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東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」

東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」_c0315619_1518037.jpg先週(10/14)、東京新聞の「こちら特報部」の紙面に「平和のための新9条論」と題打って、小林節、伊勢崎賢治、今井一の3人による憲法9条の改正案が特集報道された。解釈の余地を政権に与えないため、専守防衛の自衛隊を明確に位置づけるための新9条の制定だと紹介されている。記事を企画編集した記者の署名は、中山洋子、池田悌一、佐藤圭。冒頭の説明に「安倍流の改憲を許さないための新九条である」とあり、東京新聞がこの提案を積極的に肯定し推進していることが分かる。今井一の新9条案には、「わが国が他国の軍隊や武装集団の武力攻撃の対象とされた場合に限り、個別的自衛権の行使としての国の交戦権を認める」とある。伊勢崎賢治の新9条案にも、「個別的自衛権を行使するため、陸海空の自衛戦力を保持(する)」とある。完全な明文改憲だ。小林節はもともと生粋の改憲論者であり、従来からの主張なので驚くには当たらない。他の2人についても、この明文改憲は以前からの持論なのだろう。最初に言っておかないといけないことは、この主張の中身が、ずっと前から9条改定を目論む保守派によって唱えられてきたものと同じで、小沢一郎の「普通の国」の所論と同じだということだ。戦争と軍隊を放棄した9条を止揚する。自衛隊を憲法に正式に位置づけ、個別的自衛権を明確に認める。「普通の国」になる。まさしく、自民党など改憲派の本筋がこれであり、憲法を現実に合わせる立場の基本がこれだった。



東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」_c0315619_15181277.jpgこれら改憲派の面々が、この9条改正論をこの機に打ち出して国民的議論にしようという思惑は理解できる。不可解で面妖なのは、それを東京新聞が担いで「こちら特報部」でキャンペーンした事実である。東京新聞の「こち特」と言えば、まさに現在のこの国の左翼リベラルを代表するマスコミ言論の象徴であり、多くの市民が信頼を寄せて注目する情報源だ。共同の配信で全国の地方紙に掲載されていて、ここ数年、反動政治に抵抗する言論の拠点として人気を集めてきた。40年前の朝日の論説のような位置だろうか。この新9条論が、朝日の紙面でプロモートされたのなら、まだ話は分かる。5月に池澤夏樹が全く同じ主張を試みて、時節が安保法案が審議入りする直前だったため、護憲派の警戒感を刺激して非難囂々の結果となった。東京新聞より右寄りに立つ朝日が、こうした「左折の改憲」へ世論を誘導する動機は頷ける。しかし、護憲派の急先鋒と思っていた東京新聞がこのような挙に出るのは、想定していない意外きわまる出来事だった。記事を見るかぎり、明らかに東京新聞はこの意見と運動を肯定していて、読者をこの改憲の方向に導いている。「新9条」などと巧妙な表現で化粧しているが、3人と編集部の主張は9条の原理原則とは全く異なるもので、それを真っ向から否定する反動の論理に他ならない。戦後一貫して、親米保守派が実現に狂奔してきた改憲論の中身そのものである。

東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」_c0315619_15182258.jpg日本国憲法の9条は、国権の発動たる戦争は厳として認めておらず、国際紛争を解決する手段として戦争を認めていない。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明記している。改憲派は、これをお花畑のファンタジーだと言い、現実にそぐわない夢物語だと罵り、9条を現実に合わせるようにずっと要求し続けてきた。それに対して護憲派は、9条は平和国家のあるべき理念を示していて、現実を憲法に近づけることこそが求められているのだと反論。専守防衛や非核三原則や武器輸出三原則の縛りで軍事を抑制してきた戦後日本の平和主義の意義を評価し、日米安保の破棄と東アジア共同体を展望した上で、9条の理想に近づけるべしと論陣を張ってきた。丸山真男の「憲法9条をめぐる若干の考察」が、この護憲派の立場を理論的に基礎づけている。9条は前文とセットの構造で、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という、決意から9条が導出されている。もし東京新聞が唱えるように、個別的自衛権と交戦権を認め、自衛隊を認める9条に変えるなら、前文もろとも書き替えて「普通の国」憲法にする必要があろう。

