読者からの質問へのご回答 - 廃案へ何をなすべきかの具体論

c0315619_15553494.jpg夏休みから帰ってくると、こんなメールが届いていた。「世に倦む日日様としては、これから先の内閣支持率を下げるために私達は具体的に何をすればよいと思いますでしょうか?その『方法論』を世に倦む日日様がブログで書いて頂くと、何か変化が生じるかも。さすがに行動が必要だと思い、ご意見を頂きたくメール致しました」。方法論と言えるかどうかは分からないが、こうするべきだ、こうせよ、これが最も効果的な戦略戦術だという具体的な提案は、この安保法案の政局が始まってから腐るほど述べてきたような気がする。どれも(個人的には)自信作の立案と提起ばかりで、誰かのパクリではなくオリジナルのアイディアばかりだ。しかし、書いてきた提案がマスコミに取り上げられるとか、どこかの組織勢力に拾われて実現へ動くということは特になかった。残念なことだ。が、こうしてBlogの読者から真面目に質問をいただけることは幸せなことで、応援してもらっていることに感謝して回答を用意するのが正しい態度なのだろう。質問を寄せられた方は若い方だ。前向きな対応を心がけたい。しかし、こういうメールをもらうと、この法案を廃案に追い込む政治の大きさと、一人一人の個人の力の小ささが際立って観想され、途方もなく心細い感覚にさせられてしまう。何をすればいいんだろうというのは、私の方の正直な気分かもしれない。



c0315619_1555539.jpg安倍晋三は、法案を参院で可決成立させるつもりだ。衆院での3分の2再議決は考えていない。昨日(8/4)、菅義偉が辺野古での工事を9/9まで1か月間中断すると発表したのは、9/9までに法案を仕上げるという思惑に違いない。9/10から工事を再開するという算段であり、埋め立ての本格工事をスタートするという意味だ。そのための環境の前提として、9/9までに法案を成立させるという予定が含意されている。マスコミの情報を見ていると、9月上旬が参院の採決という観測が出ていたが、それは世間と野党を安心させる囮の罠で、安倍晋三と鴻池祥肇は前倒しして不意討ちに出る謀計を腹合わせしているのかもしれない。というのは、参院の審議のペースが非常に早く、審議入りして1週間しか経っていないのに、もう4日も集中審議 - 安倍晋三が出席してNHKが中継を入れる - をこなしてしまっている事情がある。集中審議を4日もやれば30時間は消化できる。1週間で4日の集中審議は異例のことだ。そして、4日も集中審議をやったのに、審議をストップさせる強力で決定的な質疑はなく、法案の行方にブレーキがかかる事態にはなっていない。この間、磯崎陽輔の進退問題にずっと焦点が当たったが、辞任に追い込む幕を作れなかった。政府答弁を立ち往生させる論破の場面もなかった。衆院以上に安直なプロレスが続いていて、テレビ報道の関心が向く論点が出ていない。

c0315619_15561721.jpg普通、法案成立までの審議時間は衆院の方が参院よりも多くなる。よっぽど有効な論点が出されて世間の関心が集まるとか、意外な論戦の展開になるとかしないと、参院の方が衆院より審議時間が多くなるということはない。こうやって、安倍晋三が顔を出して週に3回も4回も集中審議をやりながら、新たな論点が出ずに粛々と消化が進むようでは、参院の審議時間は8月末には簡単に100時間を超す結果になるだろう。そして、「論点はもう出尽くした」と安倍晋三と佐藤正久が言う状況になるだろう。野党議員だけに任せておけば、彼らは絶対に論点を作り出すことはできないから、外から持ち込むしかないのだと私は言い、その役割と責任を果たすのは、現在の日本の真の「言論の府」である外国人特派員協会だと指名した。そして具体的に、どういう材料を持ち込む論点にするべきかも提案した。ところが、7月下旬以降、外国人記者クラブの動きが不活発で、マスコミの話題になる機会が少ない。安倍晋三に痛打を与える政治イシューの発生源になっていない。夏休みに入っているのだろうか。「私達は具体的に何をすれば良いと思いますでしょうか?」とメールにあったので、ぜひ外国人特派員協会に発破をかけて、もっと「言論の府」の自覚を持って大胆に活躍せよと、具体的提案を添えて督促していただくことをお願いしたい。他に論点を作り出して国会に持ち込める言論機関はない。

