日米同盟真理教のカルト祭り - 亡国政治が人を憂鬱にして塞がせる年の瀬

c0315619_16510313.jpg辺見庸が、安倍晋三の真珠湾訪問と「和解」演説について感想を書いている。「焼き火箸…そうとしか形容しようがない。といったって、この比喩にもあきてきた。さりとて、焼き火箸を焼きごてにかえたら、ちがうのだ。どうしようか。激痛のなかでも、なごむことにはなごみ、はらだたしいことははらだたしい。あのおとこのことなんか口にすべきじゃない。ことばを舌にのせただけで、吐き気がしてくる。あのおとこと仲間たちなんぞこの世に存在しないものとして、ひとり激痛をいためばいいのだ」「このばあい、いわゆる『盗人たけだけしい』というのではない。あまりにも白々しいのだ。あくどいまでに、白々しい。(略)開戦の詔書をはっした戦争犯罪人をそもそも処罰していないではないか。『降り注ぐ陽の、やわらかな光に照らされた、青い静かな入り江』……そらぞらしいレトリック。ありがたがって全文を載せる新聞」。辺見庸は、安倍晋三の演説の全文に目を通している。さすがに文筆家だ。私は全文を読んでいない。NHKのニュースで、何度も映像が出て、画面の下にテロップが出て来るので、反射的に右手のリモコンを操作して、別のチャンネルに切り替え、30秒ほどしてからNHKに戻していた。



c0315619_16533437.jpg拒絶した。見たくない。目に入れたくない。安倍晋三とNHKが見せようとするもの、読ませようとするものは、見ないし読まない。くだらないし、腹立たしいし、バカらしいし、自分が惨めな気分になるから、その映像からは目を背けるし、安倍晋三と側近が一生懸命に書いた「傑作」の文章には目を通さない。何年か経って、この政治の意義が客観的に語られるとき、このバカ丸出しの奇矯な政治が過去の歴史になったときに、文字になったそれを読もうと思う。辺見庸は、この演説の原稿を評するのにレトリックなんて言葉を使っているが、それだとレトリックという言葉がかわいそうではないか、勿体ないではないか、と私は思う。そんな価値や意味はない。陳腐とか噴飯とか滑稽とか脱力とか、そういう、最初から全否定する形容詞でよいのだ。早く忘れてしまいたい。この鬱陶しさを時間に消して欲しい。それにしても、このバカ丸出しの奇矯な政治が過去の出来事になり、日本人が自らに羞恥を覚えながら嘲笑するようになるのは、いったい何時のことだろうか。安倍晋三が権力の座から落ち、安倍政治が否定されるときは来るだろう。その日は確かに来そうな気はするけれど、我慢してその日を待っているうちに、鬱病になって心の体力を失ってしまいそうな予感がする。

c0315619_16540471.jpg今回の真珠湾の政治について、テレビ報道は安倍晋三への礼賛一色で、日米同盟の意義を讃える美化だけだったが、新聞の方は、若干ながら、弱々しい気配ながら、批判の面も書き添えている。それは、戦争についての歴史認識が示されていないという批判であり、アジアへの視点が欠けているという問題点である。28日に志位和夫が発した所感、「アジアの諸国民、日本国民に甚大な惨害をもたらしたアジア・太平洋戦争をどう認識し、反省しているかを語るべきだった」という主張が、29日の朝日の2面と4面に載っていて、今回の政治への批判の言葉を代表している。戦争についての歴史認識を示すべきだった、侵略戦争だと正しく認めるべきだった、アジアへの視点が欠けている、というのが、左側からの批判の中身であり、正論だろう。正論ではあるけれど、私の感覚からはあまりに一般論的で、平板で、表面を撫でているだけのようで、本質を鋭く衝いた議論だとは受け取れない。アジアへの視点とか、バランスとか言う前に、この政治とマスコミ報道はあまりに対米従属的であり、植民地奴隷的ではないか。日米同盟真理教という言葉があるけれど、まさにカルトそのものだ。すべての財産を麻原彰晃に奪われた信者が、ヘッドギアを着けて麻原彰晃とオウム真理教を讃えている陶酔と同じだ。