東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」_c0315619_1518339.jpg前文を変えず、このままにして、9条だけを変えて自衛隊と交戦権と個別的自衛権を認めるのなら、その新9条は前文と論理矛盾をきたすのであり、前文の決意と条文の制度との整合性がとれなくなり、憲法全体の法的安定性が崩れてしまう。前文で宣言された決意は、安倍能成が全面講和の闘争時に正しく説いたように、そして「新しい憲法のはなし」でも説かれているように、丸腰主義の勇気が本質なのであり、諸国民の公正と信義に信頼して、素手の外交一本で平和と安全を実現し維持するという国家方針となっている。侵略の脅威や予兆は外交と対話で未然に防ぐことができ、諸国との絶えざる協調と細心の注意による外交努力でそれを阻止できるはずだという信念が前提されている。自衛権を認め、交戦権を認めれば、それを根拠にし、自衛を名目にした戦争を起こしてしまうから、そちらのリスクの方が大きいのだという判断と確信がある。この理想論の態度は、国際政治の冷酷なリアリズムの中ではあまりにナイーブでリスキーだとずっと批判され、平和憲法の丸腰主義は嘲笑と誹謗を受け続けてきたけれど、あの戦争を経験した日本人が掴んだ哲理として揺るぐことなく、ジョン・ダワーの言い方によれば、戦後日本人は理想を地上に引き下ろして現実のものにした。70年間、憲法前文と9条を変えずに守り抜いた。非武装が平和憲法の核心であり、戦後日本人の理想であったことを、東京新聞は肝に銘じなくてはならない。

東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」_c0315619_15184614.jpg東京新聞と3人の論者は、現行憲法と現実との間に乖離がありすぎるから、どんどん解釈で法制を暴走させ、憲法をなし崩しにされてしまうのだと説明する。9条を変えて自衛隊と個別的自衛権を認め、集団的自衛権を禁止すれば、条文の縛りが効いて政権による勝手な解釈を止められると言う。だが、本当にそうか。仮に3人の言うとおりに憲法9条を変えたとして、解釈や政策がそこから先に転がらないという保証がどこにあるのだろう。例えば、今回の集団的自衛権にしても、政府与党は、フルの集団的自衛権と限定的な集団的自衛権という詭弁を開発し、砂川判決で自衛権を認めたから合憲だなどという卒倒するような荒唐無稽なこじつけ論法を繰り出してきた。憲法を破壊する勢力が政権に就けば、どんな無理な詭弁工作でも平気で断行するし、積み重ねた法制局の解釈体系を壊滅させてしまう。今井一らの新9条で最も危険なのは、容認された個別的自衛権の範囲が広がることであり、歯止めをかけられなくなることだ。例えば、在留邦人の安全を保障するという任務が個別的自衛権の論理で正当化され、自衛隊が(侵略戦争に)出撃する大義名分になる。戦前はそのようになり、満蒙は帝国の生命線だと喧伝され、自衛の名目で侵略戦争が無限に中国大陸に拡大した。現時点で、すでに朝鮮半島有事は個別的自衛権行使の範囲という了解になっていて、その言説が左右を超えた常識になってしまっている。これまでは、憲法9条(戦争と武装の放棄)が歯止めになっていた。

東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」_c0315619_1518572.jpg現実と距離の甚だしい憲法だからこそ、為政者の歯止めとして機能した。それゆえ、アーミテージは憲法9条を自分たちを邪魔するバリケードだと呪い、その除去をマスコミを使って扇動してきたのだ。どれほど自衛隊を普通の軍隊にし、米軍の指揮下で戦争させようとしても、憲法9条が明文で掲げられている以上、その歯止めの効力は大きくて、どうしても自衛隊は縛りをかけられ、逸脱させるのに限界があったのである。東京新聞の明文改憲の方向を選ぶことは、アーミテージのバリケードを左翼リベラル自らが撤去することを意味する。今回、こうして、左翼リベラルの側から9条改正の提起が出たことに、言いようのない恐怖と不快を私は覚える。25年前の「政治改革」を思い出す。小選挙区制導入は自民党の悲願で、50年代のハトマンダーから70年代のカクマンダーまで、戦後の保守派が虎視眈々と狙ってきた制度変革の獲物だった。保守派だけが推進したのなら、「政治改革」を潰すことはできたのである。ところが、山口二郎と後房雄が左から扇動し、岩波と朝日が先頭に立って左を切り崩す工作を仕掛け、まさかと思った小選挙区制が実現してしまった。消費税も同じで、左が結束して抵抗を続けていれば、8%への引き上げは阻止できていた。やはり岩波と朝日が賛成に回って旗を振り、山口二郎と神野直彦と宮本太郎が調略作戦を担当し、湯浅誠が政府の広告塔となって「社会保障のための財源」と「広く薄く分かち合い」のプロパガンダを吐き、左が切り崩されて押し切られてしまった。

