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JE NE SUIS PAS CHARLIE - 表現の自由は無制限の権利ではない

JE NE SUIS PAS CHARLIE - 表現の自由は無制限の権利ではない_c0315619_16115030.jpgフランスのテロ事件を日本のテレビがどう報道するか、気になっていたが、昨夜(1/9)のTBSとテレ朝は公平だったので安堵した。特にTBSのNEWS23は秀逸で、この事件を解説するに当たって、ダマスカスから記者が報告し、シリアの現地の人々を取材して感想を伝えるという丁寧な取り組みをしていた。この報道の仕方は、私が最も望んでいたもので、また事件の本質を探る上で欠かせない情報であり、TBSのジャーナリズムの姿勢を評価したい。記者は、イスラム国の野蛮な暴力による被害者は、シリアの無辜の人々なのだという点を強調した。このことも、前回の記事で提起した視点であり、今回の事件の意味を考える上で落とせない重要な事実認識だ。事件を「文明の衝突」のコンテクストで意味づけると、イスラム国が狂暴に殺戮している相手が欧米人だというイメージに導かれてしまう。マスコミ報道では、もっぱら、イスラム国の戦闘員が欧米人を処刑する場面ばかりがクローズアップされ、イスラム国の敵が欧米だという構図で説明されているけれど、実際に、彼らが残虐に殺しまくっているのは、シリアの地で暮らしている民衆であり、流血の犠牲者は貧しいイスラムの弱者なのだ。戦場となったシリアの土地で、市民が中立に暮らすということは難しい。アサド側の兵士になるか、反アサド側に与するか、それぞれの軍が占領した土地の男たちは、銃を手にして戦闘することを強制される。



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JE NE SUIS PAS CHARLIE - 表現の自由は無制限の権利ではない_c0315619_16132338.jpg

by yoniumuhibi | 2015-01-10 23:30 | Comments(10)
Commented by NY金魚 at 2015-01-10 21:31 x
世に倦む日日さんに感化され、ブログを立ち上げたのが2007年暮れ、ほぼ最初に取り上げたのが9-11と故・井筒俊彦のグローバリズム論。http://nyckingyo.exblog.jp/6851673/ 
井筒の専門がイスラムだったこと、たまたま住んでいたNJにあるWTCの至近距離の街がイスラム系住民が多かったことも含めて、「文明の激突」を目の当たりにしてしまいました。それからわが意識のなかのアメリカ像はそれまで以上にガラガラ崩れ、(多分3-11後の日本像よりもうんとひどく)嫌悪し、現在にいたっています。グローバリズムが「地球社会化」などではなく、欧米という主人国とそこに隷属する奴隷国、という図式がいまの地球だと認識しています。フランスも日本も極端に右傾化し、ここでまたエゴを貫き通す国家という「文化的枠組み」同士の激突をひどく恐れています。
「新自由主義経済」からはじまり「自由」という言葉がいまほどの欺瞞に満ちている時代はなかったと思います。
Commented by 長坂 at 2015-01-11 16:04 x
ドローンの誤爆(故意の?)で何十人死んでも新聞の一面に載る事はないし、抗議の連帯もない。ガザで少年が政治犯(!?)として連行され拷問されたり、子供が斬首されても、報道の自由があるのに報道されない。サダムやビンラディンやカダフィと、かつての指導者とその家族があんな殺され方をしても、それが正義だと。そんな世界でどうやって、言論には言論で、風刺には風刺で対抗するのか?お尻を丸出しにしたムハンマドや「コーランは糞」と表現するのは自由かもしれない。でも「私はシャルリー」と言う前にいったいアラーはフランス人に何をしたと言うのか、是非教えて欲しい。
Commented by 豊島耕一 at 2015-01-11 19:10 x
殺人行為と表現行為(たとえ「言葉の暴力」であっても)とは全くレベルが違います.「いじめられる方にも問題がある」という言い方と同じようなことになってはいけません.
Commented at 2015-01-11 22:05 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2015-01-12 02:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 植草一秀 at 2015-01-12 15:37 x
小選挙区制について一つ申し上げたいことがある。
それぞれ選挙の仕組みは一長一短であり、小選挙区制を全否定するのは如何なことかと思う。
小沢一郎氏が提案したシステムであるが、そのことが無制限な小選挙区制批判に繋がっていると私は推察する。
ある党がほぼ全部の選挙区で候補を擁立しているのは分からないでもないが、大同団結しなくては自民の補完勢力に過ぎない。
選挙区で当選できるベストな候補がいないとしても、より小さな悪を妥協して選ぶ柔軟性が我々主権者に求められていることである。
その際、民主党の悪徳系や維新は自民と同じなので選んではいけない。
世に倦む日日氏の小選挙区制度に対する見解に、僭越ながら意見をさせて頂いた。
Commented by 在仏 at 2015-01-14 07:42 x
 「Charlie Hebdo の記事や風刺画にいつも賛同できるわけではない」、「信仰する人のを尊重すべきだ」とは私も思いますし、そう思っているフランス人がかなり多いと思います。「それであっても表現の自由は守られなければいけない」という意味の「Je suis Charlie」です。
 その根底には、フランスという国が長い間「カトリック」に弾圧され、そしてそこから解放されたという歴史があります。イスラム教のイマムの方で、興味深い発言をされています(下記リンク52分あたり)。「世界で一番世俗化された大陸の中で、さらに一番世俗化された国がフランス」だと。完全に世俗化された「共和国」であるフランスにおいて、全くよそから来た宗教を信仰・宣教できることも、それを批判できることも、「共和国」が掲げる「自由」であるということです。
http://www.dailymotion.com/video/xetaks_road-doc-qui-a-peur-de-l-islam_news
Charlie Hebdoの記者や漫画家たちは、「死の危険があることを承知していながらも」、この「自由」を貫いたからこそ、新聞の内容に共感できなくとも、「共和国の価値」を守るために、大勢の人がCharlieを応援しているのだと思います。
Commented by てんてん at 2015-01-14 21:49 x
フランス在住の方なら、よくご存知だと思うけれど
今、フランスにおけるムスリムを含む移民の
置かれた社会的立場はどうなのか。
彼らが多く住んでいるパリ郊外の低所得者集住地域の
環境もご存知だろうと思う。
フランスにおいて明らかに社会的弱者である
ムスリムたちが心の拠り所としているものを
揶揄し汚す自由とは一体どういう「自由」なのか。
かつて強大な王権や、それよりさらに強大な教会権力を
倒して勝ち取った自由の輝きは失せて、今、彼らが
「守るべき自由」と称するものには腐臭が漂っている。
Commented by ロシナンテ at 2015-01-14 23:03 x
風刺とは権力に対して「屁のカッパ」的に用いるものであって、
何かを侮蔑するものでは無い。
 
