南原繁の勇気と挑戦 - ファシズムの中の「東洋政治思想史」講座

c0315619_17492916.jpg前回の記事で、7/19にNHKで放送された丸山真男特集について、「間違った説明は特になかった。基本的に正しい」と書いたが、一点、訂正が必要と思われる部分があり、気になったので触れておきたい。錚々たる面々が制作に関与していながら、これはどういうことかと首を傾げたが、番組では、丸山真男が卒業後に助手に進んだとき、自ら研究テーマを日本政治思想史に選んだという説明になっていた。自発的に、自らの問題関心で、過去(徳川期)の思想史の探求に踏み出したという整理が示された。番組の進行では、その前に例の一高時代の特高体験があり、それを契機に、本人が何らか日本の過去からの思想に問題意識を持ち、自ら積極的に研究を始めたのだと概説された。何も知らない者は、この「自然な流れ」に頷いてしまう。だが、これは全く事実と違う。そのことは、熱心な丸山真男の読者でなくても常識の範疇と言えるだろう。NHKの標準の教育番組なのだから、基本的な史実の紹介で誤りがあってはいけない。丸山真男が研究対象として日本の政治思想史を選ぶことになったのは、本人の希望や意志によるものではなく、師となった南原繁の勧告と指示であり、南原繁の計画と深慮によるものである。それはまさに、今日から振り返って、奇跡の英断の歴史だったと言えるのだけれど、そのときの学生の丸山真男にとっては、南原先生に困惑の課題を与えられて、渋々と取り組むことになった対象だった。



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by yoniumuhibi | 2014-07-23 23:30 | Comments(2)
Commented by NY金魚 at 2014-07-23 23:32 x
戦前・戦中期の丸山眞男を思い浮かべると、このブログのアイコンにもなっているオーウェル「1984年」の主人公ウィンストン・スミスを連想します。もちろんこの連想は正確とは言えませんが、ぼくたちの抵抗の歴史を学ぶ原点のイメージにたどり着いた感じがします。南原先生が丸山眞男に日本政治史を学ばせた件は、アメリカ上陸の後、司馬の時代小説にはまり込み、そのあと、神道・儒教・老子などに傾倒していった自分のアタマのなかと同調して来ます。
この記事が刺激になり、手元にある「丸山眞男・座談」を読みはじめました。生前の丸山眞男に、やさしく語りかけられているようで、当分その本たちから離れられなくなりそうです。丸山史の続編を期待しています。

Commented at 2014-07-24 20:21 x
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