しばき隊リンチ事件を整理する - 李信恵謝罪文の再検証、謝罪文と被害者M

c0315619_15255606.jpg李信恵はなぜ不起訴処分になったのか。この問題は、しばき隊リンチ事件の最大の謎である。LK、李信恵、Bの3人は、2015年10月29日に同時に書類送検されている。前回の記事で確認したとおり、事件直後の2015年1月19日に加害者側弁護士から送達された示談文書では、責任の順序は、①LK、②李信恵、③Bの並びになっていて、この順番での責任の重さが当事者間で共通認識になっていたことが分かる。事件の捜査で取調べを受けた容疑者は3人で、一緒に送検されており、すなわち明らかに集団による暴行傷害事件である。示談も3人で申し入れた。示談文書によれば、李信恵は「暴力に至る契機となった罵倒や胸ぐらをつかむ等の暴行を行った」とあり、集団での暴行の端緒を開いた事実を加害者側が認め、それゆえ責任が二番目に重いという位置になっている。したがって、もしも司法機関の裁定で、この3人の中で1人だけ刑事責任を免除される者が出るとすれば、順序に従えばBが該当しなくてはならない。そういう論理的想定になる。だが大阪地検は、2016年3月1日の略式命令で、李信恵を不起訴処分にし、LKとBを有罪罰金刑とした。責任の順序が入れ替わっている。①LK、②B、③李信恵の順番に変わってしまった。どうしてこのような責任順位の変化が生じたのか。



c0315619_15300797.jpg不可解な謎を解く鍵は、3人の謝罪文の中身にある。示談申し入れから10日後の1月29日、LKとBが謝罪文を書く。さらにそこから5日後の2月3日、李信恵が謝罪文を書く。LKとBが謝罪文を書いた同じ1月29日、弁護士から被害者に電話があり、謝罪会を開きたいから出席してくれないかと打診が入った。これは、加害者本人たちの口から直接に被害者に謝罪を言い、10日前に文書で申し出た示談について合意を得るための行動だろう。文書の中にも、「M氏との面談の機会を頂きたい」という文言がある。被害者Mはこの要請を拒否し、同じ1月29日、大阪地検に刑事告訴の相談に行く。ここから推理だが、もし1月29日にMが謝罪会に出ていれば、李信恵の謝罪の言葉はどのようなものになっていただろう。おそらく、10日前の弁護士文書に沿った線、つまり、「暴力に至る契機となった罵倒や胸ぐらをつかむ等の暴行を行った」という<事実>を認めて謝罪するという立場になっていたに違いない。少なくとも、知らぬ存ぜぬ、何も見ていない、暴行に何も関与していないとする謝罪文の立場とは違っていたはずだ。これまであまり注意が向けられなかったが、李信恵の謝罪文だけが他2名より5日も遅い2月3日に書かれ、しかも一人だけ手書きになっている。どうして李信恵の謝罪文だけが期日が遅くなっているのか。

c0315619_15335856.jpgこれには意味があり、事件の真相に関わる事由がある。おそらく、謝罪文を書き直しているのだ。古い元の謝罪文があり(1月29日付の)、それは示談文書に沿った記述であり、「暴力に至る契機となった罵倒や胸ぐらをつかむ等の暴行を行った」事実認識が示され、LKに次ぐ二番目の責任の重さが意識された内容だったと推測される。謝罪会が実現されたときは、その謝罪文を持って臨むつもりだったのだろう。だが、示談の話し合いの機会が絶たれ、そのまま刑事告訴と民事訴訟というザッハリヒな対決の流れになり、そうなれば、第三者が見る証拠はなるべく有利にした方がいいという計算に傾く。また、李信恵の救出のために他2名には捨て石になってもらうという戦略を立て、あの謝罪文の「事実」(=虚構)で事件の構図を描くという方針になったのだろう。
裁判を睨んだ「証拠」の布石だ。弁護士の示談文書と李信恵の謝罪文とでは、事件の事実認識が全く食い違っている。その矛盾を府警の事情聴取の際に彼らがどう釈明したのか、今回の裁判の口頭弁論でどう辻褄合わせするのか、それはよく分からない。ただ、食い違ったまま二つの文書は事件の証拠として併存していて、しばき隊を支持する左翼のシンパは、謝罪文に書かれた内容を真実として盲信している。前回の記事でも整理したとおり、事件における李信恵の事実には三つの認識と立場がある。

c0315619_15355640.jpg第一は、リンチの口火を切る一発をMに浴びせ、さらに「殺されるんやったら..」と冷酷に言い放った事実である(これが真実)。第二は、弁護士の示談文書にある「暴力に至る契機となった罵倒や胸ぐらをつかむ等の暴行を行った」とする<事実>である。第三は、謝罪文に書かれた、知らぬ存ぜぬ無関与の「事実」である。事件を審理した大阪地検は、どうやら第三の「事実」を採用した。一般に検察の不起訴処分には、起訴猶予と嫌疑不十分の二つの場合がある。前者は、検察官が被疑者の境遇や犯罪後の状況(示談がまとまったかどうか)を考慮して下す裁量であり、後者は、裁判において有罪の証明が難しい場合である。今回の李信恵の不起訴処分が、起訴猶予なのか、嫌疑不十分なのか、その点は鹿砦社の本にも青林堂の雑誌にも明記がない。起訴猶予での不起訴であった場合は、情状酌量を勝ち取るべく弁護士や議員や大学教授が猛烈に裏で働きかけた図が想像できる。だが、ここでもう一つ考えられるのは、謝罪文の存在と効果だ。謝罪文は証拠として当局(警察と検察)に提出されている。3人の謝罪文では、LKとBが被害者への直接の暴行の事実を認め、李信恵は暴行への無関与を言い張った。検察の下した決定は、謝罪文を証拠採用した3人の責任の判定である。検察の審理では(嘘八百を書いた)謝罪文が重視されてしまった。

