映画「小さいおうち」 - 日常の中で描かれる静かでリアルな戦争

c0315619_15452753.jpg山田洋次の映画『小さいおうち』を見てきた。ベルリン映画祭での黒木華の銀熊賞受賞のニュースがあり、それが動機づけとなって映画館に足を運んだ。山田洋次らしい佳作であり、戦争の描き方が素晴らしく、ぜひ見ていただきたいとお薦めする。要するに、言いたいのはそれだけだが、ネットの中に散らばっている幾つかの感想を読んでみたところ、どれも私が感じたものとは違うので、思いきって独自の解釈と解説を試みることにした。まず、大事な点は、この映画は原作とは違うということで、この点をはっきりさせる必要があるだろう。原作はあくまで映画の素材であり、物語そのものも原作の小説とは違う中味になっている。山田洋次が物語を作り変えている。だから、先に原作を読んで、原作のドラマが映画で再現されていると期待して見ると、きっと違和感を覚える結果になってしまうのだろう。原作を読んでない私が、このようなことを言う資格があるかどうか甚だ自信がないが、山田洋次が映画で見せている物語は、中島京子の小説とは別のものだ。大事なポイントから先に言うと - あくまでネットで知り得た情報だが - 原作では、あの日、タキ(黒木華)が時子(松たか子)の手紙を持って板倉(吉岡秀隆)の下宿に行った後、板倉は実際に時子の家(小さいおうち)を訪ねて来ている。時子と逢瀬している。この情報を知ったときは驚いたが、だとすると、映画と原作とは全く違う話になる。



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by yoniumuhibi | 2014-02-19 23:30 | Comments(5)
Commented by 今井政幸 at 2014-02-19 21:23 x
鶴太郎。 Name ねこげんき。@言論弾圧 2014/02/19(Wed) 19:18 No.31316 [レス・レス表示]
ダレか、おしえてあげてほすい。

鶴太郎じゃないよ。孝太郎。歌舞伎のヒトだから。

世にナントカの日々。
Commented by NY金魚 at 2014-02-20 13:46 x
世に倦む日日、久しぶりの映画評論ですね。たしか前回まで洋画の評が多かったので、なつかしい感じの日本映画評です。NYではもちろんまだ未公開ですから観ていませんが、このブログの評でなんだかもう何度も観てしまったように感じています。
小さなひとつの家の、家庭の事情から、戦争という大きなものを見つめようとする山田洋次監督の、寡黙で、真摯で、愛にあふれた、鋭い着眼点に敬意を表します。あるいは社会という大きなものは「小さいおうち」の集合体で成り立っていますから、戦時にはそれぞれの小さな家のなかに不安定な戦争の要因が巣食ってしまうのでしょう。映画も原作も観ていない者がこれ以上言葉することは避けますが、現代日本の世相と、ネットの先に居られるそれぞれの思索を思い、戦争だけは避けたいと念じています。
Commented by NY金魚 at 2014-02-20 14:04 x
続・そういえばぼくの育った戦後の時代には「女中さん」という職業があって、うんと小さな乳児期にお世話になった覚え(?)があります。ぼくが高校のときにそのかの女が尋ねてこられて、その逸話から、自分自身のイメージが大きく膨らんだりして。
社会の底辺にいる女中さんから観た、少し裕福な「小さいおうち」には、もっと大きい社会とか国家とかの縮図が観えるのかもしれません。「不倫」(その頃はそうは言わなかったのでしょうが)と言う異常事態が、「戦争」という国家の異常事態にシンクロする。底辺にいる「女中さん」がそれを観つめる。プレヴューのなかの黒木華のかわいい顔を見ていて、オキュパイのデモにいつもひとりで表われるアメリカ人女性の顔が思い浮かびました。ちょっと飛躍かなぁ。
Commented by 金熊 at 2014-02-20 22:18 x
 中国を「何をしでかすか分からない」と悪し様に言う右翼が、同じ口で、「もし軍事衝突があっても尖閣周辺での小規模なものだ」と言う。あのタフで大きな中国が、負けを認めると思っている。「核を使うはずがない」と思っている。
 戦争が始まるまでは、我々の日常生活は、それほど大きく変化しない。だから「まさか戦争なんて」と思ってしまう。都知事選を棄権した過半数の都民は、戦争など起きないと思っている。世論調査で安倍政権を支持している人々に、戦争する覚悟などないだろう。
 しかし戦争は、軍事衝突というかたちで、唐突に始まる。しかもその衝突の原因が「秘密」として「保護」されるのだから、安倍はいつでも始められる。
 戦争は、始めたら簡単にはやめられない。戦争になれば、つらい日常が待っている。
 細川と宇都宮の一本化ができなかったことを後悔していない人の、頭と心が分からない。
Commented by 今村 at 2014-02-23 01:37 x
「小さいおうち」見ましたが、「関係をもったのでは」までは推測できませんでした。が、そう言われればそれもありか、とは思います。
確かに板倉はどの女性にも優しい人物のように思われます。
しかしそんな板倉が戦後誰とも結婚しなかったとしているのはなぜなのかという疑問は残ります。
タキが結婚しなかったのは結婚相手となるべき男性が戦争でみな死んでしまったということかなと思いました。
山田監督は一貫して平和、それも庶民の平和な暮らしを壊すものへの批判を映画にこめていると思いますが、「小さいおうち」は今までの作品とは角度を変えて描いていると思いました。
戦争はすぐそこに立っている。なのにそれに気づかない。


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