c0315619_15562857.jpgネットを見ていて感じるのは、法案反対派の意識が受け身であることで、マスコミ報道に依存し、国会の動きに目をとらわれたまま、ただ受動的に日々の政局に熱中している。マスコミと国会から流されてくる餌を啄み、ああだこうだと床屋政談のフローに漂っている。国会(野党)も、マスコミ(報ステ・NEWS23・東京新聞)も、安保法案を阻止する本当の実力はなく、政局を自前で主導する力を持っていないことは6月と7月の現実を見れば瞭然だ。ここまでの政局を主導し、反対派に法案阻止への有効な論点を与えてきたのは憲法学者だった。憲法学者の論陣こそが決定的な力だったのである。安倍内閣の支持率を落としたのも、世論を動かした主たる要因は憲法学者の立憲主義の説得力だった。政治を動かすには力が要る。同じほどの強い原動力がなくては、支持率をさらに引き下げて廃案に追い込む条件は作れない。SEALDsについてのマスコミ報道は、最近さらに定番ネタの色合いを濃くし、身内化と演出性の傾向を強くしている。東京の記者たちは、SEALDsとその周辺を追っかけて密着報道することが、法案に抵抗する唯一のジャーナリズムだと錯覚してしまっている。反対派の一般の者たちも、マスコミが撒くSEALDs情報の餌をブロイラーのように食い、それで法案を廃案に追い込めると幻想している。SEALDs主催の金曜夜のデモが、7月中旬以降、回を追って規模が小さくなっている事実に着目しない。

c0315619_15564335.jpgデモについて言えば、NHK包囲デモという運動が8/1に行われていて、この動きに私は注目したい。参加しようかと考えている。200人ほどの市民が集まったようだ。200人が500人になり、500人が1000人になり、1000人が2000人になりと、回を重ねるほどに勢力を増大させていけば、このアクションは効果的な示威となるだろう。NHKは国民の評判を気にする公的機関であり、受信料で経営が成り立っている。NHKの内部には、安倍晋三の私設放送局と化し、官邸のプロパガンダ機関と堕した現状に不満を抱いている者も多い。デモの200人が2000人になり、2000人が2万人となり、建物の外で非難の声を張り上げたら、内側でも無視はできなくなるだろう。7/15夜の国会前には2万人ほどが集まったが、国会の中には誰もおらず、抗議の声は届かないのである。国会前でデモをする狙いは、圧倒的な頭数を揃えて絵を作り、報道ヘリに上空から撮影させることだけだ。夜の2万人では十分な絵にならない。しかし、NHK前に2万人が集合する事件が起きれば、報道姿勢に影響を与えることは十分可能だろう。同じ2万人でも効果が違う。兵力の一点集中は古今の戦術の要諦で、孫子の兵法にもナポレオンにもある定石だ。少ないデモの人数で政治の効果を得るためには、敵陣営の最も弱い環を衝いて崩すべきで、渋谷のNHKへの集中攻撃は合理性の観点から採用すべき作戦だろう。同じことは信濃町の公明党についても言える。

