 - 原状回復が困難になる - が始まる瀬戸際なのだから、オール沖縄側がこの選挙に全精力を投入するのは当然だ。だが、共産・社民・自由の大物議員が現地入りして関心を高める図はなかった。となると、自公現職の当選、オール沖縄新人の敗北は誰の目にも明らかではないか。19日には日比谷の野音で「辺野古の新基地建設阻止などを訴える『4・19大集会』」が開かれ、3500人が参加していたのだが、集会はテレビ報道で紹介されなかった。もし、うるま市長選が大接戦であったなら、ワンセットのニュースに編集されて放送されただろう。

c0315619_18142432.jpg驚かされたのは、うるま市長選を目前に控えた4月8日、自民党沖縄県連が、「辺野古移設容認」を堂々と方針に掲げたことだった。翁長雄志が自民党から抜けてオール沖縄候補として知事選に立って勝利したとき、さらに衆院選でも四つの小選挙区で全勝して辺野古移設反対の県民の民意を示したとき、沖縄の自民党がこのような方針に回帰するとは誰も思わなかった。自民党の強気と自信が示されている。また、それを許すほどにオール沖縄側の勢力が減衰している事実の証左でもある。自民党は、このような方針を打ち出しても、うるま市長選は勝てると踏んだのだろう。これから護岸工事が始まり、次は7月に那覇市議選がある。さらに衆院選があり、来年1月には名護市長選、11月には県知事選が予定されている。これだけ重要な政治日程があるのに、堂々と石材を海に投下し、埋め立て工事を進めてゆく安倍晋三の強気に呆れる。7月の那覇市議選でも連勝を続けられると確信しているのだろう。衆院選で四つの小選挙区の議席を奪還できると考えているからだろう。これを見て思うのは、2年前とはすっかり状況が変わってしまったことだ。オール沖縄が一方的に押されていている。手をこまねいていて反撃ができていない。どうしてこうなってしまうのか。有能なリーダーがいて、盤石だったはずの反基地のオール沖縄が負けるのか。

c0315619_18143884.jpg理由の説明になるかどうか分からないが、沖縄の経済は他府県よりも好調に推移している。沖縄県企画部が報告している資料を見ると、冒頭、こう書かれている。「平成29年度の本県経済は、人口の増加、国内景況の回復などを背景として消費や民間設備投資などが回復するとともに、引き続き入域観光客数が増加することが見込まれることから、プラスの経済成長になるものと見込まれる。(略)経済成長率は名目で2.1%程度、実質で1.8%程度の成長になるものと見込まれる」。政府の経済見通しでは、実質の成長率は1.5%の予測なので、沖縄の景気は全国ベースを上回っている数字になる。2年前に沖縄に行ったとき、那覇の観光客の数に圧倒され、空港を離発着する貨物を含む航空便の多さに仰天したが、こんなに経済が活発に回っている地方県はない。しかも人口が増えている。消費も増えている。経済の好調がアベノミクスを肯定的に捉える気分を媒介し、反基地の意識や態度が相殺され、市長選と基地問題とは違うという判断に導かれているのではないだろうか。また、沖縄がどれだけ県民の意思を示しても、本土は安倍政権を変えようとせず、沖縄の力だけではどうしようもなく八方塞がりなので、そのような現実的選択にならざるを得ないという事情と心理もあるのだろう。高江区長の仲嶺久美子の苦渋の妥協がまさにそうだった。

c0315619_18145124.jpg順風満帆だったはずのオール沖縄が、どうして今年1月(宮古)、2月(浦添)、4月(うるま)の選挙戦で3連敗する事態になったのだろう。変化の契機として見逃せないのは、昨年7月から4か月ほど続いた反ヘリパッド闘争が反基地運動側の敗北に終わった事実である。私は、あの反ヘリパッド闘争は政治的に完敗だったと考えるし、それには原因があり、しばき隊導入という間違った運動論の採用によると思うが、そのことは沖縄の運動側でどのように整理され総括されているのだろうか。どうしたら勝てたのか、どういう戦略を組めばよかったのかという分析や討論はされているのだろうか。それとも、あれ以外になかったという認識なのだろうか。反基地運動側、したがってオール沖縄側の情報発信基地でありヘッドクオーターである琉球新報は、あの敗北の後、さらにしばき隊との癒着と蜜月を深め、ズブズブの関係となり、しばき隊の沖縄支部と化したごとき様相を呈している。しばき隊と沖縄の運動との一心同体をエバンジェライズしている。そのことは、琉球新報のジャーナリズムの中立性を薄め、異端表象を濃くし、沖縄や本土の中間派との距離を広げ、本土全体への説得力を著しく損なわせる影響になっている。結果的に、辺野古の海を埋め立てから守るという目標への確信とモメンタムを小さくしてしまっていると感ぜざるを得ない。

本当に辺野古の海を守れるのだろうか。衆院選と知事選に勝てるのだろうか。幅広い多数派形成の営為が必要なときに、なぜ、琉球新報はしばき隊と一体化するのだろうか。理解できない。


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by yoniumuhibi | 2017-04-24 23:30 | Comments(1)
Commented at 2017-05-02 20:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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