しばき隊リンチ事件の真実とデマの境界線の移動 - デマだ、名誉毀損だ

c0315619_15544183.jpg李信恵が、公開した謝罪文を自分が書いた直筆のものだと認めた。しばき隊のリンチ事件は、風聞ではなく実在することが確定された。私はまた、しばき隊事件の騒動の渦中の人物になってしまった。そのことは、本来、不本意至極なのだが、事実が明らかになったことに安堵を覚えている。週刊実話の記事が圧力と弱腰によって覆され、しばき隊がリンチ事件をデマだと決めつけて否定するキャンペーンを猛然とラッシュさせる動きに出て、あのままの政治の進行が続けば、リンチ事件は完全に事実無根の流言だと固められ、反ヘイトの運動を貶める右翼のデマだという共通認識が定着していただろう。俗に「十三ベース事件」と呼ばれているところの、一昨年12月に大阪で起きたしばき隊のリンチ事件は、ずっと前から断片的な形でネットに匿名の諸タレコミがあり、事件の輪郭もおぼろげながら掴めるものになっていた。しばき隊を注意して観察する者の中で、「十三ベース事件」の噂を知らない者は一人もいない。ところが、きわめて重大な問題であるにもかかわらず、この事件への関心はいつまで経っても2chの薄暗い隅っこで小さく蠢いている状態のまま、事実が公論の場に引きずり出されることがなく、言論の光が当てられる機会がなかった。




c0315619_14552432.jpgリンチ事件は間違いなく起きている。一人の被害者が全治3週間の大けがとなり、警察が捜査に動き、3名の容疑者が立件され、略式裁判で2名が有罪判決を受けて罰金刑となっている。1名が不起訴処分。刑事事件だ。ところが、しばき隊は、この刑事事件の存在を認めようとせず、デマだと言い、リンチ事件の存在を言挙げする者に対して、デマを言いふらすと名誉毀損になるぞと脅迫して黙らせていた。今、しばき隊とそのシンパは、リンチ事件の存在は認める線まで位置を移動しながら、今度は、李信恵は無関与であり、暴行には加わっていないと言い張っている。そして、李信恵を加害者呼ばわりする者は名誉毀損で訴えられるぞと、同じように脅迫の手口で牽制して延焼の封じ込めに余念がない。異口同音に「名誉毀損」での非難を言いまくっている。しばき隊が、一体どれだけ他人の名誉を毀損し、人権を侵害し、その証拠を多く残しながら、相手を泣き寝入りさせて平然と居直っていることか。基本的なことだが、容疑者を立件するには、犯罪を構成する要件たる事実がなくてはいけない。この場合、刑法204条の傷害罪に該当する行為の存在であり、書類送検され立件された3名にはその行為が認められたから容疑者となったのに他ならない。

c0315619_14555131.jpg李信恵の謝罪文を一瞥したかぎり、そこに被害者に暴行を加えた形跡は一切無く、構成要件を充当させるような事実は何も見当たらない。となると、検察による立件が間違っていたか、すなわち府警の誤捜査による不当な容疑者認定だったか、あるいは李信恵の謝罪文が真実を正しく書いてないかどちらかということになる。いずれにせよ、取り調べの結果、本人は不起訴となった。不起訴という検察の結論と、この謝罪文に記述された内容とは符牒が合う。謝罪文は後々まで残るもので、不起訴決定という司法の免責判断を合理化するエビデンスとなるだろう。私は、弁護士の働きかけで検察官が手心を加えたものだと推測しているが、どうして3人のうち1人だけが不起訴になったのか、現時点ではよく分からない。ネットで何度か目撃したタレコミ情報では、先に一発手を出したのが李信恵だという話であり、それ以外の事件説明は目にしていない。そもそも、店の中で食事をするにせよ何にせよ、その場を仕切る最高権力者というか、会合・会食する集まりの座長格の立場は李信恵であり、彼女の示唆も関与もなく、他の2名が1名に重傷を負わせる暴行を加えるなど考えられない。彼女は店の中で食事を続け、外の喧嘩騒ぎに気づかなかったなどあり得ない。

