秘密保護法の成立 - 闘いは続く、政権を倒すときまで

b0090336_1533534.jpg特定秘密保護法。成立はしたが、施行までまだ時間がある。勝負はこれからだ。問題は、単に第三者機関だけでなく、第12条のテロリズムの定義にあり、共謀、教唆、未遂、扇動も実刑になるという恐るべき人権弾圧の治安立法の本質にある。施行前の修正論議が浮上したときには、必ずマスコミが批判を再開し、同じ騒動の再燃となり、国民の反対運動が再開されて政局となるだろう。今回は、会期末の強行採決で乱暴に幕を閉じる結末となったが、こんな常軌を逸した手法を何度も使えるとは思わない。法律の廃止または抜本改正を求める国民の声は、今回以上に高まると予想され、野党も簡単に合意することは難しいだろう。日弁連は諦めていない。12/6夜の日比谷野音の集会で、日弁連の海渡雄一は、もしこの法律が施行され、実際に最初の逮捕者が出た場合は、1000人の弁護団を編成して全力で弁護すると宣言した。このまま1年が経ち、法律の施行日を過ぎたとしても、現在の反対圧力の強さを考えれば、現実にどこまで実定法として機能し、当局が意図したとおりに運用を進められるか疑問だ。むしろ、次の選挙で政権を変え、この危険な欠陥立法を廃止せよという世論になるのが自然だ。1年経てば、選挙は2年後の日程となる。この法律が重要な争点になることは必至で、であれば、議論の中でこの法律は立ち往生の状態にならざるを得ない。



b0090336_15332085.jpgもし、半年後、1年後に安倍晋三の内閣支持率を20%以下に叩き落とし、政権を死に体の状態に追いやることができれば、総選挙も前倒しだという空気を醸成させて、この法律も死に体にすることができるのではないかと、そういう期待と展望を持つ。これからすぐに辺野古の政局がある。その次は、集団的自衛権行使の閣議決定と国家安全保障基本法案の政局となる。今後、半年から1年、ずっと安保と平和の問題での重大な政治戦が続き、マスコミ報道の前面に出る推移になる。辺野古の埋め立て問題は紛糾するだろう。そして、集団的自衛権をめぐる政局では、おそらく今回と同規模の、あるいはもっと大きな反対デモが起きて騒然とするに違いない。秘密保護法の問題で反安倍の立場を明確にした朝日と毎日は、集団的自衛権の行使に反対の論陣を張り、政権との対決姿勢を際立たせるものと思われる。そこに、消費税増税の国民生活への影響が絡むタイミングになる。「安倍晋三の支持率を20%に」という想定は、現時点では楽観的すぎる願望だが、本来、この男の支持率が60%もあることが異常なのであって、マスコミが刷り込んできたところの、アベノミクスの「好景気」の幻想と妄信がそれを支えている基盤なのだ。したがって、その土台が崩れれば、必ず政権支持率も失墜することだろう。半年後、安倍政権が今の盤石体制を維持しているとは思えない。

b0090336_15333058.jpgただ、少し不安なところもある。あれだけ果敢に法案反対の記事を発信し続け、テレビでも岸井成格が反対論を言い続けた毎日が、現時点(12/9)でまだ世論調査を出していない。12/6の強行採決と法案成立の後、即座に世論調査を打ったのは朝日だけで、毎日は続かなかった。毎日は11/26に衆院で強行採決された後も、なぜか世論調査を発表しなかった。予想よりも反対の数字が少なく、安倍晋三の支持率が下がっておらず、調査を表に出すと逆効果になると判断している可能性がある。朝日が12/7に発表した数字でも、反対51%、賛成25%で、11月の時点の調査とほとんど異同がない。あれだけ邪悪な暴挙が行われ、各界文化人の反対声明が次々と報道され、全国津々浦々で反対運動が盛り上がったにもかかわらず、期待したほどには賛否の差が広がらなかった。また、安倍晋三の支持率も、前回からの下落はわずか3ポイント(49%→46%)にとどまっている。この数字には少し落胆させられた。TBSの調査では、前月と比べて13.9ポイントと大きく下落しているが、それでも54.6%と高い支持率を維持している。TBSの調査では、成立した秘密保護法への賛否が数字で示されていない。質問票に載せなかったのか、それとも調査はしたけれども結果の公表を控えているのか。気になるところだ。一週間、国会前で立ちんぼした身としては、この世論の不感症は残念で不満と言うほかない。

