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トランプの会見 - 精神構造と行動様式が瓜二つなトランプと安倍晋三

c0315619_16502505.jpg日本時間の12日未明にトランプの大統領就任前会見が行われ、12日夜のテレビのニュースで大きく報じられていた。夜8時から放送のフジのプライムニュースでトランプのロシア疑惑が詳しく説明されていて、バズフィードとCNNが暴露した秘密文書の問題の概要を知ることができた。トランプが4年前のロシア滞在時にハニートラップに引っ掛かって弱みを握られているらしいことや、選挙スタッフがロシア側と何らか接触し、サイバー攻撃あるいは虚偽ニュースの世論工作の支援を受けていた疑惑が浮上していて、真偽は定かでないが、印象としてはかなり信憑性が高いように思われた。番組に出演したデーブ・スペクターの解説によると、ロシアはトランプの資産情報や税金逃れの実態も掴んでいて、それを脅しに使ってトランプを自在に操ることができるのだと言う。トランプは会見で疑惑に関する質問に答えようとせず、話をはぐらかして逃げていた。事実ならば驚愕の事態であり、外国から介入を招いた大統領選挙の正統性が根本から問われ、また、外国に弱みを握られた大統領が就任することになる。米国のマスコミは、この機にトランプへの反転攻勢を強め、選挙で屈辱を味わされたリベンジに出るものと予想される。



c0315619_16505480.jpg果たして、その成否はどうなるだろう。昨夜(12日)は、NHKのNW9でも微かながらトランプに批判的な論評と演出の報道内容になっていた。日本のマスコミのトランプに対する態度はコロコロと変わる。昨年、選挙の前は、トランプは笑い者の存在であり、鈴木菜穗子も小川彩佳も、トランプがニュースになるときは侮蔑の嘲笑を表情に浮かべ、論外の悪玉として生理的に拒絶する口調で処理していた。ところが、大統領選に当選するや否や、トランプ就任で景気が上がるとか、円安に振れてありがたいとか言い出し、トランプを日本経済の救世主のように持て囃し始め、選挙のときの悪口三昧はケロリと忘れて口を拭い、期待を言いまくり、新しい主である宗主国の大統領様就任を祝福歓迎するモードにシフトしていた。その日本のマスコミが、同じ「メディア」の仲間であり、同類の(植民地の)エスタブリッシュメントだからか、米国のマスコミのトランプ批判に便乗して踵を返す動きに出始めた。テレビの前で脱力させられる。少なくとも米国のマスコミは日本のマスコミよりもまともで、真面目にトランプ叩きに挑んでおり、権力を監視するジャーナリズムの基本的立場に即いて追及しているように見える。その姿勢に好感が持てる。

c0315619_16513994.jpgこの米マスコミvsトランプのバトルの帰趨はどうなるのだろうか。テレビ報道では、前代未聞だとか、今まで見たことがないとか、そういう言葉が口々に出る。大統領になるとなれば豹変すると思っていた、という感想もある。普通に考えれば、米国市民社会の常識レベルで世論が推移すれば、トランプの支持率は10%を切り、大統領辞任に追い込まれるのが当然だろう。しかし、それを言うなら、選挙のときのあの女性ハラスメントの醜聞も前代未聞で、もうこれで全米を敵に回し、有権者に見離されて脱落決定だろうと誰もが思い込んでいた。これで決着がついたと世界中が思った。だが、なぜか分からないが支持率は奇跡の回復を遂げる。そんなことが何度も繰り返され、結局、最後の勝者はトランプとなった。それゆえ、今回も、常識どおり、合衆国の民主主義のルールとセオリーどおりに首尾よくトランプ弾劾が遂行できるかどうか、私は疑っている。仮にデーブ・スペクターの見方が米国マスコミの認識と同じものとして、彼の所論は十分に合理的で説得的なのだけれど、政治認識として欠けている要素があり、それは中西部の没落白人層への内在的視角である。その欠如が、トランプの過去の奇跡の理解予測を阻んだ。