c0315619_1456316.jpg止めるのが普通だ。謝罪文の内容は、事件の事実過程をそのまま反映した描写とは考えにくく、意図的な操作が施されている。操作されたものがどうして正式な謝罪文として成立しているのか、私には謎で不思議だが、そのことと、しばき隊がずっとこのリンチ事件をひた隠しにして、何もなかったことにしてきたこととは因果関係があるのではないかと推測する。本人に関与については、いずれ明らかになるだろう。ネットを見ると、音声記録(録音)もあるとかないとかの情報が飛んでいる。とにかく、この事件をめぐっては、どう考えても被害者に近い位置からリークされたとしか考えられない信憑性の高い情報がネットに出回っていたから、どんな断片情報でも真実を探る上でおそろかにできず、むしろ、事件から1年の間にすでに全部の真相情報がネットに流出していて、それを拾い集めてパズルのピースのように組み合わせると、完全な真相の絵が出来上がる感がする。つい数日前まで、しばき隊の公式見解では大阪のリンチ事件は存在せず、それを言うことは右翼のデマに加担する名誉毀損だった。現時点では、リンチ事件は存在したと認められ歴史の事実になったが、李信恵は真っ白で無関係という公式見解になっている。関与したという認識と指弾はデマの流布の名誉毀損だ。

c0315619_14595113.jpgおそらく、こうして少しずつ真実とデマの境界線が移動し、しばき隊側が後退した地平に新しい線ができ、虚偽だったものが真実に変わっていくだろう。次の境界線は、例えば録音証拠などが出た後で、李信恵は関与したけれども手を出してないとかいう類の説明になり、関与の事実は歴史の真実になりながら、暴行に加わった事実を言うことはウソ吐きの名誉毀損という境界線が一時的に定置されることだろう。この問題について想起し直観するのは、右翼の歴史認識の問題とのアナロジーである。右翼は、従軍慰安婦の存在を認めず、南京大虐殺の事実を認めず、それを幻だと言い、それを真実だとして認める者をウソ吐き呼ばわりし、左翼自虐史観などと誹謗中傷してきた。そして、具体的な史料の根拠を示されると、今度は、慰安婦は存在したが国家は関与してないだの、南京事件はあったが犠牲者の数は数千人だっただのと卑怯に言い逃げ、ひたすら日本側の戦争責任を小さくしようと工作する。今のしばき隊の態度と全く同じだ。私は、このことは在日への差別をなくそうとする運動にとってきわめて深刻で致命的な錯誤になるのではないかと心配でならない。なぜなら、従軍慰安婦の問題をはじめとする歴史認識の問題は、いわゆるヘイトの問題と切っても切れない関係にあり、虚構や偏見を質して真実を明らかにする志向や態度が、この運動にとっての使命であり基礎であるからである。

反ヘイトの運動をする者は、何より純白な真実主義者でなくてはならず、真実をねじ曲げ、歴史を捏造し、クロをシロと言って開き直ることは絶対に許されない。今、しばき隊は、謝罪文が漏れた原因を探索し、漏洩した経路と犯人捜しに血道を上げているが、そのようなことはやめ、素直に真実を認めることだ。過ちは誰にでもある。過ちを認めて出直しすることができる。これまでの実績のすべてが否定されるわけではない。よくないのは、過ちを認めず事実を隠蔽し歴史を捏造することだ。謙虚になってもらいたい。