c0315619_16545030.jpg左側が言っているこの政治への批判、すなわち、「アジアへの視点の欠落」とか「侵略戦争の認識の欠如」について、それを最も明確に言ったのは、その絵がテレビで出たのは、中国外交部の華春瑩の会見での発言だった。たしか、2日連続で出たように思う。彼女の言葉こそ正論である。だが、NHKと民放は、華春瑩の安倍批判を、悪辣で不当で不快なものとして位置づけて報道し、安倍総理がこんなに一生懸命に「不戦の誓い」を言い、「和解の力」を謳い上げ、「希望の同盟」を言い、日本外交の美しい晴れ舞台が進行中なのに、敵である中国がそれを頭から丸ごと否定していると、そういう見せ方と印象づけでニュースを流した。日本国民は中国を憎めと、中国への憎悪を煽る形で華春瑩の発言を紹介した。日米同盟への讃歌は中国への憎悪と対を成している。それが事実だ。それなのに、そのことを正しく直視し告発する者がいない。マスコミはおろか、ネットの左翼の論者でも指摘しようとしない。「アジアへの視点の欠落」と一般論で左翼は言うが、そのアジアとはどこの国のことなのだ。マスコミで悪玉にされ、叩かれまくっている華春瑩の国ではないのか。左翼の者たちの今回の政治への対応は、私には欺瞞的に見える。怒りがない。憤りがない。この政治によって、また一つ、日米同盟真理教のマインドコントロールが重ねられているのだという洞察がない。

c0315619_16553542.jpg倒錯したことに朝日は、安倍晋三の演説が「アジアへの視点を欠いている」と論説しつつ、8面でアメリカ総局長の山脇岳志にこう言わせている。「中国は戦時中の日本の行為を『歴史カード』として、自国の立場を有利にするために、外交に使い続けている。(略)今回の安倍首相の真珠湾訪問には、中国が『歴史カード』を使うことへの牽制の意味もある。今後とも日本は、中国に『歴史カード』を使わせないように律しつつ、アジアの安全保障環境の改善のため、隣国とどう和解を進めていくのか、知恵を絞っていく必要があるだろう」。この山脇岳志という男は、自分で何を書いているのか整理できているのだろうか。説明できるのだろうか。朝日は矛盾もいいところだ。話にならない。さて、今回の政治の機会に個人的には収穫があった。真珠湾攻撃とハルノートの歴史を再勉強し、チャールズ・ビーアドの『ルーズベルトの責任』という本があることを知った。ビーアドは、ルーズベルトがハルノートの事実を議会に報告しなかった点を非難している。もし、ハルノートの交渉過程を議会に説明し、日米交渉を詳らかにしていれば、議会は大統領に戦争の承認をしなかったと言うのである。そのとおりだろう。ルーズベルトはハルノートの事実を隠し、単に日本軍が卑怯な奇襲をかけてきたと言い、議会から戦争の承認を取り付けた。そして、「恥辱の日」だの「騙し討ち」だのと言って米国民の戦意を煽った。米国民はハルノートを知らなかったのだ。

c0315619_16564535.jpg日米戦争は日中戦争の延長であり、日本の侵略戦争である「アジア・太平洋戦争」の一部である。その歴史認識は正しい。だが、同時に、日米戦争がアジア太平洋地域をめぐる植民地争奪戦の帝国主義戦争の性格を持っていたことを看過してはいけない。また、ルーズベルトがチャーチルを助けるため、ナチスを敵として戦うため、強引に米国を日本との戦争に引っ張っていた真相も見落としてはいけない。日本と中国との戦争に、どうして地球の裏側の米国が介入しないといけないのか。蒋介石を助けようとした米国が日本に圧力をかけるのは当然だし、経済制裁もある程度はやってよいだろう。だが、ハルノートの最後通牒で戦争を始めなくてはいけなかったのか。米国は原油禁輸という切り札を持っていた。それを上手に使い、日本を中国からの段階的撤兵に誘導する外交はできたはずで、1941年の外交交渉は合意に導くことが可能だったはずだ。米国は当時、世界一の工業力と経済力と軍事力を持った国である。ハルノートは依然として歴史の闇であり、米国でも、属国化した日本でも、タブーでアンタッチャブルの歴史なのだろう。だが、その後の世界の歴史をよく見渡すと、ルーズベルトの壮大な戦略と政治的偉大さがよくわかる。第二次大戦で一番得をしたのは米国だ。戦後の世界の支配者となり統治者となった。