c0315619_16522467.jpgあの会見は分断を深めるものだとマスコミは批判している。しかし、トランプの流儀と成功体験に即せば、ああやってマスコミの記者に喧嘩を売り、口汚く罵ることで、反エスタブリッシュメントの感情を煽り、トランプは他の有力候補を蹴散らして勝者となった。マスコミを敵にして暴れるトランプの態度は、トランプの幼児性や自己中心性を示すキャラクター(人格的不全)であると同時に、トランプが自ら信じる唯一の戦略戦術(勝利の方程式)でもある。マスコミは、記者の質問の後ろには3億人の国民の目があるのだそと言い、正規に説明責任を果たせとトランプに迫るのだけれど、中西部の没落白人層たちはそのマスコミの言い分を信用しておらず、会見場のマスコミが自分たちを代弁していると信じていない。ウォールストリートとロビイストとシンクタンクの利害や思惑と繋がっていると訝っている。きっと、トランプとマスコミとの悶着と緊張というのは、この先も続くのだろうし、トランプの支持率の下降上昇の曲線変動として意外な軌跡を辿るのだろう。トランプとマスコミの権力闘争(パワーゲーム)は昨年からずっとあった。マスコミを敵にするから、トランプのツイッターはメッセージとして生きるのであり、ボナパルティズムの構図が成立して政治が奏功するのである。

c0315619_16531046.jpgその流儀と手法は、橋下徹のそれと全く同じだ。日本のマスコミは、最初のうちは、橋下徹に敵視された社が橋下批判をやり、幼稚だとか自己中心的だとか、非常識な暴言だとか恫喝だとか言い、説明責任を果たしてないと言って批判していたが、そのうち橋下徹の人気に負け、妥協して折れ、権力者の橋下徹にくっついてお仲間になった。幼児性とわがままな自己中心性ということでいえば、まさに安倍晋三が前代未聞の姿を見せている。それがずっと4年間も続いている。国会質疑で、安倍晋三は自分が言って聞かせたい持論しか言わず、自画自賛と自己正当化しか言わず、野党議員の質問にまともに答えない。スリカエしか言わず、反論されたり批判されたりしたら逆ギレして大声で相手を罵倒しまくる。暴言も平気で言う。非常識と言うよりも、精神に疾患を持った異常者のような狂態を晒す。しかし、マスコミは、最初のうちこそ批判していたが、やがてそれをやめ、いつの間にか「安倍さん、安倍さん」と尻尾を振って礼賛一色となった。4年間で4度の国政選挙に圧勝し、支持率は60%に高止まりしている。国会に提出する法案はまともに委員会審議をしなくなった。好きなときに夜のテレビの報道番組に顔を出し、自分の宣伝をやりまくり、キャスターがペコペコ頭を下げている。4年前は必ずしもそうではなかったが、マスコミの政治報道の人間を入れ替え、子分ばかりにして、誰も文句を言わない独裁体制に敷き固めた。

c0315619_16541053.jpg日本だからこうなり、米国では正常な民主主義が機能して、トランプはめでたく死に体に追い込まれるのだろうか。行動様式や精神構造の点からは、トランプと安倍晋三はよく似ている。イデオロギーも政策も同じだ。二世のボンボンである点も同じで、頭が悪いところもよく似ている。マスコミは、トランプについて前代未聞を強調し、米国の過去の大統領はみな崇高な理念を持った優秀なリーダーで、世界を指導するに足る器量と品性のある人物だったと言っている。本当にそうだろうか。マスコミはウソばかり言うものだとつくづく思う。ブッシュ政権の末期をもう忘れている。ブッシュも見るからに頭の悪いボンボンの二世で、知性や良識を感じさせない男で、間抜けなことばかり言っていた。本人もスタッフも、毒々しいばかりの極右のネオコンだった。現在のトランプに対してと同じほどの憎悪を、リベラルなマスコミはブッシュに対して投げつけてコキおろしていた。しかし、そのブッシュがイラク戦争を始めるのを米国民は熱狂的に支持し、92%という史上最高の支持率を記録している。私は、トランプは米国内の分断を戦争によって統合する方向に向かうと予想している。このことは、ずいぶん前から述べてきたが、トランプが戦争を始めるだろうという予想や警告を見たことがない。非常に不思議だ。トランプ自身が始めなくても、トランプを操る軍産複合体が戦争を始めるだろう。