同じパターンで政治戦に完敗した。今回、不気味なのは、左翼リベラル界隈の機関紙のような東京新聞が、9条改正を正面から提起し、「普通の国」への移行を主導し始めたことである。左翼リベラルの売れっ子の想田和弘も、この佞悪な動きに早くから加わって明文改憲の世論工作をリードしていた。自衛隊と個別的自衛権を認める中身で9条を変えること、この改憲路線は、現時点で維新・民主・生活の3党で一致できるものだ。公明も喜んで乗ることのできる。左からの初めての本格的な改憲策動に寒気と目眩を禁じ得ない。


東京新聞が仕掛けた左からの改憲策動 - 「新9条」の正体は「普通の国」_c0315619_1519924.jpg

by yoniumuhibi | 2015-10-19 23:30 | Comments(10)
Commented by 半覚醒状態 at 2015-10-19 21:42 x
先月小林節氏の講演会に出向き話を聴いた際、安倍政権を倒す方策と人脈が自分にはあると氏は力説されていました。内閣支持率など考えてどうにも納得いかなかったのですが、うちは東京新聞を取っていてこの記事を読んで余計混乱し分からなくなっていたところでした。来週高1の娘の定期試験があり日本史の試験範囲は、中国共産党による国民政府打倒後のGHQの占領政策の転換から竹下内閣の辺りまで。ここ数日娘が参考書を何度も大声で音読するのを聴いていました。『吉田茂って良い人かと思ったら酷い人なんだね。』などと言うのを苦笑いしながら。GHQによる日本経済成長の促進と労働組合、社会、共産党潰しの二本立ての筋を聴いているうちに
Commented by 半覚醒状態 at 2015-10-19 21:57 x
昭和29年の吉田内閣総辞職後の鳩山内閣の成立、過半数に達しなかった民主党と自由党の保守合同による鳩山自民党内閣による日中貿易民間協定と日ソ国交回復とその後の国連正式加盟の後、ぱたりと労働組合運動や日本共産党日本社会党に関する記述か少なくなること。結局、鳩山内閣が行った対中対ソの外交は社共がやろうとしたことに便乗して彼らを制したのだなと。今回の主様の記事を読んでこれと良く似たことが起きて、結局左翼は骨抜きになる危機を感じました。
Commented by NY金魚 at 2015-10-19 22:35 x
大陸で何百万という人間を殺し、何百万という同胞を殺され、もう金輪際戦争はしませんという魂が入ったことばなのだ。聖霊たちの血の涙でできた、入魂の憲法なのだ。改憲を唱える現代人に、その魂があるか。入魂のことばが創れるか! あるとすれば、それこそ戦争屋に与する、同志を分裂させるだけの魂だ。自分のまわりをみてみろ! ウヨクだらけじゃないか。残った少ない同志たちを、自らを、いつまで分裂させれば気がすむのだ。この時期にいかなる改憲も反対!
Commented by 愛知 at 2015-10-20 00:16 x
中日新聞ではご指摘の記事、10月17日の掲載。レイアウトは異なりますが、今井、伊勢崎両氏の改憲案が掲載されていました。私などからすると「今の若いもんは」という印象。これは最大限に抑制した表現で。今井案の9条1項、「侵略戦争は、永久にこれを放棄する」もうほぼお笑い改憲案。東條さんの亡くなられたお嬢さんが彼岸で涙を浮かべておられるのでは。伊勢崎案では、南スーダンでPKO隊員が僅かな食糧と引き換えに現地女性を買春といった実態から目を逸らし。基本的な人権を踏み躙って平気な若造が憲法云々などと100年早い。