c0315619_15404055.jpgここで素朴に疑問に思うのは、2015年2月9日にMが3人の謝罪文の送達を受けたとき、どういう法的なリアクションを起こしたかという問題だ。被害者からすれば、この謝罪文は絶対に既成事実化させてはいけない。受領・査収の事実を作ってはならず、受け取りの拒否を意思表明しないといけない。なぜなら、事件経緯について虚偽が証言されているからであり、事実を捏造し、責任を隠蔽する不当なアリバイ工作の代物だからである。この謝罪文が(司法機関を含む)第三者の間で一人歩きすることは、被害者にとってきわめて不利な結果に繋がる。事件の事実認識についてもそうだし、検察の心証という点でもリスクだ。検察官がこの謝罪文を鵜呑みにしてしまうと、李信恵(ら加害者側)と被害者との間で示談のプロセスが始まっているような錯覚に誘導されてしまう。鹿砦社の本の記事では、2015年6月15日になって、Mは抗議の意思を加害者側弁護士に伝えている。だが、その抗議は、李信恵ら3人が、謝罪文で誓った活動の自粛と謹慎を反故にして、大っぴらに活動再開している問題に対する抗議だ。謝罪文の事実捏造への抗議ではない。それ以前に、Mの側から加害者側に何か文書を発信したという事実は確認されていない。警察への告訴の受理が2月24日、書類送検が10月29日。告訴状の中で、謝罪文についてどう触れられているかも明らかになっていない。

c0315619_15444311.jpg気になるのは、李信恵らが謝罪文の誓いに反して活動をすぐに再開した件について、その不誠実に対するMの怒りがMのアクションの主要な契機となっている点だ。そのことは、別の面から見れば、謝罪文で李信恵が書いた中身をMが「約束」として認識していたことを意味する。つまり、謝罪文が両者の間で生きていることを意味する。10月29日の書類送検のあと、12月9日にMは地検の事情聴取を受けるが、このとき、謝罪文の嘘八百をどこまで糾弾し、謝罪文と示談文書との事実の乖離をよく検察官に説明したことか。李信恵は謝罪文で事実を捏造し、自らの加害責任を正しく認めぬまま謹慎と自粛を誓うのだが、そもそも、加害事実を否認して歪めているところの、およそ謝罪とは言えない偽りの謝罪文を、被害者側が謝罪文として取り扱うとか、謝罪文に書かれた贖罪の行動計画を「約束」として信用するとか、そういう関係性に立つこと自体が謝った態度なのではないのか。謝罪文は謝罪文として成立してないものだから、その中で加害者側が一方的に宣誓した償いのプログラムについて、その不履行を被害者側が責めるというのは筋違いであるように思われる。それ以前に、謝罪文は虚偽だらけだから書き直せと突っ返すべきで、贖罪として必要な義務事項については文書で要求し、民事訴訟もしくは弁護士立ち合いの示談交渉で決着させるのが当然のあり方だろう。

c0315619_16002620.jpg無論、以上の指摘が、この裁判での被害者側の訴えの瑕疵になるなどと私は思ってはいない。だが、リンチ事件がネットに漏洩されて以降、ネット上では様々な噂が飛び交い、しばき隊の組織防衛に焦躁したMが、李信恵赦免の嘆願書を提出したのではないかなどという憶測が流れていた。また、その憶測は不可解な「不起訴処分」を解読する推理として理に適ったものでもあった。事件への李信恵の関与について、われわれが知る証拠は、(1)ICレコーダーの録音(30秒間の冒頭音声と高島弁護士の書き起こし)であり、(2)弁護士の示談文書であり、(3)李信恵の謝罪文である。(1)は警察も検察も聞いている。その上で、警察は(3)を捨てて(2)を採った。3人を被疑者にして同時に送検した。検察は意外にも(2)を捨てて(3)を採った。李信恵のみを不起訴にした。(3)は(1)とは決定的に矛盾する、物理的に矛盾する出鱈目な「証拠」なのだが、どうやら、検察はその点の判断を曖昧にして起訴猶予の形で決着させている。もし、検察が裁量で李信恵を不起訴処分にしたとしたなら、(3)に対する被害者の対応を見て、被害者に組織防衛の動機があることを鑑み、また各方面(弁護士・大学教授・在日組織)からの助命嘆願の圧力も踏まえ、総合的に(政治的に)判断したのではないか。高島弁護士は今年5月15日のTwで、「私の手持資料を分析する限り、李信恵氏はしばき隊リンチ事件の加害者である。決定的証拠は事情があるので出さない」と言っている。

つまり、(1)や(2)とは別の証拠があると言っている。いわゆる隠し球だ。今後の口頭弁論で明らかになるであろう、原告側からの決定的証拠に期待したい。


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by yoniumuhibi | 2016-09-26 23:30 | Comments(0)


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