SEALDsの偶像崇拝と左翼のカルト化 - しばき隊に叩かれた朝日新聞

c0315619_15263512.jpg朝日新聞によるSEALDsの神話化と偶像化が進む中、先週、興味深い事件が起きた。朝日新聞が企画して発信している「朝日新聞x18歳19歳」というツイッターで、SEALDs解散について一般の意見を募集し、DMで受け付けて公開に及んだところ、SEALDsに対して批判的な意見が多く、即座にしばき隊から猛烈なバッシングが入り、企画の中止に追い込まれたのだ。このアカウントは「18歳、19歳を中心とした若者の声を集め、みんなで一緒に考える『Voice1819』プロジェクト。朝日新聞の記者が新聞を飛び出し、慣れない中でサイトを運営しています」と説明書きがある。朝日新聞として、SEALDs解散の機会に、なるべく若い世代の声を集め、それを伝えようと試みたのだろう。企画を始めたすぐの時点では、SEALDsを評価する声が上がっている。が、すぐに批判的な声の方が多くなった。8月17日の投稿にこうある。「実際に現場に行って間近で活動を見たことがあるものです。若者の活動を謳っているのに高齢の方のほうがむしろ多く、やっていることも主義主張も安保闘争の焼き直しの感が否めなかったことが印象に残っています」。



c0315619_1526471.jpg「彼らが若者の代表として振る舞う事に、同じ若者として違和感を抱いていました。若者内でも当然、保守的な考えを持つ人もいれば革新的な考えを持つ人もおり、意見は極めて多様です」。「彼らの振る舞いや言動は時に下劣であったり、知性が感じられないと思ってしまう事もしばしばでした。『あんな連中と一緒にされたくない』と感じてしまったのが正直なところです」。こんな感じのSEALDs批判が何本か上がった後、しばき隊から例によって集中攻撃が始まり、朝日新聞がネトウヨの意見を無批判に載せていると叩かれ、8月18日にあっと言う間に企画中止に至った。真相はよく分からないが、本社の上の方から指示があり、中止が指令されたのだろう。このアカウントを運営していた者が、本当に朝日の記者なのか、それとも委託した外部業者だったのか、それはよく分からない。ただ、運営していた本人の姿勢が、世間の、特に若者世代のSEALDs評価を公平にすくい上げようと意図していたことは確かだろうし、DMに右からのSEALDs批判が多かったのは間違いないだろう。注目すべきは、紙面で流しているSEALDs讃歌の論調と、この朝日のアカウントで紹介した一般のSEALDs評価が異なっているという点だ。

c0315619_15265891.jpgそして、アカウントを運営していた朝日関係者が、SEALDs評価については世間で賛否が大きく分かれていて、賛美する意見だけを一方的に紹介することはジャーナリズムの公平に欠くという感覚を持ち、左右バランスよく配置しようとしていたという事情を見逃せない。SEALDsの親玉であるしばき隊としては、この行動は朝日新聞の裏切りに映ったわけで、紙面で書いていることと違うじゃないかという不満と憎悪になり、このアカウントに対する糾弾攻勢に出た。しばき隊によれば、右翼によるSEALDsへのデマや中傷を朝日がTwで並べたのが許せないという非難の口上になるが、SEALDsに対して一般の意見を募集すれば、右の方面からのネガティブな批判が多くなるのは必然で、そうした意見を排除してしまえば、残るのはSEALDs賛美の投稿のみとなって偏向が露わになってしまう。担当者はバランスを欠いた編集になるのを避けようとしたのだろう。しばき隊の要求に従ってTwを配信すれば、紙面と同じSEALDs礼賛のセレクトで不本意に固まる。両論併記を意識し、物理的な量的比重の正確な反映を配慮すれば、右翼のSEALDs批判が朝日の名を冠した媒体から漏れ出る事態になる。結局、開始から3日で企画は中止に追い込まれた。

c0315619_15277100.jpgマスコミの報道を見ても、ネットの議論を見ても、SEALDsについて客観的に正確に実像を把握した認識や分析がきわめて少なく、左からの美化と右からの貶下ばかりが目につく。冷静に数をカウントすれば、やはり批判の方が圧倒的に多いだろう。SEALDs批判の言論が強烈で刺々しくなってしまうのは、マスコミのSEALDs擁護があまりにも甚だしすぎていて、彼らの実績を無理に称揚するキャンペーンが目立ち、常軌を逸しているからである。解散を機にした左翼リベラルのSEALDs偶像化は、左系マスコミ(朝日・東京・週金、)を中心にして、左翼リベラルの世界をSEALDs信仰の異様な宗教共同体に変えてしまっている。SEALDsについての論調は、朝日と赤旗と週金の間で差がない。嘗ては考えられなかったこの現実は、やはり注意して確認するべき事件だろう。朝日のSEALDs礼賛の特集記事は、ほとんど赤旗のそれと同じで、目眩がするような異常な持ち上げで埋められている。これは、この1年間、SEALDsの神輿の下で結束して運動した反安倍の勢力が、その運動を全面肯定し、意味を永久固定するための思想的営為だ。この1年間の自己正当化であり、神聖化の総括儀式である。こうした動きについて、一部からは左翼のカルト化だと批判が上がっている。