記事を探す間、10月14日、中日新聞の投稿欄が目に留まり。地元の人の投書ばかりなので、東京新聞とは異なると思います。安倍首相に賛同し「(TPPに)日本が参加したことに賛成。今や一国が単独で生き抜くことはとても難しい。」(13歳・中学生)「他国が攻めてきた場合、憲法9条があると伝えたら、相手は手を引くでしょうか。一億総平和ぼけの国民に警鐘を乱打したい。」(75歳・自営)

もはや元号が変わるまでの昔の中日新聞。1年の10大ニュースのトップに昭和天皇のご活躍を伝え、年の瀬を憂鬱な気分にさせてくれた新聞。憲法9条は、ノーベル平和賞に値するのかなど。こういう2枚舌、3枚舌が、読者の認識を形成している。文屋が何書こうが勝手だが、戦争には引き摺り込むな。読者の声に目を通してれば、改憲の行き着く先は見え切ってるだろ。
Commented by 私は黙らない at 2015-10-20 05:35 x
海外居住者です。今まで、何度も居住国の国籍取得を考えてきましたが、その度に、思いとどまってきました。理由は、ひとつ。日本が憲法で戦争を放棄しているからです。心のどこかで、万が一何かあったら、家族を連れて日本へ逃げよう、私の赤いパスポートは、私だけでなく、私の家族にとってお守りのようなものでした。
だから、安保法が可決成立した日、私はとても悲しかった。何を信じてよいかわからなくなった。今まで自分が立ってきた足元が崩れ去ったと思った。
大切にしまってある菊のご紋が入ったパスポート、我が家にとって平和のお守り、私の心の支えだった。今、見ると辛さがこみあげてくる。
私が日本を出たころは、こんなじゃなかった。いつの間に日本はこんなに変質してしまったのか。もう、私の知っている日本はないのかもしれない。母国を失ってしまったような心細さをどうすることもできない。
Commented by もりた at 2015-10-20 18:11 x
小泉政権あたりから、日米同盟の変質とともに集団的自衛権が正面に出てきたという経緯はありますが、少なくとも90年代までの改憲論の主流は自衛隊を憲法に位置づけて(個別的)自衛権を認める、というものだったわけですから、要するに彼らの言ってるのは少し前までの改憲論者と同じということですね。ここに小沢一郎などが言っているような(憲法前文を根拠にした)「国際貢献」の理論を接ぎ木すれば、完全に「普通の国」になります。こういう議論が左派から出てくるということには本当に驚きます。
Commented by mori at 2015-10-20 19:40 x
転向というのが近代史の不思議な一コマではなく、現実に眼前に現れてきたことに暗然とします。東京新聞がまさか転向するとは、思ってもみませんでした。戦前の転向というのは治安維持法とその後の弾圧に因るところ大で、意識的に行われた点ではまだ救いがありますけれども、今回のこれは無意識のもので本当に救いがたい。安倍のやることは大抵彼の思想の通りですから意外でもありませんから、ここのところで一番の驚きです。日本国憲法を守りたいと言っている人は、一体何を守りたいんですかね。単に運動が目的化していて、その運動のために祭り上げている神輿に過ぎないんですか。眼前の瞬間的な「集団的自衛権問題」だけをうっちゃりたいだけなんですか。それさえ躱せればいいと?「集団的自衛」はダメだが「個別的自衛」ならいいって?ご冗談を。9条千回読んでから出直して欲しいです。問題なのは、東京新聞の転向に対して異論反論百出という状況になっていない、この思想的焦土の情景です。SEALDsだって誰だっていいから、それはダメだと、それはただの改憲だと言い出さなければならないのに、みんなその「バス」に乗り遅れないようについていくんですか。結局左派というのは流行に乗りながらしかガクモンもウンドウもできないんですか。一体何を考えて「新9条」なるものを宣伝する気になったのか、そしてその宣伝を本当に真に受けるつもりなのか、誰か教えてくれ。護憲ってなんだあ!?
Commented by NY金魚 at 2015-10-21 02:49 x
言霊(ことだま)ということばがありますが、現行憲法はまことに言霊のかたまりであると思うのです。理想論ですから、現実政争の具となり、何度も存在の危機に立たされますが、その度に不死鳥のように舞い上がるのは、みんなの心のなかにある言霊のせいなのです。前回のコメントで興奮してしまったように、その言霊とは先の大戦の何千万の犠牲者の聖霊の魂が入っているからかもしれません。でもいちばん大事なのは、僕たちの無意識がそれぞれの言霊を創り出すことだと思います。
気の狂った為政者のせいで、また猛烈なピンチになりましたが、きっと切り抜けると信じています。みんなの魂に刻まれているのです。いわゆる戦争で儲けようという戦争屋は別として、軍備したがるひとの深層心理を暴くと「恐怖」からなのです。欧米の正義は「恐怖」を媒体にしてはじまります。9条をもつ日本が、平和という魂からの「幸福感」で世界を説得すべきなのです。