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by yoniumuhibi | 2016-04-30 23:30 | Comments(9)
Commented by 愛知 at 2016-05-01 02:22 x
就任式までの3週間の間、ガザを血の海にして、パレスチナの子供の無残な遺体を積み上げるに任せた。オバマ新大統領の就任式は、罪もなくイスラエルに虐殺されたガザの子供たちの血で祝福されている。どうしてそのような就任式を祝祭の気分で見れるのか。―――御ブログ、2009年1月21日の記事から引用させて頂きました。多くの人が祝福した就任演説に対して寄せられた貴下の人、命に対する溢れる慈しみ。

原爆の炎に焼かれたのは長崎の16歳の新聞配達員、谷口稜曄さんも、広島・比治山のふもとで暮らしておられた張本勲さんの10歳のお姉さんも。昔、NHKの再現ドラマでは黒田福美さんが張本さんの母親役を演じておられ。今も「アイゴー、アイゴー」の科白が耳に焼き付いています。

貴下ご指摘の「過ちを認めず事実を隠蔽し歴史を捏造すること」は原爆に対する今日までの米国の姿勢と重なります。最後に『在日二世の記憶・張本勲』(集英社新書)から。

「下の姉に手を引かれて、五、六〇メートル先のぶどう畑に逃げて行ったら、もうすでに何十人も避難して来た人達がいました。そこで見たのはまさに地獄絵でした。うめき声、焼けた人肉の臭い、それと絶叫。怖かったのは、私の目の前を人がダーっと走って行って近くのドブ川に飛び込むんです。熱くて苦しくてたまらず、とにかく水が欲しいんですね。でも飛び込んだ人はみなそこで亡くなってしまいました。」「その姉(亡くなられた上の姉)が痛い、熱いと一晩中……うめいていました。お袋は二晩中泣いていました。」「原爆資料館には戦後にできてから一度たりとも行けませんでした。悔しくて悲しくて怖くて、足を向けることができなかったんです。」「(母親から言われたことは)今でもはっきり覚えていますよ。そうじゃないんだ、よく聞きなさい、人間は平等だ。我々の民族は決して劣った民族じゃない。韓国はむしろ歴史がある国で日本にいろんな文化を伝えた国なんだと言われた時には、子ども心にはっとしました。」