c0315619_15271895.jpgSEALDs運動のカルト的性格については、昨年から私も指摘していたけれど、1年経って、その症状はより重篤になっていると言わざるを得ない。SEALDs運動の中核を担っているのはしばき隊である。左翼リベラルがSEALDsを盲目的に信仰していることは、しばき隊の信者になっているのと等しい。凄絶なリンチ事件を起こして被害者から大阪地裁に訴訟を起こされている暴力カルトのしばき隊を、どうして左翼リベラルは丸ごと肯定し、しばき隊のTwに賛同し、しばき隊のサブセットであるSEALDsを崇めて拝跪し続けるのだろう。不可解きわまる。左翼リベラルのSEALDs絶対化の営みは、高橋哲哉が『靖国問題』で論じていた<感情の錬金術>の問題を想起させられるものだ。靖国神社が極右の政治教団だと頭の中では理解でき、距離を置いて批判的に見ることができても、そこに自分の息子が神として祀られてしまえば、息子の死の意味づけを否定的に処理できない遺族(靖国の母)は、観念倒錯を起こして靖国神社を自己同一化するという旋回を遂げてしまうのである。感情とイデオロギーの生理のなせる業だ。それと同じことが、左翼リベラルの内面で起きていて、この1年間の自身の反安倍・反安保の行動や思いを、SEALDsというシンボルでパッケージして丸ごと意味肯定してしまう。

現在のSEALDs信仰の心理的正体は、安保法廃止の政治戦に負けた左翼リベラルが、敗北の真因 - 戦略の誤りや政党の見きわめの誤り - を正しく探ろうとせず、運動の意味を強引に肯定しようとする動機からの観念倒錯の結果だと言えよう。そして、しばき隊が肯定されているのは、かわいい聖天使のSEALDsを肯定しているから、その延長線上の判断と感情に基づいている。本来、SEALDsはしばき隊に育てられた弟分にすぎず、反安倍の政治運動のモメンタムを作る実力もなく、ただのデモの飾りの木偶人形で、むしろ、反安保の政治の流れの足を引っ張る原因となった存在だった。翌年の参院選に道具利用しようとする野党の党利党略が媒介した疑似シンボルだった。左翼リベラルのSEALDs信仰は、今後、二つの契機によって相対化され、熱が冷めていくだろう。ひとつは、民進党の野党共闘路線の解消であり、もう一つは、大阪地裁でのしばき隊リンチ事件の訴訟の判決である。この二つの問題の帰趨によって、現在、朝日の4面で特集されているSEALDs神話は意味を失う。野党共闘が破綻したときは、SEALDsの政治的成果は何もなかったことになる。裁判でしばき隊が敗訴した場合、しばき隊の派生品としてのSEALDsの生い立ちが検証され、しばき隊学者と朝日新聞が作った物語は不当だったという世評になり、SEALDsの意義が過大評価されていたという「歴史修正」に及ぶだろう。


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by yoniumuhibi | 2016-08-23 23:30 | Comments(2)
Commented at 2016-08-23 20:43 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ゴーヤ at 2016-08-23 21:57 x
 この記事を読解するうえで、「朝日新聞」が連載した「街頭政治ーーSEALDsが残したもの」の第4回(8月21日朝刊掲載)は示唆に富むと思えます。記事の大見出しは「『市民連合』野党共闘に結実」です。その中に次のようなくだりがあります。2015年10月16日、野党の代表者と市民団体の代表者が集まった会合の場で諏訪原健氏が次のように訴えたとのことです。「野鳥共闘に私たちをうまく使ってください。」私はこの発言に野党共闘プラス市民連合なるものの実態が凝縮されていると感じました。要するに市民連合は野党各党から自立した市民主体の団体として活動する力量も意思もなかったのです。彼らにとって、活動を始めて1年も経たない自分たちがマスコミの寵児とされたのを追い風に、野党共闘の接着剤となることに意欲を燃やしていたのです。この意味で、市民連合にとって、野党共闘はそれが成立したことで半ば目的を達成していたと言っても過言ではなかったのです。野党共闘は「手段」ではなく、半ば「自己目的」だったのです。ですから、「手段の有効性」に関する事前の検討にも事後の検証にも大きな関心はもともとなかったのです。
 さらに、上の「朝日新聞」記事によると、11月19日、12月9日と3回にわたって、民進、共産両党の幹部と諏訪原氏らが水面下で接触したほか、年が明けた2016年1月27日、中野晃一、山口二郎が野田佳彦と面会し、岡田代表が進める野党共闘に従う旨の確約を得たと記しています。
 それなら、SEALDs、学者の会、ママの会、総じて「市民連合」は若者、学者、母親の間にどれほど裾野を持った集団なのでしょうか? 彼らに市民連合を自称できる基盤が果たしてあったのか? 野党幹部が彼らと水面下で交渉を重ね、彼らを「渡りに船」と接着剤に使って「野党共闘」にこぎつけた実態が浮かび上がってきます。その意味で、「朝日」記事は、野党共闘が、出自において不透明で民主主義的プロセスを欠いていたことを裏づける情報になっていると思えます。
 わずか1年余りの活動で、これからが正念場というところで解散する市民団体をかくも賛美するマスコミは魔訶不思議な世界です。大きな課題が残ったままという理由で活動を続けるSEALDs琉球に熱い視線を注ぐのならわかりますが。


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