小林節は新党結成を決断せよ - 三つの市長選の結果が憲法学者に促すもの

c0315619_1817014.jpg記録的な寒波が西日本を襲った1/24(日)、宜野湾、八王子、岩国の3都市で注目の市長選があり、いずれも自公が推す現職が勝利を収めた。最も重要視された宜野湾市長選は、自公の現職が6000票の差をつけてオール沖縄の新人候補に勝っている。事前の予想では両者が拮抗しているという情報だったが、蓋を開けてみると意外な大差で驚かされた。前回、2012年に伊波洋一が敗れたときは、共産・社民・社大の推薦で、佐喜真淳は自民・公明の推薦だったが、票差はわずか900票である。今回、オール沖縄の体制を組みながら6000票も差をつけられたことは、革新陣営にとっては手痛い打撃であり、辺野古基地建設に反対する沖縄の人々にとっても厳しい事態と言えるだろう。どうしてこれほど差が開いたのか、敗因を分析しないといけないが、それを考える上で参考になるのは、八王子市長選の圧倒的大差の結果だと思われる。共産・社民などの支援を受けた五十嵐仁が、自公の現職にダブルスコアで大敗した。五十嵐仁の選挙は、小池晃や福島瑞穂や宇都宮健児が応援演説に入り、山本太郎や山口二郎が応援メッセージを出すという、まさに左翼リベラルが総力を挙げた鳴り物入りの選挙だった。32.6%の低投票率で、ダブルスコアの惨敗という結果は、誰も予想していなかった図ではないか。



c0315619_18171389.jpgTwでは連日のように八王子市長選の話題が拡散され、大物による応援風景を左翼リベラルがTLに流して選挙活動を盛り上げていた。小林節や有田芳生が街頭の雛壇に立ち並び、さも当選するぞというムードを掻き立てていた。結局、左翼リベラルは、今をときめく著名人を動員して全国の耳目を集めながら、特に有名でもない自公現職の半分しか票を取ることができず、そればかりか、八王子市民の関心すら呼び起こすことができなかった。八王子は中央線沿線にある東京のベッドタウンで、保守の牙城といった土地柄でもなく、比較的リベラルな中間層が多く暮らしている町だ。市議会には生活者ネットと社民の会派の議員が4人いて、中央の政治がリベラルに旋回したときは、その空気を敏感に反応した民意を示しそうな地盤と言える。だが、市民は全く反応しなかった。勝敗の結果以上に、32.6%の投票率という数字は悲惨な現実だ。五十嵐仁の側の戦略と勝算は、安保法反対の民意を八王子から発信するというところにあり、言わば、参院選の争点を先んじて八王子市長選に持ち込んで勝つ戦法にあった。SEALDs運動や「野党共闘」のモメンタムを市長選の票にしようとする、まさに左翼リベラルが陣立てした国政選挙のミニチュア版だったと言えよう。

c0315619_18172414.jpg私は、今回の宜野湾市長選と八王子市長選の結果は、やはり、11月の大阪W選の民意がそのまま延長した政治だと考察する。大阪W選の前、9月の時点で、都市の市民はSEALDs運動や「国民連合政府」の欺瞞に感づき、それに厳しい民意を返すだろうという予想を述べた。国民は、SEALDsがマスコミとしばき隊が画策した粗製のハリボテ細工の神輿であることを直観で見抜き、共産党が本気で安保法を阻止しようとせず、それを党利党略に利用しようとした裏技にしっぺ返しするだろうと、そう言った。その無党派の感覚と意識は、決して理路整然とした批判の形で表面に噴出することなく、静かな不信感や違和感として沈殿し、選挙の投票行動で暗黙裏に示されるだろうと推論した。夏以降、左翼リベラルは「SEALDs教団」に編成替えした一つの勢力と態勢になり、新興宗教を布教する軍団として活性化され奔流となったが、見かけ上の成功とは裏腹に、深層では次の破綻を媒介する矛盾が孕まれていたのだ。大阪の市民は、その新興宗教の政治への不同意を率直に示した。大阪W選が転機となって流れが変わった。その変化は年を越しても続き、宜野湾と八王子の市長選の民意となって露わに表出したと言える。左翼リベラルにとっては、逆流であり反動の政治現象である。

