竹信三恵子の『ピケティ入門』と若干の問題点 - 不正確なマルクス認識

c0315619_1430582.jpg先々週の週末、選挙の前日(12/13)だが、オフ会の前に時間潰しのため神保町の東京堂本店で本を見ていた。立花隆が新刊本をチェックするとき、必ずこの店の1階フロアを利用することは、以前、Blogで紹介したことがある。私も立花隆と同じ習慣の持ち主で、新刊本は常にこの店で探して買い込んでいた。カバーも気に入っていた。もう遠い昔のことだ。あれから店は2回改装した。小ぎれいな雰囲気に変わったが、私には昔の東京堂本店が懐かしい。特に2階と3階がよかった。知識人(のみ)がアクセスして時間を過ごせる特別な場所。2階と3階に来ると、学生時代の続きの勉強を自然に始めていて、私にとっては図書館そのものだった感がある。東京堂の方が、三省堂よりも古い時代の本を置いてくれていて、すなわち脱構築化=商業化されておらず、その点が私のお気に入りだった。神保町に中華料理屋が多いのは、この辺り一帯が嘗て東京の中華街だった名残りだと言う。内山書店とか東方書店があるのも、その歴史のせいだろうか。留学生だった周恩来も、この近くに住んでいた。新刊コーナーで目に止まったのは、ピケティの「21世紀の資本」とその関連本数冊で、何人かが熱心に立ち読みしていた。日本語版が出たのか、じゃあ買わないとと思って実物を見た瞬間、訳者の名前が目に入ってギョッとした。まさかと思いつつ、みすず書房の真意が分からず、本の購入は中止した。



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by yoniumuhibi | 2014-12-22 23:30 | Comments(7)
Commented by 植杉レイナ at 2014-12-22 18:37 x
初めまして。
重要な手掛かりをご指摘になられていらっしゃると感じまして,ひとこと申し上げます。
日本ではなんとなく経済学素人と思しき方々がトマ・ピケティ『21世紀の資本』を強力に推していらっしゃるような傾向はありませんでしょうか。

この論考にございますように
≫マルクスとケインズという一般的な図式ではなく、マルクスとクズネッツという図式が持ち出されていて、その意図を訝る不思議な説明になっている。≪

私,ある講座で半分読まれたという方の若干の解説を聞いた時,上記と同様の感想を持ちました。ただし全訳が出版された時点でのことはなく,その後どう論じられているかは分かりません。

そして『資本論』は,まさに
≫共産主義革命についての記述はない。資本主義の構造原理と運動法則の解明だけがあり≪
≫マルクスの共産主義革命を「政治的情熱」のレベルに還元して言うのは、あまりに無知な単純化であり、マルクスを貶める矮小化だ≪

いわゆる社会主義国家の惨状に対する感情的忌避から,マルクス経済学を読み違えて批判したい向きも多いのかと。私はお恥ずかしいことに『経済学批判』少しずつ読み始めていますが,それにしてもマルクス『資本論』難しいですよね。また貴ブログ拝見したく存じます。 不一

Commented at 2014-12-22 19:21 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ゆたか at 2014-12-23 06:38 x
>日本語版が出たのか、じゃあ買わないとと思って実物を見た瞬間、訳者の名前が目に入ってギョッとした。まさかと思いつつ、みすず書房の真意が分からず、本の購入は中止した。

私も、なんで山形浩生あたりが訳したのかと思います。
サポートサイトをみると、英語版からの重訳っぽいですし。
うーん。愉快な気分で買う気にはなれません。
Commented by ゆたか at 2014-12-23 15:38 x
竹信三恵子って人も、フランス語版の原著を読んだうえで紹介してるんですかね。ちょっと怪しい感じがします。
Commented by 長坂 at 2014-12-24 10:00 x
ミーハーで知ったかぶろうと山形浩生ブログに目を通し、池田ノビーのピケティもチラッと覗き、無料で読めるみすずの「はじめに」の10ページも読んでみた。TEDでのピケティのスピーチを聞いたらフランス語訛りが強く忍耐の20分だったが、サイトにある英文の原稿がなかなか解りやすかった。(と言っても私の理解力なので自ずと限界が、、)
格差を縮小させる方法?公用徴収、戦争、累進課税?
トリクルダウンでおこぼれ頂戴しようと、上向いて口開けて待っているけど、水一滴落ちて来ないならやっぱガラガラポン、「希望は戦争」になるのか。ピケティのはずが赤木智弘になってしまった。r>g、、、
Commented by 憂国 at 2014-12-25 02:46 x
ブログ主さま。
ピケティの問題提起は、重厚な計量経済史分析に裏付けられたものです。
アナール学派などの方法論にも通じますし、同時に、現代の経済学者の多くも、そのデータ性にそう簡単には反論できないものになっています。
しかしブログ主様が、マルクスの認識と違うとか、今世紀前半の社会主義とその影響、資本主義側の修正について軽視してるとか、それ自体は正しいかもしれませんが、そういう理由でピケティを敬遠するとすれば、それは残念なことです。
すでに、資本主義経済学でも新自由主義から距離を置くスティグリッツやグーグルマンはピケティに賛同し(経済学者に評価されていないというコメントは間違い)、そのことが、最近のOECD が新自由主義路線からの転回を宣言するに至る要因にもなっています。
面白いことに、日本では保守派ブロガーである池田信夫が、このピケティを好意的に紹介していることは、一つの重要な意味があると考えます。それだけ、ぐうの音も出ない重厚な論著なのです。
ピケティ自身、マルクス主義ではありませんが、フランス社会党のブレーンであり、いわゆる社会民主主義の思想的潮流にいる経済学者です。
したがって、広く左派から中道の連携を目指すブログ主様にとっては、経済政策での最大公約数を得るためにこのピケティは理論的支柱になるものです。また現在の新自由主義的経済施策、自己責任論主体、格差是認の政治潮流に対抗する上で、必ず読むべきものと考えます。
政府の再分配的役割を重視する立場は変わらないはずです。
たとえ、多少の認識の問題点はあっても、膨大なデータに裏付けられた『21世紀の資本』論は、ブログ主様がぜひとも目を通すべきであり、また、活用すべき資源となると考えます。
これだけ重要な論著を、今回書かれたような理由、あるいは一部の解説にとらわれて読まないのは、非常に大きな損失と考えます。
Commented by ijkl at 2014-12-30 04:00 x
英語版の重たい本を買ってしまったのですが、持ち歩きに不便なので、Kindle版の無料版から見ています。英語版は、初心者としては取り付きやすい英語で書かれていますので、是非Kindleの英語版を見て下さい。確かに、Introductionのところでは、Multhus、Ricardo、Marxときて、その後はKuznetsになっています。KeynesでIntroductionを全文検索しましたが、一言も出てきません。そこで、Googleなどで「Piketty」と」Keynes」で検索を掛けると、ineteconomics.orgのサイトからLance Taylorという人が書かれた論文が出てきます。この論文の主張する数式的な議論とこの記事で主張されていることが似ているような気がしてなりません。


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