b0090336_15334140.jpg一週間も、ずっと連続で国会前へデモに詰めかけ、これほど政治運動に関わったのは初めてのことだ。まさか、人生の中でそんな経験をするとは思わなかった。午後に国会議事堂前駅へ行き、議員会館前で立ちんぼして声を上げ、国会を右回りで半周し、正門前のデモ隊の様子を確認し、また半周して裏側に戻り、議員会館前で声を上げる一人となる。シュプレヒコールを上げたり、議員から議場の最新状況の報告を聞いたり、歩道で群衆にまじって立ち、飽きたらまた国会を歩いて一周する。そして、夜の人数が最も多くなる瞬間を待つ。デモの数は少しずつ増えて行った。その間、大宮でのアリバイ公聴会があり(12/4)、特別委での卑劣な強行採決があり(12/5)、デモ隊のボルテージとエネルギーは次第に昂揚して行った。昼間は70歳前後の高齢者が多く、いつもの見慣れた風景なのだが、日が暮れて夜になると、勤め帰りの40代から50代が立ち寄り始め、隊列全体の平均年齢が若返り、それと共に「絶対反対」「廃案、廃案」の声が勢いを増す。元気と迫力が出る。デモらしいデモの絵になり、現場に立って充実感や連帯感を覚えるようになる。人数は決して多くなく、議員会館前は1000人から1500人の集団が膨らむことはなかったが、場の雰囲気は悪くなかった。小規模ながら示威らしい示威の空間が演出され、集まった者を興奮させ士気を鼓舞していた。日本人も、少しずつ抵抗する市民になっている。

b0090336_15335416.jpg少しずつ、世界標準のプロテスターらしい姿になり、アンガージュマン的な様相を示し始めている。皆勤している者が少なくなく、あれ、この顔、昨日も見たなと思うことが多かった。無名の市民が、後で後悔しないために来ている。国会が近く、簡単にアクセスでき、毎日、抗議の場を用意してもらっていた東京の市民は、この歴史の参加者として恵まれて幸せだったと言えるかもしれない。ただ、法案を阻止できなかったのには理由があり、われわれは深く反省しなくてはいけない。海渡雄一は12/6の野音で、もう少し早く反対運動を立ち起こすべきだったと述べ、関口宏も12/8のTBSの番組で、世論がもっと早く反応していればと漏らした。10/25に法案が国会上程される前、私はこの政治戦は短期決戦だと言い、国会は完全に押さえられているけれど、マスコミの半分はこちらに付いているから、市民のデモが勝負の鍵を握るのだと言った。反対側の動きは迅速でなかったと思う。11月に入っても、官邸前に百数十人にしか集まらなかった。これは異常だ。岸井成格も油断していた。これほど多く、各界の文化人から反対の声が上がるなら、もっと早くから啓蒙活動に動いて、反対声明をラッシュさせればよかった。動きがスローモーで、何とも鈍感で、歯痒い思いをさせられた。急げ急げと焦って発破をかけたのに、全く声が届かなかった。敵があれほど俊敏に動いて仕掛けてくるのだから、政治戦に勝ちたければスピードで負けてはいけない。

b0090336_15342876.jpg何であれほど悠長に、各地で「お勉強会」ばかり開催して喜んでいたのだろう。12/6が会期末だと知りながら、11月下旬まで「お勉強集会」でお茶を濁していたではないか。それは不思議な光景だった。もっと早く、抗議と反対を国民的運動に高め、安倍政権打倒という目標の共有まで持って行くことができたはずだ。それを、朝日や毎日などマスコミに掲げさせてよかったはずだ。デモや抗議集会を打つなら、どうしてその場に鳥越俊太郎や岸井成格や江川紹子を呼ばなかったのだろう。浅田次郎や菅原文太や益川敏英を招いてスピーチを要請しなかったのだろう。マスコミや各界の著名キャラと共闘し、密接に連携し、その絵を効果的に報道させればよかったのだ。無名の人間だけのデモなら、週末の夜に渋谷で開いても、それが会期末・法案成立まで一週間切った土壇場でも、わずか150人しか集まらない。人の集まらないデモは政治の示威として逆効果だ。マスコミと連携できるデモというのは、まさに秘密保護法だから可能だったことで、他のテーマでは絶対にあり得ないことだ。安倍晋三の側は、秘密保護法反対のデモが不発である状況を察し、反対派がモタモタしている間隙を見逃さず、反対運動がさらに盛り上がる前に、会期延長せず強引に始末をつけた。禍根を残す暴力的手法とはいえ、会期を延長していれば法案は確実に潰れていただろう。われわれは、時間を無駄にしたことを反省しなくてはならず、二度と同じ過ちを犯してはならない。

来年の集団的自衛権の政治戦では、この失敗を繰り返さないよう、自己満足のデモにしないよう、そして、時機を間違えず、効果と演出とモメンタムを最大に設計したデモを組むよう、関係者と各自が心に留めていただきたい。

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by yoniumuhibi | 2013-12-09 23:30 | Comments(0)


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