表現の自由と相手構わず侮蔑する風刺(とは言わないな)は別物だ。
なので、
今回の事件で「表現の自由」を言い出すのは筋違いである。
Commented by のの at 2015-01-15 17:52 x
確かに今回のスローガン「私はシャルリー」は、最適ではなかったかもしれません。どうしても「シャルリーの風刺画に賛同する」と解釈されがちだからです。私も人の心を傷つける表現には基本的には賛同しません。しかし、今回のテロを「シャルリーの風刺画に傷つけられた人の心の叫び」のように美化しすぎるのも危険だと思います。フランスのイマム(イスラム教の導師)はテレビで「イスラム教は本来平和な宗教でテロのような殺人行為を糾弾します。イスラム教徒=テロリストという誤解をしないで欲しい」と訴え、イスラム教の正しい理解のために日々注力されていますが、彼自身もTVでこのような発言をすることによって「暴力による復讐に賛同しない裏切り者」としてテロリストから日々殺人予告を受け、24時間警察に警護されているのです。原理主義者は、イスラム教が他宗教の人々と共存していけるように命がけで戦うイスラム導師達をも日々殺人の標的にしているのです。言論の自由とは、風刺画だけでなく、彼のような人間の命を守るためでもあると思います。
そしてこのような原理主義集団は、別に「独善的な欧米への反逆」という正義のために存在しているわけでもありません。自国を原理主義国にするために、自国民に対し暴力や殺戮を辞さないのであって、記事の中にもあるとおり殺戮の被害者はアメリカ人でもフランス人でもない、彼らの自国民であることを忘れてはいけません。これらの国では原理主義を批判したりすれば命はないのです。日々、表現・言論の自由がないことの恐怖を生きているのは彼らなのだと思います。
欧米諸国の自分勝手な振る舞いが、これらの国の混乱を誘発した部分もあるでしょう。ですから欧米から発信される「欧米諸国は正義の味方」というメッセージを慎重に受け止め、批判的精神をもって吟味するのはとても良いことだと思います。しかし、テロ行為に情状酌量の余地があるような正反対の罠に陥るのも大変危険なことです。原理主義がはびこる国々からの情報も、欧米から発信される情報と同等の警戒心をもって扱う必要があると思います。


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