党派性に埋没した辛淑玉 - 総括と裁定のステートメントだった辛淑玉文書

c0315619_18435235.jpgしばき隊リンチ事件の第1回口頭弁論が大阪地裁で12日に行われ、その二日前の10日、裁判に合わせるように辛淑玉がFBで声明を発表した。その趣旨は、1年半前に自らが事件に関して書いた辛淑玉文書の所論の否定であり、辛淑玉文書を公開した私に対する非難であり、李信恵らリンチ事件加害者の擁護の強調となっている。2015年1月27日に発行した辛淑玉文書が7枚のページ数だったのに対して、今回は分量が少ない。何より中身がなく、李信恵の裁判を有利にしたいという戦術上の狙いだけが透けて見え、偏狭で内向きな党派性が丸出しになっている。前回の文書は誠実さが伝わって感動的だったが、今回のものはそれとはまさに対照的に落胆させられるもので、辛淑玉の言論人としての評価と信用を落とすものだ。残念である。最初に、私を念頭に置いて書かれたと見られる部分があり、それは悪意のある誹謗中傷なので、反論を加えておく必要があるだろう。こう書いている。「手紙がネットに流されました。それを有料のコラムで紹介した人もいると聞いて、私信をネットに流すだけでも非常識なのに、それで小銭を稼ぐという行為には耳を疑いました」。名前は上げてないが、これは私のことだ。名前を上げてないのは、その必要すらない無名の小物だからという認識と感情からだろう。つまり、侮蔑を示す意図からだ。




c0315619_18443907.jpg辛淑玉文書は、高島弁護士によって抄録がネットに上げられていたが、原文全体を最初に上げたのは私である。だが、周知のとおり、文書は7枚の画像の形式でネットに上げ、ツイッターから直接にURLを案内しており、すなわち「有料のコラム」からではない。辛淑玉は「それで小銭を稼ぐという行為には耳を疑いました」と言い、恰も、私が金銭目的で文書をネットに暴露したような不当な決めつけをしている。無名の者が卑しい動機で悪事をしたという、人をバカにした上から目線の揶揄と愚弄の投げつけだ。これは事実誤認であるし、私に対する不当な侮辱に他ならない。辛淑玉文書の情報提供は、無料のツイッターを公開手段として使用しており、情報の入手閲読に費用を支払った者は誰もいない。文書の公開は、リンチ事件の事実と真相を広く社会に知ってもらうために実行したことで、タレコミの暴露という手法は過去にもブログで行ってきた。それは、週刊文春や赤旗新聞の報道の方法と同じであり、豊洲青果市場の盛り土工事の虚偽について証拠を入手し告発した共産党都議団の営為と同類のものと言える。小なりといえども、無名といえどもブログは一つの報道機関になり得る媒体で、志を持つ者が社会に真実を明らかにするジャーナリズムの努力をするのは当然だろう。

c0315619_18450297.jpg豊洲市場の地下工事で盛り土の詐欺を計画実行した都官僚も、秘密の暴露と公開は迷惑で不都合に違いないし、その証拠情報の入手はイリーガルな経路や権利の行使によるものである。勇気を出して共産党に密告した者がいる。昨年夏、南スーダンでの駆けつけ警護が安保法の国会提出前に防衛省内で計画されていた事実を暴露し、証拠資料を共産党に提供して参院での追及に寄与してくれた防衛官僚もいた。私の場合(辛淑玉文書)も、どこかで勇気を出した者がいた。その勇気に応えて私も勇気を出した。したがって、都職の内規を犯し、あるいは地方公務員法の守秘義務に反して共産党に地下写真と工事設計図をリークした者は、そのリーガル上の罪責を問われた場合、比較衡量をして社会の公益に資する方が大きいのだという法的正当性を弁証するという立場になるのだろう。辛淑玉文書は、しばき隊リンチ事件を知る上で重要な手がかりであり、重要人物によって総括が書かれた基本的な証拠資料であり、私でなくても、誰かがどこかで入手して公開に踏み切ったと推測される。私が公開したのは5月中旬だったが、そのときはまだ例のリンチ現場の録音情報が世に出ておらず、高島弁護士が書き起こしを公開する前で、あの衝撃の大きさに匹敵するエビデンスは辛淑玉文書以外になかった。

