モメンタムを興せなかった「野党共闘」 - 泰山鳴動ネズミ一匹の低投票率

c0315619_10134132.jpg北海道5区補選の結果が出た。投票率は、前回2014年総選挙時の58.4%を0.9ポイント下回る57.5%、自公の和田義明が135.842票、「野党共闘」の池田真紀が123.517票、票差12.325票となっている。大差とは言えないが、僅差と言うにはやや大きい票差だ。接戦だったとは言えるだろう。投票率がほぼ同じだった前回、自民候補は131.394票、民主と共産の候補の合計は126.498票であり、自公は前回を4.448票上回り、民共は2.981票減らしている。この点に着目すれば、「野党共闘」はよく成果を上げることができなかったという結論になる。簡単に言えば、鈴木宗男の新党大地が民主支持から自民支持に鞍替えしたため、その票が前回との差分になったのだろう。ネット上では、しばき隊などが「野党共闘」の失敗を覆い隠すため、民進と共産の支持者の96%が池田真紀に投票し、すなわち「逃げた票」はなく、完全に支持層を固めたという中身を強調している。その点を論拠にして「野党共闘」は成功だったと執拗に正当化の弁を垂れている。だが実際に、2年前と比べて3000票近くが逃げているのであり、その事実は誰も否定することができない。つまり本当の問題は、民進と共産の支持層を96%も固めながら、どうして前回よりも大きな票差で敗北したかということなのだ。



c0315619_10135397.jpg「野党共闘」が成功したと言挙げするためには、少なくとも、前回の票数を上回る必要があっただろうし、前回の票差を縮めて自民候補に肉薄しなくてはいけなかった。今回、何より「野党共闘」の失敗を強く印象づけられるのは、投票率が全く上がらなかったという深刻な現実だ。北海道5区補選は「野党共闘」の成否がかかった試金石の戦いであり、連日のように民進と共産の幹部、そして市民連合とSEALDsの面々が選挙区に入り、集会を打って、その情報をネットに拡散して賑々しく宣伝していた。多くの左翼リベラルが自身のTwアイコンに池田真紀を応援するシンボルのTwibbonを装着し、4月の間中、熊本の地震もそっちのけで「野党共闘」の選挙運動に精を出していた。毎日毎日、池田真紀を応援するTwとRTでTLを埋めていた。本当なら、熊本の被災地を応援するTwibbonを掲げるときだっただろう。左翼リベラルの者たちの熊本地震の話題や論点は、避難所で苦しんでいる人々に寄り添うものではなく、震災の被害や不安や被災者の苦境を材料にして、安倍晋三を叩く政治目的のプロパガンダばかりだった。明らかに、補選の選挙を意識した選挙活動の一環として、世論への影響を目論んで、安倍晋三と政府の震災対応の一つ一つを非難攻撃していた。

c0315619_1014479.jpg自民候補が圧勝しなかった理由は、何よりこの選挙区が北海道だったからだ。北海道は全国屈指の民主党王国で、昔から社会党が強く、その地盤の上に90年代に山口二郎、横路孝弘、鳩山由紀夫らが跳梁して策謀を重ね、「政治改革」の動きの策源地となり根拠地となった土地である。道新が発表している5区の政党支持率では、民進党が13.3%となっていて、この数字はマスコミが最近出している全国平均(8%)の2倍近くに達するものだ。民進党支持の分厚いベースがある。併せてTPPの問題などもあり、他の都府県と違って北海道は特別に安倍政権の支持率が低い地域なのである。つまり、選挙予想に当たっては、沖縄と同じく、内地と同じ尺度で考えることはできない。私はすっかりそのことを視野の外に置いていた。民進党の支持率が13%などという高い値を出す都府県は他に幾つもなく、特殊事情を持った北海道は例外なのだ。その条件から考えると、参院選の地方県1人区で「野党共闘」の候補が勝つ可能性というのは、きわめて小さいと見込まざるを得ない。今回、無党派層の7割が池田真紀に流れたが、これも「野党共闘」を無党派が支持したと言うよりも、候補者の人物で支持が分かれた反映だろう。

c0315619_10141765.jpg自民候補の和田義明は、いかにも庶民に嫌われる人格と人相で、自分の置かれた立場や状況が何も分かっておらず、全国注目の選挙で与党がこんな候補を立ててきたのが信じられないくらいお粗末な俗物だ。政策やイデオロギーを抜きにして人物評価で選べば、当然、有権者の多数は池田真紀の方に軍配を上げる。無党派が池田真紀の方に傾いたのは自然な流れだと言える。だが、無党派の7割が池田真紀を支持しても、「野党共闘」は自公に勝つことができなかった。前回の得票さえ割る敗北の結果に終わった。NHKの出口調査の政党支持率の内訳を見ると、とにかく圧倒的に自民の支持者が多く、全体の44%を占めていて、無党派の24%の培近くもある。つまり、何が分かるかというと、無党派層の多くは選挙に行ってないということだ。道新の世論調査の無党派層は43.5%で、自民支持の37.1%を大きく上回っているのだけれど、この無党派の半分以上が投票所に足を運ばなかった。そのため、投票率はわずか57.5%に止まった。しばき隊と左翼リベラルは、無党派の7割が「野党共闘」を支持したと喝采しているが、それは投票所に足を運んだ者の数字であって、したがって池田真紀の個人ファンの行動と見るべきだろう。

c0315619_10143034.jpg今回、無党派の多くは実は棄権に回っている。池田真紀のような魅力的な候補を欠く参院選1人区であれば、果たして無党派の動きはどうなるだろうか。繰り返すが、今回の選挙で重視しなくてはいけないのは、何より投票率の低さであり、「野党共闘」が初めて臨んだ選挙で風を起こせなかったことである。勝ち負けはともかく、「野党共闘」に注目させ、投票率を上げなくてはいけなかった。ネットの中で左翼リベラルは盛り上がっていたが、肝心の選挙区でモメンタムを作ることができず、有権者の関心を呼び起こすことができなかった。どれほど候補が魅力的なキャラクターでも、所詮、既成野党の民進と共産が立てて運動する候補であり、有権者の心を掴むことはできなかったのだ。風は吹かなかった。「反安倍・反安保」は争点にならなかった。この結果を受けて、あらためて直観され、確信させられることは、有権者は新しい受け皿を求めているという真実である。国民は決して安倍晋三を強く支持していない。同時に、国民は「野党共闘」も支持しておらず、期待もしていない。左翼リベラルが宣伝するところの「立憲主義」や「安保法廃止」に靡いていない。SEALDsと山口二郎が何度も何度も北海道に押しかけ、共産党の動員で集会を打ってネットで絵を拡散したが、選挙区の有権者はその動きに共感を寄せなかった。

「野党共闘」は失敗のスタートを切った。安倍晋三は、朝日に「同日選見送り」の観測記事(政局ネタ)を書かせているが、これは敵を油断させ本心を隠すための煙幕と見るべきだろう。安倍晋三のいつもの手口であり、こうやって世間を騙しつつ、死んだふり解散と同日選を虎視眈々と狙っている。何と言っても、同日選を仕掛けることが参院選に勝利する最も有効な手段であり、それこそが最も有利な条件を得られるわけだから。安倍晋三が解散を諦めるはずがない。


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by yoniumuhibi | 2016-04-25 23:30 | Comments(0)


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