南京大虐殺の史実は日本人が心から恥じなくてはなりませんが、その歴史資料がユネスコの記憶遺産に登録されたことは喜ぶべきです。ナチのホロコースト同様、もう二度とくりかえさない、とみんなが魂に刻み込めば「平和」という理想にうんと近づきます。戦争のない世界がどうして非現実的なのか、自分の魂に問いかけましょう。

むかしの金魚ブログ1のなか「ものとこころのかぎりない別離」
を読んでみてください。「無始」の始めからモノとこころは対立してきましたが、憲法を読むひとがひとたび魂を入れることで、条文というモノは「こころ」そのものに変貌します。いかなる改憲にも反対!
Commented by ロシナンテ(1) at 2015-10-21 04:33 x
立憲主義と憲法改正、について考えてみました。

日本国憲法98条1項 「この憲法は、国の最高法規」と定めてる以上、憲法の中に公権力を拘束する力は当然、存在します。
そこを殊更に「立憲主義」と称し、憲法は国家権力の暴走を止めるため(だけ)のモノ、と位置づける論陣には抵抗を感じます。
「立憲主義」と騒ぎたてる以前に、その役割をも日本国憲法は自ずと有している憲法です。
故に、憲法学者が国会で放った言葉「憲法違反である」。そこに尽きるのでしょう。

憲法を、「国家権力の暴走を止めるためだけのモノ=立憲主義=憲法」としてしまうと、日本国憲法は「国家権力を拘束するルールブック」におとしめられ、その本来有る「理想へのたゆまぬ努力への意志」は不要になってしまいます。
ルールブックであるなら、オリンピックスポーツがたやすくルールを変えるように、日本国憲法も現実にルールを当てはめるように、手続きさえ踏めば自由に変えて良いモノになってしまいます。

そこには「理念」や「理想」は置き去りにされ、「憲法=取り決め事」となり、結果、新9条なる「ボクの考える取り決め案」を言う者が跳梁跋扈するでしょう。
Commented by ロシナンテ(2) at 2015-10-21 04:34 x
東京新聞は講読しておらず、こんな駄論にカネ出してまでWeb記事を読みたくもなく、マガジン9にて想田和弘氏の新9条論を読んでみました。論旨にさして違いは無いと思います。

読んでみて、氏の論点の一番の勘違いは「平和主義を守ることであり、9条の条文を守ることではない」にあります。
過去の朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、PKO、イラク戦争、すべて9条があればこそ、時の為政者もNOと言う立場を貫く事ができ、それ故に平和主義を守ってこれた事。
自衛隊法をどういじくってみても、憲法の最高法規としての9条が生存する限り、時の為政者乃至国民はNOと言う事ができる。
安倍政権が解釈改憲を行い集団的武力制裁を行なうとしても「憲法違反」としてその行為を拒否する自由が残されるはずです。

今井一氏の論では「専守防衛の自衛隊」と自衛隊の国軍化を憲法に明記せよ、とあります。
大馬鹿野郎です。自民党憲法草案の一員かと疑う。

国軍を作れば必ず軍法が法として必要になります。自衛隊法では憲法によって許されていない義務・懲罰・命令が、軍法下では入り得ます。軍法は憲法の下にあらず特別法となり、二つの最高規範が出来てしまいます。更に軍法の配下に軍事司法・軍事行政が必要となります。これは日本国憲法を骨抜きにする最良の改憲餌です。

初めに戻り、日本国憲法をルールブックと見なした浅い立憲主義の弊害として、新9条案なる危ない火遊びを弄ぶ者が現れて来たと言う事でしょうか。


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