c0315619_18173517.jpgSEALDsには言葉がないと辺見庸は言う。それはSEALDsの学生だけでなく、神輿を担いでいる学者たちも同じで、この政治運動全体には国民が聞いて心に響く言葉がない。言葉がないのに、さも言葉があるように、マスコミや政党や学者たちは演出し、粉飾し、若者が自分の頭で考えて立ち上がったとか、市民一人一人が自主的に行動してデモに立ったとか、嘗てなかった画期的な国民運動だと激賞した。左系マスコミ - 朝日、毎日、東京、テレ朝、TBS、AERA、週刊朝日、週刊金曜日、ゲンダイ - の言論では、SEALDsとそこから派生した運動はすべて神聖化され、絶対的な賛美の評価だけで固められていて、11月の大阪の民意の内側にある懐疑と不信の契機を掬い取ることはなかった。ネットの世界では、たとえ匿名の者でも、SEALDsに対する不満や悪口を一言でもTwで漏らせば、ただちに恐怖の憲兵であるしばき隊に摘発され、苛烈な集団リンチの暴力で血祭りの目に遭うため、誰も勇気を出して異議を口にする者はいなかった。こうして、右翼以外からのSEALDs批判は言論空間で完全封殺され、物理的に排除されることになったため、内省の思考的端緒は生まれず、左翼リベラルの信仰の自家中毒は度を増して行く。そうして、マジョリティである無党派との意識の乖離が甚だしくなった。

c0315619_18174523.jpg八王子市長選でドラスティックな結果が突きつけられた今でも、それが、上に説明したような、市民一般の政治的な心理と態度の表れだという図は分かりにくい。それは、SEALDsを批判する議論を正面から構えることの難しさの裏返しでもある。SEALDs批判は言語化が容易でない。間違いなく言えるのは、人々はSEALDs現象を信じてないことであり、言葉ではさやかに表現できないけれど、SEALDs運動を額面どおり受け取っておらず、SEALDs運動として一つの構造体になった左翼リベラルの政治運動群を支持してないということだ。もっと言えば、それが、人々の求める言葉を持った政治のムーブメントではなく、ビジネスを動機としたインダストリーの回転と循環であることを、人々は本能的に察知していて、だからそれに感情移入できず、自己同一的なものとして積極的に関心づけられないのである。左翼リベラルは、左系のマスコミとネットの情報ばかり見ているため、そこに書かれた主張を普遍的な真実だと信じてしまう。今の左系マスコミの報道や論説は、過去のそれとは違っていて、真実を誠実に追求・思考するものではなく、売上と利益に動機づけられ、業界の商売の思惑で読者を操作するものに変わっている。SEALDsをめぐる左系マスコミの報道は、きわめて操作的な性質のもので、ジャーナリズムとは無縁な、身内が身内を宣伝するものばかりだった。

c0315619_18175560.jpgあらためて、小林節に私は直言したい。SEALDsやしばき隊系や共産党とは手を切って、憲法学者で新党を結成することだ。立憲党を立ち起こして、永田町の外から旋風を起こす決断をして欲しい。国民は、昨年6月の小林節と長谷部恭男の立憲主義の講義を忘れておらず、憲法が統治機構を治める理念と原理に得心した感動を忘れていない。内閣の上に憲法があり、安倍晋三の主人として憲法が崇高に聳え立っていることを論理的に教説された昂奮を忘れていない。多くの者が私と同様に、それならもういっそのこと、憲法学者ディクタツーラでいいじゃないかと思ったはずで、無力で無能な野党など放っておいて、4年か5年ばかり、この国がまともな立憲国家に立ち戻るまで、憲法学者に手術と治療をお願いしたいと考えたはずだ。日本国憲法の原則と規定どおりに統治機構(国会・内閣・裁判所)が動くように、したがって、政党と政府と司法とマスコミが正しく国民に奉仕する地平に至るまで、憲法学者にこの国の権力の操縦と執行を委ねてよいと確信したはずだ。憲法学者は国民から信頼され期待されている。だから、その憲法学者が、国民から信頼も期待もされてない既成野党の共闘作りに手を煩わせ、世話を焼いているなど、本来、国民の立場からすれば無意味な所業なのであって、無駄なエネルギーの浪費なのだ。小林節は「野党共闘」を断念してもらっていい。新党を作って欲しい。

c0315619_181876.jpg今回の三つの市長選の結果を受けて、市民連合の「野党共闘」プロジェクトは頓挫を余儀なくされただろう。最早、各県で市民団体が動いて民主党と共産党に協議を促す動きは止まるに違いない。1人区で自民現職と対決する「野党候補」は、民主党が一方的に選んで担いだ新人ということになる。共産党の存在感は小さくなり、参院選までの政局に割り込む立場を失った。「野党共闘」の方式で安倍晋三に勝つという考え方は、リアリティを失い、国民の期待を失い、政局とマスコミの議論を方向づける推進力を失った。憲法学者が新党を立ち上げる以外に、真の受け皿はあり得ない。憲法学者が新党結成の動きを起こさなければ、3月にかけて、維新とお維と民主右派の動きが活発になり、擬似的な「受け皿」新党をマスコミが宣伝するようになるだろう。無論、そんなものは真の受け皿ではないし、国民が求めるものでもない。そんな「新党」で投票率が上がるはずもなく、安倍晋三に勝てるはずもない。だが、マスコミが口を合わせて持て囃せば、ガラクタも偽物の宝石の輝きを見せるのであり、自公に対抗する勢力の表象に化けるのだ。さらに、もっと危険なのは、その「新党」が憲法改正に精力的に動くことであり、安倍晋三との間で協調と競争をしながら、憲法改正の議論の音量を上げ、マスコミと国民世論を動かしていく図である。その恐ろしい展開と帰結を想像すると、もう一刻の猶予もないと焦躁させられる。