c0315619_15565333.jpg法案に反対する市民運動の「方法論」を指南したマニュアル文書を見ると、ここにFAXを送りましょうというリストがある。丁寧に調べて一覧を載せてくれるのはありがたいが、作戦の効果を重視すれば、漏れなく平板に書き並べるのではなく、そこにプライオリティを付けたメリハリの利いた運動論でなくてはいけない。一点集中と弱い環への重点攻撃の発想が必要だ。となれば、公明党の20人の参院議員が優先順位の高い標的として設定されるべきだろう。114人の自民党議員にFAXを送るよりも、20人の公明党議員に集中して送りつける方がいい。示威の経済。公明党の20人が採決で欠席して棄権に回ると、法案は参院で否決となる。残された時間を考えて戦略を組むとき、公明党を切り崩すという方針が選ばれ、そこに反対運動のエネルギーを傾注させるという戦術が採られるのは理の当然だ。どうやって創価学会を動かし、公明党を崩すか、もっと知恵と工夫を集めてバリエーションを考案してよい。国会の会期末は9/27で、政治戦は残り1か月半になった。1か月半後には決着がついている。最後に、持論の繰り返しで恐縮だけれども、オルタナティブが重要だという点も念を押したい。受け皿である。私は一つの構想を提案した。最良のものだという自信がある。この政治戦で安倍晋三を追い詰めるときは、必ず、国民に信を問えという結論になる。

c0315619_1557459.jpg解散を迫り、選挙せよと安倍晋三に要求するなら、われわれは投票先を準備しておかなくてはいけない。その受け皿は国民にとって魅力的である必要がある。法案の政治戦が始まって、かれこれ2か月半になるけれど、未だに反対派は受け皿作りをしていない。どうして受け皿作りに動かないのだろう。賛成派の右翼は、そんなに法案に反対なら選挙しろと言えよと、高をくくって反対派を見下ろしている。受け皿を作ることは、法案を廃案に追い込む上で最も有効で必須の戦略だろう。選択肢のビジョンが明確に立ち上がれば、そこへ世論を導くことができ、期待を集めることができる。法案を葬り去り、安倍政権を倒した後を約束することができる。次の政治を保障することができる。「政治改革」のときの細川護煕の日本新党のムーブメントを再現し得る。今のところ、受け皿作りの必要性を言い、具体的なプランまで提示しているのは私だけで、他の者たちは、反原連系が典型的だが、「デモせえデモせえ」の動員勝負の一点張りであり、マスコミが流行現象に飛びつくように宣伝するSEALDs大明神を崇めて喝采するだけだ。「私達は具体的に何をすれば良いと思いますでしょうか?」の質問に対する回答の一つとして、受け皿作りの提唱を広めてくれることをお願いしたい。受け皿がなかったら、この安保法案について国民に信を問えと言えないのだから。以上、質問に回答する具体論として、(1)外国人特派員協会、(2)NHKと公明党、(3)受け皿作り、の3点を述べた。

ご参考にしていただければ幸いである。


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by yoniumuhibi | 2015-08-05 23:30 | Comments(4)
Commented at 2015-08-06 00:14 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2015-08-06 00:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2015-08-07 21:30 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ロシナンテ at 2015-08-31 23:48 x
主様が、これだけ具体的な戦術を呈示されても、誰も歯牙にもかけない。なぜなのか。
歯痒くてどうにもならない。
本当にこの法案を廃案にすべく、その術を探っているのだろうか。
日曜、誰も居ない国会前での参集に、誰も恐怖を感じない参集に、
本当に参集のチカラが有ったのだろうか。

ケンカは勇気とタイミング。
戦術は相手の一番弱い所へ一点集中。

こんな基本がなぜ通らないのだろうか。
タイミングで言えば7月15日。
この日に国会前警備を破る程の怒りを示していたなら、と思う。
安倍の挑戦状を破り捨てるには最適な日だった。
この日にデモ群衆が暴れていたなら、その後のデモ群衆の目付きは
変わったと思う。
カルチャークラブの帰りに寄るライフスタイルなデモから脱皮出来ていた。

戦術で言えば公明党。
自民を攻めるよりも公明党を攻めるほうが国会への影響度もはるかに大きい。平日の昼間乃至夕方に10万のデモ参集が公明会館に押し寄せれば、その恐怖を腹の底から受ける。キ●タマが縮む。
学会の教えと法案支持と参院選との、巴挟みにさせる事が出来るのに。
関が原での小早川のように、寝返り棄権者を作れるのに。

果して、彼らは本気でこの法案を廃案にしたいのだろうか。


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