c0315619_18453587.jpg今回のFBの文章の中で、辛淑玉は、「手紙を書きました。そして、被害者に手紙を見せ、被害者が望まない箇所は削除し、その了解を得た上で関係者に送りました」と言っている。この事実は初めて知った。あの7枚に及ぶ辛淑玉文書は、原稿を下書きし、それを被害者Mに予め見せ、内容についてMのチェックを受け、Mからの修正要求を応諾して清書したものを事件関係者に配布していたのだ。重大な新事実である。通常、私信を誰かに出す場合、文面についてこれでいいかと相手から了承を取るという手続きはしない。ここをこう修正して下さいという要請を送信先から受けて、書き直しして正式なメールを送るということがあるだろうか。個人間の私信において、それはあり得ない。会社など組織の業務上の公的なドキュメントの場合は、根回しという形でそれは一般にあり得る。つまり、2015年1月27日に発信された辛淑玉文書は、そうした公的な、組織の裁定文書の性格を持っていて、私人が複数の私人に宛てて送った単純な私信ではないのだ。結論を言えば、個人の手紙の形式をとりながら、リンチ事件の解決を方向づけするべく、事件関係者の意思を調整する目的で書かれた文書で、問題解決のための仲裁者のステートメントである。運動体の指導的立場からのドクトリンを示した文書だった。

c0315619_18455090.jpg私が辛淑玉文書の公開に踏み切ったのは、文書のそうした公的性格を確信したからであり、そのことはBlogやTwで何度も説明してきた。辛淑玉は、事件関係者の5名だけを対象にした手紙だと言っているが、果たして本当にそう断言できるかどうか疑問である。例えば、コリアNGOセンターの重鎮、それから李信恵の裁判を支援する会の岸政彦や中沢けい、のりこえねっとやしばき隊の幹部たち、これらの面々が手紙を見なかったということは考えにくいし、彼らの目に触れることを意識せずに辛淑玉が文章を考案し完成させたとは思えない。この文書(手紙)には事件解決の指針が説得されていて、司法の手続きに則って処理を進めろと指示している。被害者の告訴を妨害してはならぬと説き、正しく刑事事件にせよと判断が示されている。その判断の基礎として、事件はリンチであるという認識が確固として示されている。リンチ事件の規定が与えられ、それ以外の見方が排除されている(「これはリンチです。まごうことなき犯罪です」)。そしてまた、この事件がマスコミ等外部に漏れぬよう万全を期す注意が促されている。一つの共同体(在日)なり運動体(反ヘイト)全体に関わる提言と対処が書かれていて、とても責任が重く影響の大きいものだ。辛淑玉の筆致には、リーダーとしての裁定と意思決定の重責が十分に覚悟されている。

c0315619_18460986.jpg実際、事件の処理はこの文書に従って行われた。今年の5月11日の時点で、李信恵が、「糞みたいな人たちが最終的に出してくるのは『辛淑玉がリンチを認めた!』みたいな文書なんだろうけど」「後で読んで、もー!先走ってオンニこんなん書いて、後で利用されるでって心配した」と言い、辛淑玉文書が公開されることを恐れている状況を自ら証言した点も見逃せない。この発言は文書の公開の導火線となったが、この発言からも、辛淑玉文書の公的性格あるいは存在意義の一般性という契機が窺える。事件関係者5人を超えて、もう少し広い範囲で辛淑玉文書が出回っているという感覚が、李信恵の想定の中にあることが察せられるだろう。最後に、私が文書公開に踏み切ったのは、一つには踏み切らざるを得ない事情があったからだ。5月上旬から中旬、来る日も来る日も、何十何百としばき隊の嫌がらせのTwが入り、デマを飛ばしたおまえは名誉毀損だとか、早く謝罪しろとか、賠償金を準備しとけとか、Blogを閉鎖しろとか、田舎の両親が泣いているぞとか、そういう罵倒と脅迫が山のように寄せられていた経緯がある。しばき隊の常套手段だが、狂気のネットリンチの締め上げ祭りだ。特に、三重大学人文学部准教授の森原康仁や、元明治学院大学非常勤講師の木下ちがやら、アカデミーに在籍するしばき隊幹部が先頭に立って凶悪な誹謗中傷を煽っていた。