小林節は乾坤一擲の挑戦を決意して欲しい。勇気を出して、国民のために清水の舞台から飛び降りて欲しい。新しい酒は新しい革袋へ。国民の一人として、全力でサポートすることを約束する。


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by yoniumuhibi | 2016-01-25 23:30 | Comments(6)
Commented at 2016-01-26 01:18 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by おめめ at 2016-01-26 07:42 x
八王子市長選における五十嵐氏のブログなどでの主張と、リベラル派が集結した応援演説を動画で視聴しましたが、市民連合以前の問題で、あれでは市民の関心を得るどころか、正直「ドン引き」だったであろうと思います。
これは五十嵐氏のブログから引用した文です。
↓  ↓  ↓
「安倍暴走政治の下で、平和が脅かされ、立憲主義が揺らぎ、民主主義が壊されようとしているのが、今の世の中です。この緊急非常の今こそ、身を挺して立ち上がるべきときではないかと。
安倍政治の暴走にストップをかけ、戦争法廃止を掲げて発展してきた共同の枠組みを広げ、八王子の持つ潜在力と可能性を汲み尽くしたいと思います。この共同の力があれば、政治の流れを変えることができると確信しています」

八王子市民が「市長」に対して求める事が、本気でこんな事だと思っているのであれば、相当ズレているとしか言いようがありません。
五十嵐氏が市民に主張すべきは、(当選した候補者が都市開発推進派なのに対して)弱者の目線にたち市の財政を福祉に充てる事や、市内の環境や、箱物をどうするか、開発に代わる財政を上げる方法の模索など多岐に渡って有るはずです。
市長選なのですから市政について言及すべきで、国政について言及するのであれば「では国会議員に立候補しろ」となるのです。
勿論、直接で無くても中央政府に影響を与えるものではあるのでしょうが、そんな事は議員らにとっての関心事であって、市民にとっては市長が良い仕事をしてくれれば何ら関係のない事です。
市民が中央政府にノーを突きつけるなら、その場は市長選ではなく参院選や衆院選です。
これではダブルスコアで大差を付けられる事も何ら不思議では有りません。
近く京都市長選が有りますが、リベラル派(主に共産党推薦候補者や応援演説にくる中央連中)が国政の問題をわざわざ市長選に持ち込み、本来、主題とすべき市政を蔑ろにする戦い方をすれば、また敗北も有り得ると思っています。
【追伸】
五十嵐氏の主張の正当性の是非を言及している訳では決して有りません。
市長選を争う上で戦略として間違えていると訴えたいのです。




Commented by ともえ at 2016-01-26 15:44 x
圧倒的に支持します。一刻の猶予もない、『まっすぐ戦争安倍晋三』なのだから。愛する子どもが恋人が息子が、いや娘も自分も。憲法が変えられて基本的人権が奪われ、ボロ屑のように扱われ過酷な人間改造をされて辞世の句を遺させられるような、そんな目に会って泣く前に。瀬戸内寂聴でしたよね、女たちに『愛と革命に生きよ』と語りかけていたのは。哀し涙にくれる前に自分たちの望む日本をともにつくろうではないですか。小林節氏を先頭に。
Commented by 愛知 at 2016-01-27 00:20 x
私も支持します。左右両業界で、マジョリティーの定義まで分かれているようですが。貴下ご指摘が、実際のマジョリティーだと思います。RDからして組み替えないと。私の場合、孫娘まで心配です。隣の部屋でサッカー中継に興じている細君も含め。
Commented by 新党だけが唯一の希望 at 2016-01-28 22:32 x
民主主義国家の根幹を支えるブレない政治家集団が必要だ。ブログ主さんの「立憲党」のアイディアは現状において最も実現可能性がある。実現のあかつきには、全面的に支持する。
天木直人氏も賛同してくれないだろうか。
Commented by さいたま at 2016-01-31 04:27 x
八王子市長選については、おめめさんに同感。そうそうたるとか、著名人が勢ぞろいとか言っても市民にはまるで通じていないということ。こういう半端な「知名度」頼みをしているところに国民を見くびった安直さがある。
できもしない野党共闘にこだわり続けるのは時間の空費。市民主体で新党を、という提案には賛成。それで民主党にプレッシャーをかけるほかない。ただし、なぜ小林節なのだろう? あんな威勢のいいことをぶつだけの雑駁な人物は、一時の追っかけ人気はあっても、政策立案能力も政治的求心力も望めない。


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