以上、一部を引用。戦争が近づく今、被爆者のお心を思い、人の命に軽重なしと、高潔に生きなければと前回、今回のご教授に接し、改めてその思いを強くいたしました。
Commented by stu. at 2016-05-01 03:26 x
一般人の目線からみると、在日ヘイト運動してる団体よりアンチヘイトを標榜しているしばき隊系の団体の方が危険だと思ってしまう。
Commented by 梅子 at 2016-05-01 22:12 x
「一般人」とはどのような方々を指すのでしょうね。
私は数年前自称桜井こと高田誠を中心とする在特会が白昼堂々と公衆の面前で通りすがりのお年寄りに殴る蹴るの暴力を振るい、しかもそれが(それなりに動いた方がいたにも関わらず)立件されないということに底知れない恐怖を覚えましたが。
Commented by うめこ at 2016-05-02 16:22 x
一般人はその意見が左寄りであれ右寄りであれ、暴力に訴えるものを快く思うはずが有りません。
主張以前の問題ですし、暴力に訴えるのではなく主張の正しさで世を直そうとする人間にとっては、まさにいい迷惑です。
先の方のコメントのように「在特会も以前に暴力を振るった」などと言うのは簡単ですが、ただの責任逃れの屁理屈ではありませんか。
悪い事は悪いと捉え正していかなければ、悪行は繰り返されます。
勿論、在特会が過去に暴力を振るった事が事実ならば、しばき隊同様に社会的制裁も必要でしょう。
立件されなかったのなら、立件に至るまでの証拠がなかったとも言えます。
少々キツくて申し訳有りませんが、管理人様がしばき隊の事を書かれておりますのに、「在特会もやった」みたいなコメント程、くだらない内容は無いと思っています。
それでは、在特会もしているのだから、しばき隊もやっても良いだろうと言っているようなものです。
果たしてそれが正しい事なのでしょうか?
しばき隊であれ在特会であれ暴力は許されませんし、主張以前で社会人としてどっちもどっちです。
Commented by わかめ at 2016-05-02 21:06 x
「一般人」は、在日特権を日本から排除する運動をする団体の主張にも、
その主張に指立てて抗議する(団体)主張にも思想的に距離を置いて「対立」を眺める人でしょう。
どちらの主張にも感情移入をせず、それを正しいか間違いかを主張する立場に対外的に自分を置かない人です。
少なくとも桜井誠本人が本名として「高田誠」と認めていないことを、名前としてネット上で書くことはしませんし、
いつどこの誰がどのような恣意行動を受け、
自分がそれを直接かネット動画でか、どのように確認したかもわからないことを、
あたかも事実のように書かない人を私は「一般人」と認識します。
Commented by おにぎり at 2016-05-04 12:05 x
梅子さんはそれが事実だとするならば、いつごろの話か、場所はどこなのか、どれ位の人が動いて、どう行動したのか、といった事の詳細をちゃんと述べるべきだ。
そうすれば、団体としての活動記録を調べて、もっと詳細な事実が判明して、立件も可能になるかもしれない。
もし本当ならば、だが。
あまりこういう事は言いたくはないが、いくらでも嘘はつけるし、しばき隊周辺の人たちがやってる事はそういう事で、全く信用ができない。
今僕が「 梅子さんに暴力を振るわれたけど、本人は知らんぷりしてる。酷い奴だ」と言ったらそれを認めてくれますか。
あまりにも程度の低い虚偽と疑われるようなことはやめた方がよいと思います。
Commented by 梅子 at 2016-05-04 13:58 x
なぜかNGワードがあるとかでコメントできません。
私が恐怖を覚えたというのは在特会と同じような心情を持っている人今の日本人が多くいてその人たちに支持されている政党が現在の巨大な与党であるという点です。
在特会がやったのだからしばき隊もいいだろうというつもりはなかったんですけどね、そもそも私はしばき隊と何の関係もないし。
嘘つき呼ばわりまでされるとは・・・。
【決定的証拠】無抵抗の老人を殴り蹴る在特会で検索すれば、動画が出てきますよ。
動画を貼るのがいけないのかもしれないので。
Commented by 普通の主婦 at 2016-05-04 21:42 x
いつも拝読しています。 リベラルの真髄、ここにありの精神を貫く貴殿のブログは大変勉強になります、ありがとうございます。
私自身は普通の主婦です、さてママ友達、職場、子供たちの間で「シールズ」と言う名称さえ定着しておりません。殆どの国民は興味もない。ましてやしばき隊、在特会、これらは貴殿のブログから存在を知った次第です。これが世間の大多数。なのにメディアで大々的に取り上げる…。まるで理が無い代弁。貴殿のような精神的にも熟考なさった方々にメディアなどに出てきちんとリベラル思想を語って頂きたいです!初めて投稿致しました。
Commented by うめこ at 2016-05-04 23:41 x
在特会もしばき隊も、その主張は言論の自由が保障されていますし、そのどちらの主張に琴線が触れるのかは個々の自由です。
極端にどちらか一方が正しくてどちらが間違いとも言えないのではないのでしょうか。
何度も申しますが、暴力に訴える団体はどちらにおいても社会的制裁受けるべしとの考えです。
私は、どちらの主張にも理解出来る部分が有りますが、「在特会と同じ考え=与党支持=危険」と、やたらにレッテルを貼る行為には感心出来ません。
与党支持率を見ても分かる通り、多くの人が自民党の政策を全て良しとはしていなくても「他の野党よりまだマシ」と思っているのです。
無闇やたらなレッテル貼りは、無党派層やノンポリの人達に理解されず、むしろ遠ざける一因であると思います。
この事は、与党にレッテル貼りする野党の支持率が、サッパリ上がっていない事でも実証済みと思うのですが。


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