c0315619_18464849.jpg何が吊し上げの原因だったかというと、4月28日に週刊実話にリンチ事件の記事が出て、そこに李信恵の名前が載っていたため、ネットで長く噂されていたしばき隊リンチ事件が週刊誌の記事にようやくなったかと、そう思って週刊実話の記事を紹介したのが発端である。そうすると、来る日も来る日も脅迫と恫喝の山と嵐の展開となった。しばき隊から標的にされて同じ熾烈な集団暴力を受け、苦痛で憂鬱な経験をした者は何があったか理解できるだろう。週刊実話の記事にこう書いてあったと、たった一つの指摘を呟いただけで凄絶なリンチ制裁を受けてしまう。獰猛で執拗なスズメバチの来襲となる。徹底的な嫌がらせが続く。こいつのTwにRTするなとか、こいつをフォローしている者はブロックするとか、そういう脅しと嫌がらせがネットを駆け回って、しばき隊から敵視されるリベラルの者の言論が排除されてゆく。そうなったとき、暴力の被害を受ける個人の対応としては、泣き寝入りするか、孤立や恐怖に屈せず言論で対抗するか、二つに一つしかない。タレコミで得た辛淑玉文書は、しばき隊リンチ事件の本質をきれいに説明する客観証拠であり、また、今の日本の政治の癌細胞であるしばき隊を考察する上で重要な資料だった。これを公開するに際して躊躇いはなかった。今回、1年半前の文書を辛淑玉自身が否定する挙に出たが、それは今の辛淑玉を貶めるものであっても、1年半前の文書の意味を相対化するものには決してならない。

今回の辛淑玉の態度には失望させられた。守るべきものを間違えている。問題の判断を誤っている。今回の声明に共感を覚えた者は少なく、将来に禍根を残すことになるだろう。
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by yoniumuhibi | 2016-09-13 23:30 | Comments(2)
Commented by 穏健リベラル at 2016-09-13 22:05 x
かまやん ってtwitter アカウント は 三重大 准教授 森原康仁 は もちろんしばき隊員 または御用教授 ? 在日コリアンと 教条的リベラル 左翼 が連携して 人格攻撃してると 広島県民として合作糾弾の犠牲者を思い出します
Commented by 驚き at 2016-09-15 08:47 x
私や友人がここ数年いくつかのデモに参加し、評価していたのは、運動の平和的・非暴力的な側面でした。SEALDsも去年のデモの際、「暴力肯定」する「極左」は「お断り」と言っていたので、全共闘時代など過去の教訓を経て市民運動は進化しているのだと信じていました…(ちなみにSEALDsについても既成政党とは無縁で、学生たちが自由に参集した自然発生的なグループだと思っていました…)残念です。裁判の争点はこの件がリンチ認定されるかどうかだということは分かりました。しかし私にとっては、例えリンチでなかったとしても、関連資料から浮き上がる暴行・恫喝・挑発の状況、関係者やその周辺による集団的な侮辱発言、恫喝、恐喝、言論封じからして、すでに異様な出来事です。カウンター運動に参加する友人達には、問題のグループの暴力性について注意喚起したいと思います。(日本会議問題にコミットしている女友達には,菅野完に近づくな、と言いましたがそれに似ています…) これからも記事を楽しみにしています。


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