確定した同日選 - 民進党は大敗分裂、自公は参院でも3分の2、改憲へ

c0315619_1524113.jpg消費税10%引き上げを先送りする方針が、先週(3/18)の読売の記事として出て、永田町とマスコミで騒ぎとなった。リークの発信元は安倍晋三だ。安倍晋三が書かせた既成事実固めの政治であり、先送りは決定的だろう。「増税の延期は1-2年間で検討している」とあり、調整するから財務官僚に来いと新聞辞令で伝達している。現在、財務官僚は再来年度(2017年度)予算の方針を検討しているところであり、6月に出す「骨太の方針」のアウトラインを纏めている最中だ。政府の「骨太」は企業の中期計画(SLRP)であり、したがって中期的な歳入歳出の数字を見積もらないといけない。来年4月からの税率引き上げが中止になると、その概算の前提が大幅に変わり、策定作業を一から見直さなくてはいけなくなる。増税延期の幅が1年か2年かでは、霞ヶ関の予算計画が全く違ってくる。その相談をしてやるから官邸に至急来いと、菅義偉が官僚に指示を出したのだ。消費税率引き上げの延期は、現在、この国の常識として、衆院の解散総選挙とセットになっている。読売は、「首相は増税を先送りする場合、衆院を解散し、7月10日投開票の日程で『衆参同日選』に踏み切ることも視野に入れている」と書いた。



c0315619_152533.jpg読売がこう書けば、世間は一気に同日選ムードになり、確定された日程として捉えて動き出す。安倍晋三が消費増税の先送りを決めたのは、同日選をやるためで、解散総選挙の口実作りこそが本当の動機だ。1-3月のGDP値がマイナスに出て、特に個人消費が落ち込んで2期連続のマイナスになり、景気後退の局面が明確になったからという理由づけもあるけれど、それはタテマエであり、ホンネは解散総選挙の大義名分だ。安倍晋三にとって棚からぼた餅である「民進党」というハプニングが生じ、これ以上ない好機が到来したため、解散に打って出るべく消費増税先送りを理由にするのである。この手法は二度目のことで、本来、マスコミはこの安倍晋三の子供騙しの手口を叩かないといけないけれど、逆に歓迎するかのような論調で書き、消費増税先送りと解散総選挙のセットを、恰も「政治の常道」のように報道している。2014年の安倍晋三の謀計の経験を当然視し、オーソライズして普遍化してしまっている。これは、マスコミ全体が安倍晋三の軍門に降ったことの証左でもあり、もう一つ見逃せない側面があって、それは選挙報道が商売になり、その政治商品を売る者と買う者が早く早くと選挙を急かしていることが大きい。

c0315619_153748.jpgマスコミだけでなく、国民全体が「選挙ハングリー」の依存症になっている。選挙が娯楽イベントになり、そのレースが待ち遠しくてたまらず、プロ野球の開幕や大相撲の本場所を待つような感覚になっている。今年の初めから、マスコミとネットの関心と話題はずっと参院選に集中していた。そればかりが報道の主役だった。分かりにくいのは、選挙をやっても安倍政権が転覆するとか、衆参ねじれになるとか、敗北して与野党が緊張した関係になるとか、そういう客観的条件はまるでないのに、マスコミとネットで合流新党と「野党共闘」が喧伝され、恰も「野党共闘」が大勝利を収めるような観測をして、誰もが7月の参院選への期待を盛り上げていることだ。その空気がずっと続いている。私にはこの現象が理解ができない。選挙をやれば、民進党は惨敗するし、大勝利して高笑いするのは安倍晋三なのだ。それなのに、左翼リベラルは「野党共闘」が勝利するという共同幻想の下でTwを連打し、野党議員たちは合流新党を宣伝して政権叩きの気炎を上げていた。選挙に対して悲観的な想定の反安倍の人間は一人もいない。選挙をやれば確実に負けることは、朝日新聞の世論調査の結果を見れば誰でも分かるのに。

