エコノミークラス症候群 - なぜ自衛隊はテントを大量供出しないのか

c0315619_17173064.jpg熊本の震災の前震(4/14)があってから1週間が経った。その間、別件が入って作業に集中していたためにブログの更新ができなかった。テレビを見ながら思ったことを幾つか挙げてみよう。今、大きな問題になっているエコノミークラス症候群の件については、どうして自衛隊がテントを現地に供給搬送しないのだろうと不思議に感じる。このことは、エコノミークラス症候群の問題が起きる前から感じていた。避難所が人でいっぱいで入りきらない。避難所の外で、主に車中で寝起きすることを余儀なくされている被災者が無数にいる。テントを搬入、設営して、雨露をしのいでもらって、足を伸ばしてゆっくり横になることができるように手当てすればよいではないか。幸いなことに、気候は4月下旬という最も過ごしやすい季節であり、真冬や真夏のような健康上のリスクが少ない。昨夜(4/19)、ある国際協力NGOが益城町にバルーンシェルターを持ち込み、被災者に便宜を提供している様子が報ステで紹介されていた。70人を収容できる大型テントで、中の環境も快適そうな雰囲気だった。現在、被災地には2万人の自衛隊員が災害救助で派遣されている。自衛隊は自己完結型の組織で、寝食のロジスティックスはすべて自前でやり、派遣先の現地には一切の負担をかけない。



c0315619_17174497.jpgつまり、2万人が臨時の宿営地でテント生活をしているということだ。少なくとも2万人分の野営テントが持ち込まれている。陸上自衛隊の隊員数は13万8000人。全国の駐屯地にどれだけテントの在庫があるか不明だが、2万人分で終わりということはないだろう。緊急のときであり、陸自のテントと寝袋のストックを供出して被災地に配ればよいのではないか。このまま放置しておけば、車中泊のためにエコノミークラス症候群の患者は次々と発生し、命が失われることになってしまう。歩いて下さいとか、足を揉んで下さいとか言う前に、どうして自衛隊のテントで応急の避難所を設営しようとしないのだろう。どうして、マスコミやアカデミーの人間はそのことを訴えないのだろう。行政がそれをやるのは当然だ。自衛隊は国民の生命と財産を守ることが使命である。防衛大臣が指示を出せば済むことだ。四川大地震のときは、自衛隊は中国に大量のテントを支援している。どうして国内にはできないのか。在庫がないのなら、今度は中国軍に支援してもらえばいい。自衛隊について言えば、現地に本当に2万人も入ってるのだろうかと疑ってしまう。というのは、防衛省のHPのトップに掲載されているところの、「自衛隊生活支援活動一覧表(4月19日現在)」を見ると、「給食支援」活動を行っている避難所の場所が、わずか12ヵ所しか報告されていないからだ。この記録はExcelで作成されてPDFの形式で上げられている。

c0315619_17175477.jpg一昨日の4月18日の報告では、「給食支援」を行った避難所は14ヵ所だった。報告は毎日アップデートされている。避難所の数は632ヵ所もあるのであり、支援物資の分配の偏りと混乱が言われ、おにぎり1個を入手するのに1時間も2時間も待たされたという話がマスコミから報道されている。一方、NHKニュースでは、自衛隊員が精力的に炊き出しをして被災者に配給している映像が毎日出る。この12ヵ所なり14ヵ所のどこかの避難所での「活動」の撮影と放送だ。つまり、NHKは、自衛隊がこんなに頑張って支援活動をやっていて、被災者のために尽力しているというメッセージを刷り込んでいるのである。避難所は632ヵ所あり、多くの、特に行政が指定した場所ではない避難所では、人々が食べるものがなくて困っている。14ヵ所というのは、632ヵ所の避難所全体の2%にすぎない。2万人が被災地に入っているとして、うち1万人が土砂崩れや家屋倒壊の現場で救助に当たっていると想定して、1万人は給食支援や給水支援やその他物資の調達と搬送に回せるだろう。これだけの人数がいれば、632ヵ所の避難所の物資充足度状況を人海戦術でチェックして、リストを作り、不足物品を聞きこみ、それを自治体と政府に情報提供し、調達し、各避難所に過不足なく届けるという活動を実現できるのではないか。

c0315619_1718659.jpgニュースを見ていると、避難所毎の支援物資の偏りについて、東日本大震災でも起きた問題であり、教訓が生かされてないという解説があった。そのとおりだろう。だが、632ヵ所の避難所の物資充足度状況の把握がそれほど技術的に困難なものだろうか。現場にいる者がスマホで窮状を訴えることはできる。634ヵ所だから、Excelのワークシートで管理するにはちょうど手頃な事務作業のような感じもする。アップデートするセンターを数ヵ所(市民ボランティア数十人)で分担して、それを一ヵ所で統括してネットに貼り出すことは、それほど難しいことだとは思えない。緊急度の高い避難所ほど上に位置するようにしていけば、精度も高く、被災者にとっても、それを救援する側(国民や団体や企業)にとっても、使い勝手のよい情報システムになるだろう。おそらく、似たようなものは熊本県や熊本市の中では作成されているのだ。だが、それらは内部資料であり、行政の法律制度に従った責任遂行の(責任逃れの)システムであるため、外部には公表されることはなく、国民全員がその情報にアクセスできず、避難所個々の実態を知ることはできないのだ。であれば、行政の責任系から自由な、その外側にいる市民が自分の責任で情報収集し、避難所のステイタス・アップデイトとなるワークシートを製作・公開・更新すればよいのである。


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by yoniumuhibi | 2016-04-20 23:30 | Comments(0)


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