中国大陸は共産化を許してしまったが、日本という価値の大きな国を植民地にすることに成功した。日本は初めて他国の植民地となり、70年を経て衰亡に向かっている。それと、例のピケティの所論とも関連するが、戦争による需要と供給、戦争による軍への失業者の吸収による雇用問題の解消という契機がある。


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by yoniumuhibi | 2016-12-29 23:30 | Comments(3)
Commented by 長坂 at 2016-12-30 13:23 x
「期待されているのは、真珠湾に赴き、戦争の悲劇、代償を率直に認め、日本が二度と同じことを繰り返さないと誓うことだ。未来のために平和をいかに守るかを語ることが重要なのだ」とマイケル・オースリンが12/7の朝日に。笑っちゃいますよねえ、どの口が言ってんだか。日本はハーグ開戦条約だのジュネーブ条約に違反し数々の非人道的行為で多大な迷惑をかけたが、一応反省し危いながらも不戦を貫いてきた。そんな日本に、首相はできるだけボンクラに、防衛大臣な無能な素人にやらせて早く戦争できる国にしろと、せっついてるのはアメリカでしょ。でっち上げトンキン湾にしろ、カンダハールやファルージャの惨劇、ドローンで誤爆、捕虜を囚人と言って拷問の国が平和の説教。
同じ事を被害国中国韓国(朝鮮なんか戦後補償も賠償も進でない)が言えば、憎悪と侮蔑。アメリカには信頼と敬愛で有難く拝聴。この見事な奴隷根性はジブチや南スーダンでさらに花開くと。
どうか良いお年をお迎え下さいませ。
Commented by ローレライ at 2016-12-30 15:19 x
『世界最後の植民地日本』の現実を『希望の同盟』と表現する『奴隷頭政府』
Commented by 七平 at 2017-01-02 03:51 x
現在の延長線を引くと、日本は米国に対する属国化を通り越して傭兵化してしまうと思います。米国がそれを強いているというより、 日本が東洋の東洋人の国家である事を又忘れ、鹿鳴館時代のメンタリティーを引きずっているようです。首相が国民に対し ”卑下することなく、、、” と自分の本の表紙に書く、無神経さに呆れます。 劣等感に際悩まさている人にしか、書けない言葉だと思います。 いったい日本人はどのような人達に対しどのような卑下を感じて生きていると安倍晋三は言いたいのでしょうか? NHK英語放送を使って、世界に対し日本は凄い凄い、先祖代々の伝統の国をテーマに押し売り企画番組が目につきますか、自慢話をごり押ししないといけない程、日本は自信を失っているのでしょうか?

安倍晋三はオバマ大統領をだしに使って、自らのイメージを高めようと広島、真珠湾でのサミットを企画、実行したわけですが、有頂天になっているのは御本人だけで、オバマ大統領は無言のうちに米国の利益を守っています。韓国や中国は安倍晋三の一連の言動を観て、日本は米国、白人国家との和解を最優先しゴマをすったと受け取るでしょう。中国ではこの手の人をバナナと呼び、インドでは同様にココナッツと呼びます。一皮剥げば果肉が白いからです。要するに、安倍晋三の言動は日中韓の間により深い楔を打ち込んだ事になります。大戦の始末という事であれば、真珠湾より南京、ハルビン、ソウル訪問が優先されるべきであったと考えます。

イスラエルの様に隣近所の国々と仲良くできない国に安定した平和が訪れるわけがありません。絶対に繰り返していけないのは、同胞アジア人同士の戦争です。 西欧が後進国 を植民地化した時にしばしば使った戦法ですが、”divide and conquer" というのがあります。訳すと、”分断して征服” になります。 同じ戦法が今でも中東で使われています。

Trump の 馬鹿げたTweet 等無視して、TPPの代わりに中日韓を中心にしたアジア諸国との平等経済ブロックを検討してはいかがでしょうか?


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