c0315619_153185.jpg左翼リベラルは、その客観状況を頭から無視して問題にしない。そして、早く選挙をやれと急かす。安倍晋三に解散総選挙を求める。私はその言論状況が奇怪でならず、やはり一つの仮説を入れて病理を分析せざるを得ない。右も左も、政治がビジネスと趣味になっている。商業市場になっている。選挙を囃す者たちは、選挙で勝つことが目的ではないのだ。業界と市場で立ち回り、自分(たち)を売り、カネを稼ぐとか信者を増やすことが目的なのだ。自己目的的な動きの総体なのであり、要するに、「安倍政治」という敵はネタなのである。政治の市場が動いていて、売る方は儲けて業界で勢力を拡大し、買う方は「パンとサーカス」のローマ市民のように娯楽で騒いで遊んでいる。政党の側も、共産党が典型的だが、選挙で勝つことが目的ではなく、先を見据えた生き残りの党利党略で動き、選挙はその手段と機会なのだ。誰にも危機感がない。朝日新聞の世論調査では、自民党の支持率が40%に達し、民主党の支持率7%の6倍に達している。朝日の世論調査で自民党の支持率が40%の数字になったことが、この30年間に一度でもあっただろうか。記憶がない。小泉純一郎の絶頂期でも、40%には届かなかったはずだ。支持政党なしの方が多かった。

c0315619_1532944.jpg受け皿がないからこうなっている。本来、安倍晋三の改憲戦略というのは、昨年の時点で完全に破綻して八方ふさがりになっていた。6月、国会の憲法調査会でハプニングが起き、自民党の参考人として呼んだ長谷部恭男が、安保法制を違憲だと断じたところから、安倍晋三の迷走と混乱が始まり、改憲戦略の要職にあった船田元は馘首された。じっくり議論を詰めながら、民主党を改憲合意に引き込み、自民、公明、維新、民主で憲法改正の具体論を固めようとしていた安倍晋三の策略は失敗し、半年間、そのまま頓挫した状態になっていた。国民は憲法学者の立憲主義の説得に頷き、改憲反対の世論が主流となる状況になっていた。マスコミの論調が、立憲主義を土台にした護憲の立場に傾斜した。だが、ここで、予期してなかった「民進党」の政変が発生したことで、再び流れが変わり始めている。立憲主義の言葉は、半年前の威力を失っていて、反安倍の政治意識を国民的なものに結集するシンボルではなくなっている。今後、マスコミの言論は同日選にフォーカスし、憲法改正の具体論を言い始めるに違いない。橋下徹が満を持して政治の表に登場し、改憲論を吐き散らし、自民・公明・お維・民進を一致させる改憲論をリードするだろう。

c0315619_1534171.jpgともあれ、読売に冒頭の記事を発信させたことで、7月の同日選は確実になった。政党の関係者とマスコミはこの日程で動く。3月27日に民進党の結党大会があり、マスコミは民進党の世論調査を打ち、週刊誌はすぐに同日選の議席予想を出して売るだろう。現在、民進党は小選挙区で41、比例で52の93議席を有している。今度はそこに、小選挙区の「野党共闘」で共産党の票が上積みされる形になるが、今の民進党の不人気を考えると、小選挙区の当選者は減りこそすれ増えるとは到底思えない。共産党が支援することで、保守票が逃げるマイナス効果もある。比例の方も、今より数を減らすだろう。朝日の世論調査では、夏の参院選でどの政党に投票するかを尋ねた項目で、自民党は43%、民主党は13%になっている。2014年の比例の得票率は、自民党が33%で民主党が18%だった。単純に比較はできないが、朝日やNHKの世論調査を見るかぎり、2014年の比例の得票数と議席数を維持できない予想が成り立つ。大雑把な予想として、現在の93議席は60議席ほどに減るだろう。朝日の世論調査は、NHKの世論調査よりも都市住民のサンプル数が多いはずだ。ということは、民進党の野合に対して、農村よりも都市の住人が失望していることになる。

同日選は安倍自民党の勝利となり、自公は参院でも3分の2を得る。安保法制は正式に国民の民意を受けた形となり、一強多弱体制が選挙前より甚だしくなり、民進党は分裂する。憲法改正の発議が年内の政治日程となるだろう。


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by yoniumuhibi | 2016-03-18 23:30 | Comments(1)
Commented at 2016-03-22 19:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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