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by yoniumuhibi | 2017-01-13 23:30 | Comments(3)
Commented by ローレライ at 2017-01-13 20:14 x
トランプをハト派扱いする向きは『トランプの保証人』は『プーチン』だと『アメリカ有権者』も承知しているので『スターリンとルーズベルトの関係の再現』を期待されている。 安倍のプーチン利用と重なる。
Commented by 七平 at 2017-01-14 00:48 x
(1の2) Trumpが米国民の世論、平均値を代弁しているかのように世界には映るかもしれませんが、決してそうではありません。 大統領選挙の投票率は52%、言い換えれば48%は棄権。Popular Vote では クリントンが約3百万票上回っていました。従って、実際には有権者の4分の1位の人々が肯定的にTrump に投票した事になります。にも係らず、Electral College という小選挙区制度に類似したシステムに寄ってTrumpが大統領に成ってしまったというのが真相です。この先、やんちゃ坊主のようなTrump がいくら喚いても、上院、下院 は 共和党が抑えていますので、共和党の古狸と彼らを支える Wall Street 並びに 米国軍産複合体 がオバマ時代より露骨に米国の政治を操り始めると思います。 共和党にとってはTrump は願ってもない、天からの授かり者です。この先もTrump は表面的には、ワンマン大統領を装って喚き続けるでしょう。しかし、実務レベルで政策が施行されるのは上記の支配勢力によるものです。もし、Trumpが邪魔になれば、山積するスキャンダルを掘り返し、弾劾するなりなんなりして副大統領のペンスを大統領に就任させると思います。 良識ある一般米国民にとっては、迷惑千万の状態がしばらく続きそうです。振り子のように触れながら進む米国の政治の歴史を考えると、必ず、振り子は逆方向に振れ始めます。 日本と異なるところは、言論や報道の自由が聖域である事と、三権分立のシステムが正常に稼働しています。 又、国民、特に 記者、学者、作家が ”羊” ではない事です。自らの職場や命を懸けてでも、民主主義の根幹を守る人々が大勢います。 米国憲法で、一般の銃保持の権利が保障されていますが、これは究極的に独裁政府に対し、武器を手にした民衆蜂起、抵抗が可能であるようにとの配慮からです。
Commented by 七平 at 2017-01-14 00:50 x
(2の2) 先回のコメントでも書きましたが、やんちゃ坊主のTweet等に、上記の背景を踏まえ、踊らされない事です。 特に、米国の軍産複合体は乱暴なTrump をそそのかして、東アジア で アジア人同志の戦争誘発を試みるかもしれません。丁稚上げの攻撃を捏造するかもしれません。 絶対に乗せられてはなりません。  シリアでの戦争が良い例です。 シリア戦争で一番儲けたのは、英米の軍産複合体とロシアの軍産複合体です。 言うまでもなく、一番被害をこうむったのは戦場となったシリアとその国民です。アラブ諸国の分断と言う大局的な目的が背景にあると思います。 日本、中国 韓国も ちっぽけな島や銅像に気を取られて、大局的な背景を見誤らないよう願っています。東アジアにはこれと言った資源はないのですが、汗水たらして貯めこんだ、山積する米国債と外貨があります。 注意せねば、戦争に至らずとも、オスプレイのような骨董品を血税で買う羽目になります。

ブログ主様も指摘されているように、Trump と 安倍晋三 は、スケールは違いますが 類似性があります。 私が連想するのは、童話 ”白雪姫” にでてくる ”意地悪な女王” の男版です。  二人とも鏡の前に立って、 鏡に映る自分の姿に見入り、ため息をつき、”俺は世界一美しいんだ、素晴らしいんだ、そうだろう?” と 自像自賛をし続けないと気が済まないようです。 スポットライトを浴びて、観衆から喝采を受け会話の中心で或る時に自己陶酔に陥いっていると思います。 稲穂が実れば頭が下がる、日本的人格形成の美的感覚からは程遠いものですし、”他人の目を通して自分を見ない事” を信条としている私にとっては、二人とも病的人間です。





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